『そう、邪魔者は全て消す』
『僕らが求めた戦争だ』
概要
『機動新世紀ガンダムX』に登場するシャギア・フロストとオルバ・フロストの双子の兄弟。シャギアが兄で、オルバが弟。フリーのMS乗りを騙っているが地球連邦の再建を目論む政府再建委員会のエージェント。新地球連邦樹立後も士官として新連邦軍に属する。
双子だが、お互いに容姿が異なる二卵性双生児。19歳。
お互いを「ただ一人の肉親」として認識している為、兄弟の絆は深い。
ツインズシンクロニシティという兄弟間でテレパシーによる意思疎通能力や視覚等の感覚を共有する事が可能な特殊能力を有しており、連邦軍でニュータイプ訓練を受けていたが、彼等のこの能力は感応波で無人モビルスーツを操るフラッシュシステムに反応しなかったため、ニュータイプではなく「カテゴリーF(Fake・フェイク=ニセモノ)」に分類され、似て非なる者として紛い物扱いされた過去を持っている。
新連邦の定義するニュータイプとしては認められなかったが、ツインズシンクロニシティは兄弟でのコンビネーション戦闘で抜群の戦闘力を発揮し、超貴重な最新型のガンダムタイプをそれぞれ受領し独自の判断で動く権限も与えれる等、パイロットとしての実力は認められていた他、最終的には19歳で新連邦の少将まで登り詰める等、ニュータイプとして認められなかったという一点以外はむしろ非常に評価され重用されていた。
自分達の力を認めなかった世界を強く憎んでおり、世界を滅ぼして新たな世界を作ろうとする。実際にはD.O.M.E.の語った真実からすると彼らは「ニュータイプの紛い物」では無く従来のニュータイプとは別の種類の特殊能力者ということになるのだが、彼らがD.O.M.E.との接触を拒んだため、作中では遂にそれを知ることは無かった。
二人とも冷酷な性格の持ち主だが、冷静沈着なシャギアに対してオルバは感情的になりやすく、激昂してはシャギアに諌められるシーンが度々見られた。
また、オルバはチェスを趣味としており、テレパシーでシャギアを通じて離れた所に居る相手とチェスを行うといった芸当を見せている。
シャギアはガンダムヴァサーゴ、オルバはガンダムアシュタロンを駆る。
ちなみに厳密には微妙に異なるが、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場するカリスト兄弟も彼らとほぼ同様の能力を持っている。
作中での行動(ネタバレ注意)
「カテゴリーF」に分類されてからはただ「ニュータイプでない」というだけで蔑まれ、ニュータイプを至上とする大人達や世界に対する恨みと復讐心を糧に生きてきた。
序盤のアルタネイティブ社戦以降から何かとガロード達フリーデンを襲っていたがそれは数少ないニュータイプであるティファ・アディールを狙っていたからである。
その後、新連邦が樹立宣言を契機に本格的に動き出して新連邦軍の軍人となると、政治家や上官に巧みに取り入り、用済み或いは邪魔者となれば事故などを装って暗殺。暗躍を続けつつ昇進を続け、ついには新連邦の中枢にまで上り詰める。
その執念は凄まじく、ニュータイプ、あるいはそれを肯定する人間なら、たとえ同じ新連邦の人間であろうと平然と抹殺する。
同時に、その努力を別の方向に向けていたらまた違った結果を生んでいたかもしれないと考えると、彼等もまた「ニュータイプ」という概念に心を囚われた人間であるのかもしれない。
最終決戦において新連邦と宇宙革命軍の首領をまとめて暗殺することに成功、月面施設を掌握し、世界への復讐と掌握に王手をかけるも、立ち塞がったガンダムDXとサテライトキャノンの応酬で相打ちになる。
ラストシーンではシャギアが乗った車椅子を押すオルバの姿(共に後ろ姿)が描かれており、このシーンでの彼等は怨讐の鎖から解き放たれていると願いたい。
(コミックボンボンのコミカライズでは憑き物が落ちたような表情で旅に出るティファとガロードを陰ながら見送っている初期のままとなっている)。
