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「“春風のようにサワヤカなアイツ”

  ‥‥ですからね、ボク。」


声:内匠靖明(アニメ版)

演:阿部祐二(実写映画版)

演:太田基裕(舞台版)


概要編集

逆転裁判2』第4話『さらば、逆転』に登場。年齢21才。身長182cm。通称オートロ。


英都プロダクション』所属の若手人気俳優。現在、最も人気の高いアクション・スターとされる。『大江戸戦士トノサマン・丙!』の主演を務めており、スタントシーンも全て自らこなしている。身体能力にも優れていて、趣味であるバイクのレースにも出場しては上位入賞している。バイク愛好家なので、私服は赤と白のバイクスーツを着用。豪邸の自宅リビングには「愛蔵品の真っ赤なバイク」を天井から吊り下げて飾っている。ワインとブランデーの愛好家で、自宅のワイン倉庫には大量のワインとブランデーが貯蔵されている。


高身長で細身の筋肉質の体を持った、個性的な茶髪のショートヘアの美青年。前髪は顔の右側を隠す程に長く、襟足も首全体を覆う程に長い点が特徴。どこか頼りなさそうで、掴み所の無い雰囲気を醸し出す優男。抜群の容姿と演技力、出世作にして、ラブストーリーを主軸とした『トノサマン・丙!』のイメージから女性人気が非常に高い。現在「春風のようにサワヤカなアイツ」というキャッチフレーズで売り出し中。


与えられた仕事は完璧にこなす、俳優としては優秀な人物だが、重度の優柔不断で大人しい性格の持ち主。些細な事でも何かにつけて「左手首に嵌めている、腕時計型の携帯電話」を通じて、誰かに相談しようとする癖がある。マネージャーは華宮霧緒で、業界内でも優秀な美人マネージャーとして有名。「常に冷静かつ的確にサポートしてくれる、彼女がいなければ王都楼は何も出来ない」とすら言われている。携帯電話を通じての相談事の相手も、霧緒の場合が多い。


名前が「煮干しと大トロ」で対比となっている人物・荷星三郎は同じ所属先かつトノサマン役の先輩に当たる。作中では先輩後輩である2人の絡みは見られない。荷星は王都楼の人気と実力を高く評価していて、先輩として後輩の躍進を誇らしく思っている。反面、悲しい事に王都楼は先輩の彼とは面識が無いのか、はたまた覚えていないのか、荷星について尋ねられると「誰それ?ファンクラブの人?」と冷淡な反応を示した。


同時期にデビューした『光映プロダクション』所属の人気俳優・藤見野イサオとは、険悪な敵対関係にある事で有名。藤見野が老け顔のせいで、そうは見えないが同い年であり、この他にも多くの共通点を持つ者同士、お互いに異常なまでのライバル意識を抱いていた。両者共にスキャンダルを防ぐ為、水面下では激しい争いを繰り広げているのが実情である。ただし「いつも僅かな差で、こちらが必ず勝利している」として、王都楼本人は興味が無い様に振る舞っている。


1人暮らしだが、オスのトラ猫の「シュウ」というペットを1匹飼っている。「逮捕されて留置所に勾留されている状況下」でも、愛猫の事はある程度は気に掛けている模様。シュウの名前の由来は、脚本家の巧舟が遊び心で自分と同じ名前を付けた事による。


第4話『さらば、逆転』で豪華ホテル『ホテル・バンドー・インペリアル』にて開催された一大イベントに出場。第3回『全日本ヒーロー・オブ・ヒーロー』という日本一の特撮ヒーローを決める、名誉ある大会でグランプリを授賞する。だが同ホテルで連動して同時開催された、授賞記念パーティーの夜、ライバルの藤見野イサオ殺害容疑で逮捕されてしまう。その翌日、留置所を訪問した成歩堂龍一に最初は乗り気でなかったが、彼の熱意に押されて弁護を依頼する。


「勾留されている身では他に頼れる相手がいないから」とドサクサに紛れて、只でさえ多忙な成歩堂に「自分の家に行ってシュウの餌やりをして欲しい」と頼んだりと、ちゃっかりした面も見せる。また携帯で留置所からピザを注文しようとするが、断られて当然の立場なのに「‥‥断りやがった」とピザ屋に毒づくという、普段は少し気弱にも見える、王都楼としては珍しい反応をした。


