曖昧さ回避
概要
「ぼかぁ小中 大(こなかまさる)。ここの社長、いやプレジデントだ。
ちょっと、アメリカぐらしが長いもんでねえ。ニガテなんだよねぇ、ニポンゴ。」
声:手塚ヒロミチ(アニメ版)
演:鮎川誠(実写映画版)
『逆転裁判』第2話『逆転姉妹』に登場。年齢39歳。身長178cm。
マッスルバディの成金社長
情報処理会社『コナカルチャー』社長。彼の秘書は松竹梅世で、愛人関係とも噂されている。
日本人離れしたアメコミのヴィランの様な筋肉質の体に、全身ピンクのスーツを纏い、過剰な程の金品や宝石を身に着けている。悪趣味な成金根性剥き出しの衣装は、見る者の嫌悪感を煽る。『1』および『蘇る逆転』のゲーム内、もしくはその関連書籍で見られる『ストーリー・イメージイラスト』の解説では「下品ゴージャス」と表現されていたが、正にその通りである(このコメントは、2001年発売の『1』の攻略本でしか読めない)
怪しげなイングリッシュ
傲慢だが小物臭さが漂う性格をした、極めて胡散臭い人物。会話では誰を相手にしても、傲慢な姿勢を一貫しており、怪しげな英語を交えて話す等、いちいち癪に障る言動が目立つ。英語交じりで話す事で自身の高い知性を主張しようとしているが、冒頭の台詞にもある様に「意味が重複している、日本語と英語を同時に使う事」で、かえって愚かさが滲み出ている(英語の「president(プレジデント)」には「大統領」の他に「社長」という意味も含まれている)。また「‥‥良くないアクシデントは、君にハプニングだよ‥‥」等「同じ意味の英語を重ねて使う」という間抜けぶりまで披露している。一方で「秘書」の英語(正解は「secretary(セクレタリー)」)が直ぐに出て来ず「アレは英語で何て言うんだっけ?」と首を傾げる有様。
本人は「アメリカ生活の経験者だから、英語交じりなのは自然な口癖」と語るが、前述の言葉遣いの間違いを頻発している事や、自慢目的で平気で嘘を吐く性分からして、本当に渡米経験があるのかも怪しい。単に格好付ける為に、わざと英語交じりにしている可能性も高い。渡米経験者だとしても「精々、短期間の旅行で豪遊していただけ」ではないだろうか。小中の語学力では短期旅行は可能としても、長期滞在は土台無理であろう。『蘇る逆転』の攻略本では「意味を解って使っているのか?英語力はかなり眉唾物」と低評価されている。
悪趣味な社長室
社長室にも極度の悪趣味が反映されていて「目の毒」と言って良い調度品の数々が置かれている。その中でも「自分の肉体美を強調する為に作った、自身を象った調度品」が特に酷い。『自分をギリシャ神話の神・アトラスに見立てた銅像』『座り込んだ自分の首無しの胴体が、脚となっているデスク』は見るに耐えない。部屋の奥にある棚には「十数個に上る、様々な大会でのトロフィーや賞状」が飾られているが、どれもこれも「みみっちい分野での受賞歴」を物語っているだけである。恐らく、受賞理由を作る為に各大会の主催者を脅迫して、無理矢理獲得したと思われる。
小中本人の容姿や性格、態度や言動と同様、全体的に不快感を催す内装となっている。『オフィシャルファンブック』では「頭が痛くなりそうです‥‥」と批判された。使用金額だけは立派で、その総額は334万円と彼は語る。何より本社ビル自体、地上階で20階(アニメ版では50階)建てと所謂、超高層ビルの部類に入り、その頂上に掲げられた看板にでかでかと自身の写真を使用し、自分自身は最上階の社長室からオフィス街を見下ろすように眺望している辺り、自己顕示欲の高さが垣間見える。
起業まで
雑誌記者時代の15年前「DL6号事件の捜査で、警察が霊媒師に協力を求めたという極秘情報」をマスコミにリークし、霊媒師の一族である綾里家に対する、大規模のバッシングを展開。名門一族として栄華を誇っていた綾里家を没落させ、綾里千尋と綾里真宵の母・綾里舞子を失脚させ、世間からも一族の人々からも誹謗中傷され、耐え切れなくなった彼女を失踪に追いやった。この事件を千尋は「母を破滅させた事件」と呼んでいる。
反面、この事件で巨万の富と絶大な権力を得た小中は、情報の売買を行う事に味を占めて転職。情報処理会社『コナカルチャー』を設立し、その社長の座に着いた。現在も情報の売買によって大儲けし、悠々自適の豪遊生活を送っている。
名前の由来
名前の由来は、文字通り「小中大」。英語版では「Redd・White(レッド・ホワイト)」という名前。人名として差別化する為か「赤」を意味する、英語の「Red」より「d」が1つ増えている。『コナカルチャー』は『Blue・Corp(ブルー・コープ)』なので、自分の名前と会社の名前を組み合わせると「星条旗カラーの三色」が揃う。
