概要
『逆転裁判2』第3話『逆転サーカス』に登場。年齢26歳。身長180cm。
『タチミ・サーカス』に所属するアクロバット芸人。通称アクロ。団長・立見七百人の甥で、一平(通称バット)という弟がいる。半年前までは、弟のバットと一緒に「アクロバット兄弟・芸人コンビ」を組んで活躍していた、サーカスの花形の1人でもあった。父親同士が兄弟の為、ミリカから見てアクロとバットは従兄弟に当たる(立見団長の弟が、木下兄弟の父親)
少年時代に貧困が原因で、両親から弟と共に捨てられてしまい、伯父であった団長に引き取られ、従姉妹のミリカと一緒に育てられて来た過去を持つ。サーカスも経営難に陥っていた中、苦労しながらも自分達兄弟を、実子同然に愛情を注いで育ててくれた、伯父に強い恩義と敬愛を抱いている。木下兄弟がアクロバット芸人になったのも「父親代わりとなってくれた団長への恩返し」が目的である。裁判長はこの手の話に弱いらしく、法廷で彼の身の上話を訊いて目を潤ませていた。
どことなく南米の部族を彷彿とさせる、額当てとフェイスペイント、日焼けした筋骨隆々の肉体に、トライバル模様が入った黒のタンクトップとリストバンドが特徴。フェイスペイントを除くと、これらの服装の特徴は弟のバットにも共通しているが、兄弟なのを強調する為、兄のアクロに比べると簡素なデザインとなっている。
半年前に起こった練習中の事故で脊髄を損傷し、下半身不随となった現在は車椅子でのリハビリ生活を送っている。この時の事故では弟のバットも頭部を負傷し、現在も病院で昏睡中の状態にある。兄弟揃って「アクロバット芸人としては再起不能」となってしまったが、それでも尚、自分達兄弟を見捨てず、サーカスの一員として扱い、介護までしてくれる『タチミ・サーカス』の人々には深く感謝している。
それなのに不憫な事に、足が不自由でありながら「そこしか空いてないから」との理由で、サーカスの宿舎の3階の部屋に住まわされている。しかもアクロには「定期的に昏睡中のバットの見舞いに行く用事」もある。「彼が車椅子使用者なのを失念しているのか」と責められても不思議ではない仕打ちである。こんな環境にもアクロは文句も言わずに適応している。ちなみに1日目の探偵パートに現れなかったのは、弟の見舞いに行っていたからである。
穏和で寛大な男性で、礼儀正しく義理人情にも厚い。常に落ち着いた性格で滅多な事では動じない。彼の人徳に惹かれているのか、人間のみならず、不思議と動物にも好かれ易い。常にアクロの周りには、彼のペットである3羽の小鳥が飛んだり、飼い主の肩や車椅子を止まり木にしている。裁判所での証言中も小鳥達は気ままに振る舞い、時には主人を庇おうとしてか、成歩堂龍一を攻撃する場面も見られる。3羽の小鳥はアクロが険しい顔つきに変わると、彼を恐れてか画面外へと飛び去って行く。
「サーカスのトラブルメーカー」として悪名高い、生意気で手癖の悪い猿のルーサーも、アクロには懐いていて彼の前では素直になる。アクロの部屋にルーサーは住み着いていて、あちこちから盗んだ「光り物コレクション」を無造作に置いている。最近では『国際マジック協会コンテスト』で、グランプリ受賞を記念して制作された『マックスの胸像』が盗まれて騒動になった。この『マックスの胸像』は未だに行方不明である。
「団長にも比肩する、サーカスきっての公明正大な人格者」として評判で、サーカス中の人々から慕われている。自分とは対照的に、高慢ちきな性格と言動から団員達には嫌われているマックスにも「謙虚な人格者ならではの広い視野」から、他の団員とは異なる反応を見せている。アクロは「マックスの態度には問題があるが、彼の実力やプロ意識の高さは評価に値するもので、このサーカスに来てくれて良かった」と高評価している。基本的にミリカ以外の団員達は見下す上、正反対な性格ながらも、マックスもアクロの人徳に関しては認めている。