実写映画版でもEDにてカメオ出演している。


関連タグ編集

逆転裁判2

さらば、逆転


藤見野イサオ

華宮霧緒

天野由利恵





















以下、第4話ネタバレ





















春風の様に爽やかな男のもう1つの顔編集

「初めまして‥‥弁護士クン。王都楼真悟だ」

「ひでェ弁護士だったぜ。‥‥ここまで暴かれちゃア、“春風のようにサワヤカ”なんて、お笑いグサだもんな!」


今回の藤見野イサオ殺害事件の首謀者にして真犯人。『逆転裁判2』におけるラスボスに当たる。『逆転』シリーズのラスボスとしては珍しく「主要人物達の過去からの因縁とは無関係の存在」である。


豹変と本性編集

OUTLAW

担当弁護士・成歩堂に「藤見野のホテルの控え室を盗撮していた理由」を追求された王都楼は、最大数である5つのサイコ・ロックを発動させて黙秘しようと図る。のらりくらりと追求をかわそうとするも、成歩堂が共犯者・虎狼死家左々右エ門の名前を口にし、彼の名刺代わりである『ピンクのサザエのカード』を突き付けられると激しく動揺。言い逃れが不可能となったと見るや、とうとう本性を現した。それまでの多少は嫌味ではあったが、基本的には大人しい良い子ぶっていた態度から激変。前髪をかき上げてオールバックに変化させ、4本の引っ掻き傷の痕が付いた右目を見せ付け、ヤクザに負けず劣らずの恐ろしい形相となって残虐非道な本性を露わにする。そして突然、巨大なブランデーグラスを左手に持ち、醜悪な本心や狡猾な犯行の経緯を明らかにした。


顔の傷が付いた原因は不明。『2』の攻略本でのインタビューでは「何故、顔に傷が付いているのか」と質問された際、動揺して「何故それを!?まあ、爽やかに悪と戦った時にでも付いたと思ってくれれば良い」と焦りながらも言い繕う場面を披露した。この一幕や凶悪な本性からして「本人としては余り言いたくない事が原因」にも思える。


他人に甘い顔を見せて、爽やかなイメージを振りまく裏では「他人はコキ使うもの。使い捨てである」「俺は誰も信じない」という、極めて酷薄で利己的な主義思想の持ち主。演技を始めとした様々な手練手管で、他人の心や行動を意のままに操る事を娯楽としている。普段は少々と言える程度だが「残念なイケメン」を演じていたが、その実態は正しく「残忍なイケメン」である。芸能界では悪事の限りを尽くし「爽やかな人気俳優」というイメージ保持を目的に、裏で揉み消されたスキャンダルも存在する。前述の「ピザ屋から注文を断られて毒づくシーン」は「王都楼の本性が冷酷なエゴイストである事を仄かに示す地味な伏線」となっている。


恋愛関係編集

恋愛関係も「来る者拒まずの姿勢」で餌となる女性複数を釣り上げ、彼女達との交際を「ゲーム」と割り切った上で自分本位な形で楽しむ、不誠実な一面も有している。爽やかなイメージを売り物としている裏で、芸能界では悪質なプレイボーイとして悪名高く、その実態の一部はマスコミを通じて少数の一般人にまで知れ渡っている。一時は霧緒にも手を出そうとしていたが、彼女の本心を知ると引き下がり、後に「思い通りにならなかった女は霧緒だけだった」と語っている。


天野由利恵との関係編集

現実の芸能界では御法度とされる「自分のマネージャーを誘惑しての極秘交際」にも手を染めている所からも、女性関係のだらしなさが窺える。霧緒が語った話によると「王都楼が極秘交際していた自身のマネージャー」とは天野由利恵と言い、彼女を弄んだ末に「飽きたから」との理由だけで、あっさりと捨てたらしい。そして彼の裏切りに傷付けられた由利恵は、所属先を変更してマネージャーを続行。転属先で新たに出会った担当俳優・藤見野と恋人となり、最終的には婚約するに至る。しかし王都楼に過去の交際関係を暴露されて「プライドを傷付けられた」と憤慨した、藤見野にも由利恵は手酷く捨てられてしまう。恋仲になった2人の非情な男によって人生を狂わされた現実に耐えられず、彼女は遺書を遺すと首を吊って自殺を遂げたのだと霧緒は考察しており、王都楼に対して激しい怒りを見せていた。


そして王都楼は「新たな藤見野の弱味」を握るべく彼の自宅を盗撮する犯行に出る。由利恵の遺体の第一発見者は藤見野で、彼は遺された遺書も入手したのだが、これをタイミングを見計らって公表し王都楼を失脚させようと画策する。藤見野の策謀を盗撮によって知った王都楼は「自身の人気俳優というイメージを維持すべく、如何なる手段を使ってでも公表を阻止しなければならない」と決断した。これが彼の犯行動機となっている。この点だけを見れば『逆転』シリーズでも上位に入る「自己中心的かつ自業自得で、同情の余地が全く無い動機の持ち主」と言って良い。


