「ほんっとムリですからッ!」
「ケーサツ呼びますよ。ケーサツッ!」
概要
『逆転検事2』第2話『獄中の逆転』&第5話『大いなる逆転』に登場。年齢24歳。身長178cm。
『タチミ・サーカス』の新米団員で猛獣使い。『タチミ・サーカス』は企業化されている為、猛獣使いの草太は『興行部猛獣使い課』に所属している。社内では新米平社員として扱われており、課長のミリカは上司に当たる。この様な勤務事情から職業を質問されると「サラリーマン」と答える様にしており、草太本人曰く「サーカス団員だって立派なサラリーマン」との事。
上司のミリカは無邪気な性格に反して、人使いが荒い一面があり「草太は彼女に最も翻弄されて苦労を重ねている立場にある」と言っても過言ではない。現に彼は多芸多才の実に優秀な青年ではあるのだが、その有能ぶりからミリカに付け込まれており、他の団員にはさせない様な多種多様な雑用、無理難題な仕事の数々を押し付けられて酷使されている。若干24歳の新社会人という立場に反して、その苦労が絶えない多忙ぶりからは、どことなく「既に一般サラリーマンの平社員の如き哀愁」が漂っている。
普段は柔和な笑顔を浮かべた穏和な青年だが、非常に臆病な性格で些細な事に怯えては「ムリムリムリ!」と叫び出すのが口癖。恐怖感や緊張感を感じると「見ざる聞かざる言わざるを元にしたポーズ」を取る。入団したばかりの猛獣使い見習いなだけに、まだまだ力量不足の模様だが、現時点でも舞台に立つのは許可されていて、大抵は動物達と共演するショーで悪役ばかり任されている。
サーカスの動物では曲芸師を担当する「猿のルーサー」が相棒。ルーサーからは大いに懐かれていて、仕事でも私生活でも片時も側を離れようとしない程である。草太がルーサーを肩車して登場する事も多い。但しルーサーは大のイタズラ好きの為、相棒の草太にも髪を引っ張ったり、持ち上げたりするイタズラをしている。草太本人は何をされてもどこ吹く風で、いつもルーサーの好き勝手な振る舞いを許して思うがままにされている。その光景は「草太がルーサーに操られている様子」に見える。草太の名前の由来も「猿が代わりに操作する」の捩りとなっている。
民間セキュリティーのボディーガード内藤馬乃介とは、お互いに唯一無二の幼馴染にして親友の関係にある。彼とは同じ小学校に通学していた。ちなみに甘い物が嫌いで、外出先で知り合った弁護士・信楽盾之から飴を差し入れされた時も拒んでいた。
第1話『逆転の標的』での殺人事件の真犯人だと暴かれて逮捕された親友・内藤の面会目的で、彼の収監先とされた美和マリーが所長を務める刑務所を訪問する。しかし不幸な事に内藤は何者かに殺害された挙げ句、草太が容疑者とされてしまう。仕事で偶然、刑務所を訪れていた検事・御剣怜侍は親切心から「草太の弁護役」を自ら請け負い、彼の無実を立証する事に成功する。草太は御剣に深く感謝し「これからは馬乃介の分も頑張って生きて行く」と誓うと刑務所を後にした。それから数日後、思いがけない形で御剣と仲間達との再会を果たし、同時にサーカスで専用の衣装を着て働く姿を初披露した。
容姿
私服
茶髪のロングヘアで、頭頂部の左右をツーサイドアップにした独特の髪型の持ち主。しょっちゅうツーサイドアップは、ルーサーにレバーやロープの様に扱われて弄ばれており、草太本人もそれに合わせて手を動かすのが癖の様になっている。ピンクのパーカーの下には特撮ヒーロー・オニャンコポンの顔が描かれたTシャツを着ている。青い半ズボンは裾を捲って履いてサンダルを履いて移動する。
舞台衣装
第2話『獄中の逆転』では私服姿に徹していた草太だが、第5話『大いなる逆転』では終始、舞台衣装を身に纏う。本来この姿を見せるのはサーカスのショー出演に限られるが、今回はショーの開催直前に取り調べを受ける事となった為、舞台衣装のままで対応する。外見は一言で纏めると「髪型以外、典型的な紫のピエロの衣装」である。
髪型はツーサイドアップは解いて、通常のロングヘアを無造作に下ろしている。顔には厚塗りのピエロメイクで顔面が真っ白に塗られ、両目の下には「薄紫の涙の様な模様」が描かれる。流石に着替えの方は草太自身で行っている様だが、ピエロメイクは手懐けた動物達に任せている。衣装は上着が「濃い紫と薄い紫の縦ボーダー模様」で、フリルで形成された大型の白い襟巻きが目を引く。ズボンは暗い紫のバルーン状の物を着用。ピエロらしく足先の尖った独特の靴を履く。この姿になるとルーサーとのみ戯れる私服姿とは違い、他の動物達と行動を共にする時が増える。
関連イラスト
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以下ネタバレ注意!
