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概要編集

第3話『受け継がれし逆転』に登場。今回は「過去と現在が交差する物語」として構成されている為、18年前の過去編では36歳、現在編では54歳となっている。


18年前に天海一誠が開催したお菓子コンテストの参加者の1人で、飴細工を得意としている。左目に大きな傷があり、菓子作りにはストイックで、「……ぬ。」や「ござらぬか。」と、どこか古風な話し方をする。


飴細工用のポンプを巧みに操って、飴を練り上げて立体的な飴細工を作り出すが、肝心のデザインセンスはイマイチであり、一見「アヒル」に見えるのが「不死鳥」、「タツノオトシゴ」に見えるのが「龍」をイメージしていたなど、完全に修行中の身である。そしてIS-7号事件の後で、『西鳳民国』に渡って3年間修行を積んだ事でデザインの腕前が格段に上がり、遂には世界一のパティシエの座に登り詰めた。


そして18年後、IS-7号事件の現場でもあった『十二星座美術館』を訪れた際に、何故か改装中で入れない筈の一間に入り、像周辺ガラス蓋を開けてお菓子像から発生した有毒ガスを吸い込んだ結果、意識不明の重体に陥ったのだが、何とか一命を取り留めている。


なお息子が1人いるが、西鳳民国に修行に行く際に親子の縁を切ってしまっている。







※この先、ネタバレがあります!






菓子職人の意地編集

IS-7号事件で氷堂伊作を殺害した真犯人にして、逆転裁判シリーズの諸悪の根源の1人


実は風見は、当時味覚障害を患っており、その為に優勝賞品である「究極のレシピ(中身は当時未発表だった新薬の調合書)」を欲し、味見は毎日会場に遊びに来ていた息子が担当していた。

さらに被害者の氷堂とは、息子同士が同じ小学校に通っている友達だった縁で面識があり、同じく金に困ってレシピを欲していた彼と手を組んでコンテストに参加する。デザインセンスが無かった当時の彼は彫刻家だった氷堂に菓子の造形を担当させ、菓子の味付けは風見が行うという形で裏で協力し合って互いの菓子を作り、それによって2人は決勝戦まで勝ち上がった。

しかし氷堂はレシピを独占する為に、決勝戦の直前に風見を裏切って彼のお菓子の造形を拒否した挙句、自分の息子に無理矢理風見の息子を誘拐させて監禁する事で、彼を妨害しようとする。


優勝の名声以上に、自らの味覚障害を治す為にも優勝賞品を欲し、しかし己のプライド故に天海自身に素直に病気の事を打ち明けて、レシピを得るという選択肢も無かった風見は、天海の部屋に忍び込み、レシピを盗み撮りして自分の味覚障害を治す為の薬の情報を得ようとする。

しかし、その現場を氷堂に見られた上に、味覚障害の件をネタに恐喝され、口論の末に彼に暴行されて傷を負わされた事で、逆上して彼をそのまま撲殺する。これがIS-7号事件のあらましである。


遺体を、天海の船型チョコレート菓子作品内部にある宝箱菓子の中に一旦隠すが、しばらくして船の支柱型チョコレートがある事情から折れて、船の重さで隠した遺体が露わになってしまう。

そして警察・検事・弁護士が捜査中に、別の氷堂作品の氷菓子像が、何者かにより内装室温変換機の温度を変えた事で像が溶解した。その現場調査の間に、風見は成分調査が遅れる氷堂の氷菓子の中に遺体を隠し、無くなった遺体周辺に血痕が付着したチョコレート部分も噴水内に処分した。


この氷菓子は、天海の助手の緒屋敷司がそうとは知らずに、持ち出して冷凍庫に保管していたのだが、そのせいで裁判では狩魔によって存在しない偽物の解剖記録が提出され、天海は有罪判決を受けてしまっている。なお盗み撮りしたレシピによって、患っていた味覚障害は完治しており、本人は天海の裁判の前に、菓子修行と国外逃亡を兼ねてさっさと西鳳民国へと旅立った。