また、新連邦軍総司令官フィクス・ブラッドマンと宇宙革命軍総統ザイデル・ラッソは、彼らによって殺害されており、主戦派だった両陣営のトップが亡くなった事で和平への動きが促進されたことを考えると、フロスト兄弟は戦争終結を早めた功労者であると捉えることもできる。
しかし、NEXT PROLOGUE「あなたと、一緒なら」では、カリスからバルチャーを政府の管理下に置き自治区の警備に当たらせる「バルチャー更生法」を隠れ蓑に新たな軍を編成し、再び戦争を起こそうとする計画を推し進めている政府内の首謀者だと語られ、カリスはガロードに阻止する協力を求めた(ガロードを来訪した目的)。ガロードが義憤をもってそれに応じたところで物語は終了している。
関連する人物
- ガロード・ラン
- 兄弟曰く「永遠のライバル」。オールドタイプでありながらも劇中の名だたるパイロットたちを退け、NTにも引けを取らない技量にまで成長する。NTという言葉に縛られなかったため、あらゆる面で兄弟とは対極の位置にいる。
- ジャミル・ニート
- 15年前の英雄にして、兄弟が嫌悪する「ニュータイプ」。すでに能力は失っており、戦後は他のNTの発見と保護を目的に動いている。作中でも幾度となく対戦するが、その本質的な衝動はフロスト兄弟と同様だったのだと判明する。最終回にて「自分が最もNTに囚われていた」と自覚して憑物が落ちるが、逆にフロスト兄弟は囚われたままだった。
他作品
- ラウ・ル・クルーゼ(出典:機動戦士ガンダムSEED)
- とある人物の完璧なコピーを目指して造られたものの、テロメア異常による短命を宿命づけられた者。紆余曲折を経てザフトへと軍籍を移すが、己が身の境遇から世界を憎悪し、戦争を利用して破滅へと導こうとした。なお、明確な言及は無かったが遺伝的につながりのある人物が「額から閃光を放つ」描写があったため、「彼もNTだったのかもしれない」という考察が放送当時からされていた。
- ゾルタン・アッカネン(出典:機動戦士ガンダムNT)
- アルレット・アルマージュ(出典:機動戦士ガンダムTwilightAXIS)
- こちらはニュータイプにありながら戦闘では能力が使えないと言う理由だけで人体実験に利用されるもとある人物に違う才能を見出されて救われている。こちらは周囲の影響で真っ当な人間となっておりフロスト兄弟とは逆と言える。もしフロスト兄弟にも力を評価し不遇な境遇を理解してくれる者が居れば彼女のようになれたかもしれない。
外部出演
スーパーロボット大戦シリーズ
基本的には悪役として登場し、『Z』を除き終盤で退場して二度と出てこないので死亡しているとみなされることが多い。スパロボ恒例の「原作では死んでないのに死ぬキャラ」である。
戦力的には彼らの特殊能力はカテゴリーFという特殊技能で再現され、高い基礎能力値とカテゴリーFの補正により強烈な命中・回避率を持つ上に合体攻撃や合体MAP兵器と兄弟間での援護技能が厄介な強敵となっている。
初登場の『α外伝』ではギンガナム隊として登場。難ルートを選ぶとグエン卿と結託して出現するが、選ばないと通っていないところで敗北した扱いになり二度と出てこないという拍子抜けな扱い。
『R』では新連邦が存在しない設定なのでネオ・ジオンに協力しているが、内心ではニュータイプの幻想を追い求めるネオ・ジオンを軽蔑しており、最終的に機械帝国ガルファに亡命し、完全に人類の敵になってしまう。同作におけるガンダムシリーズ最後の敵にあたる。
『Z』では、ギルバート・デュランダルの考案したデスティニー・プランが次元崩壊によって黒歴史の遺産の1つとして残り、新地球連邦がニュータイプを探し当てるためにプランのシステムを利用。その結果、被験体であったフロスト兄弟は、「ニュータイプとして遺伝子的に不適応」と見なされ、カテゴリーFの烙印を押されてしまっている。
本作ではまさに、デスティニープランによって齎される弊害の代表格として扱われており、フロスト兄弟はシステムを考案したデュランダルや、自分達と対照的に遺伝子的に優れた存在であるキラ・ヤマトを激しく憎むことになった。原作同様に決戦後も生存しており、続編では意外な形で再登場することになる。