※以降は逆転検事2での活躍についての既述です、未プレイの方はご注意を!
悲哀の猛獣使い、激動の生涯
「‥‥ウソとかホントとか、どうでもいいよ」
「ただ、ミツルギさんがオレを怒らせたってだけさ」
猛獣使いの本性
『逆転検事2』のラスボスにして、常に存在がほのめかされていた「赤いレインコートの男」の正体。『検事2』の全ての事件を影から意のままに操って来た「正真正銘の黒幕」である。第3話『受け継がれし逆転』の真犯人・風見豊の実の息子に当たる。草太本人も自分が黒幕である事は、強く自認した上で意識して振る舞っている。何かと「オレが黒幕」との強調して発言するのが口癖となっている。スタッフ曰く「真の黒幕であり裏主人公」との事。
最終話となる第5話『大いなる逆転』では、とうとう御剣と仲間達に一連の事件の黒幕だと気付かれ、自分の潜伏先にして生活場所も兼ねる『タチミ・サーカス』のテント内部へと突入して来た、彼らを迎え打つべく本性を現して応戦する。この時は普段からサーカスのショーで身に纏う紫のピエロの装束となり、顔にはピエロ専用の厚化粧が施されている。表情も激変し、ピエロの格好をした端正な顔立ちの持ち主ではあるが、今まで内に秘めていた狡猾さや残忍性が如実に反映された凶悪な面構えとなっている。普段のショーではサーカスの動物達にこき使われているかの様に見える草太だが、恐るべき本性を現した時には動物達にも畏怖の念を抱かれているのか、彼らを奴隷の如く扱う主人として振る舞う。小動物達をトーテムポールの様に立たせて自身の肘掛けにしたり、会話相手をおちょくる時にはリス達をお手玉にしている。他人を馬鹿にする時には顔芸とも言える位、若干コミカルだが邪悪な笑顔を浮かべる。豹変直前のイベントでは「ピエロメイクすらも、支配下に置いている動物達に行わせている事」が判明する。
父親の風見に捨てられた挙げ句、後述の事情により大勢の大人達から追われる身となったが故、自分と了賢以外の人間を見下している。菓子職人の父親に捨てられたトラウマが原因で、少年時代とは嗜好が逆転し「甘い物が嫌い」となっている。風見とは外見上は似ても似つかない親子に見えるが、内面には共通点が多々ある。自分の罪を他人に擦り付けて逃げる犯行の手口、舌を出して会話相手を嘲笑する癖、そして何よりも「自分を守る為ならば手段を選ばず、平気で無関係の他人まで犠牲にする主義思想」が最大の共通点に挙げられる。訳あって小学生の頃に風見に捨てられて以来、父親とは絶縁し遠く離れた場所で生活していたものの、自然と似通った面が生じたのも皮肉と言える。構図は全く異なる上、互いに無干渉だったとは言え、草太と風見には「親子揃って十数年間、自力で必死に逃亡生活を続けて来たという経歴」が共通しているのも2人が似た者親子となった一因に含まれる。
「全ての黒幕」並びに「人間という猛獣を操る猛獣使い」とも称し、その自称も頷ける程「自分は手を汚さず何の危険も冒さない状態で、他人を意のままに操って様々な犯行を教唆したり、望み通りの結末へと誘導させる極めて優秀な知能」を備える。「『逆転』シリーズ史上、最高の知能犯」との呼び声も高い。草太は『検事2』での一連の事件のほぼ全てを意図的に引き起こしている。彼が関与していない事件は第1話『逆転の標的』での大統領・王帝君の影武者による狂言暗殺、内藤が個人の私情から起こした上司・外城涯殺害事件、そして第3話『受け継がれし逆転』にて実父・風見豊の犯行に当たる事件のみである。追っ手から逃れて生き延びる為だけに、ありとあらゆる才能を磨き上げて来た為、人間離れした多芸多才の持ち主となっている。「日常生活とは無関係の分野」でも優れた適正や才覚を発揮し、トラックや気球の運転、点字の通訳、ボイスチェンジャー無しでの声帯模写もこなす。『逆転』シリーズの歴代犯人の中では随一のハイスペックを誇る。