由利恵に関する意味深な描写編集

ここまで来ると「王都楼は良心の欠片も無い悪党」‥‥に見えるのだが、実は作中には「単に、それだけでは終わっていない意味深な描写」も複数ある。まず「王都楼が由利恵に対して若干の未練がある、または何かしら思う所がある様に取れる描写」が存在している。本性を現す前でも留置所で彼女の話題に触れると、途端に不機嫌になって会話を打ち切り「これ以上、余計な詮索はしないでくれるかな」と冷たく言い放って成歩堂との会話を拒絶する。藤見野や霧緒には容赦なく悪意を向けて暴言を吐いているのに対し、由利恵には批判的な発言は一言も無く言及すら避けている。


王都楼の自宅には「証拠品と呼べる物」すら有り、私室には『由利恵の写真立て』が飾られている。この写真は彼女からの贈り物らしく、裏面には「愛を込めて‥‥由利恵」というメッセージの添え書きもある。彼女の死からは2年も経っており、冷酷非情だと言われている彼が、わざわざ「過去に捨てた恋人の写真」を自宅に飾っているのは「意味深長」にも感じられる。これらの描写は霧緒が語っている「王都楼が由利恵を弄んだ末に捨てたという過去」とは、かなり矛盾したものである。そもそも霧緒というキャラクターは、由利恵に依存しているという問題を抱えた人物である為、彼女が述べていた内容も「霧緒が依存していた由利恵を2人の男(王都楼、藤見野)に奪われた嫉妬が入った目線によるもので、信憑性に欠けるのではないか」という疑惑が持たれている。


更に本編の終盤では『由利恵の遺書』が登場するが、本物は藤見野に隠蔽されており、作中で入手出来るのは偽物だけである。本物の遺書には「王都楼の失脚に繋がる決定的な事実」は書かれていなかった様で、偽物の遺書は「藤見野自身が満足する内容を書き綴って作成した偽造品」となっている。結局の所、作中では霧緒の考察とは違って「由利恵自身が王都楼を憎む様な描写」は最後まで一切なく、むしろ写真立て等の好意的に見ている描写しか出ていないのも、この考察に拍車を掛けていた。他人を信用していない王都楼にとって、由利恵は「歴代彼女の中では上位に入るお気に入り」だけでなく、数少ない信頼出来る人物であったのか。短くとも本気で愛した時期があったのか。だとすれば藤見野暗殺の決断には、由利恵が深く絡んでいる可能性はなかったのか。そして由利恵は本当に王都楼を憎んでいたのか、それとも特に何も無く本人達の事情で別れたのか。破局の理由については「2年前の交際当時まだ王都楼は19歳だった為、幾ら彼に誘惑されたからと言って、成人済みのマネージャーである由利恵との恋仲が露見すれば、王都楼の俳優生命や自社の経営に影が差すと憂慮した『英都プロダクション』によって2人は別れを命じられた説」を述べるファンもいる。


作中の描写を踏まえて今回のストーリーを考察しているファンの中では、上記の破局経緯も含めた複数の説が提唱されている。王都楼は何かしらの事情で人を信用出来なくなった哀しき悪役であり、藤見野の暗殺を依頼した理由も「たった1人の信用に足る人物だった由利恵を、間接的に自殺に追い込んだ藤見野への復讐も兼ねての事」という、一定の信憑性を感じられる説まで挙がっている。現に『逆転』シリーズの実況プレイ動画の配信者として有名なこたけ正義感も「実は王都楼には未だに由利恵への好意が残っていて、どうしても彼女がライバルと結婚するのが許せず暴露に踏み切った。由利恵が自殺する事態にまで発展したのは、想定外かつ望んではいなかった展開だった。彼女に自殺へと追いやる決定打を加えた藤見野に対しての恨みも、動機の一部に含まれていたという説」を提唱している(詳細は『YouTube』の『逆転裁判2』の真犯人、弁護してみた』の動画参照)


この辺りの真相は作中では定かにされていない上、後述のアニメ版を除く派生作品、関連書籍でも現在に至るまで明言されていない。なお脚本家の巧舟は『3』の攻略本で、王都楼について「彼が一番キャラの中でステレオタイプというか、厚みを持たせない様に描いた」と説明している。大分メタ的な話をすると、前作『逆転裁判』第3話『逆転のトノサマン』では「成歩堂が辿り着けなかった真相が、裏に隠されている事を描いた話」もあった為、巧は今回でも「その手の話」を描こうと意図していたが、何らかの事情で不可能となった末に、王都楼を厚みを持たせないステレオタイプの悪役に変更した結果、現在のシナリオが完成したのかもしれないというファンの考察もある。また変えた理由については「同情の余地のある真犯人が登場する話を作ると、前回『逆転サーカス』との差別化に支障が生まれると危険視された説」「プレイヤーに最終話となる今回では、勧善懲悪による爽快感と達成感を与えて終わらせる結末にしようと配慮した説」も存在する。