関連タグ
ガンス:ゲーム『ペーパーマリオRPG』の登場人物。ガボンという人外の種族だが、英語交じりの口調や作中の役回り等で小中と重なる点が多い。ちなみにガンスは小中と違って、日本語でも英語でも「言葉遣いの間違い」は一切犯していない。
「①英語交じりの口調で話す(ガンスは一人称は「ミー」、二人称は「ユー」で固定)」「②大企業を経営する悪徳社長(ガンスは大闘技場のプロモーター)」「③胡散臭い大柄なスーツ姿の男性」「④有能な美人秘書がいる(ガンスの秘書キノシコワは『2』での華宮霧緒と外見も性格もそっくりである)」「⑤あるエピソードでボス敵として主人公と戦う(ガンスはステージ3=第3章のボス)」「⑥マッスルボディの持ち主(普段のガンスはガボンの中ではやや大柄な位だが、強化形態になればマッチョに変貌する)」「⑦どこかコミカルな外見に反して、本性は極めて悪辣かつ冷酷な卑劣漢」「⑧自分の悪事の最大の犠牲者を失踪に追いやり、相手の家族に仇討ち目的で付け狙われる」
※以下ネタバレ注意※
悪徳社長の悪行三昧
第2話の事件の真犯人。成歩堂龍一の師匠・綾里千尋を殺害した張本人である。梅世は小中の共犯者に当たる。
千尋は独自に15年前に起きた「DL6号事件で母の綾里舞子が警察の極秘捜査に協力した事を、マスコミにリークして破滅させた犯人・小中」を調べていた。その過程で「彼が営む『コナカルチャー』とは表向きは情報処理会社を名乗ってはいるが、その影では情報処理を悪用し、他人の弱味を握ってあらゆる脅迫行為を行う所謂『強請屋』そのもので、利益や権力を獲得する悪事を犯している」と突き止めた千尋だったが、小中を告発する準備中に口封じの為、殺害されてしまったのだ。
千尋が以前、所属していた『星影法律事務所』の所長・星影宇宙ノ介も小中に脅迫されていた人物の1人で、星影は15年前に一時の金に釣られて、舞子に関する情報を漏らしてしまい、その事で今度は逆に小中から脅迫され続け、金品を巻き上げられてきた。最近、数億円で購入したばかりの『夕暮れ時の釣り人の名画(作中ではタイトル不明)』も脅し取られている。この名画は社長室に飾って小中は成歩堂に自慢したが、これも一因となって「正体は脅迫者」だと気付かれた。ちなみに、この名画は「悪趣味な調度品が満載の社長室では、マシな部類に入る美術品」なので浮いていた。
星影の他にも、警察や検察の上層部の多くの人間も彼に弱味を握られており、事実上、日本の司法機関を自由に動かす事が出来る存在だった。一応、直接的に殺害した被害者は千尋のみだが、小中からの脅迫に耐えかねて自殺してしまった=間接的に殺害された被害者は数え切れない程いる。千尋も小中を追跡する中で「彼によって自殺や失脚に追い込まれた、政治家等の権力者の記事」を収集しては捜査資料に加えていた。その資料の一部には千尋による「脅迫を飯の種にしている寄生虫の様な男」という小中への批判の添え書きもあった。
小中も前々から千尋の存在には気付いており、事件の数日前から彼女の経営する『綾里法律事務所』に盗聴機を仕掛けて動向をうかがっていた。そして千尋が苦労の果てに、決定的な証拠『脅迫被害者の名前リスト』を入手したと知ると、それを強奪する為にも事務所を強襲し、千尋の殺害に至ったのだった。
事件当時は、現場の向かいにある『板東ホテル』に数日前から梅世と共に宿泊し、盗聴で千尋の行動を監視していた。そして彼女が深夜、電話で妹の真宵と会う約束をして、事務所で1人きりになった所を襲撃。千尋も流石に「小中が自分の盗聴までする」とは読めず、鈍器で撲殺されてしまう。凶器となったのは、千尋が事件の1ヶ月前、成歩堂の親友・矢張政志から贈られた『考える人の置き時計』であった。
その後、小中は梅世と協力して、これから事務所を訪れる真宵に罪を着せる為、様々な工作に及んだ。自分は事務所に残って現場を荒らし、千尋の血で「マヨイ」と書かれたダイイングメッセージを偽造した。もう1つの目的であった『脅迫被害者の名前リスト』の回収にも成功した。一方、梅世には目撃者を演じさせ、事件を通報させた上、証人として出廷させて偽証を行わせた。
当初は梅世だけを表舞台に立たせ、小中自身は雲隠れする算段だった。しかし梅世の偽証を失敗させた挙げ句、執念深く捜査を続けて『コナカルチャー』へと辿り着いた成歩堂に真犯人だと暴かれて、告発を宣言されてしまう。それにも小中は怯まず、その場で作戦を変更して電話で権力者の協力を取り付け、今度は成歩堂を「千尋殺害事件の被告人」に仕立て上げる。その仕上げとして、最初は嫌がっていた「証人として出廷する事」を決断し、法廷では成歩堂が犯人だと偽証する。また自分の息の掛かった弁護士を、彼の担当者にする手回しも行った。
