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すべての生き物はそれぞれの命を精一杯に生きる権利がある


小松左京 田中光二 豊田有恒

憎しみ合うのはもう止めて、緑の鐘を鳴らすのだ!編集

1974年10月から1975年3月にかけて、TBS系列局(ただし放送当時の関西地方の系列局は朝日放送)ほかにて放送された。

SF映画猿の惑星』のテレビ放送(これもTBSで実施された)が高視聴率を獲得したことを受け、円谷プロダクションが制作した、日本版・猿の惑星とでもいうべき連続ドラマである。

よく誤解されるが、単なる模倣作ではない。「猿の惑星」では異種族との戦争、人種差別感情が強く表れているのに対して、「猿の軍団」は異種族との協力、共存の精神が描かれている。


円谷プロ作品初の原作者が起用された作品であり、小松左京豊田有恒田中光二の3名が名を連ねている。小松氏が宿舎として使っていた赤坂のホテルで主要スタッフを集めたプロット会議が月二回行われており、またTBS側の提案で訴訟対策として本作がオリジナル企画であることを強調するためにこの会議の様子は全て録音されていた。実際『猿の惑星』の配給元である20世紀フォックスは放映前からクレームをつけてきたものの、この対策が功を奏し完成作を視聴したフォックス側は著作権侵害には当たらないと判断し、身を引いたという。


内容自体は「猿が支配する未来の地球に迷い込んだ人間が逃避行する」という猿の惑星と同じだが、原作者の小松氏が『猿の惑星』の猿達が日本兵のカリカチュアライズであることを不満に思い、映画の不十分な点を是正した徹底的なSF公証が行われている。また当時は『日本沈没』に代表される「破滅」を描いた作品がヒットしていた事から「人類の滅亡」をストレートに描いている。


あらすじ編集

低温生化学研究所の泉和子と彼女の甥の次郎、次郎の友人の少女ユリカは、突然の地震でコールドスリープ装置の中に閉じ込められてしまい、冬眠状態のまま何処かへ転送されてしまった。


彼らが目覚めたのは、人間がどこにも居ない、猿人が支配する未来の地球だった。体毛の無い人間は「裸の猿」と呼ばれて皆殺しにされていたが、一部の猿人は珍しい人間を保護しようと動きだす。

そして和子たちは、人間の生き残りの青年ゴードに出会う。


登場人物編集

  • 泉和子

低温生化学研究所の科学者。皆から「泉先生」と慕われ、科学知識を駆使して人間一同のリーダーになる。猿人歌手リードの演奏する曲に歌詞を付けた事もある。猿と共存する事を提案しつつ、人間の痕跡を探していく。

  • 榊次郎

低温生化学研究所を見学に来ていた少年、いたずら好き。自動車を運転する方法をゴードに教えた事もある。

  • ユリカ

次郎の友達で、苗字は不明。最初は猿に怯えていたが、次第に猿人にも心を開いていく。「ユリカちゃん、辛い時にはあの歌を歌うのよ」と泉先生に言われて挿入歌「何処かで愛が」を歌うのが毎度のパターン。

  • ゴード

未来世界で、たった1人で、両親の仇でもある猿人と戦っていた人間の青年。全ての猿人が敵では無いと悟り、泉先生の意見も受け入れて、猿との共存を考えていく。

  • ペペ

未来世界の、猿人の少年。ゴードと次郎の脱獄を手伝った事が縁で、そのまま一緒に行動するようになる。武装した猿の軍団に近付いて「おじさん何処へ行くの〜」とか聞き込みしても別に怪しまれない。

  • ロボット・チップ

ロボット、チップ/ポップ

海岸に作られた人間の拠点を管理して、人間が帰ってくるのをずっと待っていたロボット。ハーモニカを演奏出来る。ゲバー署長率いる軍団と戦って破壊されるが、後に同型ロボット・ポップが歩いている姿も目撃された。

人間が話しかけると返事するが、猿人が話しかけても答えない。猿人は「鉄の猿」と呼んで恐れている。


  • 空飛ぶ円盤

ゴードは見飽きてるという謎の存在。山火事を消したり、人間一同を監視したりしている。

  • ビップ治安大臣

事実上、猿の国の指導者。平和を愛するゴリラ。争いを望まず人間たちを保護しようとする。やがて反乱が発生して軟禁されるが、猿人の忍者に指示して人間達を守らせたりする。

  • ゲバー署長

何者かに家族を皆殺しにされ、人間こそが家族の仇だと憎んでゴードを必死に追いかけてくる、全編に於ける悪役。

  • ルザー政府長官

政府の野心家でチンパンジー派を束ねる存在。ビップ大臣の失脚を狙い、大規模なクーデター「パンジー計画」を実行する。秘密組織「ユーカ」に連絡を取って人間達を追い込んでいく。

  • ユーコム

人間の遺跡で発見された資料に人間を滅ぼした原因だと記録されていた名前。終盤はユーコムの正体を暴き、この世界の謎を解く展開になる。


各話リスト編集

話数サブタイトル
1飛び込んだ謎の世界
2魔境へ!脱出
3魔の山が鳴く!
4ペペと次郎の友情
5激突!ゴード対ゲバー
6人間の味方現わる?
7猿の歌は愛の歌
8人間が残した秘密
9かわいい人間よ お嫁になって
10お母さん猿の涙
11人間が造った留守番ロボット
12喜びのめぐり会いと空飛ぶ円盤
13チンパンジー族に勝った!!
14猿の国もお正月?
15人間が埋めたタイム・カプセル発見!!
16タイム・カプセルから子供の声が!!
17悪の軍団から親子猿を救え!
18なぜ人間が少なくなったか?
19猿に味方する奴は誰?
20謎の無線機が呼んでいる!!
21愛する猿への伝言
22ゴリラ対チンパンジーの争い
23円盤は敵か?味方か?
24勝利の日は近い!!
25コンピューターは人間より偉いか?
26喜びの帰還

補足編集

当時の某学年誌に徹底的にえこひいきされていたが、放送時間帯が「アルプスの少女ハイジ」→「フランダースの犬フジテレビ系列局、ただし系列局によっては放送日時差し替えまたは他系列局への放映権譲渡)や「宇宙戦艦ヤマト日本テレビ系列局ほか)や「スターものまね大合戦」(NET系列局、ただし一部系列局は放送日時差し替え)の裏番組になったので、ほとんど誰も見なかったという話題がよくネタにされている。特に「ヤマト」とはSFファンの間で人気を二分しており、「ハイジ」の成績の良さから足の引っ張り合いと取れなくもなかった。

また、実は「日本沈没テレビドラマ版の前座番組だったりする。


作中のエキストラは全員猿の扮装をしているという、画面に華の無い難解な連続ストーリーなので、わかりづらいのも仕方が無い。


猿を憎んで戦う戦士ゴードを演じたのは潮哲也、人間を憎み続ける悪役ゲバーを演じたのは畠山麦声だけ聞くとライオン丸キレンジャーが戦っているように聞こえたのかも知れない。


『猿の惑星』ではチンパンジーが理知的でゴリラは粗暴に描かれていたが、こちらでは逆でチンパンジーがタカ派、ゴリラがハト派と描かれている。実は現実でもチンパンジーは知能は高いが攻撃性が強く、ゴリラは温和な生き物である。


猿人たちの声には仮面ライダー怪人役などで知られるテアトルエコー所属声優が起用されているほか、八奈見乗児神谷明森功至、当時まだ新人だった井上和彦など非常に豪華。


関連タグ編集

猿の惑星 コールドスリープ ポストアポカリプス ディストピア 衝撃の結末

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