なお当時の公式サイトの『開発者コラム』で巧が語った内容によると『2』のシナリオ制作は前作より短期間で作る様に指示されていて余り余裕が無かったらしい。また『さらば、逆転』には現在の形になるまで3つ程、別バージョンが存在したという。これらに合わせて、更に1話分のストーリーが急遽削られた影響で、メインキャラの掘り下げに時間を取られて22個の矛盾が発生。それを修正するだけで精一杯で、一部見逃した部分もあったとの事。本シナリオに謎が多い理由には、この要因が深く関係しているのは間違いないと思われる。とどのつまり「当初の巧は『さらば、逆転』を今よりも更に奥深い話に仕上げる予定だったが、厳しい締め切りを前に断念し、王都楼をステレオタイプの悪役に変更してシナリオを希薄化する事で難を凌いだ。その弊害や残骸として「王都楼の由利恵への未練が窺える描写」が作中に幾つか残される結果となってしまった」という事であろう。


事件前後での動向編集

殺し屋の存在編集

『逆転』シリーズの真犯人としては珍しい事に、殺人教唆によって被害者を殺害した主犯。他のラスボス達はある程度の危険を冒して、自ら被害者の殺害に向かっている。それに対して王都楼は卑怯にも、凄腕の殺し屋・虎狼死家左々右エ門に藤見野殺害を依頼し、自分は終始一貫して、安全地帯に留まりながら目的を果たそうと企んでいた。信じられない事に藤見野の殺害遂行中には、平然と自分の控え室で仮眠していた。「藤見野の殺害」「由利恵の遺書の回収」「自分が容疑者とならない為の後始末」これら3つ全ての目的も、虎狼死家が「依頼者との義理人情を大義名分として、自発的に行ってくれる事」を見越して依頼した。


霧緒が敬愛する由利恵の仇討ちとして、王都楼の逮捕を狙って現場工作を施したのが災いし、依頼者が逮捕されてしまった窮状を見かねて、虎狼死家は「王都楼との義理人情を果たす為」と独断行動に走った。弁護士・成歩堂龍一の助手を務める綾里真宵を誘拐し人質にすると、彼に「王都楼の担当弁護士となって、無罪判決を勝ち取らなければ、真宵を殺害する」と脅迫するに至った。この真宵誘拐は、密かに虎狼死家が行った独断行動なので、王都楼の指示によるものではない。彼は留置所に拘束されている身なので虎狼死家とは連絡が取れず、自分自身で状況を探る事も満足に出来ない状況にある。王都楼は成歩堂との初対面で、彼の言葉から「虎狼死家が成歩堂を担当弁護士として手配した事。この他にも依頼者の自分を救う為、背後で何らかの動きをしている事」を察して弁護を承諾したが、それ以上の事は何も知らなかった。


自宅である豪邸が「我が家の執事に成り済ました虎狼死家のアジトにして、真宵の監禁場所」として利用されている事も知らずにいた。その証拠に自宅に1匹で取り残されている、飼い猫のシュウの身を案じて「自分の代わりに餌やりに行って欲しい」と成歩堂に依頼している。本当に真宵誘拐を最初から知っていたら「成歩堂を自宅に向かわせるのは、人質を奪還された挙げ句、多くの証拠を押収される結果になりかねない」と危惧して回避しようとするだろう。穿った見方をすれば「他人はコキ使うもの」と豪語する彼の事だから、このペットに関する依頼も「無罪判決の獲得に苦戦している、成歩堂への遠回しな嫌がらせ」という線も有り得る。事件当時、成歩堂は虎狼死家とトランシーバーで連絡を取り合いながら行動していたが、トランシーバーからシュウの鳴き声が聞こえた事で「真宵の監禁場所は王都楼の自宅」だと発覚する事態を招いた。


それでも捜査が終盤に差し掛かった頃には、警察を通じて真宵誘拐も彼の耳にも入り、彼女の命を盾にして成歩堂への脅迫の強化にも加わる。極限状態にいる正義漢の彼に、凶悪犯にして冷血漢の自分の弁護を強要させる中で、精神的には反発していても、状況的には隷従せざるを得ない立場へと追い込み、拘束下での娯楽扱いすらしていた。


