パンデミック
ぱんでみっく
語源はギリシャ語の【πανδημία(pandemia)】で、「すべての人々」という意味を持つ。
日本語では「世界流行」と訳されるが、近年はパンデミックで通用する。
感染症の拡大でも、ある感染症が大規模かつ多数の病死者や重篤な罹患者を発生させた場合に使用される。感染症にはいくつかの感染規模を表す段階があり――
| 段階 | 名称 | 規模 |
|---|---|---|
| 1 | エンデミック | ある国の一地方に蔓延した状態。風土病なども広義にはここに属する。 |
| 2 | エピデミック | 国全体、さらに数ヵ国程度まで蔓延した状態。 |
| 3 | パンデミック | 世界の複数の国や地域で蔓延し、猛威を振るっている状態。 |
…といったように表現される。
エンデミックではまだ流行と看做されない場合もあり、エピデミックで比較的広範囲、パンデミックまで到達すると大規模な感染と認定される。
パンデミックの危険性が懸念される感染症
インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型を含む)、肺炎、天然痘、炭疽、ペスト、マラリア、エボラ出血熱、黄熱病……等、複数の感染症が指定されている。
いずれも病原体が感染力、もしくは殺傷力の強いものであり、過去に大きな被害を招いている。
パンデミックの代表例
黒死病
14世紀、16~17世紀のヨーロッパで発生したペストの大規模感染。
特に14世紀のものは2,000~3,000万人という想像を絶する病死者を記録している。
のちにネズミ等の不衛生な場所を棲みかとする小動物の活動が、ペスト菌の媒介者であると特定され、ネズミの駆除と衛生管理の徹底がなされ、また近代日本で北里柴三郎による腺ペストの抗血清の開発がなされたことで、甚大な被害は抑えられるようになった。
しかし出血熱の治療法は未だ確立されておらず、現代でも完全な病理の駆逐には至っていないため、対処法こそ確立されたが、予断を許さない状態である。
スペイン風邪
20世紀初頭に発生した、人類発のインフルエンザよるパンデミック。
アメリカを中心に世界各地で感染者を出し、同時期に終戦へと近づいていた第一次世界大戦の戦死者を軽く超える4,000万人~5,000万人という病死者を記録した。その正体は鳥インフルエンザの突然変異と目されており、新型に変異したインフルエンザウイルスによって過去にない感染力で猛威を振るったためと推察されている。
コレラ
現在も継続するパンデミックの一つ。
過去に7度のパンデミックを記録しており、特に感染力の強さが特徴とされる。
拡大する最大の要因は感染者からの飛沫によるもので、咳や唾液はおろか、排泄部に至るまですべてが感染源となり得る。
特に下水道管理に不備がある場合、周辺の水域を汚染して鼠算式に感染者を増やしていく。
日本でも江戸時代に数度にわたる大感染を記録しており、下水道の位置が公共の井戸の喫水線の位置より上だったことが災いし、上水に下水に潜伏するコレラ菌が潜入したことで大規模感染を引き起こしたと考えられている。この事実が判明した幕末の大感染では、直ちに下水道の位置を井戸の喫水線より下へ掘り下げる工事が施された。
その一方、関所による人間の流通を厳格に制限していたおかげで、感染規模が江戸周辺の関を越えることは無かったという。
創作においてはゾンビウイルスのパンデミックが定番となっている。
『アイ・アム・レジェンド』『バイオハザード』『28日後…』など、ゾンビ映画といえばウイルスによるパンデミックがつきものとなっている。
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