概要
声:????(後述のネタバレを参照)
『逆転裁判3』第4話『始まりの逆転』に登場。年齢27歳。身長185cm。
成歩堂龍一の師匠である綾里千尋が、かつて所属していた『星影法律事務所』で、ナンバーワンの実績を誇っていた敏腕弁護士。所長の星影宇宙ノ介に代わって、千尋の初裁判に立ち会い、助手役を担った。
千尋とは先輩と後輩の間柄で、当時は彼女から「先輩」と呼ばれる事も多かった。そそっかしいが、懸命に仕事に励む新人の千尋を、先輩として可愛がっており、時折「コネコちゃん」と呼んで、からかう時もあった。ハードボイルドだが、キザな性格で、その言動で千尋を翻弄する事もしばしば。それでも彼女からは尊敬されており、人物ファイルでは「私の先輩で目標。ほんのちょっぴりキザ」と記述されていた。些細だが、こんな所でもキザな神乃木を弁護する所からも、千尋が彼を強く敬愛していたのが窺える。
また、法廷でもコーヒーカップを手放さない程のコーヒー愛好家で、千尋から「コーヒーの人」と言われたり、彼女の書類にコーヒーを零そうとイタズラする一幕もあった。
千尋の初裁判の後、彼女とは親密な仲となった様で、千尋が成歩堂に伝授した「発想の逆転」「弁護士はピンチの時こそ、ふてぶてしく笑うもの」という信条は、彼からの受け売りである。これは同じく弁護士の御剣信の信条でもあるが、2人の間に接点があったかどうかは不明。「元から似通った正義感や信念の持ち主であったが故に、偶然にも同じ信条を抱く様になっただけ」かもしれない。
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以下ネタバレ注意
地獄から蘇った男
声:平田広明
千尋の初裁判の終了後、関連事件の真実と最有力容疑者であった美柳ちなみを追う為に、彼女とは協力関係を結んだ。協力して捜査を進める内に、2人は親密になって行き、最終的には恋人となった。そして、とうとう神乃木は裁判所のカフェテリアにて、単独でちなみから話を聞く機会を得た。だが、それは「自分を追跡する2人を疎ましく思っていた、彼女の罠」だった。ちなみは神乃木の口封じを目的に、彼のコーヒーに致死量の毒を盛った。毒入りコーヒーを飲まされた神乃木は、奇跡的に一命は取り留めたものの、昏睡状態に陥ってしまった。
この毒薬の容器となったペンダントは当時、偶然にも裁判所に法律の勉強を目的に訪れていた、成歩堂を見つけたちなみが「一目惚れしたから、出会いの記念品として受け取って欲しい」と騙して預けた。これで証拠隠滅に成功した、ちなみは易々と逃げ延びた。
5年間の眠りから目覚めた時、彼に突き付けられたのは「最愛の女性である、千尋の死という絶望」であった。仇である美柳ちなみは、千尋によって過去の罪を暴かれ、死刑を宣告されており、愛した女も憎んだ女も失い、眠っている間に生きる目的を全て失った神乃木は「せめてもの償いとして、千尋の妹である綾里真宵を守る事」を己に誓った。
そして「獄中の綾里キミ子の監視、成歩堂を試すという目的」の為に、弁護士「神乃木荘龍」という名を捨て、検事「ゴドー」となった。この時点での年齢は33歳。
成歩堂を恨み、敵意を向けていた理由は「知らなかったとはいえ、ちなみの証拠隠滅に手を貸し、千尋の最も側にいながら彼女を守れず、そのくせ千尋の後継者を気取っていたから」であった。千尋を殺害した張本人の小中大も、既に凶悪犯として逮捕されて重罰が科せられた身である為、手出しが出来ないのも影響していると思われる。成歩堂は千尋が過去に関わった事件を見直した後「ゴドーが自分に向ける感情には、怒りと悲しみがある事」を感じて彼の正体に気付く。
