スプートニク1号
スプートニク1号は1957年10月4日に打ち上げられた世界初の人工衛星である。
重量83kg、直径58cmの球体に4本の棒状アンテナが付いている。
遠地点約950km、近地点約230km、軌道傾斜角65°の楕円軌道を96.2分で周回した。
衛星本体から40.02MHzと20.05MHzの電波を発信することで電離層の観測を行った。
この電波は世界各地で受信された。
スプートニク1号は打ち上げ57日後、大気圏に再突入し消滅した。
スプートニク・ショック
人工衛星打ち上げでソ連に先を越されたアメリカ合衆国では「スプートニク・ショック」が起こった。これは、アメリカが科学技術の分野で最先端であるという意識が、人工衛星打ち上げの事実により覆されたためである。その影響で、教育・軍事・科学技術部門の改革の必要性が認識され、アメリカ航空宇宙局(NASA:1958年)設立、アポロ計画(1961年)へとつながっていった。
なお、アメリカ陸軍はスプートニクに対抗して、1958年1月31日にエクスプローラー1号(重量14kg)を打ち上げている。
スプートニク2号
スプートニク1号の打上げの1ヶ月後である1957年11月3日にスプートニク2号が打ち上げられた。
スプートニク2号は生物を宇宙へと連れ出すことを目的とし、搭乗席(気密室)が備えられた。このため本体の重量は1号と比較して約6倍の 508kg となった。
史上初の宇宙船クルーとして“ライカ”という名の雌の犬が搭乗し、人類に先がけて宇宙を旅することになった。
クドリャフカ
打ち上げ当初、この歴史的なイヌの名前に関する報道はかなり混乱しており、打ち上げ直後の紙面では、「クドリャフカ」という名のスピッツと伝えられている。
また、打ち上げ直後においては、他にも名前を「ダムカ」「リンダ」とする報道も見られた。これらは全て、いわゆる「政府筋の情報」とされたものである。
なお、「クドリャフカ」(Кудрявка,英訳で”Little Curly”)の語意は「巻き毛ちゃん」であり、また、この報道においては「巻き尻尾のワンちゃん」という意味を含んでいる。
現在ではライカ(Laika)という表記に落ち着いている。
スプートニク3号
スプートニク3号は1958年2月3日、打ち上げ失敗。
1958年5月15日、打ち上げ成功、重量約1327kg。地球物理学研究のための計測器を搭載。ただし、テープレコーダが故障し、バン・アレン帯の計測は失敗に終わった。
スプートニク4号
スプートニク4号は、1960年5月15日にバイコヌール宇宙基地からボストークロケットによって打ち上げられた。宇宙船は予定通り4日間の飛行を終えた後に、地球周回軌道から離脱するために逆噴射エンジンに点火した。しかし姿勢制御装置に異常が起きたため、宇宙船は意図しない方向に加速され、大気圏突入は失敗した。
スプートニク5号
1960年8月19日にバイコヌール宇宙基地より打ち上げられ、8ヶ月後に世界初の有人宇宙飛行に成功したボストーク1号と同じ軌道に乗せられた。
ボンのラジオ局が、世界で初めてスプートニク5号からの信号を受信した。3周目にはスウェーデンのラジオ局がそれを確認した。
この宇宙船には犬のストレルカとベルカの他に、40匹のマウス、2匹のラット、そして数種類の植物が乗せられていた。翌日には無事地球に帰還し、全ての動植物は生存が確認された。宇宙船には犬の様子を撮影するためのテレビカメラも積まれていた。
発射時刻
スプートニク5号の正確な発射時刻を巡っては論争がある。
Sergei Voevodinはその時刻を08:38:24 UTCとするが、公式には08:44:06と伝えられている。
スプートニクという単語
ロシア語には спутник (スプートニク)という単語が二つある。
ひとつは本項目の「付随するもの」、「衛星」、「人工衛星」の意味を持つ単語であり、もう一つは「道連れ」、「同伴者」という意味を持つ単語である。
両単語ともに綴りと発音が同じであるが、文法的な語尾変化形が異なるので別単語である。
関連イラスト
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ラジオスプートニク:ロシアが運営しているニュースサイト。
外部リンク
イタルタス通信 公式サイト『Satellite One: the story of the first man-made device in space』(外部リンク)(英語)