また後述する草太の生い立ちからも解る通り「歴代犯人&歴代ラスボスの中ではトップクラスの悲惨な境遇の持ち主」としても有名。『逆転』シリーズを代表するソシオパスではあるが、草太も彼なりに卑劣漢と言える部分はある。御剣に追い詰められた終盤では、開き直って怨敵だった一柳万才、美和マリーのみならず、何の罪も無い少年・相沢詩紋、幼馴染・内藤にまで罪を着せようと図った。「『逆転』シリーズの2作目のラスボス繋がり」から意図的に設定されているのか、激しい二面性を持つ冷酷な美青年、凄腕の殺し屋・虎狼死家左々右エ門との関係等『逆転裁判2』の王都楼真悟を彷彿とさせる要素も多い。
少年時代
幼少期は外見も性格も「どこにでもいる様なごく普通の少年」であった。黒髪のショートヘアの穏やかな顔付きの子供で、年相応の明るく素直な性格をしていた。今では総白髪の父親も若い頃には黒髪だったので、青年である現在の草太も地毛は黒髪で、自分の正体を隠す目的で髪を茶色に染めていると思われる。物心付いた頃には母はおらず、シングルファザーの風見に男手一つで育てられて来た。唯一の自分を養育してくれる肉親なだけに父親への愛情は強く、菓子職人でありながら味覚障害を患ってしまった風見を助けたい一心で、彼の仕事の手伝いも積極的に行っていた。味が解らない風見の代わりに試食係を担い、味を判別して父に助言を与えるのが草太の役目であった。風見からは「ワシのお菓子を食べるのが大好きな子供じゃった」と語られている。
菓子職人・氷堂伊作、彼の実子・内藤馬乃介とは幼い頃から親交がある。馬乃介と同じ小学校に入学した事を切っ掛けに2人とは知り合った。更に息子同士に友情が芽生えたが故、父親同士の風見と氷堂も知り合い「菓子職人としての互いの短所を互いの長所で補い合う仕事仲間の関係」に至る。「風見は味は上質だがデザインが未熟、氷堂はデザインは優れているが味は今一という難点」を抱えていた為、共に仕事仲間に自分の苦手分野を任せる事で職務に対応していた。作中では「草太と馬乃介の小学校の入学式での記念写真」が見られる。当時から両家の父親達は既に相手を快く思っていなかったのか、息子達の背後に立つ彼らは憮然とした表情と化している。その前に立っている息子2人は出会って即座に意気投合した様子で、肩を組み合い満面の笑顔を浮かべている。内藤とは「菓子職人でシングルファザーの父親と2人暮らしをしている」という家庭環境の共通点にも後押しされて、すぐさま打ち解けた模様。この時の草太は父が作った鳥型のキャンディーを口にし、隣の坊主頭の少年だった馬乃介はピースサインをしていた。10歳手前から「途轍もない悲劇の連鎖」に見舞われた草太の人生の中で、恐らく「唯一無二の幼馴染である馬乃介と只の親友同士として共に通学していた頃が、人生で最も幸福だった期間」だったと想像が付く。
狂い始めた人生(『逆転検事2』第3話『受け継がれし逆転』)