ところが成歩堂が「自分で自分の弁護を担当する奇策」に出た所から、次第に追い詰められて行く。「脅迫者としてはプロでも、殺人者、証言者としては素人以下」と言っても過言ではない程の失言を連発する、醜態を演じる羽目になった。新人だった成歩堂にも瞬く間に追い詰められ、最後は真宵に霊媒されて現世に戻って来た、他ならぬ被害者である千尋にトドメを刺される結末を迎えた。千尋は生前から丸暗記していた『脅迫被害者の名前リスト』をその場で即座に復元し、師匠の指示に従い「リストに書かれた名前」を成歩堂が読み上げて行った。脅迫は秘密裏に行われてこそ意味がある。「自分が誰を脅迫しているか」を全て世間に公表されては、被害者やその身内からの復讐や、裏社会との関わりも深い権力者達の怒りを招いて、恐ろしい報復と破滅が待っているに違いない。そう悟った小中は成歩堂がリストを読み上げている途中で、必死になって彼を止めようと叫び出す。そして、とうとう小中は自分の罪を自白し逮捕される結果となった。
皮肉にも、かつて自分が国中に「綾里家の霊力は嘘っぱち」だと喧伝しておきながら「実際は紛れもなく本物であった、綾里家の霊力にも敗北した結果」とも言える。かくして「この国で最も質の悪い、他人の情報で商売をするプロ」とまで呼ばれ、大勢の人々を破滅に導いた小中は、雑魚だと侮蔑していた弁護士の師弟2人によって、犯行が暴露されて破滅を迎えたのであった。
ただし、小中に脅された人物達の大半は「同情の余地があるか」と言われたら、それはまた別の話であり、小中以降、成歩堂や御剣が相手にする人物もまた、似た様な系統の人物達(関連的に交流を匂わせる人物もいる位)である。『コナカルチャー』は脅迫で成り立つ悪徳企業だが、司法に留まらず、法に外れた悪人にとっても、恐れられた会社(人物)でもあった。
そして、この事件から2年後、彼が千尋を殺害した事によりある検事が誕生する事となる。
アニメ版
第1期・第2話『逆転姉妹-1st Trial』
『板東ホテル』で昼間からワインを飲み、カーテンを閉めて暗い室内で「綾里姉妹の会話」を盗聴している場面で初登場。千尋が真宵に『考える人の置き時計』の仕組みを説明する段階に差し掛かると「『考える人』とは考えたねぇ‥‥ミス・チヒロ」と呟いた。この直後に彼女の命を奪う凶器となってしまう『考える人の置き時計』と掛けた発言と言える。その後、真宵の弁護を引き受ける星影に脅迫の電話を入れた。『コナカルチャー』の看板に本人が映っているとは言え、この時点では口元やシルエット等、存在を仄めかす程度の登場しかしていない。これは梅世に関しても同様である。
第1期・第3話『逆転姉妹-2nd Trial』
上述のデスクに足を乗せてふんぞり返り、本社ビルに乗り込んだ成歩堂の忠告をよそに「警官を大至急プリーズだ」と電話をかける。そして社長室に乗り込んだ糸鋸に成歩堂を逮捕させる。
第1期・第3話『逆転姉妹-Last Trial』
「自分の弁護を自分でする」という奇策に出た成歩堂の追及を受けて取り乱し、一瞬ではあるが一人称が「俺」になっていた。『脅迫被害者の名前リスト』に対しては成歩堂が1人目の名前を読み始めた段階で「スタァァァァップ!」と絶叫するという醜態を見せた。
実写映画版
「千尋を殺害した張本人である事」は変わらないものの、容姿や人物像に大きな変更が施された。容姿は如何にも悪質ジャーナリストといった感じの「黒ずくめの怪しい中年男性」と化して、ヨレヨレの黒い長髪でサングラスを着用する。原作でのド派手な衣装が嘘の様な地味ぶりである。職業も「DL6号事件の際、極秘捜査の暴露記事を書いたフリーの雑誌記者」となり、事件当時から現在に至るまで記者を続行している。転職も起業も行っていないので『コナカルチャー』は創設されていない。原作以上に「大物ジャーナリストとして世間から持て囃される人生」に味を占めたのだろうか。
梅世は「小中とも事件とも無関係のモブキャラ」に転身し、映画版での彼女は『AKB48』をモデルとしたアイドルグループ『TAR69』に所属し、雑誌に名前のみが登場する。
映画版の小中には「激昂すると拡声器を取り出して、博多弁で捲し立てる癖」があり、口調からして福岡県辺りの出身者と思われる。何たる皮肉かDL6号事件の真犯人からは捨て駒扱いを受け、逮捕後に留置所での食事に毒を盛られて殺害される事となった。