概要
『逆転検事2』第3話『受け継がれし逆転』に登場。
検事2から18年前の2000年12月24日に発生したIS-7号事件の被告人。当時39歳。
立派な体躯と彫りの深い顔にアフロヘアーが特徴で、物腰が丁寧で紳士的な人物。
実家はカゼゴロシシリーズで知られる製薬会社天下一グループだが本人は跡取りの座を蹴っている。
18年前は世界一のパティシエと謳われた菓子職人で、お菓子作りの他に歌やダンスも得意。当時、助手の緒屋敷司と一緒に歌って踊りながらお菓子をつくる「ダンスイーツ」というTV番組で人気を博し、「テンカイチ」の愛称で親しまれていた。
しかし、事件当日、自宅で開催したお菓子コンテストの参加者の一人・氷堂伊作を殺害した容疑で逮捕され、事件の担当弁護士の御剣信と担当検事の狩魔豪との因縁の戦いが始まる。
当時は序審法廷制度がなかったこともあり、判決が出るまで一年かかり、その間に天海は違法同然(語った内容として、まともに睡眠もとらせてもらってていないなど)の厳しい取り調べで、頭髪が真っ白に変わり、目から生気が失ってしまうほどに疲弊してしまった上に「容疑を認めなければ司を真犯人として逮捕する」と脅されたことで、彼は虚偽の自白をしてしまう。
これによって弁護側の状況は一気に不利になってしまい、信の告発により、検察側の自白の強要が証明されたものの、裁判は天海が事件の共犯者であるという結末に終わり、真犯人が不明のまま幕を閉じる。
余談だが、事件当時のお菓子コンテストの聴取の中で、塩味限定の味覚障害に陥っていることが判明した。甘味に関しては問題はなかったために本人に自覚はなく、パティシエとしてスイーツ作りに支障は生じていなかった。
天海に有罪判決が下された後、別の事件で亡くなってしまった信の遺志を継いで、助手の信楽盾之が再審を申し出るが、聞き入れてもらえないまま真実は一旦闇に葬られることとなった。
その後も、信楽は度々面会には訪れていた。
天海は事件発生から18年が経ち、57歳となった現在も刑務所で服役しているが、特別に厨房の使用許可を得て所内でお菓子を作って看守や囚人たちに振る舞い続けており、今ではみな3時のおやつが楽しみになっているらしい。
そういった描写から、彼が如何に人格面でも菓子職人としても非常に優れた人徳者である事が窺い知れる。
(事実、事件の真犯人も元々は天海の事は尊敬しており、彼に罪を着せるつもりはなく、別の人物に疑いが向くように仕向けていた)
信の子息・怜侍達の活躍により紆余曲折を経て無実が証明され、エンディングでは無事に釈放された姿を見せている。
余談
天海一誠は、逆転シリーズを通して珍しい、本当の『冤罪の被害者』である。
何人もの真犯人に危うく加害者にされ掛けたキャラも冤罪の被害者と言えるが、弁護士によって真実が明るみとなり刑が執行までされる事はない。不当に何年も懲役刑で苦しめられたネームドキャラは、2024年現在、天海氏のみである。(真実が隠蔽された結果、例え誰かを助けたいと言う動機であれ犯罪を犯してしまったキャラも少なからずいるが)
彼自身、裁判が始まる前に過酷な取り調べで、髪が白くなって目が虚ろになり、やっていなくても認めてしまおうかと悪魔の囁きに屈してしまう程の消耗しており、痛々しい。
しかし、天海氏は彼の人格が認められ、刑務所の中でもパティシエとしてその腕を振る舞う機会(食べ物を作るには、包丁や火を使うため、よほどの信用がなければ扱う機会は与えられにくい)を与えられ、自分を保ち続けた。(現実で起きた袴田事件では、長年の投獄のストレスで袴田氏は会話が困難になる程に精神が崩壊してしまった)
天海は怜侍の父の信から伝わる被害者であり、誤って有罪にしてしまったことで検事と言う立場の危うさを間接的に怜侍に伝え、検事の有り様を問う存在となっている。