概要
2019年末ごろから世界を席巻したCOVID-19のパンデミックは多くの死者を出し、都市封鎖などにより経済にも大きな影響を与えた。
このため、これに対抗する手段として各国の研究機関や製薬会社は急ピッチでワクチン開発を進め、2020年末ごろには相次いでワクチンが完成。
2021年から各国とも続々と国民に接種を開始した。
イスラエルはファイザーに国民の使用データを提供するのと引き換えにいち早くワクチンを投入することに成功、一時期は毎日1万数千の新規感染者を叩き出していたのがあっという間に減少、その効果に世界中を驚かせた。
ついで一時期は多数の死者を出し絶望的な状況にあるとまで言われたイギリスやアメリカが大幅な感染者数減少に成功し、長きに渡る社会的な規制の緩和も開始されている。
ワクチンはパンデミックからの解放、「ゲームチェンジャー」として大きく期待されている。
一方でワクチンの有効率の差も大きく、各ワクチンの管理の難しさ(特にファイザーとモデルナのワクチンは超低温保存が必須でディープフリーザーが必要)や接種の手配の困難さなどで思うようにワクチンを入手できなかったり、有効率の低いワクチンしか購入できず十分な効果が得られない国も多くなっている。
特にファイザーとモデルナのmRNAワクチンが有効率90%超えの圧倒的な成果を叩き出したこともあり、両社のワクチンの確保は大きな政治的問題にもなっている。
発展途上国にも公平に分配できるよう、COVAXが各国への手配を行なっている。
主なワクチン
世間的にはあまり製品名で呼ばれることがなく、開発社名で呼ばれることが多い。
mRNAワクチン
タンパク質組み換えワクチン
- ヌバキソビッド
- ノババックス社開発ワクチン。日本では武田がライセンス生産にて提供。PEGアレルギーでも打てる利点がある。
- メディゲン・バイオロジクス社製ワクチン
塩野義 S-268019
日本で開発中のワクチン。現在臨床第2/3相終盤。手間取っている理由としては、日本での感染率・発症率・重症化率が他国に比べて非常に低く、臨床試験参加条件を満たす者が極端に少ないこと、mRNAやウィルスベクターとことなりそもそもこの種のワクチンの開発自体が時間がかかること等があげられるが、最たるものは中和抗体を高めるためのアジュバンドなど、助剤にとにかく実績のある既製品を使っていること。なお、シオノギは「セデス」など既存製品等の利益をほとんどCOVID-19関連事業にブチ込んでしまっているらしい。
ウイルスベクターワクチン
- バキスゼブリア
- アストラゼネカ開発。ファイザー、モデルナより有効率はやや落ちるものの温度管理が両者よりは扱いやすいため、超低温保存が難しい国では重宝されている。ただ若年層には血栓が出来てしまう副作用も起きている為にEU加盟国では若年層への接種は禁じられている。日本でも一部の自治体でも接種を開始している地域もあったが、前述の副作用の影響により、40歳以下の者は接種対象外となった事で接種数が少なかった為に2022年9月30日付で国費での無償接種の対象外ワクチンとなった。
- ジェコビデン
- ジョンソン・エンド・ジョンソンの製薬部門である「ヤンセンファーマ」が開発した製品である為に「ヤンセンワクチン」とも呼ばれる。ファイザー、モデルナより有効率はやや落ちるものの接種が一回で済むメリットがあるため、アメリカでは街頭での接種所や外国輸出用に活用されている。ただ日本では公的の医療保険制度での特例接種対象外製品の為に自由診療扱いとなる。
- スプートニク・シリーズ
- ロシア・ガマレヤ研究所開発のワクチン。2回接種型の「スプートニクV」と1回接種の「スプートニク・ライト」が存在する。日本では現在未承認だが、民間による試験接種が実施予定とのこと。安価なこととフリーズドライ状態で他のワクチンより簡便に運搬できることから、途上国で多用されている。
その他、日本では未承認の中国のシノファーム・シノバック両社製品が各国に輸出されている。ただし中国製ワクチンは公称有効率からして他国のワクチンよりかなり劣っており、その効かなさに北朝鮮がつっ返したワクチンであることに留意されたい。
イランやインドなどでも自国開発が進められている。