「義理人情を重んじる」「裏切り者を最も憎む」この2つの信条を掲げる虎狼死家であるが、彼もまた予期せぬ形で王都楼に裏切られていた。王都楼は留置所という虎狼死家の目の届かない場所で、あろう事か担当弁護士相手に「自分が如何に他人を信用せずして、狡猾な立ち回りを見せているか」を自慢していた。彼は殺し屋としての腕は見込んでおきながら「虎狼死家本人は職業柄、他の人間以上に全く信用していない。今後は依頼した事を逆手に取られて、脅迫されるかもしれないとの危険視を理由に、密かに藤見野殺害の瞬間を盗撮していた。盗撮記録は防御手段のみならず、虎狼死家を脅迫し返す為の攻撃手段としても利用するつもりだった」と雄弁に語った。「王都楼の余りにも悪逆非道な犯行の全容」を知った成歩堂は、かつてない程の義憤を覚えて「き‥‥貴様‥‥」と激しい怒りに震えるのであった。


裁判の行方編集

弁護側と検察側は協力して、警察が真宵を救出して虎狼死家からの脅迫を無効化した上で、王都楼を有罪に追い込もうと多くの小細工も仕掛け、ひたすら彼女の救出までの時間を稼ぐ。審理が延長を重ねる悪循環に陥った末に、担当検事・御剣怜侍の要請に応じて、共犯者・虎狼死家が無線機ごしに出廷し証言者に加わる。警官隊に追跡されている最中、人質の真宵も連れ回している状況にありながら、至って冷静沈着かつ賢明に言葉を選ぶ虎狼死家の「私の依頼者は華宮霧緒」を主旨とする証言によって彼女へと疑いが逸らされ、王都楼にとっては都合が良い方に事が運んで行く。そして成歩堂は弁護士として究極の選択を迫られる。「真宵の救出を諦めて、霧緒の殺人容疑を撤回し、王都楼の有罪を求刑するか」「真宵の救出の為、霧緒を犠牲にして、王都楼の無罪を求刑するか」弁護側の助手役として裁判に参加した綾里千尋は閉廷後「この時の選択が、あなたにとっての弁護士を象徴していた」と弟子の成歩堂に語っている。


しかし無罪判決が目前に迫った時、虎狼死家を捜索していた警官隊を通じて、検事・狩魔冥が彼の遺留品3点を持って法廷に到着する。その遺留品の中には前述の「虎狼死家による、藤見野殺害の盗撮映像が記録されたビデオテープ(アニメ版はディスク)」が存在した。このビデオを見た成歩堂は「王都楼は虎狼死家を全く信じておらず、それ所か依頼を口実に脅迫・恐喝されるのを警戒し、弱味を握る事で脅迫・恐喝をやり返す事まで計画していた」と虎狼死家に暴露する事で状況を打破しようと閃く。暴露した結果「王都楼は裏切り者である」と判断した虎狼死家は即刻、契約を打ち切り、更には「その裏切り者を次のターゲットにする」とも宣言した。「虎狼死家の脅迫を盾に、成歩堂と仲間達を追い詰めるという状況」から一転。「今度は殺し屋に自分が命を狙われて、追い詰められるという状況」へと“逆転”されてしまう。「最悪の場合、凄腕の殺し屋に惨殺される未来が待ち構えている」と悟った、王都楼は怯え出して冷や汗を流し始める。


審理の最終局面では、先刻の究極の選択とは状況が逆転した形となるが「成歩堂及びプレイヤーが、改めて王都楼に対する処遇を選択する展開」となる。選択肢は「要求を跳ね除けて有罪を求刑するか」「要求通りに無罪を主張するか」の2つに分かれる。前者なら、そのまま有罪となる。有罪求刑の場合、成歩堂の発言も「この先の事を考えたら有罪になった方が良いと思うよ」と、やんわりと促されるに留まる。反面、無罪求刑の場合は「おめでとうございます、王都楼真悟さん。精々、楽しんで下さいね。残り少ない人生を」と強烈な復讐心と皮肉が入り交じった、途轍もなく残酷な死刑宣告を下される。


作中では言及されていないが「依頼殺人の依頼者が彼という証拠」が状況証拠しかなく、盗撮動画も「盗撮」でしかないので、この段階では依頼殺人の罪に問えない。一応、直接的には殺人に関わっていないので、無罪を求刑しても十分通る余地は残されている。