出会って間もない草太と馬乃介が「仲睦まじい幼馴染」となって一緒に楽しく小学校生活を送る裏で、長年の仕事仲間だった2人の父親・風見と氷堂の信頼関係は、風見の味覚障害が原因で綻び始めていた。試食係をさせている「息子の草太以外の人間に、味覚障害者である事実を知られてしまえば、菓子職人として再起不能となる事」を恐れる余り、風見は誰とも協力せずに極秘かつ自力で障害を克服しようとする。そんな彼にとっては「救済措置とも言えるイベント」が開催される。それは当時「天下一の菓子職人」として名を馳せていた天海一誠が主催する『お菓子コンテスト』であった。このコンテストの優勝賞品は通称『究極のレシピ』と言い、天海グループが開発した未発表の新薬の調合書なのだ。「味覚障害も、万能薬の調合書『究極のレシピ』を使って自主製作した薬であれば、誰にも弱味を握られる事の無いまま完治させられる」そう悟った風見は仕事仲間・氷堂、試食係・草太を引き連れて万全の態勢を整えてコンテストに挑む。まだ幼い為、父の氷堂から引き離せない内藤も同行者に加えられた。
当初の風見は順当にコンテストを勝ち進み、正攻法で『究極のレシピ』を手に入れようとしていた。しかし決勝戦まで勝ち進んだ時、思いがけない相手から最悪の形で裏切られる。裏切り者はコンテスト以前の共同作業の時点で、風見の味覚障害に気付いていた氷堂だった。氷堂は息子の馬乃介に「草太を誘拐して自家用車に監禁し、私が戻って来るまで監視役になれ」と命令し、コンテストが終わるまでを目安に草太と馬乃介を車内に監禁した。「試食係の息子がいなくては、これ以上コンテストを勝ち抜く事は不可能」と悟った風見は、隠し部屋に保管されている『究極のレシピ』を盗撮する暴挙に出てしまう。その現場を抑えた氷堂は風見の前に姿を現し「味覚障害と『究極のレシピ』の盗撮を公表されたくなければ私の要求に従え」と風見を恐喝し、大金を巻き上げようとした。氷堂の仕打ちに激怒した風見は2人で大喧嘩を始め、氷堂から暴力を振るわれて怪我まで負ってしまう。
そして、とうとう堪忍袋の緒が切れた風見は、その場にあった鈍器で氷堂を衝動的に撲殺し、誰にも知られない場所に彼の遺体を隠した。そして混乱に乗じて『究極のレシピ』を盗み取り、そのまま『西鳳民国』へと国外逃亡すると同時に一人息子の草太をも捨ててしまう。『お菓子コンテスト』は決勝戦の出場者・氷堂が殺害された為に中止となり、彼の遺体が発見されない事が主因で捜査は迷走し、その結果として天海が誤認逮捕されて被告人となった。大勢の人々を犠牲にして逃走に成功した風見は望み通り、盗んだレシピで味覚障害を完治させ、海外にて19年間という鍛練を積み重ねた結果「世界一の菓子職人の座」を手にした。逃亡犯に身を堕としてまで望むもの全てを手にした彼が、捨てた息子を省みる事はただの一度も無いままであった。仲間割れによる諍いの末に風見が氷堂を殺害した事件は、後に「通称IS-7号事件」と呼ばれる様になった。
一方、置き去りにされた草太は自分の命まで失いかける危機に瀕していた。事件当日は大雪の降る真冬で、監禁場所の氷堂の車のドアは凍り付いてしまった。草太は両手を拘束されていたので、車内の暖房も付けられず、凍死寸前にまで追いやられる。馬乃介も父・氷堂からの命令には逆らえず、嫌々ながらも「親友・草太の監視と拘束」を氷堂が戻って来るまで続けざるを得なかった。草太と違って拘束こそ無いものの、非力な少年には変わりない馬乃介までもが車内に閉じ込められた。彼らが「極限状態の中2人揃って凍死するのか」と思っていた矢先、予想外の第三者が現れて2人を救った。