日本ではシオノギに他にも大手の第一三共、ベンチャーでは大阪のバイオ企業アンジェス、KMバイオロジクス、VLPセラューティクス・ジャパン、IDファーマが開発に取り組んでいる。
塩野義製薬・本社 大阪
現状のワクチンは、開発中で実用化間近のものも含め、いずれも注射という形態のため、どうしても接種に医療従事者が必要になり、その他の医療行為を完全に止めてしまうことはできないため、医師・看護師の不足が発生している。
そこで、医療従事者資格を持たない者……つまり接種者本人が扱う、注射以外の手法のワクチンが、世界でいくつか考案されているが、日本のシオノギが思いついてしまったのが“経鼻接種ワクチン”。鼻からブチ込むとか企画者はきっとダメてんちゃんねる視聴者なんじゃないかと……これはもう日本人の発想、いや大阪人の発想でしかありえない話である(もっとも、この技術開発をした医療系ベンチャー・HanaVaxはドリフの東京の会社なのだが)。
塩野義の最新のプレスリリースでは2022年度中に臨床試験に取り掛かるとのこと。……開発自体はもう目処がついてんのかよ……時期的にはS-268019がリリースされて一段落ついた後、というかたちになるのだろうか。
諸外国におけるワクチン
上述の通り、ワクチン接種率が上がった国では大幅な感染者減少とともにそれまでの規制を緩和できるなど、社会の立て直しにも大きく貢献した。
しかし接種の優先度が高い医療職や高齢者からすると、かかっても重症化しにくいと思われていた若者の接種率はどうしても後回しになる傾向があり、このため未接種の若者にクラスターの爆発が移動する傾向も出てきている。
若年層への感染力の増した変異株(デルタ株)の猛威もありEURO2020観戦の若者やパリピ(2回目未接種率が高い)の間で感染者の再拡大が起こっている。
また、死亡率が下がることでの油断や、宗教や疑似科学系勢力によるワクチン陰謀論により接種を拒否する者も多く、このため接種率が頭打ちになる悩みを抱える国は少なくない。
アメリカでは黒人やヒスパニックの間での接種率が上がらず、様々な景品をつけて煽っている(日本の公的医療制度がない為に生命の危険であるにも拘らず自由診療扱いとなる)。
東南アジアや中東ではワクチン拒否者に対して罰則を適用する国もあり、オミクロン株登場以降は欧米やオセアニアでも医療職・軍隊・公務員などでワクチン拒否者を解雇する事例が増えている。
ワクチンの製品ごとの有効率の差も大きく、ロシア製や中国製ワクチンを主に導入した中南米やアフリカ、東南アジア諸国では感染者数が思うように下がらず、不信感を抱く民衆のデモや閣僚のSNSアカウント炎上などの騒動が起こっている。
また有効率の高いmRNAワクチンの輸出はEUの承認が必要であり、このため政治的な駆け引きも高度な戦術が必要となっている。
各国ではワクチンパスポートの導入を図り、接種済みの外国人観光客を誘致しようという流れも高まっている。
日本におけるコロナワクチン
2021年3月から医療関係者に接種が始まった。
当初は入荷量が少なかったため医療関係者から優先し規模を少なく行なっていたが、ファイザーの量産体制が整備されたことと日本側の体制の整備に伴い、5月のGW明けから一日数十万単位での接種を行い、医療関係者への接種についで65歳以上の一般高齢者への接種が開始された。
河野太郎がワクチンのロジを担当する大臣として任命され(岸田内閣で堀内詔子→に交代後、大臣ポストの拡張期限終了に伴い松野博一官房長官の兼任)、地域の医療機関だけでなく東京と大阪には自衛隊による集団接種場も設置、接種は急速に拡大しつつある。
6月中旬からは「職域接種」という、企業や大学ごとの集団接種も開始された。
1,000人以上の企業が基本的に対象ではあるが、関連企業や非正規社員、近所の住民も一緒に受ける企業や商店街でまとまって申し込む所も増えている。
エンターティメント産業系では吉本興業が真っ先に名乗りを上げ、avexも参入。
なお、吉本の接種では問診担当として同事務所所属で医師免許を持つしゅんしゅんクリニックPが参加。
ジャニーズ事務所は広告会社のサニーサイドアップと組んで関連産業のスタッフも対象に含めて行うこととなった。