御剣も「近い将来、被告の前に腕利きの殺し屋が現れるだろう。その男の仕事は素早く、そして確かだ。それは何よりも、このテープが証明している」と辛辣に指摘する形で、彼なりの死刑宣告を告げる。こうして弁護側、検察側、両陣営から痛烈な皮肉と共に引導を渡され、有罪なら長年に渡る懲役刑、無罪なら近い内に虎狼死家に惨殺される、どうあがいても絶望と言える状況下に置かれた王都楼は、役者にとっては命とも言える顔面を傷まみれになる程、何度も掻きむしりながら、自身に対する有罪の要求を絶叫。そして法廷から退場し連行されて行った。結果として彼は経歴上「成歩堂が弁護を担当した依頼人」では初めて有罪となっている。同じトノサマン役の俳優でも、初対面の真宵から「こりゃ殺人の1つや2つやってるよ」とまで言われた強面の巨漢でありながら、誰に対しても謙虚で温厚篤実な人格者にして、公私共に品行方正だった荷星三郎とは対照的に、爽やかさを漂わせる美青年という容姿に反して、全ての人を見下す傲慢で冷酷非情な極悪人という本性を隠し持ち、影では鬼畜の所業に及んでいたのが王都楼真悟という男であった。


『逆転』世界では、現実よりも殺人罪は重罰が科せられる傾向にあるので、順当に量刑を決める裁判が進行すれば死刑判決が下る可能性も有り得る。ちなみに現実でも殺人教唆を犯した犯罪者は、殺人実行犯と同じ位の重い罪に問われる。場合によっては「殺人事件の首謀者」として実行犯よりも重罰が科せられる事さえ起きる。この法律を虎狼死家は勿論の事、王都楼も知っていたからこそ、作中での卑劣な立ち回りを見せたのだろう。


裏切り者の末路編集

最終的に「刑務所に匿って貰った方がマシである」という考えに行き着き、自ら刑務所生活に入った王都楼だが、後日談である『逆転検事2』での虎狼死家の動向を見るに、彼に始末されてしまった可能性が高い。「虎狼死家が刑務所にいる知人に会いに行っている事」を考えると、刑務所すら安住の地ではないと解る。


彼は『裁判2』の終盤時点で「裏切り者は自身の名にかけて必ず殺す」と断言しており、それから1年後の『検事2』では王都楼の事を気にする素振りは見られず、晴れやかな気持ちで新生活を楽しんでいる。「アイス屋等の副業」も含めた新しい仕事も幾つも請け負い、他国の大統領の暗殺依頼にも応じ、大統領のプライベートジェットにもSPに扮して余裕綽々で乗り込んでいる。こんな大掛かりな仕事もこなせる程「この時点での虎狼死家には、精神的にも時間的にも余裕が生まれている証左」と見て良いだろう。


大統領暗殺は優秀な護衛による妨害さえ無ければ、難なく達成出来た依頼であった。これ程までに凄腕の殺し屋から、今となっては何の後ろ盾も持っていない、王都楼が逃げ切る事は不可能であろう。具体的な時期は不明だが、王都楼は『裁判2』での有罪判決から『検事2』の本編が開始されるまでの約1年の間に仕留められたと見られる。


アニメ版編集

第1期と第2期に分けて『蘇る逆転』を除く『成歩堂編』の全話がアニメ化され、王都楼は『1』と『2』で構成された第1期のラスボスを務めた。『3』で構成された第2期及び「アニメシリーズ全体のラスボス」は『3』のラスボス美柳ちなみが担う事となった。


第1期・第21話~第24話『さらば、逆転編集

「アイツ(藤見野)とは良いライバルだった」「正義の味方なのに、アイツを死なせてしまったのが悔しい」と嘘泣きしつつ語って、初対面の成歩堂を余裕で欺いていた。人気俳優なので、この手の演技等お手のものなのだろう。彼の「もし弁護が出来ないとコロシヤが」という発言に対しても「今、何て言いました?コロシヤ?」との反応を見せる(「コロシヤ」の発音は両者で異なっている上、この時点で成歩堂はコロシヤの漢字すら知らず、字幕放送でも「コロシヤ」表記)


初日の法廷では、藤見野の大ファンにして証人の1人・大場カオルに「王都楼~!よくもイサオちゃんを~!」と罵られ、彼を殺された恨みから光線銃で撃たれ、コミカルな表情を浮かべて仰天していた。原作では初日の法廷の閉廷後、留置所で会話した際「シュウに餌やりに行って欲しい」と依頼するが、アニメ版では初日の裁判の終了直後、法廷内にて別れ際に成歩堂に餌やりを依頼する。この時、裁判と餌やりという2つの依頼を念押しする為「僕、春風の様に爽やかなアイツですから~」と呑気な笑顔を浮かべて語り「春風のそよぐの並木道の中央に立つ、王都楼のイメージ映像」も挿入された。当時の成歩堂と助手の綾里春美は「初日で無罪判決を得られなかったせいで、虎狼死家の怒りを買ってしまい真宵が殺害される」と悲嘆していたのに良い気なものである。