その人物は凄腕の殺し屋・鳳院坊了賢であった。彼は生まれつき盲目で、常に盲導犬のクロを引き連れていた。草太と馬乃介の存在に興味を持ったクロは2人が監禁された車の窓に張り付いた。飼い犬の異変から事態を察した了賢は「流石に罪の無い子供達が、目の前で死んで行くのは忍びない」と暗殺者らしからぬ気まぐれから草太と馬乃介を救出した。2人は極度の寒さで弱り果てて意識は朦朧としていた。馬乃介の方は気絶同然の状態に陥っていたので、生涯を通じて「了賢という自分と親友を救助してくれた人物の存在」に気付く事は無かった。反面、草太の方は「僅かながら鮮明化された意識」を保持しており、この時に自分を助けてくれた恩人として了賢を意識し、親代わりに慕う様にもなった。
命拾いした草太と馬乃介だったが、監禁事件で凍死しかけたのが原因で「記憶障害の罹患者」となってしまい、何とお互いの父親を自分の実父だと誤解する状態と化した。草太は「自分の父・氷堂を殺害したのは馬乃介の父・風見。馬乃介は親友の自分を裏切って、父親の犯行に荷担して氷堂を殺害し、自分を拉致監禁して凍死寸前にまで追い詰めた」と誤解したのを切っ掛けに、表向きには唯一人の幼馴染として交友関係を続ける裏で「いつか必ず復讐してやる」と誓う程、激しく馬乃介を恨む様になる。
一方、馬乃介も「自分の父・風見が草太の父・氷堂を殺害したせいで、草太を天涯孤独にしてしまった」と罪悪感に苛まれる様になっていた。馬乃介が青年に成長した後、警察が「真相を打ち明けるのに丁度良い頃合いになった」と判断し、内藤の元を訪問し「実父・氷堂の遺品」を届けると共に、事件当時の真相を聞かせた事で、前述の誤解の解消に繋がった。全てを知った内藤は「真相を知れば余計に草太が苦悩する羽目になる」と憂慮し「何も知らない振りをして友人関係を続ける事で、たった1人の幼馴染の数少ない心の支えとして生き抜く」と決意したのだった。
本当の生き地獄の始まり(『逆転検事2』第5話『大いなる逆転』)
世間的には天海がIS-7号事件の被告人とされて、真犯人の風見は人知れず国外にて逃亡生活を送っていた為、草太が殺人事件の犯人の息子だと露見して迫害されるという惨事は起きずに済んだ。だが彼の不幸はまだ終わらず、むしろ本当の生き地獄はここから始まる。唯一の養育者だった父に捨てられて孤児となった草太は『ハッピー・ファミリー・ホーム』という孤児院の入居者に加わった。それから5年後、院長・美和マリーが共犯者と共に「ホームを舞台とする犯行計画」に乗り出した事により、またしても草太の人生は転機を迎えた。
同時期のホームの入居者には『西鳳民国』の大統領・王帝君の隠し子に当たる赤ん坊・相沢詩紋がいた。王は隠し子の存在を極秘事項として扱いながらも、息子への愛情は本物で1歳を迎える詩紋の誕生日を祝いに行こうと、密かに周囲の目を盗み『ハッピー・ファミリー・ホーム』へと単身で向かった。この「王が単独行動に出る千載一遇のチャンス」に便乗した極悪人達の仕業で、恐ろしいテロが『ハッピー・ファミリー・ホーム』で引き起こされた。何と王の影武者が「本物の大統領に成り代わりたいという願望」を叶える為だけに本物の王を暗殺し、入れ替わった自分の狂言誘拐を行い、偽造工作を行うという凶悪事件が発生したのだ。この歴史を変えた大事件は後に「通称SS-5号事件」と呼ばれる事となる。影武者には3人の共犯者がいた。