日本で認可されたのはファイザー、モデルナ、アストラゼネカであるが有効率が特に高いとされるファイザーやモデルナが全人口ぶん確保できる見通しが立ったこともあり、アストラゼネカのワクチンは当初は国内で使わず、台湾などの外国に回されることとなったが後に様々な事情でモデルナの入荷や配分が遅れ気味の大都市圏用や、mRNAワクチンが体質的に使えない人向けに日本国内でも使われることとなった。
モデルナは同社の日本法人が流通を担い、アストラゼネカは複数の日本国内の製薬会社が日本国内での生産も担うことになっている。
また、2021年末にノババックスのワクチンも認可申請されており、2022年春に武田によるライセンス生産という形で承認された。
小規模な自治体や離島ではワクチンの管理上65歳未満の一般人への接種も一気に行うところも多い。菅義偉首相が「一日100万回接種」「2021年11月までに希望する国民全員への接種」を目指すと宣言したこともあり急ピッチで接種が行われており、6月後半には1日100万回前後に達している。
しかし自治体ごとの格差も大きく、東北地方は全般的に接種ペースが早く2022年初頭までに全県が2回目接種8割を達成している。当初は遅かった関東地方も2021年終盤には急速に接種率が上昇。しかし関西や沖縄は遅い傾向にあり、特に沖縄島は接種開始1年半以上経っても2回目7割未満という低調が続き、2022年の5月に岸田首相を怒らせて松野官房長官を派遣される羽目になった。
沖縄県の群を抜いた低調ぶりには諸説があるが、本島の一部でヤンキーの年功序列意識が強い地域があり、副反応に備えた休みを取らせてもらえない零細企業が多いこと、保守的な土壌により新製品に対する忌避感の強さなどが指摘されている。
日本の製薬会社でも独自のコロナワクチン開発は進められているが、元々ワクチン開発自体が多額の費用と長期の年月がかかるものであることと、日本で開発されているワクチンが基本的にmRNAやウィルスベクターと言った「促成形」ではなく、組み換えタンパクなど「従来型」であることとから、2021年中には間に合わないことは当初から見込まれていた。
2022年以降の販売開始を目指し、数社が開発作業中である。
日本で接種を受けるにあたっての注意
コロナワクチンは日本国内では費用を国が負担する「無料」となっていたが、2024年4月以降は有料になるため注意。
ただし、医療機関での接種を選択した場合、接種を担当する医師によってはmRNAワクチンに見られる副反応(微熱・頭痛・倦怠感など)を軽減するため鎮痛解熱薬を処方することもあり、その薬剤費は国費負担の対象外であるため(通常の社会保険は適用される)、無料だと思って保険証と現金を持っていかないと慌てることになる。
なお、この鎮痛解熱薬は処方箋なしでも30錠で¥2,000しないもので充分であり、万単位の高額請求はワクチン+鎮痛解熱薬の合計でもありえず、もし要求された場合は警察に相談し、払ってしまった後であれば被害届を出すこと。
なお、医療受診者の権利として処方を拒否することは可能である。けど、せっかく3割で出るのにねぇ……という話にもなるが。
ワクチンの接種申し込みや接種会場の仕切りは各自治体が行うのが基本であるが、刻々と変わる状況により申し込み方法や対象年齢も度々変更があるため、必ず在住地の自治体の公式発表や接種券とともに送られる注意書きをこまめに熟読しておくこと。
優先順位は基本的に高齢者や持病持ちが高く設定されている自治体が多いが、地域の状況によっては若い者も一気に受けられる場合もある(小規模の山村や離島でこの傾向が強い)。
介護職や学校教員の優先度が高い自治体も多く、中には美容師や鍼灸師、医療的ケア児の家族の優先度を高くするところもある。
非常に高い有効率で知られるファイザーやモデルナのワクチンであるが、一方で発熱など副反応が強く出る場合もある。
比較的若い年齢で出やすいとも言われている。
多くの場合は解熱剤を処方してもらったり、1〜2日寝ていれば治るが稀に強く出る人もいる。
モデルナの場合、人によっては1週間後くらいに「モデルナアーム」と呼ばれる腕の腫れが生じることもあるが、これも多くの場合は数日内で消える。
