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CV:子安武人

概要編集

アニメ、∀ガンダムに登場。月の民(ムーンレィス)の社会において武力を司るギンガナム家の末裔であり、ムーンレィス軍ギンガナム艦隊の総帥(総大将)。

ターンAの兄弟機ターンXを操り、ロラン・セアックと死闘を繰り広げた、同作品のラスボス


『月のサムライ』を自称し、その外見も特徴的で強いパーマがかかったロングヘアに殿様がするような立派なちょんまげがあり、着物を意識したボディースーツや腰に挿したなど、その様相は歌舞伎役者のようでもあり、武士道を勘違いした外国人にも見える。


人物編集

武門の長として高い誇りを持つ生粋の武人で、気性がとても荒く、戦に逸る言動が目立つ一方、ターンXから降りている時は意外と冷静で、きちんと武人としての礼節を弁えた人物でもある。


ディアナ・ソレルキエル・ハイムの入れ替わりを見抜いた上でそれとなく探りを入れたり、ディアナの叱責を冷静に受け流して反論したり、クーデターが可能かどうか情勢をきちんと見極めてから行動したりと、洞察力や観察力、判断力は鋭く、MSパイロットとしてだけではなく戦略家・指揮官としての実力も高い(そのため、最終盤での暴走はターンXのサイコミュに闘争本能を増幅されたからなのでは?という説もあるが、実際パイロットの性格を荒々しい物に変えてしまうサイコミュシステムが最近設定されたこともあり、その説を後押ししている)。


その祖先は月の女王であるディアナ・ソレルに忠誠を誓ってムーンレィスの首都ゲンガナムを建設したほど(首都名の「ゲンガナム」はその功績を讃えた女王によって付けられたもの)で、代々気性が荒い家系ではない様子。

ちなみに月ではギンガナム流古武術なるものまで流布している武の名門。


当初はギンガナムもギンガナムなりにディアナに対して忠誠心を寄せていたのだが、地球帰還作戦に際し、徹底武闘派路線の彼は「地球なんて自分達に任せてさっさと武力制圧してしまえばいい」と侵略まがいの強行策を強く主張したため、平和的解決を望むディアナは彼の危険性を憂慮して、正規軍ではなく市民軍のディアナ・カウンターを新たに創設して作戦に随伴させることを決定。

可能な限り穏便に地球と月の共存を進めたかったディアナは、ギンガナムの影響力の及ばないディアナ・カウンターを連れて行くことで侵略の意図が無いことを地球側に示そうとしただけなのだが、この判断はギンガナムから「戦争」という自分たちが活躍できる(ひいては自分達の存在意義を証明できる)機会を奪うことになってしまった。

この一件で誇りを大いに傷つけられたギンガナムは「女王は自分達の忠義を裏切って蔑ろにした」と捉えてディアナから離反し、反ディアナ派筆頭であり政治を司るメンテナー家のアグリッパ・メンテナーと手を組んだ。


最初はアグリッパのクーデターに便乗してディアナ暗殺を企てるも失敗。次第にアグリッパから実質的な主導権を奪っていき、その後月の都に封印されていた黒歴史に刺激されて暴走、そしてアグリッパ死後は戦争の為の世界征服に本格的に乗り出した。

基本的に自分が戦いたいだけなので部下を余り当てにしておらず、最後はターンXの月光蝶を発動させて敵味方区別なく攻撃し、それを止めようとするターンAと激突。激闘の結果機体は相打ちし、ロランと生身で斬り合うもナノマシンの繭に捕らえられ、愛機と共に封印された。

しかしギンガナムが黒歴史を知ってしまった事や最終話直前にターンAのデータを解析済み(「後でじっくり見させてもらう」とも発言している)な事、ターン2機両方が共に封印された事を考えるといつくるか知れない封印が再び解かれた時、本編以上におぞましい事態に陥るであろう事も否定できない。

……とはいえ、後に富野監督が、「Gのレコンギスタは∀から500年後を想定した」と語っており、仮にリギルド・センチュリーでターンタイプ2機の封印が解かれたとしても、ギンガナム本人は繭から白骨死体として現れる可能性が高い。