1人目は事件当時の検事局長・一柳万才で、彼には詩紋の孤児院の場所を突き止めさせ、司法界の重鎮ならではの事件の隠蔽工作の主導者を任せた。2人目はマリーで万才から「ホームを暗殺現場として提供して欲しい」と要求された彼女は即座に許可した。3人目は一流の殺し屋・鳳院坊了賢で「大統領暗殺の実行犯を担って欲しい」と他の面々から依頼された為、最後の協力者に加わった。SS-5号事件当日の深夜、大統領暗殺の計画者4人はホームに集合し、息子との密会に向かう本物の王を待ち伏せして了賢に殺害させた。そして隠れ潜んでいた影武者、万才、マリーの3人は王暗殺直後、口封じ目的で了賢をも殺害しようとする。
「ここまでの事件の経緯」を運悪く目撃してしまった人物が1人いた。ホームの入居者だったばかりに、ホームの庭で起きた「SS-5号事件の唯一の目撃者」となってしまった草太である。彼は偶然にもホームの窓から事件を目撃してしまい、了賢の存在に気付くと「彼を助けて恩返しがしたい」と思う余り、事件の介入にも加わってしまう。草太は了賢が万才達に殺されかけた際、ホームに放火し万才らが消火活動に当たっている隙に了賢を逃がした。「親代わりの恩人の救出成功」に満足する草太だったが、この時の介入が原因でマリー達に「たった1人の目撃者となった事」に気付かれてしまう。それが仇となって彼の人生は、真夜中に発生した事件の翌日から「本当の生き地獄」へと変わり果てる結果に至った。
事件翌日からマリーは孤児院の院長の権限を駆使し、草太に「児童虐待にも当たる過激な尋問」を行い、了賢の逃亡先等の必要な情報を聞き出してから抹殺しようと図る。「数日間にも渡る拷問に等しい尋問」に堪えられなくなった草太はホームから脱走した。そして彼は何としても生き延びて、いつか必ず自分を生き地獄に突き落とした奴らに復讐する為、孤立無援の逃亡生活に入った。当時の草太はまだ12歳の少年で、その逃亡生活は12年間にも及んだ。彼を捕らえて息の根を止めようと目論む連中は王の影武者、万才、マリーと司法界にも顔が利く権力者揃いで、彼らから放たれる追っ手も「司法機関から派遣された大勢の大人」であった。「本来なら子供を庇護し、頼りにされるべき司法機関の大人達」に命を狙われるという、過酷な環境下で草太の心は荒んで行き、極度の人間不信にも陥ってしまった。
『タチミ・サーカス』への入団(『逆転検事2』第2話『獄中の逆転』)
逃亡生活の開始から約10年後。20代の青年に成長した草太は「各地を巡業する営業形態が逃走続行に役立つ」と睨み『タチミ・サーカス』に入団する。そこでの生活は正に「悲喜こもごも」の一言だった。上司のミリカには「逃走手段にするべく鍛え上げた才能の数々」に付け込まれ、雑用係としても酷使されて苦労が絶えない毎日を送る中、猿のルーサーというパートナーに巡り合い、行動を共にする事で心癒されたりもした。草太の入団後『タチミ・サーカス』は新事業に着手し、それはマリーが所長を務める刑務所の慰問公演『動物ショー』であった。元々、大の動物好きが高じて『タチミ・サーカス』とミリカの大ファンだったマリーは、そこに青年に成長した現在の草太がいるとも知らず、嬉々として『タチミ・サーカス』に『動物ショー』の開催を依頼した。幾度かの公演後「殺人を犯した内藤が、マリーの刑務所に収監された」という報告が飛び込んで来る。これを耳にした草太は「憎んでいる2人を纏めて始末すべく、内藤の投獄と『動物ショー』に便乗しての犯行に出よう」と思い立つ。