Gジェネレーションシリーズ
ZEROから登場。
ZEROでは各々の乗機を開発する事で、FではガンダムXのシナリオをクリアする事でレンタル(雇用)可能となる。
ZERO・Fでは能力値はそれなりに高いが特殊能力も持っているにもかかわらず非覚醒扱いでニュータイプではなくノーマル。FのXシナリオでは、殆どのステージで片方を倒せば両方とも撤退してしまう。
NEOでは能力値が見直され、ニュータイプ等が持つ『覚醒値』を持ち、覚醒値を持ったパイロットで戦いを挑むとプレッシャーを放って一方的になぶり殺しにしてくる事もある凶敵に変貌を遂げた。
このため、下手をすればアムロやカミーユでさえやられかねない。
また、兄弟ともに行動力も高いためターンが回るのも早く、乗っている機体も強力なゲテモノガンダムなのもあって非常に手強い。
よって自軍の戦力が整ってない場合が多い一周目は、出来ればVルートは避けたい。
クロスオーバーがウリのNEOのストーリーでは、ザンスカール帝国に所属しており、ウッソ・エヴィンのライバルとして抜擢された。
Vルート最終ステージではエンジェル・ハイロゥを背にウッソ駆るV2アサルトバスターガンダムと激闘を繰り広げるムービーも用意されている。
感受性の塊ともいえるニュータイプのウッソVS憎悪の塊ともいえるカテゴリーFのフロスト兄弟は中々面白い対戦カードである。
また、終盤ではサンクキングダムを失ったゼクス・マーキスを自軍に引き込むと言うアナザーガンダム繫がりのクロスオーバーもある。
ワールドとオーバーワールドでは「カテゴリーF」がフロスト兄弟専用アビリティとして実装。全武装の消費MPが減り、兄弟での支援攻撃時にダメージUPという効果があるのだが、ワールドでは困ったことに兄弟のどちらも支援攻撃をしないときに相手の防御を下げる「冷徹」を持っているため、双方のスキルの発動条件が矛盾して片方が死にスキルになるという欠陥があった。オーバーワールドで冷徹を習得しなくなったのでこの辺は改善された。両者のアビリティの違いは少ないので、カテゴリーFを活かして運用するなら連携させたい。逆にワールドで冷徹を活かすならカテゴリーFはMP消費軽減スキルと割り切って、単独運用してもよいだろう。そうなると、フロスト兄弟がニュータイプ系アビリティを持たず、覚醒値が低いことがサイコミュ兵装の運用で足を引っ張るので、「覚醒値に影響されず、MP消費がある武装」が有効なのかもしれない。
最新作のクロスレイズではDLCのキャラとして登場。兄弟共にエース級の高い能力値に加え、固有スキルがどちらも火力アップに繋がる等、2人とも強力なキャラクターとなっている。特にシャギアは格闘と射撃が900近くまで上がる為、最強クラスのアタッカーとして活躍可能。
余談
かつてコミックボンボンでガンダムのコミカライズを執筆していたときた洸一氏の同人作品『GP EXTRA WX』では、オリジナルキャラクターとして、シャギアとオルバの間の兄弟であるアランが登場する(ヴァサーゴとアシュタロンの機体番号がそれぞれNRX-13と15で間が抜けていることからの発想)。
双子という設定の彼らであるが、演者の森川智之氏と佐々木望氏は同い年で血液型も同じだが誕生日は一日違いである。惜しい!ちなみに演じる役とは逆にオルバ役の佐々木氏のほうが誕生日は1日早い。
「ガンダムビルドファイターズ」第23話ではモブとして過去作のキャラクターが出演しているのだが、フロスト兄弟はなぜか背景で司会をしていた。…この世界では兄弟で芸能界入りしたのだろうか?
コンパイルハートのゲーム「ネプテューヌシリーズ」では、フロスト兄弟をモチーフとしたNPC「兄と弟」が登場しており、顔グラもフロスト兄弟のそれに近い(但し髪の色は赤髪)。元ネタと違って巨乳好きの変態キャラとして描かれており、その都度敵や味方に寝返るシーンも多い。