そして18年後、IS-7号事件の現場となった天海の屋敷を買い取って美術館に改装した緒屋敷が、氷堂の遺体を隠した氷菓子を展示する事を知った風見は、美術館に足を運んで遺体の入った菓子像の隠滅を試みたのだが、緒屋敷の仕掛けた罠に嵌って有毒ガスを吸い込み、意識不明の重体に陥ったという経緯である(氷菓子の中の遺体を知っているのは、犯人だけな事を利用した罠である)。

意識を失っている間に、氷堂の遺体は緒屋敷の行為により発見され、覚醒後は御剣怜侍によってロジックチェスで追い込まれ18年前の犯行を暴かれるのだが、既に時効が成立している事を理由に氷堂殺害を認めたばかりか、堂々と開き直って当時の自身の行動を詳しく自供した。

  • 初代逆転裁判発売時にはまだ15年の時効が存在していたため、その名残を思われる。もっとも、2005年で25年に延長され、『検事2』発売時点では廃止されていたが。

このまま罪を逃れるかと思いきや、実際の事件の裁判では「天海が真犯人の『共犯者』」として有罪判決を受けていた事を、判決が出る前に西鳳民国に旅立った為に知らなかった風見は、それが仇となって把握していた筈の時効が停止する条件(※)に躓いてしまう事となり、最終的にIS-7号事件の真犯人として殺人罪で逮捕された(加えて本人が時効が成立していると思い込んで、警察・弁護士・検事・裁判官の前で自らの罪を認めて、得意げに自供してしまった事も大きい)。

一応殺人罪そのものは、正当防衛も主張できる内容だったのだが、時効切れを狙って18年も故意に警察から逃亡し、証拠隠滅や捜査撹乱をした罪の方が遥かに大きいだろう(コイツの態度や18年も逃げ続けたという事実からも、最早情緒酌量が適用される余地など無い事は明らかである)。

つまり本来なら、最初から認めて償っていれば比較的軽く済んだかもしれない罪を、結局コイツ自身が自分で取り返しがつかない程に大きくしてしまったのである。


※犯人が国外へ逃亡している場合、並びに共犯者に判決が下るまでの間は時効が停止する。この場合においては、風見が西鳳民国に修行に行っていた3年と、天海に判決が下るまでに掛かった時間である1年、計4年が15年に加算され、IS-7号事件の時効は合計19年となるのである。


作中でも懸念されているが、天海の無実が立証されて時効が18年に減って時効成立になってしまう可能性がある。

そうなればコイツが無罪となってしまい釈放される事にもなりかねないが、少なくとも既に菓子職人として名が売れている以上、逮捕によってその名声は地に落ちているのは間違い無い。

息子を使い捨て、殺人まで犯した、文字通り(悪い意味で)一生を捧げてきた菓子職人としての生命はほぼ完全に絶たれた事がこの外道にとって死よりも重い罰だと信じたい所である。


氷堂の側にも多分に非はあったとはいえ、風見自身は氷堂殺害に関して全く反省もしていないどころか、「自分に怪我をさせたのだから殺されても当然」と完全に開き直っており、そればかりか時効を盾にして、むしろ18年間も逃げきった自身の犯罪を得意げに自供するなど、完全に警察や検事といった司法の人間の事を見下している。

加えて氷堂に誘拐されて行方不明になった息子の事も心配するどころか、「味覚が戻った以上は、息子なんてもうどうでもいい」と親子の縁を平然と切って、自分の菓子修行と警察の捜査からの逃走を優先して、息子を捨てて一人でさっさと国外に行くなど、一人の人間としても人の親としても、どこまでも下劣で見下げ果てたクズである。


その息子は事件から18年後、自分の人生を狂わせた人物達への復讐に走り、本作で様々な事件を裏から引き起こす事となる(ちなみに彼は父親に捨てられた潜在的なトラウマから、甘い物が苦手になっており、後に風見については「自分を捨てた奴など父親じゃない」と切り捨てている)。


