CV:綿貫竜之介(テレビアニメ版)
演:平岳大(実写映画版)
登場作品
逆転裁判 ※名前及び顔写真のみ
人物像
逆転裁判シリーズのもう一人の主人公にして、逆転検事シリーズの主人公にあたる検事・御剣怜侍の父親である。逆転裁判1の第4話で名前と顔写真が登場している。
作中では既に故人であり、息子が9歳の頃に天海一誠の裁判の後、裁判所のエレベーター内で何者かに殺害された。享年35歳。生きていれば検事2の時点で52歳である。
その事件は後に「DL-6号事件」と呼ばれるようになり、逆転裁判123(成歩堂編)の主要人物達に大きく関わってくる事になる(「DL-6号」とは事件の分類ナンバーである)。
生前は御剣法律事務所の所長であり、当時はかなり有名な弁護士だった(千尋達の上司だった星影宇宙ノ介弁護士も、「素晴らしい弁護士だったとしか言いようがない」と評している)。弁護士助手として、まだ弁護士を目指して勉強中の信楽盾之を育てており、弟子である彼の事を大切に思っている。現在の御剣法律事務所は、彼の意志を継いだ信楽が所長を務めている。
性格は至って冷静沈着で真面目だが、息子の怜侍のような堅物ではなくかなり社交的である。
検事2の第3話では、何と彼が操作キャラとして登場し、彼の人物像などの設定が大きく掘り下げられている。服装は無印は背広だったが、こちらでは季節の関係もあってベージュのコートと帽子を着用し、背広姿になるのは法廷場面のみである(帽子は後に信楽に引き継がれている)。
容姿は、とても渋くてダンディなおじさんであり、髪色や顔立ちなどが怜侍と似ており、後頭部の特徴的に跳ねた後ろ髪も同じである。また、逆裁シリーズの登場キャラクターとしては珍しく、ビジュアルから言動や各種モーションに至るまで、普通に格好よくて突っ込みどころがまるでないキャラクターである(息子の怜侍ですら、ダメージモーションでは顔面崩壊するのに…)。
弁護士として
逆裁シリーズ本編中において、「依頼人は最後まで信じ抜く」と「発想の逆転」、そして「弁護士はピンチの時ほどふてぶてしく笑う」を、確認できる限り初めて実践していた弁護士であり、基本的には本当にピンチになった時にしか笑わない。その為に、突き付ける証拠品を間違ってゲージを減らす場面のダメージアクションは、帽子を目深に被り直し、その下でニヤリと笑うというものになっている。そのダメージモーションが恰好良すぎる為に、わざと間違った証拠品を突き付ける事で、彼のダメージモーションを見るプレイヤーが続出した(逆裁シリーズにおけるダメージモーションは、大抵はキャラ崩壊をするものなのだが、それすら格好いいという例は稀有である)。
その僅かな可能性、僅かな捜査機会も諦めずに活用する弁護士としての姿勢は、信楽弁護士に強く影響している。
上記の通り彼の弁護スタイルは、後の成歩堂龍一や綾里千尋ともよく似ており、実際に千尋の元上司である星影や、信楽から父の話を聞いた怜侍からもよく似ていると評されている。
2人の大本は、神乃木荘龍が信と同じスタイルを実践していた事で、それを神乃木の後輩である千尋に、そして千尋から弟子の成歩堂へと受け継がれた。ただし、信と神乃木の間に面識があったのかは不明。
また、幼き日の怜侍が法曹界に関心を持ったのも父の姿の影響であり、「DL-6号事件」発生までは父親と同じく弁護士を目指していた(成歩堂や矢張に対してもその夢を散々語っていたらしい)。
私生活
息子に対しては必要以上に甘やかす事はしないものの、常に良き父親であろうと努めており、とても大切にしている。幼くして六法全書を読み漁る怜侍が、学校で上手く友達を作れるのか心配している場面などもあった(成歩堂や矢張政志との出会いはもう少し後の話である)。
捜査中も、ふとした拍子に息子の事を思い出しては、事件が解決したら息子と一緒に人気料理番組の「ダンスイーツ」を見てみようと考えたり、デリシー・スコーンの幻想的なお菓子の仕掛けを見て「息子にも見せてやりたい」と考える等、常に息子への愛情の深さが端々から読み取れる。
紅茶を好んでおり、その趣味は息子とも共通している(セイロンティーの味に対する意見なども同じである)。怜侍は小さい頃から裕福であったらしいが、信の金銭感覚は大人になった怜侍よりも至って普通で、捜査の後に信楽と一緒にラーメンを食べに行くなど、息子とは違い庶民的な感覚の持ち主である。