強いアレルギー持ちの人や、過去に別の薬剤でアナフィラキシーを起こしたことがある人はかかりつけ医と十分相談すること。特にPGE(ポリエチレングリコール)アレルギー持ち(化粧品で酷くかぶれる人など)の場合、アナフィラキシーショックを起こすことがあるため要注意。PGEアレルギーの人はノババックスを選択するのも望ましい。
ファイザーやモデルナはワクチンの中でも有効性の高い方であるが、それでも稀に抗体の付きにくい体質の人が存在する(風疹や肝炎のワクチンでもそういう例が存在する)。他のワクチンで抗体が付きにくかった人も医師に相談するのが望ましい。
また、デルタ株では2回打ってもかかる「ブレイクスルー感染」も報告されている(但し、症状は未接種より軽くなる傾向にある)。
こうした事情から、「ワクチンを打った後でも感染対策を遵守する」ことが大事である。
日本ではワクチン被害の救済制度で副反応による死亡補償金が4420万円支払われる仕組みになっているが、あくまで副反応の因果関係が認められた場合の話であり、接種直後に死亡したとしても医師から「因果関係が不明」と見なされれば補償金は支払われず、たとえ命に別状が無かったとしても副反応の治療費が全額自己負担という現実が待っている。
副反応を心配するあまり、普段服用している薬を勝手にやめてしまうのは禁物である。
必ず主治医に相談して対応を仰ごう。
接種当日の準備
自治体から配布されたクーポンと問診票を持参。
集団接種会場では身分証明書が必要になる場合もあるので用意しておこう。
副反応を軽減するため、前日には十分な睡眠をとり電解質を取るためスポーツドリンクを飲んでおくことが望ましい。
接種会場にいる医師にとって副反応時の手当の参考になるため、お薬手帳もあれば持参しよう。
不安に思ったりすると迷走神経反射が出やすくなるため、リラックスして接種に臨もう。
接種は肩付近の筋肉に行うため、肩を出しやすい服装で来ること。理想はクワトロ・バジーナだが、タンクトップやゆったりめのTシャツでもよい。
解凍後のワクチンの扱いは時間との勝負であるため、体調不良など以外の事情での単なる気分などでのドタキャンは厳に慎むこと。
急な体調悪化などやむを得ない事情でキャンセルするときも、他の人に速く回すため連絡は必ず早めにすること。
ファイザーやモデルナのワクチンは2回接種が前提で承認されているが、1回接種のみでも発症を抑制するという報告があがっている(イギリス、イスラエル、アメリカ)。
発熱などのワクチンの副反応は2回目接種の方が頻度が高いことが報告されているが、通常2,3日以内に出ることがほとんどであるため、それ以降に具合が悪くなった場合は「別の重大な病気」である場合も少なくないため速やかに受診すること。
副反応について
先述のように、全く未知の物質であるコロナワクチンを投与した結果、生・不活性ワクチンでは予測できなかった重大な副反応が起こっている。
日本における副反応
従来の生・不活性ワクチンでも副反応はあり、インフルエンザワクチンで残念ながら年間数名が副反応により亡くなっているとされている。ただ、コロナ禍以前のインフルエンザによる死者が間接死含め年間約1万人であり、十分リスクは低いと考えられる。
対してコロナワクチンの主な副反応として高熱・帯状疱疹・寝たきり・心筋炎・会場で急死などtwitterで副反応ビンゴが流行するレベルで枚挙に暇がない。
副反応によるものと思われる死者が既に1700人を超えており、更にコロナが流行しだした2020年は超過死亡がむしろ少なかった一方でワクチン接種が始まった2021年以降は超過死亡が激増し、東日本大震災を上回る夥しい数の超過死亡を出している。
一方で国が死亡とワクチンの因果関係の解明に消極的なため副反応による被害を明らかにするよう訴える声が多い。
もっとも、被害者とその関係者に対して第三者がデマ扱いしたり、「反ワクチン」などとレッテル貼りするケースも少なからず存在するために当事者が被害を訴えにくい状況となっている。こちらを参照。
ワクチンに加え、マスクも徹底しているはずの日本だが、感染者数は世界一になってしまった。
海外における副反応
海外においても副反応の報告が相次いでおり、ワクチンをより多く接種した国ほど感染が酷くなっているという報告もある。
例えばイスラエルでは3回接種を終えた後に感染爆発しており、ワクチンの効果に疑念を持つ研究者も多い。