本編以上のおぞましい事態は、訪れないと見ていいだろう。


余談編集

キャラの濃さと演じる子安武人の熱(怪)演も相まって、本作を象徴する極めて印象が強いキャラではあるが、本編での初登場はウィルゲムが宇宙に上がった後の37話と結構遅かったりする。

子安は機動戦士ガンダムF91からドワイト・カムリ役でシリーズに関わっており、当時は脇役ながらも「あの富野さんがメガホン取るんだから手は抜けない」と意気込み臨んだ。

後年、それを富野が覚えていたのか定かではないが、子安のギンガナムの快演を見た富野に「こんな逸材もっと早く使っておくべきだった」と思いを改めさせ、次回作キングゲイナーではアスハム・ブーンのキャスティングに繋がる結果となった。富野が声優専業を手厚く重用するのは珍しいことである。

90年代後半当時、美形キャラばかり当てられて鬱屈していた思いを吹き飛ばすかの如く臨んだギンガナム役は、子安に綺麗所以外の演技幅を開拓させる契機となった。これを機会に、以降も富野作品にはほとんど出演している。


こんな特濃のキャラ故に外部出演では原作における超好戦派な武人という特徴よりもはっちゃけた部分がピックアップされており、クロスオーバー作品では必ずと言っていいほど他作品との特殊セリフが発生する。中でもGガン関連は下記のシャイニングフィンガーからネタの派生が多く、「このターンXすごいよぉ!」発言と悪魔合体(いい意味で)させた「このゴッドガンダム凄いよぉお! さすがシャイニングガンダムのお兄さん!!」を始めとした迷言が一部で定番化した。

なお、子安はターンXでシャイニングフィンガーを使ったことから、本家である関智一に「智一、俺もシャイニングフィンガー言ったぞ!」と報告したという。ちなみに子安自身もGガンに脇役ではあるが、ベルイマン博士役(ネオ・スウェーデン代表ノーベルガンダムのバーサーカーシステムの開発者)で出演経験がある。


Gジェネクロスレイズでは

「Gジェネにやりすぎというものは無いんだよぉ!」なんてメタ台詞も。


名言集編集

  • 「なぁ~ハリー・オード。お前が死んだら…"あっち"のディアナはどう思うかな?」

それまでハリー以外は誰も自力で気づくことができなかったディアナとキエルの入れ替わりを、ギンガナムは早々に見抜いてハリーを挑発する。


  • 「人類が万物の霊長を自負するのであれば、文明の灯を恐れるべきではない!」

私怨や逆恨みで行動するギンガナムに政治的な主張というモノがあるとするならばこの一点のみ。しかしこれも闘争本能を解放するためのタテマエに過ぎず、あくまで平和的な政治交渉の場を維持しようとしたグエンとはソリの遇わない場面が多々見受けられた。

一方「使い方次第で~」というテーゼは富野監督の作品に広く散見される思想であり、実はロランと考え方は同じ。使い方を間違えなければ多くの益を齎すが、何事も過ぎればそれで身を滅ぼす結果となり、その果てに待っているのは黒歴史である。


ターンXの溶断破砕マニピュレーターの威力を目の当たりにして。黒歴史に『機動武闘伝Gガンダム』までも含まれる事に言及し、主に宇宙世紀シリーズファンに衝撃を与えた。)と言っても艦隊の地上降下以前、冬の宮殿で黒歴史開示の際にガンダムWガンダムXの映像が出ているため、アナザーガンダムが黒歴史に含まれることは暗示していたのだが、本編キャラクターが直接存在に言及したのがよりにもよってあのGガンダムだったことが決定的だったようだ。

なお、ターンXにそんな機能は含まれておらず共通点は「掌状の熱工学兵器」という一点のみ。機械的な原理からも流派的な心得からも遠く、多くのファンからはGガンが好きだから言ってみたかっただけと解釈されている。

同時に、Gガン側の原作で「流派東方不敗は釈尊(生命)を尊ぶため奥義で人を殺さない」と設定されていたものが、ターンXに搭載されたこの武器をギンガナムが振るうことによって単純な兵器=人殺しの道具という真逆の存在に成り下がるというGガンそのものへの皮肉と受け取ることも出来る。