最終的にゴドーは、真実を追究する、その姿に亡き千尋を重ねて成歩堂を認め「本当に許せなかったのは、千尋を守れなかった俺自身だった」と自覚。満足しきった彼は傷口から赤い血を流す。昏睡の影響から赤(正確には白地の赤色)が見えなくなったゴドーの世界において、その血は涙の様であった。
「‥‥覚えておくといい、おじょうちゃん。
オトコが泣くのは‥‥全てを終えた時だけ、だぜ。」
成歩堂を認めたゴドー‥‥いや、神乃木はもう「まるほどう」と、わざと名前を間違えて呼ぶ事もやめて「成歩堂龍一」という本名で呼ぶ様に変わっていた。裁判の最後、彼に認められた成歩堂は神乃木とコーヒーカップを酌み交わした。
名前の由来
「ゴドー」という偽名は、作中では全ての始まりとなった事件の現場である『吾童川(ごどうがわ)』の名前を戒めとして用いている設定である。現実では『ゴドーを待ちながら』という戯曲に登場する「謎に包まれた人物ゴドー」に由来している。この作品は2人の人物がキーパーソンであるゴドーを待ちながら、彼について延々と話すが最後までゴドー本人は現れず、彼の事は一切不明のまま閉幕するシナリオである。謎の人物を演じる神乃木にとってはピッタリの偽名と言える。『ゴドーを待ちながら』は海外の作品である為、ゴドーの綴りも特殊で「Godot」と表記する。『逆転』のゴドーの名前の正式な綴りも元ネタと同じものに揃えられている。ゴドーという偽名の扱いは世界各国の海外版でも同じである。
本名の「神乃木荘龍」は「髪の偽装理由の捩り」と予測される事があるが、神乃木の髪の変色は毒に体が侵された結果であって、本人の意思によるものではないので的外れと言っても過言ではない。実際には脚本家・巧舟が『逆転』シリーズの開発に備えて事前に制作していた『格好良い名前リスト』からの採用である可能性が高いだろう。このリストの存在はGBA版の攻略本でのインタビューにて明言されており、リストから抜粋された名前の持ち主には、神乃木の先輩弁護士・生倉雪夫がいる。また警察官・罪門恭介、警察局の局長・巌徒海慈と同じく「単に格好良い響きの名前を考案しただけの可能性」も高いと言える。名前の荘龍は「荘厳な龍」を意味し「双龍」とも掛けていると見られる。「成歩堂龍一への対比」と解釈するファンも多い。
英語版では「Diego・Armando(ディエゴ・アーマンド)」という名前になっている。案の定、外見を理由に中南米系の人物に設定された模様。英語で「ディエゴ」は「取って代わる人」、「アーマンド」は「武器を取る為に」もしくは「防御を開始する為に」を意味する。恐らくは「別人に成り代わり、真宵を守る為の準備を進めていた、本編での立ち回り」から着想した名前と思われる。
余談
身体能力
ちなみに盛られた毒によって視神経と肉体がズタボロになっており、定期的に通院して治療を受けなくては生活もままならない状態にある。若くして総白髪になったのも毒による悪影響の1つ。あのごついゴーグルは、失った視力に対する補助装置である。それでも完璧ではなく前述の通り赤色は見えない。昏睡以前、赤い服を好んで着ていた事を考えると皮肉と言う他ない。
一方、体にはこれといった補助器具を付けていないに関わらず、毎回必ず成歩堂の頭部にコーヒーカップを直撃させる運動神経、証言を拒む虎を彷彿とさせる厳つい金貸しを法廷まで引っ張り出す膂力(当人曰く“捕獲”)、片手でコーヒーカップを粉砕する腕力を発揮している。これら各話の節々で身体能力の高さが見て取れる描写は「最終話における、彼の立ち回りへの違和感を無くす為の理由付け」だと思われる。
「神乃木荘龍」と「ゴドー」のタグ
本名は「神乃木荘龍」であるが、登録タグは「ゴドー」の方が多く用いられている。昏睡前の状態(黒髪時)に「神乃木荘龍」タグを、昏睡後の状態(白髪時)に「ゴドー」タグを、という様に使い分けがされている場合も多い。