一方で氷堂も氷堂で、己の金銭欲の為に風見を利用して裏切った挙句、彼の味覚障害をネタに恐喝したり、自分の子供に風見の子供を誘拐させて妨害したりと、風見と変わらずどうしようもないクズである。つまりこの事件の発端は、クズ2人の下らない諍いだったのである(こんな奴らが起こした事件が後述する「DL-6号事件」に繋がったと考えると、何ともやるせない気分になる)。


この犯人も被害者もクズというクズ同士の足の引っ張り合いや争いから起きた事件から、逆転裁判2での王都楼真悟と藤見野イサオの事件を思い出したプレイヤーも多かったとか。


一応は、菓子職人としての求道の姿勢だけは本物であったようで、菓子職人として尊敬していた天海が疑われる事は避けようとはしていた。しかし、その代わりに菓子職人でもないのにコンテストにいたという理由だけで、デリシーに罪を擦り付けようとしており、彼女のインチキ菓子作品に証拠品を紛れ込ませるといった小細工をしている。

しかも本人は、彼女にならば罪を着せても構わないと、やはり平気で開き直っている(そもそもこれについては、自分もレシピ欲しさに菓子職人でも無い氷堂と手を組んで、決勝まで不正で成り上がったコイツが言えた事ではない)。

さらに結果的には、天海が自分の代わりに逮捕されて有罪判決を受けた事についても、後悔どころか平然と緒屋敷に責任転嫁するなど、いずれにせよ自分が罪を償う気は全くなく、非常に身勝手で利己的な人物である事に変わりはない(当然ながら天海自身に対する負い目なども全くない)。


また上記の通り、自分の罪を隠す為に菓子を利用している点や、そもそも彼が世界一のパティシエになれた理由も、自分が擦り付けた罪で、当時の世界一のパティシエだった天海が有罪になったからという、云わば半分は実力ではなく、あくまで棚ぼたで得た称号だったにも拘らず、堂々とその称号を名乗って憚らない点などからも、菓子職人としての姿勢にも大いに疑問がある。


さらに自分で息子を捨てたにも拘らず、上記のロジックチェスの問答では最初は「自分は病気になった息子を助ける為に、レシピを手に入れようとした」などと、息子の存在を利用した嘘の数々をつく事でこちらの同情を引こうとするなど、どこまでも姑息で卑怯な男である。

加えて当初は、「菓子職人のプライドにかけて、息子に味見を頼むなどあり得ない」と言っていたにも拘らず、その嘘を暴かれると「菓子職人としての実力を取り戻す為なら、手段を選ばないのが自分のプライドだ」などと供述する等、コイツのプライドとやらの底の浅さも窺い知れる。


風見が氷堂を殺して証拠に細工したIS-7号事件は、担当検事狩魔豪に忠実な初動刑事による天海逮捕を齎し、天海の弁護を担当した御剣信と、狩魔検事との長い戦いの原因になった。彼の裏工作によって、消えた遺体・溶けた菓子像・痕跡の血痕や治療本周辺の付着手形など、多くの謎を残しており、さらにそこにある人物による狩魔を陥れる為の裏工作も加わった。

その結果、殆どの証拠がないままの裁判は、狩魔側による証拠品の捏造や自白強要に至り、それを御剣信が暴いた結果、狩魔の処分と、それを逆恨みした狩魔による御剣信の殺害という「DL-6号事件」へと繋がった。


この事件によって、後に逆転裁判シリーズの多くの登場人物達の人生が狂わされたのも周知の通りである。それ故に風見は諸悪の根源の1人なのである。


ブレイクモーションでは散々披露していた飴細工で自分を形作り、上下真っ二つに叩き切るというものだが、その作成工程上「中身は空っぽ」であり、それすなわちコイツの薄っぺらなゲス皮一枚剥いた結果出てくる中身をも表わしている。


関連タグ編集

逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧

逆転検事2

天海一誠 氷堂伊作 デリシー・スコーン


パティシエ 諸悪の根源 毒親

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