※芸名だけで検索した場合、各種作品のバットと混同するおそれがあるため、
可能な限り、逆転裁判というキーワードを入れるか、本名で検索することを推奨
概要
『逆転裁判2』第3話『逆転サーカス』に登場。年齢22歳。身長不明。年齢は人物ファイルで確認出来るものの、関連書籍には未記入となっている身長は不明。兄とは4歳離れている。幼く見えるが、マックスより1歳年上である。
『タチミ・サーカス』のアクロバット芸人。木下一平は本名で、ステージネームはバット。アクロ(本名・木下大作)の弟で、兄とコンビを組んで「兄弟ならではの息の合ったパフォーマンス」を披露する、サーカスの花形芸人の一角を担った。サーカス団員全員に共通しているが、各地を巡業しつつ宿舎で日常生活も共にする間柄なので、仕事以外の場でもお互いをステージネームで呼び合っている。現にアクロも兄弟でありながら、日常生活においても弟を一貫してステージネームで呼ぶ。
元々は一般人だったが、少年時代に生活苦が原因で兄と共に両親に捨てられて孤児となった。その後は伯父・立見七百人に引き取られ、サーカスの団長を務める彼への恩返し目的で兄弟揃ってアクロバット芸人となった。ミリカとは父親同士が兄弟なので、彼女の従兄弟に当たる(立見団長の弟がアクロとバットの父親)。『2』の攻略本のインタビューでは、兄のアクロが「弟は純朴で明るい性格の持ち主で、誰からも好かれる良い奴だった」と語っている。
ミリカに好意を寄せている男性団員の1人で、他にはマックスとリロの2人がいる。恋敵なのを理由にマックスとリロが犬猿の仲なのに対し、バットは人柄の良さ故に彼女を巡る争いに巻き込まれてはいなかった模様。ミリカを甘やかす一方の彼らと違って、彼女の気を惹きたい余り頻繁にイタズラをしていた。この従兄妹同士のやり取りはサーカスの人々からは「子供同士のじゃれ合い」と微笑ましく思われていた。ミリカとは以上の関係だったからこそ、マックスとリロからは恋敵として認識されずにいたのかもしれない。「団長によってミリカとバットは従兄妹同士で、幼少期から同居して一緒に養育されて来た間柄」なのは、団員全体にとっては公然の事実である。マックスとリロから見れば「お互いを兄弟に近い存在と見ているだろうから、2人共に恋愛感情は不在だろう」と判断されていた線もある。ちなみに国によっては禁止されている場合もあるが、日本では従兄弟との結婚は可能となっている。
半年前までサーカスの人々と平穏な生活を送っていたが、練習中の事故で意識不明の重体に陥り、現在も病院のベッドで昏睡中の身にある。この事故は余りにも凄惨な内容である為、団員の誰もが口にするのを避けている。ゲーム版ではバットの姿は「事故の瞬間の回想」でしか見られないが、アニメ版では「事故以前の様子」が描写されたシーンが増加している。OPでは「サーカスのテント前での団員の全員集合」「空中ブランコを華麗に操る共演者とのアクロバットシーン」が見られる。後者では兄アクロ、本編では接点の無かった成歩堂龍一、綾里真宵の3人と共演しアクロバットを披露した。本編でも「健常者だった頃の生活風景」「病院のベッドで昏睡している場面」が挿入された。
名前の由来は本名「木下一平」の苗字は『木下大サーカス』で、ステージネームはアクロバットの一部から取られているのは兄弟共通。英語版では「sean・Dingling(ショーン・ディングリング)」という名前。こちらはアメリカの著名なサーカス団「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス(通称リングリング・サーカス)」に由来する。
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※以下、第3話の重要なネタバレあり
頭を噛まれた青年