……こんな扱い方をされているが、富野監督はこれでも愛弟子の作ったGガンダムは「既存の枠組みを美味く壊してくれた」として高く評価している。


  • 「ハハハハハ!我が世の春が来た!」

ディアナが『冬の宮殿』に封印されていた黒歴史を開放したのを見て。地球帰還作戦でディアナ・カウンターが闘争本能を刺激されたように、黒歴史の開放はムーンレィス全体の闘争本能を刺激すると考えたギンガナムは歓喜の声を挙げる。


  • 「全く…『マニュアル通りにやっています』と言うのは阿呆の言うことだぁ!!」

実戦経験が無いがゆえに、型に嵌った動きしかできない部下達に対して忌々しげに零した言葉。

ギンガナム艦隊は保有戦力も兵の練度もディアナ・カウンターを上回っているのだが、ミリシャとの戦いで実戦経験を積んだディアナ・カウンター相手には当初は遅れをとりがちだった。

一方、ギンガナムもギンガナムで実戦経験が無かった筈なのだが、彼は戦況に柔軟に対応して恐ろしい程の強さを発揮しており、その天性の戦闘センスの高さが窺える。

また、台詞的に「監督(富野)のスタッフに対する本音では?」という説もあり。

尚、現実で言葉通りにやろうとすると、怒られることがほとんどなので気をつけよう。


  • 「ディアナ・ソレルという偶像、すなわち!アイドル一人討てば済む事だ。」
  • 「庶民は!月に居ればいいのだ!ディアナがそんなに好きかぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ディアナ・カウンターとの戦闘で、巨体を誇るウォドムをターンXの溶断破砕マニピュレーターで持ち上げて爆砕しながら、ギンガナムは吼える。

それは「寄せ集めの市民軍のくせに」正規軍である自分達を差し置いてディアナに随伴することを許されたディアナ・カウンターに対する、怒りとやっかみの発露でもあったのかもしれない。


  • 「兄弟よぉ、今女の名前を呼ばなかったかい?戦場でなぁ、恋人や女房の名前を呼ぶ時というのはなぁ、瀕死の兵隊が甘ったれて言う台詞なんだよォ!」

∀のやったぜフラン砲でターンXを撃破したと勘違いしたジョゼフ・ヨットに対する、ギンガナム先生のよくわかる死亡フラグ講座

なお、ガンダムシリーズにおいて該当する人物はびっくりするぐらいほんとうにたくさんいる

なお、ギンガナム本人は(女房や恋人ではないが)後述の甘ったれた台詞を言っており、最終的には繭に取り込まれたことにより自ら持論を証明している。

……とはいえ、ガンダム作品以外に目を向けると、恋人や女房の名前を呼ぶ時だったとしても、むしろそれが力になって勝つことが多い。なんだったら該当する人物は1名を除いて勝っているし精神崩壊した1名を除いて生き残っている。

ガンダム作品のみならず、他のアニメ作品に対してこのセリフをやたらに出すのはそのアニメを見ている視聴者にとてつもなく不愉快な気持ちを与えかねないので、言いたくても自粛しよう。


  • 「ほう、ターンXの語るサイコミュ的な精神派の流れ……強力でいいじゃないか」
  • 「貴様! ギンガナム隊の隊員にならないか!?」

ジョゼフ「おれはジョゼフ・ヨットだぁー!」

  • 「お主の生体反応のデータを取りつつ、神の世界への引導を渡してやる!」

ジョゼフの乗る∀を彼ごと解析をする時の、非常にハイテンションな台詞。ハイテンション故に初見じゃ意味の通じないことで有名な富野節がインパクトを与えている。ハイテンションすぎて「引導」が「インド王」と聞こえるともあり、ゲーム作品では子安がそれを受けてかわざわざこの特徴的なイントネーションで読むことが多い。