一方サーカスの観客にも団員にも「サーカスのアイドル」として扱われ、その美貌と純真無垢な心の持ち主である事から、観客及び団員達からの寵愛を一身に受けるミリカには、どこか突き放した様な態度や物言いを見せる。周囲の大人達が彼女の幼稚な人間性を放置し、どこまでも現実逃避させる環境に置いている事には、何かしら思う所がある様だ。驚くべき事に誰が相手でも柔和な対応を見せるアクロも、ミリカにだけは「最早、従兄弟としての情は捨てた」と言わんばかりに「的を射た内容だが冷徹な意見」を述べる事も多々ある。
足が不自由な為、移動範囲には大きな制限があり、私室の窓の下すら覗けない人物なので、当初は事件関係者からは除外されていた。それでも「何としても成歩堂に勝利したい」と望む狩魔冥に説得され、事件当夜にマックスらしき人影を見ていた事を思い出したのを理由に、アクロも2日目の法廷に証人として召還される事となった。
名前の由来
本名の「木下大作」は実在のサーカス団『木下大サーカス』に由来する。スタッフは『逆転サーカス』の制作に当たり、このサーカス団への取材を行った。ステージネームは「アクロバット」を二分して、兄の大作には前者の「アクロ」が、弟の一平には後者の「バット」が与えられた。
英語版でもステージネームの「アクロ」が流用され、本名の苗字が著名なサーカス団に由来している。こちらでは「Ken・Dingling(ケン・ディングリング)」という名前で、アメリカの代表的なサーカス団『リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス(通称リングリング・サーカス)』が由来。アクロバット芸人なだけに英語で「ぶら下がっている」を意味する「dangling(ダングリング)」とも引っ掛けているとの意見も見られる。『リングリング・サーカス』は日本の『木下大サーカス』、ロシアの『ボリショイ・サーカス』と並んで「世界三大サーカス」の称号を欲しいままにしていた。しかし皮肉な事に『タチミ・サーカス』での事件が発生した2017年『リングリング・サーカス』は廃業してしまった。元々は一般人だったアクロとバットだが、日本語版にせよ英語版にせよ、いずれサーカスの団員となる事を宿命付けられた様な名前である。この兄弟の不幸がサーカスに入団した事も一因であると考えると、何とも言えない気持ちにさせられる。
別名・表記ゆれ
アクロ:こちらは重複が多い為、タグは本名の木下大作がお勧め。
関連タグ
以下、『逆転裁判2』(第3話)とアニメ版(第20話)のネタバレの為、クリア後の閲覧推奨。
涙の綱渡り
「‥‥‥‥‥‥おみごとです。オレの負けです。さすが、プロですね」
第3話での殺人事件における、立見七百人を殺害した真犯人。事の発端は「半年前に起きた、不慮の凄惨な事故」によって、アクロとバットが負傷してしまい、それぞれ重篤な身体障害者になってしまった事にある。
バットはミリカに片思いしていて、彼女の気を惹こうと、よくイタズラをしていた。ある日の食堂でバットが胡椒をミリカに振り掛け、クシャミをした彼女は同席していた団員達に笑われてしまう。普段は大抵のイタズラは受け流すミリカも、今回ばかりは「恥をかかされた」と根に持ち、バットに仕返しも兼ねたイタズラを仕掛ける。それは「大量の胡椒を振り掛けたスカーフをバットに贈り、彼のクシャミを誘発させる」という内容だった。何も知らないバットは好きな子からのプレゼントに喜び、すぐにスカーフを着用した。
