「ヤタガラス事件」から数日後、犯罪者の撲滅を公約に掲げ支持を集めている西凰民国大統領が来日。
「ひょうたん湖公園」での演説は大きな盛り上がりを見せていた。
しかし、突如鳴り響く銃声に雰囲気は一変。会場は逃げ惑う人々で大混乱に。
その混乱の中、声が響く。「御剣検事を呼べ! この事件を解決できるのは彼しかいない!」
かくして検事・御剣怜侍は再び難事件に挑むことになった。
本作の特徴
新システム「ロジック・チェス」
証言を渋る相手から言葉巧みに証言を引き出すシステム(『逆転裁判』シリーズの「サイコ・ロック」にあたる)。攻めるばかりでなく時には相手の様子を見つつ隙を探る、言葉のカケヒキが重要となる。
名称は御剣が嗜むチェスに由来し、相手が隠し持っている情報はチェスの駒で表される。
制限時間が設けられているため、注意が必要。
現段階でシリーズ最長のシナリオ
前作と同様の5話構成だが、とにかく長い。1話ごとの密度が異常に濃い。
特に「過去」と「現在」が密接に関わり合い、伏線が消化されていくさまは見事。事件以外にも「成長劇」「絆」「信頼」「受け継がれる意志」など見所が多い。
本作にはストーリー全体を通してある「テーマ」が存在する。登場人物はいずれもその「テーマ」に関わる問題を抱えており、彼らがその問題にどのように向き合っていったのかが事件の背景・伏線として重要な意味を持つ。
評価点
調査場面のキャラクタードットには描き直されているものもあり、前作以上に動きや表情に磨きがかかっている。「ぬすみちゃん」のデザインもより近未来的なものに進化している。
新規キャラクターはアクションにも言動にも個性づけがなされている。また、二転三転するシナリオ展開と並行して登場人物の「印象の逆転」も多く見られた。
『逆転裁判』シリーズのゲストは前作とは別の人物が登場。証人や対決相手としてストーリーに関わってくるが、過去作の内容など深いところまでは切り込ませないよう適度に抑えられている。
登場人物
主要な登場人物はほぼ前作と共通なので、そちらを参照。
その他詳細は逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧を参照。
主要用語説明
西鳳民国
前作にも登場した狼士龍国際捜査官の出身地。
同国を騒がせていた偽札事件の解決に日本の検事局が貢献したことを受け、大統領の王帝君が来日する。
ひょうたん湖公園
かつて逆転裁判第4話に登場し、御剣にとっては色々とロクでもない記憶があるスポット。
湖面に西凰民国大統領専用機が着水し、公園内にて大統領の演説が行われた。
留置所・刑務所
逆転裁判シリーズでも被告人との面会が行われていた場所だが、その内部が紹介されるのは今回が初めてである。留置所と刑務所が同じ敷地内にあるのが特徴で、特に刑務所内では美和マリー所長の方針で囚人と動物が一緒に暮らしている。
タチミ・サーカス
経営形態が会社組織に改められており、猛獣使いのミリカは猛獣使い課の課長となっている。
IS-7号事件
作中で言う「18年前の事件」。
2000年12月24日、世界的なパティシエの天海一誠が、彼の自宅で開かれたお菓子コンテストの参加者の一人である氷堂伊作を殺害した容疑で逮捕された事件。
弁護を担当したのは御剣怜侍の父である御剣信、担当検事は後に怜侍の師匠となる狩魔豪。
当時は序審法廷制度が導入されていなかったため裁判は一年にも及び、2001年12月28日に天海の有罪判決で幕を閉じた。被告や事件の詳細は今回初めて描かれたが、逆転裁判(無印)の第4話逆転、そしてサヨナラで触れられた御剣信最後の弁護が行われた裁判のことである。そして、その裁判が終了した直後に裁判所のエレベーターでDL6号事件が発生し、御剣信は何者かに射殺されてしまう。
伊丹大学病院*
武藤瞳子が看護師として勤務する総合病院で、院長は瞳子の祖母・伊丹乙女。
警察から検死を依頼されることもある。
健康な者でも費用半額露天風呂つきで入院できるキャンペーンを実施中。
検事審査会
検事の職務遂行状況を監視・審査する機関。政治家や法曹関係者11名からなる。
問題がある検事を事件の担当から外すことができ、場合によっては検事の資格を剥奪する権限もあるため、法曹界において絶大な影響力を持つ。
会長は元検事局長の一柳万才。裁判官の水鏡秤もメンバーの一人である。
ビッグタワー
一年ほど前に建設された50階建ての高層ビル。
テナントの大部分はオフィスで、50階には検事審査会審議室が検事局から移転してきたばかり。
桜の木や屋台などのある屋上展望台のみ一般公開されており、「ここで手をつないだ二人が幸せになれる」という触れ込みで有名なデートスポットとなっている。
法の神
検事審査会審議室に飾られた女神像。
あらゆる犯罪者を身分を問わず公正に裁き、また罪を認める者には慈悲を示すという。
現実にも古来正義の女神(Lady Justice)と呼ばれて正義の象徴として用いられてきた、
正義を司るローマの女神ユースティティアのこと。日本でも最高裁判所などに飾られている。
映画『大怪獣ボルモス』シリーズ
英都プロダクションの特撮怪獣映画シリーズ。2007年に初代『大怪獣ボルモス』が公開された。
反響は大きかったようで、日本ばかりか西鳳民国でも知られている。
2019年に続編の『大怪獣ボルモス VS ヒョッシー』を撮影中である。
主演は相沢詩紋、かつてトノサマンを演じた荷星三郎も出演している。
ビッグタワー周辺でも撮影が行われているようだ。
SS-5号事件
作中で言う「12年前の事件」。
2007年2月10日、来日していた西鳳民国の王帝君大統領が誘拐された事件。
「ハッピー・ファミリー・ホーム」という児童養護施設近辺で発生し、目撃者の亀井隆二というジャーナリストが同施設内で遺体となって発見されている。
100億円に上る身代金と引き換えに大統領は無事保護されたのだが、事件後に狼士龍の父である狼大龍が大統領護衛の任を引責辞任している。
余談
本作は長らく、日本以外で発売されていなかった。
それ故、海外の有志のファンによる非公式の翻訳パッチが作られた。
だが、ニンテンドースイッチにて、リメイク版の『逆転検事1&2 御剣セレクション』が発表され、多言語対応となり、海外で初リリースとなった。