「この役が終わるまで、ゼッタイに素顔を出すまい、って。
子供たちのユメをコワしちゃイケナイと思って‥‥」
概要
声:山本祥太(アニメ版)
怖い顔した柔和な青年(『逆転裁判』)
第3話『逆転のトノサマン』に登場。年齢23歳。身長185cm。
『英都プロダクション』に所属するアクション俳優。子供向けヒーロー番組『大江戸戦士トノサマン』で主人公・トノサマン役を務めている。しかし作中では、常に着ぐるみ姿で出演している上、荷星本人が冒頭の台詞にもある様に「キャラに対するファンのイメージを壊さない為、顔出しを避ける姿勢」を取っているので、役柄に反して余り顔が知られていない。
『トノサマン』という作品自体は社会現象を巻き起こす程の大ヒット作品で、その主人公を担うトノサマンというキャラクターも大人気である。その反面、荷星本人は大ブレイク作品の主演俳優とは思えない程、誰に対しても腰が低い。傲慢にならないのは美点ではあるのだが、余りにも常に謙遜した態度を取って、表舞台に出て来ようとしないのが災いして、俳優である自分自身への人気には繋げられずにいる。
オレンジ色のジャージを着用し、ライオンの様な強面と髪型、身長180㎝以上の屈強な体格を持ち、シャツからはみ出す胸毛も濃い事から、怖そうなイメージを抱かれ易い。実際は寛大で心優しい人物で、いつも芸能界の仕事関係者は勿論『トノサマン』を始めとした、出演作品のファン達も気遣っている。自信に乏しい小心者であるが故に「誰かに迷惑を掛けたり、不快な思いをさせてないか」と心配性になりがちで、少しでも不安や罪悪感を覚えると「恐縮です」と言うのが口癖となっている。情に厚く涙脆い面もあり、泣きそうになると、持参のレースのハンカチで涙を拭う。
事務所の大先輩にして『トノサマン』ではライバル・アクダイカーン役を演じる衣袋武志は憧れの存在で、彼に影響されて業界入りした過去を持つ。悲惨な事に第3話では「衣袋殺害容疑」で逮捕されてしまい、事件が真相に近付くにつれ、昼食の骨付きステーキに睡眠薬を盛られていた等の「彼が自分に嫉妬して、ある罪を着せようとした事」を知ってショックを受けた。事件当時、睡眠薬を飲まされて楽屋で昼寝していた事実も「曖昧なアリバイ」と見なされて逮捕の一因となっている。
亡き師匠・綾里千尋から事務所を引き継いで、新所長に就任した成歩堂龍一が初めて弁護を担当した人物。助手の綾里真宵が『トノサマン』の大ファンである事から依頼を引き受ける事になるのだが、留置所での初対面で、初めて荷星の素顔を見た彼女は「強面の巨漢という見た目」から失礼な事に「容疑者として怪しい」と一時的に見てしまった。
皮肉にも、憧れの存在であった衣袋が「トノサマン役の自分に嫉妬し、上述の罪を擦り付けていた」ことに関しては「一言言って下されば、いつでも役を代わってあげましたのに‥‥」と思いの丈を吐露していた。
事件解決後は『トノサマン』の続編『小江戸剣士ヒメサマン』で主演を務めるが、やはり顔出しはしていない。自身の無実を証明した成歩堂に対しては「足を向けて寝られません」と深く感謝している。後日、撮影所に忍び込んでいた『トノサマン』シリーズの大ファン・大滝九太がヒメサマンの着ぐるみに入っていた荷星を目撃しているが、九太は「あんなムサいのがヒメサマンだなんて‥‥」とゲンナリしていた。
目立たない体操のお兄さん(『逆転裁判2』)
第4話『さらば、逆転』に再登場。年齢24歳。日本一の特撮ヒーローを決定する名誉ある大会、第3回『全日本ヒーロー・オブ・ヒーロー』の授賞式に成歩堂達を招待した。同時開催された授賞記念パーティーの主な参加者でもある。今回はパーティーの招待客の1人なので、正装となるオレンジと黄色で彩られた派手なスーツ姿で登場する。相変わらずレースのハンカチも携帯。
この時点では「子供番組の体操のお兄さん」をしているが、兎の被り物をしている為、相変わらず素顔は知られていない。そんな現状をオバチャンこと大場カオルからは密かに小馬鹿にされていて、彼女のマシンガントークの話題の1つにも上げられていたりする。『トノサマン』と『ヒメサマン』という二大主演作品が終了し、現在の世間の注目は続編である『大江戸戦士トノサマン・丙!』に取って代わられてしまった為、どうにもパッとしない立ち位置に落ち着いてしまっている。