その後バットは、本来は猛獣使いのミリカにしか出来ない「ライオンのレオンの口内に頭を入れた後で、無事に生還する芸を成功させられたら、一緒に映画を観に行って欲しい」と彼女に頼み込む。ミリカからの了承を得ると、彼はスカーフを着用したままレオンの口内に頭を入れてしまう。その時スカーフの胡椒でクシャミをしたレオンは、誤ってバットの頭に深く噛み付いてしまった。レオンは胡椒の刺激から暴走を始め、弟の救助に駆け付けたアクロの両足にまで噛み付いた。不運にも兄弟揃って、ライオンに噛まれて負傷したアクロとバットには、それぞれ深刻な後遺症が残った。兄のアクロは下半身不随となって車椅子生活に、弟のバットは脳髄の損傷で昏睡状態に陥った。レオンは「事故を起こした猛獣だから」と全ての責任を押し付けられ、団長に銃撃されて殺処分される結果となった。
子供じみたイタズラ心からレオンの暴走の引き金を引いた張本人、ミリカは事故の関係者の中では唯一の無傷で、精神的ダメージすら負わずに済んだ。何故なら立見団長が「溺愛する娘に、罪悪感を教えて苦悩させたくない」との思いから、ミリカへの事故が招いた惨状の説明、彼女の責任の追求を完全に放棄してしまったからである。団長がその代わりに、娘にした事と言えば「子供騙しとしても、お粗末過ぎる言い訳で、不都合な事全てを誤魔化した」という言葉に尽きる。何と「死んだら皆、お星様になるから、その中の1つにレオンもなった」の一言だけで説明を片付けてしまったのだ。こうした父親からの徹底的な庇護によって「事故以前のパートナーでもある、動物のレオンの死」からも目を逸らされたミリカは、何に対しても全く罪悪感を覚えないまま、事故以降も平穏無事に過ごす一方であった。
彼女を「弟を死者同然の存在にした元凶」として憎む様になったアクロにとっては、このミリカへの甘過ぎる処遇だけでも許し難いものであった。更に障害者となった自分の介護役の1人に「元から従兄弟同士で、幼い頃から家族同然に過ごして来た相手だから」とミリカが選ばれた事も、火に油を注ぐ事となった。彼女は主にアクロの部屋の掃除をしたり、彼の元に食事を運ぶ係をしていたのだが、その度にアクロは「事故の被害者達を省みる事もせずに、余りにも無邪気に笑って日常を送るミリカ」への憤怒と憎悪を日毎に募らせて行った。とうとうミリカへの復讐心まで芽生えたアクロは、彼女の殺害を目論む様になるが「下半身不随の自分では、どうする事も出来ない現状」にも憤懣やる方ない思いを抱いていた。
そして事故から半年が経った頃。マックスがマジシャンの世界大会で優勝し、賞品である自分の胸像を持ち帰って来た。この『マックスの胸像』はブロンズ製で、両手にトランプ数枚を持った彼の姿を象った物で、トランプはプラチナ製だった。当初は胸像は記念品として、サーカスの食堂に飾られていたが、まんまと光り物好きなルーサーに盗まれてしまい、同居人のアクロの部屋に隠される事となった。
「これを工夫して使えば、今の自分にも確実に標的を殺せる」そう悟った彼は自分にしか出来ない巧妙な犯行計画を組み立てた。元から体格にも腕力にも恵まれ、未だに上半身なら殆んど自由に動かせるアクロは「自分の住んでいる3階の部屋の真下にある、宿舎前広場にミリカを誘き寄せて、私室の窓から『マックスの胸像』を落として、彼女の頭部に命中させて撲殺する殺人計画」を練り上げた。凶器の選択は「他に適度な鈍器が入手出来ない為」であって、この時点ではマックスに罪を着せる意図は無かった。
最初に彼がした事は「ミリカの居場所を特定させる為の目印となる木箱」をロープを付けて、私室の窓から下ろして広場に置いた。次は密かにミリカのポケットに脅迫状を入れて、殺人現場へと誘き寄せようとした。脅迫状には「殺人者に告ぐ!半年前のあの事件を忘れてはいないだろう。私は決定的な証拠を預かっている。今夜10時、宿舎前の広場に来られたし」と書かれていた。「決定的な証拠を預かっている」という言葉は嘘であり、その証拠の正体は「標的のミリカに事故を想起させる為、前述の木箱に入れられた胡椒の小瓶」である。脅迫状では「バットは生存しているものの、死者に近い状態」に追いやったミリカを「殺人者」と糾弾し、半年前の出来事は「あくまで事故」なのだが「事件」と呼んでいる所からも、アクロの心痛が窺える。