実はミリカと並ぶ、半年前の事故と今回の団長殺害事件のキーパーソン。今回の真犯人アクロの動機も「バットとミリカの処遇に対する怒り」に起因している。
常日頃からミリカにイタズラをしていたバットだったが、ある日の食堂で彼女に胡椒を振り掛けて、団員達の前でクシャミをさせて笑い者にしてしまう。普段はどんなイタズラも受け流していたミリカだが、今回ばかりは人前で恥をかかされた為に根に持ってしまい、仕返し目的で「バットにも自分と同じ思いをさせよう」と些細なイタズラを仕掛けた。それは大量の胡椒を振り掛けたスカーフをバットに贈り、彼のクシャミを誘発させるという内容だった。ミリカの真意も知らず、片思い相手からのプレゼントに舞い上がったバットはスカーフを着用した。
その後、彼は猛獣使いのミリカの持ち芸「ライオンのレオンの口内に頭を入れて、無事に生還する芸に成功したら一緒に映画を観に行こう」と彼女に誘いを持ち掛けた。そしてバットはスカーフを着用したままレオンの口内に頭を入れた瞬間、スカーフの胡椒が原因でクシャミをしたレオンに頭を深く噛まれてしまう。皮肉な事にミリカがバットに仕掛けたイタズラは、最悪のタイミングでレオンに発動してしまったのだ。即座に兄アクロが救助に向かったが、彼も混乱していたレオンに返り討ちにされて両足を負傷してしまう。こうしてサーカスの花形でもあった「アクロバット芸人・兄弟コンビ」は凄惨な事故の犠牲者となった事で、兄は下半身不随で車椅子生活、弟は脳神経を損傷して昏睡状態に陥り、アクロバット芸人としては再起不能になってしまった。2人に大怪我を負わせて深刻な後遺症を残したレオンは、団長に全ての責任を押し付けられて銃撃される形で殺処分された。いくら飼い馴らされていたとは言え「ライオンの口の中に頭を入れる」という行為は普通に考えて無謀であり、ミリカのイタズラが無かったとしてもアクシデントが発生する可能性は十二分にあったと言える。普段のミリカとバットの危なっかしい生活風景からしても、いずれ何らかのトラブルが起きていた可能性も高い。
レオンは罪相応の罰を受けたとも言えるが、そのレオンの暴走を招いた張本人のミリカは、父親の団長が「娘を罪悪感で苦悩させたくない」との思いから「ミリカに対する事故の具体的な説明、責任追求」を放棄してしまい「レオンは文字通り、お星様になった」と子供騙しにしても、お粗末な説明を受けるだけで終わった。それ故にミリカは一連の事故に対して罪悪感を微塵も持たず、事故以前と同様、無邪気に笑って生活する一方であった。
ここまでの惨状に堪忍袋の緒が切れたアクロはバットの仇討ちを果たすべく、ミリカへの復讐を目論み彼女を殺害しようとする。ところが、この時も娘を溺愛する団長が更なる事態の悪化を招いた。彼はミリカにアクロが送り付けた脅迫状を発見し、その目的に気付くと娘の身代わりとなって所定の場所に訪れてしまう。そして事件当時、アクロは団長をミリカだと勘違いし誤って殺害してしまう。父親代わりにして恩人だった団長を深く敬愛し、親密な関係を築いていたアクロは団長を誤って殺害してしまい、肝心のミリカは取り逃がすという更なる不幸に見舞われた。この事態を前に自殺や自首まで考える程、苦悩を深めるアクロだったが、彼は弟への愛情から更なる罪を犯してしまう。今回は事件当時の状況からマックスが誤認逮捕される羽目になったのだが、アクロは「兄の自分が逮捕されては、弟の目覚めを待つ者がいなくなる」と危惧する余り、証人として召還された法廷にて「マックスに罪を着せる目的での偽証」にまで及んでしまった。マックスの担当弁護士・成歩堂龍一の手で全ての犯行を暴かれたアクロは、これまで胸に溜め込んで来た悲しみを露わにして落涙しマックスに謝罪すると、最愛の弟バットへの兄弟愛から「俺は‥‥まだ、いなくなる訳には‥‥」と悲哀に満ちた言葉を残して警察に連行されたのであった。