留置所で本性を現した時は、原作では春美も立ち会っていたが「保護者付きとは言え、真夜中に幼い少女を連れ歩き、凶悪犯と面会させるのは良くない」と考慮されてか、成歩堂が単独で王都楼と対峙する展開に変更された。アニメ版ではサイコ・ロックの存在は消去されているが、王都楼の本性が暴かれた瞬間「5つのサイコ・ロックが砕け散るイメージ映像」が演出道具として描かれた。作画の手間を省く意図もあってか、ブランデーグラスを持たないのも相まって、原作以上に2人の対決シーンは緊迫感が漂っている。ドスの利いた声で「もし俺が有罪になったら‥‥解ってるよな?」と成歩堂に脅迫の後押しをしたり、苦悩する彼へと「頼みますよ、大先生ー!」と嫌味ったらしい声援を送る一幕もあった。


最終日の法廷では、霧緒の証言を通じて「原作とは異なる、王都楼と由利恵の過去の詳細」が語られた。アニメ版では霧緒の依存症は消去され、彼女は実姉の由利恵の仇討ち目的で行動しており、霧緒の語る「由利恵の恋愛関係の説明」は一言一句、全てが真実と設定されている。それ故に前述の「王都楼の由利恵に対する未練を匂わせる描写」&「霧緒の依存症や私情に基づくとも取れる意見」は全面的に削除される事となった。原作では唐突に「飽きたから」と彼女を捨てた設定だが、アニメ版では「深夜に高級レストランでデートしている所」をマスコミにスクープされてしまい、これを面倒に思った王都楼が由利恵の言い分も聞かず、一方的に別れを言い渡している。彼にしてみれば「恋人を捨てるのにも仕方ない理由があったという事」になる。更に2人の所属する『英都プロダクション』も問題行動に出ており、看板役者・王都楼のスキャンダルは揉み消して擁護に徹した反面、由利恵だけの責任を厳しく追求して解雇に追いやった。


それから暫くして、由利恵が藤見野と婚約関係に至るのは原作通りだが「王都楼が藤見野に由利恵は元彼女と暴露するタイミング」が異なっている。原作では内密に婚約発表に向けて段取りを進めている最中で、マスコミに2人の婚約が認知される直前であったが、アニメ版では「藤見野と由利恵による『婚約発表・記者会見』が大々的に行われた直後という、原作をも遥かに上回る最悪のタイミング」で暴露に走った。これ程までに残酷な仕打ちを受けた事から、とうとう由利恵も王都楼を本気で恨む様になり、遺書の中で「自分の人生を破滅させた彼への憎しみ」を如実に物語ると自ら命を絶った。『由利恵の遺書』は本物だけが登場し、裁判の終盤にて王都楼を有罪判決に追い込むのに一役買った。この様に由利恵との関係性が大きく変更されているものの、王都楼の自宅には原作同様『由利恵の写真立て』が飾られていて、これを手にした真宵が「綺麗な人」と呟くシーンは変更無しで再現された。


虎狼死家へと「犯行盗撮の件」が伝えられるとパニックを起こして、成歩堂に飛び掛かろうとするが係官に止められる。そして成歩堂が有罪か無罪かの決断をする時に一旦、自分の襟の弁護士バッジを外そうとしたが、踏み留まって王都楼を指差そうとした。つまり一瞬ではあるものの「成歩堂が弁護士生命を自らの手で絶とうとする状況」にまで追い込んでいる。その直後、王都楼に勝利した成歩堂は彼の目の前にやって来て、人差し指を突き付けて「無罪だろうと有罪だろうと、お前はもう終わりだ!」と宣言し引導を渡した。アニメ版は「子供も見る夕方アニメ」として制作されているので、原作通りの台詞では過激と判断されたのだろう。