アニメ版では、第13話のアニオリエピソード『逆転の約束』にも僅かながら登場。怜侍と夕飯を取る前に、当時成歩堂や矢張らの間で流行っていた『大江戸交通安全シグナルザムライ』を見たがった怜侍に対して、「普段ニュースしか見ないのに珍しい」と評したり、犬を飼いたいという怜侍の希望を微笑みながら許可したりなど、親子関係は非常に良好だった事が窺える。
また、星影の話によると妻や親戚は既にいない、いわゆる父子家庭だったようで、彼が亡くなった後の怜侍は孤児となり、引き取りを申し出た狩魔豪によって引き取られ、彼に育てられた事が語られている。
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以下ネタバレ
検事2本編から18年前に起きた「IS-7号事件」で、パティシェ天海一誠の弁護を担当し、その菓子作りへの深い愛情と彼自身の人の良さによる無実への確信から、死体消失の隠蔽・解剖記録の偽造と手段を選ばない狩魔豪検事と、実に1年に渡って戦い続けている(これが彼と狩魔が戦った最初で最後の裁判である)。
これには、この事件で初めて対面した狩魔検事の強引なやり方に対して、強い反発を感じた事も原因である(星影曰く、狩魔に勝つ事でそのやり方を否定しようとしていたとの事)。また狩魔自身に対しても、現場で直接対峙した結果その考え方等に強い反感を抱き、「こんな人には息子を育てられたくはないな」と評していた。しかし結局後に、彼の意志に反して怜侍が狩魔に育てられる事は言うまでもない。
しかし最終的には、狩魔から緒屋敷司に冤罪を押し付けたくなければ自供しろと脅迫された事によって、天海は虚偽の自白を余儀なくされる。馬堂一徹刑事と協力して自白が狩魔の脅迫によるものであると証明し、狩魔も処罰を受ける事となったものの、天海自身がそれ以上の裁判を望まなかった事から有罪判決は覆らず、天海は犯人の共犯者という形で有罪判決を受けた。
そして失意の内の結審当日に、控訴の決意を固めながら裁判を見に来ていた息子の怜侍と共に帰ろうとエレベーターに乗ったところ、地震が発生して裁判所は停電する。息子と偶然乗り合わせた法廷係官の灰根高太郎と共にエレベーターに閉じ込められてしまい、やがて酸欠から正気を失った灰根と揉み合いに発展してしまう。2人の争いを止めようとした怜侍が、灰根から落ちた拳銃を投げつけたところ暴発。その音と酸欠から3人は全員意識を失ってしまった。
その直後に電気が復旧し、偶然エレベーターの外にいて暴発した銃弾を受けた狩魔が、他の2人と共に気を失っていた信を発見する。信によって己の完璧な経歴に「処罰」という汚点を刻まれた狩魔は、彼への逆恨みから落ちていた拳銃を手に取り、迷う事なく彼の心臓に発砲して殺害した。
その後この事件は、警察から捜査協力を依頼された霊媒師綾里舞子が、信の霊を霊媒して犯人を聞き出そうとしたのだが、信は自分が殺された時に気絶していた為に、真犯人の正体を知らないまま死亡したせいで、状況から犯人は灰根だと勘違いして彼を告発する。しかし灰根は、心身喪失を理由に結局生倉弁護士によって無罪にされて事件が迷宮入りした事で、家元だった舞子の霊媒がインチキ呼ばわりされてしまい、倉院流霊媒道の権力の失墜にも繋がる事となる。
この因果が巡り巡って、逆転裁判123の主要人物達の人生を大きく狂わせる事となってしまった。
彼の遺志と孤独な依頼人を最後まで守り続ける弁護のあり方は、御剣法律事務所の二代目所長となった信楽弁護士に受け継がれ、同じ弁護士スタイルは成歩堂達にも引き継がれている。
また後にIS-7号事件は、数奇な運命を経て息子の怜侍によって解き明かされる事となる。
メディアミックス作品での登場
実写映画版では殺害現場が証拠保管室になっており、彼が狩魔との裁判に敗訴した後、狩魔の提出した証拠が正当か調べるために保管室に侵入した際に、保管室の管理をしていた灰根に発見され乱闘になる。それ以外は原作と同様であるが、その事が原因で息子の怜侍は「弁護士の父親が無罪判決を勝ち取るために証拠品を隠滅しようとした」と誤解し自身の憧れだった弁護士の道を捨て、検事となるきっかけを与えてしまう。
円居挽による小説『逆転裁判 時間旅行者の逆転』においても登場する。
本作は前後編になっており、前半部分の事件を御剣信が、後半を成歩堂が引き継ぐという非常に珍しいストーリー構成になっている。御剣信パートにおいては、彼の家庭事情などゲーム本編では語られていない部分についても色々と触れられている。
宝塚版逆転裁判では怜侍が憧れたような正義の弁護士ではなく、無罪の為なら何でもするというキャラクターとして登場している。