ところが、ここからアクロの計画には狂いが生じて行く。脅迫状を送られたミリカは「半年前の事故は自分にも非がある意識」を欠片も持っていなかった為に、送り主の意図も読み取れず「他人への手紙が間違って自分に届いた」と勘違いして、団員全員が集まる食堂の掲示板に脅迫状を貼ってしまう。これを読んだ団長は瞬時に「脅迫状の送り主が娘への復讐を企てている」と察し、誰にも内緒でミリカの身代わりとなって、真犯人との密談に応じて説得を試みた。アクロは障害者なので団員の中では例外として、食事は私室に運ばれた物を口にしているので、食堂で起きた異変は知る由も無かった。
待ち合わせ時刻の夜10時、脅迫状に従って宿舎前広場には「密談に備えて、マックスのシルクハットとマントで変装した団長」がやって来た。彼は「標的の位置を確認する、目印として置かれた木箱」の中に「脅迫状で言及された、半年前の事故の証拠」が入っていると思って木箱を持ち上げた。その瞬間、私室の窓からアクロは、階下にいるのは団長とは知らないまま、ロープに括り付けた『マックスの胸像』を目印を頼りに落とし、これを首に落とされた団長は首を骨折して即死してしまう。偶然にも胸像が落下した反動で、彼が身に付けていたマントが『マックスの胸像』のトランプの部分に引っ掛かり、このままアクロがロープを引いて胸像を回収していた所、真夜中の暗闇の中、私室の窓から光景を目撃したトミーが「マックスが団長を殺害した直後、空を飛んで現場から逃走した」と誤解する原因となった。団長が木箱を持ち上げた時、彼の被っていたシルクハットも地面に落ちてしまい、そのまま現場に残されて、翌日に回収された際には「マックスが殺人現場にいた決定的な証拠」として扱われる事となってしまった。
事件当夜は「ミリカへの復讐殺人を成功させられた」と思っていたアクロだったが、翌朝にサーカス中で「団長が殺害された」と大騒動が起きている光景を見て、ついに「自分はミリカの身代わりとなった、団長を誤って殺害してしまった」と知る。彼は必死で組み立て実行した復讐計画は、人違いによって最悪の形で失敗に終わってしまい「この世で最も憎悪している、本来の標的だったミリカを取り逃がしてしまい、この世で最も敬愛している、恩人だった団長を誤って殺害してしまった、残酷極まりない事実」に激しく苦悩する。
以前にも増して、悲惨な状況に置かれた事に耐えかねて、自殺や自首まで考えるアクロだったが「バットが目を覚ますまで側にいたい」との思いから、罪悪感を覚えつつもマックスに罪を擦り付ける事を目論み始め、最終日の法廷に証人として出廷し偽証を図る。裁判の前日、警察と検察側は抜き打ちでアクロの家宅捜査を行ったものの、彼は咄嗟に誰からも調べられない場所である、車椅子の膝掛けの下に、事件の凶器にして最大の証拠である『マックスの胸像』を隠した。そして、そのまま出廷の時を迎えた。
裁判では何を言われようとも、何が起きようとも「泰然自若」の態度と言動を貫き、成歩堂とは熾烈な丁々発止を繰り広げた。持ち前の冷静さと優れた知能を活かして、隙の無い証言の数々を繰り出して彼を苦戦させた。「近親者である団長との深い信頼関係、とても犯罪者には見えない誠実な人柄」を目にした法廷中の人々が「アクロが殺人犯なんて有り得ない」と思い込んで、彼の味方に付いてしまう事態まで発生した。誤解しなかったのは、事前に成歩堂と真宵から事件の真相を聞かされた、サーカスの人々(マックス、ミリカ、トミーの3人)だけであった。
そんな状況下でも、成歩堂にミリカとの因縁を公表され、事件当時のマックスの幻影が生まれた謎を解明され、最後には隠し持っていた凶器の在りかの指摘を受け「車椅子の膝掛けを取って下さい」と要求されると、ようやく犯行を認めた。
裁判長「あるイミ…あなたも被害者だった、ということですか。」
「‥いいえ‥。ただの殺人犯人ですよ‥‥。オレは」