『動物ショー』の主催者ミリカの助手として付き添った草太は、入所していた親友の内藤&恩人の了賢と面会する。
内藤の真実が明かされると錯乱、自らが全ての事件の黒幕であることは明かしてしまうものの、具体的な関与・指示については否認し、証拠がないとして逃げようとするトリッキーな態度を取る。自分自身は人を殺美雲誘拐の時に想定外の事態が発生。籠目つばさと一柳万才の衝突させ、美雲を巻き込むために気球でタワーの屋上に向かったが、そこに水鏡秤と王帝君の密会があり、王は水鏡を帰して草太と気球に隠し持っていた銃で応戦。草太も、咄嗟の反撃で気球で突進し、王の殺害をしてしまう。その後も機転を利かせて罪から逃れるべく工作するが、人を操り、自分は手を汚さないスタンスを取っていた草太にとっては、言い逃れが出来ない実行した犯罪行為だったので、追求を避けようと話をすり替えようとした不自然さが仇となる。
最後の最後まで諦めない御剣達の奮闘によって、証拠が暴かれて御用となる。この時、ずっと自身が「こき使っていた」動物達から次々にフルボッコされた。
真実が明らかになるのを見計らって姿を表した虎狼死家左々右エ門に、大統領暗殺未遂事件で暗殺を依頼した際に「ターゲットに関するウソをついた」(影武者であることを知りながら大統領本人として依頼)「自分もコマとして扱おうとした」として殺されそうになるが、すんでのところで了賢が間に入ったことで救われる。しかし、了賢から、大人として過ちを犯せば償うことを教えられるべく(了賢曰く灸を据えるとのこと)、彼と一緒に刑務所へ入ることとなった。
大人たちに裏切られ、翻弄され、警察も含めて頼る者がなく過ちに手を染めてしまった草太。
恐ろしいけれども哀しい、ムジュンをはらんだ彼の存在が、御剣は権力を持つ側としてその役割を正していく必要性を覚えて、「”検事”として人を救う」という道を選択するキッカケとなった。
また、御剣とは『狭いところに閉じ込められて死にかけた』、『子供の頃親を失った』、『誰も信用できなくなった』等、共通点もあり、彼のifの姿と捉えるプレイヤーもいる。
余談
没設定では狩魔豪の息子という設定だった。
アクロとの比較
逆転裁判2の登場人物であるアクロと草太は所属がタチミ・サーカスで猿のルーサーと関わりがあり、親に捨てられているという共通点があるさらにもう一つの共通点として彼ら(アクロは意図せず殺してしまったが)の被害者はどちらもリーダー格で人望があるという共通点がある
- 立見団長:人格者でアクロとバットの育ての親。サーカスの団員からも慕われてるが、娘には罪悪感無く育って欲しいという考えてる為教育には少々問題のある人物
- 王大統領:人格者でカリスマ性のある政治家。(現在は影武者が本人になりかわっており。小心者の卑劣漢)
しかし、アクロは団長殺しの容疑はマックスに被せようとしたが、マックスに罪を着せる事に罪悪感を抱いており、法廷で成歩堂に追い詰められた際は潔く罪を認めたが一方の草太は13歳の中学生に平然となすりつけ、御剣に追い詰められた際は怨敵である自身の人生を狂わせた一柳万才、美和マリー(この2人も最低な犯罪者だが、)と自身を親友と思っていた男のせいだと開き直り、惨めに足掻くなどアクロと比べたら卑劣漢振りが目立つ。
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