  • 「地球人になァ、∀の復元など、出来るわきゃねぇだろぉぉぉっ!!」

ジョゼフを助けに駆けつけたロランたちに対する怒りの一撃。

ターンXの放った極太メガ粒子砲は流れ弾となり、傍観者を決め込んで戦場を離れようとしたグエンの乗ったウィルゲムに見事に命中、一瞬で中破に追い込んだ。

なおターンX、∀共に、ターンタイプは完璧なメンテナンスフリーを目指した量産機(下手すれば作業用機)ではないかという説まである。


ハリー「ユニバァアアス!!」

ハリーらの駆るスモーIフィールド・バンカーの波状攻撃を物ともせず、逆にそのエネルギーを吸収して、ギンガナムはついに最強最悪の大量破壊兵器『月光蝶』を発動させる。直後、夜中の夜明けを超える輝きとともに、黒歴史の一端が鱗粉を捲いて羽ばたいた。一連の動作の激しさと感極まった富野節の応酬で視聴者に強い印象を植え付ける。


  • 「今までの時代は間違っていたのだ。人類は戦いを忘れることなどできはしない。だから、このターンXですべてを破壊して新しい時代を始める!」

∀で駆けつけたロランとの問答にて。

黒歴史そのものを無かったことにして進歩も無くただ偽りの安寧を続けることを望んだアグリッパ、闘争本能の赴くまま新たな黒歴史の再生産を目論むギンガナム、黒歴史もまた人間の重ねた歴史の一部なのだと肯定した上で人間と機械文明の齎す希望と可能性を信じるロラン達。この言葉を機に、ついに最後の戦いが始まる。

本作における「黒歴史」が「今までの全てのガンダム作品」であることを考えると、なかなか趣深い。


  • 「その誇りをくれたのがディアナなら、奪ったのもディアナなのだ!労いの言葉ひとつなく、地球に降りたんだよ!」

ロランの駆る∀との最終決戦にて、彼の「あなたが戦う力を守って来られたのは、ディアナ様をお守りするという誇りがあったからでしょう!?」という言葉を受けて。ギンガナムのディアナに対する愛憎入り混じった複雑な感情と本音が垣間見える。


そもそもギンガナム達が地球帰還作戦から外されたのは彼のタカ派的思想と言動が最大の原因なので逆恨みも良いとこ(劇場版ではロランに「甘ったれた!」と一蹴されている)ではあるのだが、明確な「敵」もいない状況の中、月と王家のために今後いつ役に立つかもわからない軍隊を先祖代々2500年以上に渡って整備し、演習を繰り返して戦いに備えてきた彼にとって、自分たちの伝統と存在意義を否定するかのようなディアナの決断は武門の長として到底許し難いものだったのだろう。逆説的に、ギンガナムの中でディアナの存在がそれだけ大きなものであったということでもある。


ただ、「正規軍を動かす=戦争」であることも事実であり、市民軍であるディアナ・カウンターでさえ暴走し、地球側との戦争になった事を踏まえると、もしもギンガナム達を地球に連れて行けば、それはそれで本編の展開以上に厄介な事態になっていたであろうことは容易に想像がつくので、ディアナの判断ミスとも一概には言い切れない。

同時に、地球帰還作戦はムーンレィス側にとっても見通しが不透明な計画であったことも窺える。


死闘の末、∀と相打ちとなった時に叫んだ台詞。

子安武人の勝手なアドリブ……かと思いきや台本に『オノーレ』と本当に書いてあったので敢えてその通りに叫んだのだそうな。


  • 「剣で戦った事は?」
  • 「フッ…それは結構!…勝負!」

ターンXを失ってもなお、ロランに刀を投げ渡して生身の一騎打ちを申し込む。TV版の返答は「一度だけあります」、劇場版では「ありません」。MSから降り、剣劇に持ち込む流れはそのまんまファーストガンダムの終盤戦。

素人同然の筈のロランとほぼ互角の勝負になってることをよくツッコまれるが、流派や型にはまった武道を学んできたギンガナムは剣術の心得を持たずただ力任せに刀を振るうロランに戸惑っていたとも、最後に彼の手首を押し返しているため途中で剣が折れていなければギンガナムが勝っていたともいわれている。



関連イラスト編集

月光蝶であるッッ!!!

「くぉのターンXすごいよぉおおおおおおお!!

月光蝶である!


関連タグ編集

∀ガンダム ターンX シャイニングフィンガー メリーベル・ガジット

ディアナ・ソレル アグリッパ・メンテナー

ゼクス・マーキス  ムウ・ラ・フラガ

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