それでも『2』の攻略本でのインタビューでは「前作の『トノサマン』で主役が出来ただけで光栄なんです。僕、スターの側で仕事が出来るってだけで、嬉しいんですよ」と謙虚な姿勢を見せつつ、穏やかに語っていた。この発言からも他の特撮俳優陣(衣袋、王都楼、藤見野)が人間性や素行に幾つも難点を抱える中「荷星は貴重な良心的存在」と言っても過言ではない。
同じ事務所に所属し「2代目トノサマンに当たる、トノサマン・丙」を担当する後輩・王都楼真悟の活躍を喜ばしく思っている。だが後輩の彼は、成歩堂に荷星について尋ねられた時「誰それ?ファンクラブの人?」と面識が無い様な反応を示した。本当に面識が無いのか、そもそも王都楼が先輩の彼を知らないのか、興味の無さ故に忘れているかのいずれかと見られる。先輩の衣袋に比べれば流石にマシではあるが、後輩の王都楼からも冷淡な対応をされるのが不憫である。案の定、王都楼が殺害容疑で逮捕された事、再びトノサマン関連の殺人事件が発生した事には心を痛めていた。
密かに王都楼のマネージャー・華宮霧緒を好みのタイプとして挙げている。王都楼とは方向性は違えど、自分もまた頼りない人間なので、有能と評判の彼女に支えて貰いたい願望があるのだろうか。
自身も芸能人でありながら、芸能界のゴシップが大好きで頻繁に週刊誌も購入している。イマイチ目立たない立場が幸いして、マスコミの餌食になり難いからこその趣味とも言える。芸能人に疎い成歩堂は、彼が所持していた週刊誌を貸して貰い「今回の事件関係者である、芸能界の人々の情報」を収集した。
事件当時は『ホテル・バンドー・インペリアル』のボーイが藤見野イサオの控室から手ぶらで退室したり、王都楼からチップを受け取っている瞬間を目撃している。それ故に証人となって、成歩堂からの尋問を受ける事になる。この時は深刻な事情を抱えていたが為に、時間稼ぎをせざるを得ない成歩堂に、証言の細かい部分にケチを付けられる事が多かった。エンディングでは成歩堂と仲間達と共にパーティーの仕切り直しをして、最後の事件解決を盛大に祝った。
殿様から怪獣へ(『逆転検事2』)
第5話『大いなる逆転』にも再登場。年齢25歳。『ビッグタワー』の隣で、怪獣映画『大怪獣ボルモスVSヒョッシー』の撮影をしていた。映画撮影中という事で、今回は『逆転のトノサマン』と同じジャージ姿に戻っている。本作では主役怪獣のボルモス役を担当している。連続して人気作品の主要人物役を獲得している辺り、スーツアクターとしての才能や適正は高いと見られる。また、撮影チームが人手不足なのか、一部の撮影道具の管理も行っている。
御剣が捜査に訪れた際は、面識がある上にその性格から、協力的であり、撮影所の事情や御剣の質問にもわかる限り答えてくれる。なお、この時の御剣は、検事バッジを返却して捜査権がないのだが、そのことを隠したまま捜査し、更にトノサマンの続編は作られないのかと公私混同の質問をし、割とやりたい放題だったりする。
詩紋のことは、納得いかないとその部分の演技の練習に励むストイックな姿勢を評価しているが、そのとめに勝手に撮影道具を使うことには苦笑交じりの反応を示している。
なお『裁判』では一人称が「ボク」だったが『検事』では何故か「私」になっている。荷星の精神的成長の表れなのか、それとも脚本家のミスなのか。どちらも有り得る話である。
アニメ版
『逆転のトノサマン』
骨付きステーキは登場しないものの、昼食時にはフライドチキンを食べており、やはり肉料理好きである事が窺える。
『さらば、逆転』
序盤のみの登場で、ゲーム版と違ってストーリーには絡まなかった。彼の役割の一部は矢張政志に回されている。
関連タグ
王帝君:ライオンのような見た目で、実は小心者と言う点が共通するが、本性に関しては正反対。
伏樹直人:その世界に進んだ憧れの相手に犯行のため利用されてしまう点が共通する。