ブレイクシーンは「己の不幸と罪の重さを改めて実感し、悲し気な笑みを浮かべて滂沱の涙を流す」という、何ともアクロらしい切ないものであった。彼は成歩堂に敗北した事を認めたのを皮切りに、自白を始め「最初は自殺、次には自首も考えた。でも俺は弟の為に、まだいなくなる訳には行かなかった。だからマックスに罪を着せようとした。すまない、マックス」と悲痛な思いを打ち明けた。弟バットへの愛情が理由だったとは言え「犯行当時、偶然にも生じたマックスの幻影に便乗して、彼に罪を着せようと図った事への謝罪」を終えると、アクロは緊急逮捕されて法廷を後にした。こうしてマックスには無罪判決が下されたのであった。
閉廷後、控え室で成歩堂と真宵は、サーカスの団員達と「今後はどうするのか」を話し合う。決して手放しで喜べない結末に、誰も彼もが沈痛な面持ちとなっていた。冤罪被害を受けたマックスも、前々からアクロの人徳と不幸は熟知していただけに「アクロが一番まともだと思っていた。無罪になっても素直に喜べない」と語った。次にマックスは傍聴人だったトミーとミリカに「これからの道」について問う。トミーは「立見団長の遺志を継いで、自分が二代目の団長となって世界一のサーカスを目指す」と今後の展望を力説した。
一方ミリカは裁判の傍聴を経て、ついに「己の無知から周囲の人を不幸に追いやった罪深さ、死という不幸の重み」を痛感して号泣した。生まれて初めて味わう罪悪感に苦しみ、自暴自棄な発言をも口にする程、思い詰めた彼女を見かねて、成歩堂は「アクロの犯行は全てバットの為であり、罪から逃れようとしたのも、弟の目覚めを待つ為だった」と説明する。これを訊いて納得したミリカは「私がアクロの代わりに、バットの側で目が覚めるのを待つ」と涙ながらに覚悟を決めた。
当初のマックスは「サーカスを離れても良い」と考えていた。だがトミーとミリカの決意表明を訊いて、2人の熱意に感化されたマックスは「世界一のサーカスには、世界一の魔術師が必要」だと語り、一生サーカスに残留すると決断を下した。「途轍もない不幸が降りかかり、それを団員全てが一生背負う結果になってしまったが、このサーカスの人達なら、きっと乗り越えて生きて行ける」成歩堂と真宵は、そう確信すると安堵するのだった。
アニメ版では「警察に連行されて行くアクロを追い駆けて来たミリカが、号泣しながら彼とバットへの仕打ちを謝罪し、警官には「悪いのは私だから、アクロの代わりに私を連行して」と懇願までするシーン」が追加された。「原作では描かれていない、ミリカからの誠心誠意が込められた謝罪を受けられた事」でアクロとバットにも一抹の救いが与えられたと言える。
また営業を再開した『タチミ・サーカス』の新しい看板にはマックス、ミリカ、トミー、ベンとリロと一緒に「在りし日の曲芸をするアクロとバットの姿」も描かれていた。ラトー、ルーサー、レオンの姿も共にあった。この兄弟2人を大切な仲間として扱う、サーカスの人々の優しい思いは永遠に続いて行くのだろう。
その頃、遠い異国の空港では、ある男が「弁護士があの男なら結末は、これしかないと思った」と今回の事件の真相を見抜いていた事を糸鋸に国際電話で話し、その上で「帰国次第、アクロの量刑について検事局長に掛け合う」と伝えると、国際線の搭乗口へと向かって行った。
ほぼ全ての犯人も該当するが、逮捕後のアクロの動向は「プレイヤーの想像に任せる」という建て前で不明のままである。立見団長殺害事件は、幾つもの不幸な偶然の積み重ねによって起きた、大変悲惨な事件であった。もしも何かが1つでも違っていれば、ここまでの惨状には至らなかっただろう。それだけに、この空港にいた男の働きかけによって「サーカスの人々にとっての救済措置が少しでも増える事」を願わずにはいられない。
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