最後は原作同様に自供するが、台詞は大幅に差し替えられている。「待ってくれぇぇぇ!俺があいつ(殺し屋)に頼んだんだ!藤見野を殺してくれって!!‥‥殺される‥‥!外に出たら殺されちまう‥‥!有罪だ、俺を有罪にしてくれええっ!!」と発狂していた原作とは異なり、明確に台詞になる形で自白している。極悪人の自業自得の結果と言えど「子供も見る夕方アニメ」で、発狂する人間の様子を描くのは不適切と判断されたのも変更の一因と思われる。原作でも、しばしば弁護士ではない多くの人々による「待った!」が登場するが、アニメ版の王都楼による「待った!」は『逆転』シリーズ史上、最も情けない「待った!」と言っても差し支えない。アニメ版では成歩堂に引導を渡された時と、有罪判決が下った時の計2回もブレイクシーンを披露し、後者の判決シーンではショックの余り失神して証言台で倒れ込んだ。原作以上に極悪非道ぶりを見せ付けただけに「傍聴人一同の王都楼に対する義憤」も激化した様で、いつもと違って弁護側にとっては敗訴なのに紙吹雪がまかれて「成歩堂と仲間達の真の勝利」が祝福される結末を迎えた。紙吹雪の舞い散る中、成歩堂も笑顔でガッツポーズを決めた。


第2期・第10話~第12話『逆転特急、北へ』編集

今回は第2期でのオリジナル・エピソードで、この時点で投獄された身にある王都楼本人は登場しない。しかし彼の「殺し屋は強請り屋に転向するかもしれない」という危険視が、今回の事件で実現化する事となった。この事件は「依頼者を恐喝する口実として、殺害依頼を利用しようと目論んだ殺し屋ゲイル・ゲーリック(声・遊佐浩二)が報復を受けて殺害される構図」となっている。王都楼の危険視は強ち的外れでもなかった様だ。


余談編集

英語版の名前編集

「Matt・Enguard(マット・エンガード)」という名前になっており、アメリカを代表する人気イケメン俳優マット・デイモンが由来と見られる。マットのスペルも同じである。現在のマット・デイモンは壮年男性だが、若い頃は王都楼と同じく「長身痩躯の爽やかな美青年」であった。出演作品や画像によっては、少し王都楼と似た雰囲気を醸し出している。またマット・デイモンは世界的名優で、幾多の輝かしい授賞歴の持ち主として著名である。おまけに彼は粋なジョークを飛ばす茶目っ気と、慈善活動にも熱心に取り組む良心も兼ね備えている。キザで酷薄、茶目っ気と良心のどちらも持たない王都楼とは大違いの人物と言える。


現時点でマット・デイモンは王都楼の2倍以上は長生きしているが、王都楼では幾ら長寿となろうと、彼と同じ境地に至るのは不可能だろう。英語版はハリウッドの所在地として有名なロサンゼルスが舞台なので、王都楼もハリウッド進出位はしているかもしれないが。ちなみにマット・デイモンの主な吹き替え声優は、アニメ版のゴドー役の平田広明だったりする。


苗字の由来は、フランス語でのフェンシング用語で、試合開始の際に審判が口にする「構えて」に当たる。海外ファンからは「王都楼の二面性が常に警戒している様子を「構えて」に例えているという説」が有力視されている。実際その説も頷ける程、慎重で警戒心の強い人物であった。

4コマ漫画版編集

GBA版の『逆転裁判』が展開されていた頃、複数の大手出版社から『公式アンソロジー』が幾つか発売された。その中の1冊にして『双葉社』が刊行した『逆転裁判Ⅰ&Ⅱ4コマKINGDOM』では、王都楼が「原作以上に衝撃的な本性」を現している。その姿は『愛猫家』というタイトルの4コマで見られる。


自宅にてバスローブ姿で「全く世の中、甘ったる過ぎて反吐が出るぜ‥‥。クックックッ‥‥」と一人言を呟き、世の中を嘲笑しながらワインを堪能していた王都楼。彼の足下にペットのシュウが近寄って来る。シュウに気付いた王都楼はデレデレの表情に豹変し、ペットを抱き上げると「春風の様に爽やかなアイツだってー❤️笑っちゃいまちゅねー❤️人を騙すなんて赤子の手を捻るより簡単でちゅよ、シュウちゃーん❤️」と赤ちゃん言葉で話しかけて溺愛する場面を披露した。


彼もまた「筋金入りの極悪人でも、ギャグシーンも披露する事がお約束の『逆転』シリーズのキャラの1人」なので、本当に「こういう笑いを誘う側面」を隠し持っていたとしても不思議ではない。「俺は誰も信じない」と主張しておきながら、ペットに対する愛情は本物だったのか。由利恵への未練が残っているのかとは別の意味で真相が気になる所である。とことん「ステレオタイプの悪役エゴイスト」として描かれている、本編での王都楼の姿を見るに「高級ペットの飼い主である裕福な自分」「動物を可愛がる優しい自分」と、世間に自己アピールする目的でペットを飼育している可能性も高い。

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