「俺は生きる! 生きて、アイナと添い遂げる!!」
CV:檜山修之
解説
本作品の主人公。劇中の設定年齢:23歳。
極東方面軍所属機械化混成大隊(コジマ大隊)所属の第08MS小隊の隊長。階級は少尉。
ガンダムシリーズにおいて、初登場時に既に軍人になっている主人公としては、(作品の制作順では)『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のコウ・ウラキに次いで2人目であり、ガンダムシリーズでは珍しい、初登場の時点で成人の主人公である(シロー以外には、『機動武闘伝Gガンダム』のドモン・カッシュがいる)。
いわゆる学園青春ドラマで俳優の中村雅俊が演じたような、爽やかでありつつ熱血漢の主人公として人物造形がなされたという。
経歴
サイド2、8バンチコロニー「アイランド・イフィッシュ」の出身。
鎖国状態となり選民思想に染まったサイド3の国民を救うためと軍人を志し、宇宙世紀0075年にサイド2の士官学校に入学したが、同0079年の1月3日、彼がクリスマスの休暇を家族と楽しんでいる最中にジオン公国は地球連邦政府に対し宣戦を布告。
直後にジオン公国はブリティッシュ作戦を決行し、コロニーに対する毒ガス攻撃を行う。
それに巻き込まれ、大切な家族、友人を一度に失ってしまう。
設定上、これを機に彼はジオンを激しく憎悪することになるのだが、劇中では第1話でウインクしながら笑顔で語るのみであり、前述された憎悪に関して明示的に語られる場面が無い。
このため、敵兵アイナに恋慕の情を寄せるに際しても、ジオンへの憎悪という障害を乗り越えるというプロセスなどは特に無く、あっさりと二人は相思相愛になっている。
そうした事から、シリーズ後半の監督飯田馬之介は、彼を「想像力の欠如した男で、大嫌いだった」と述べ、しっかりと葛藤を経させたうえで、後はアイナとの恋のことしか考えていない人物に移行させたという。
彼の居たコロニー「アイランド・イフィッシュ」はジオン公国軍のコロニー落としに使用されたものの、彼自身はナダ・チノミ中尉らマゼラン級戦艦トーチタスのクルー達との協力で奇跡の脱出を成し遂げたという事実が、漫画『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』にて描かれている。
劇中での活躍
OVA第1話(宇宙世紀0079年10月6日)、地球連邦軍の士官学校を卒業し少尉となって東南アジア戦線に配属されることになったシローは、輸送艇で地球に向かう途中、小規模な戦闘に巻き込まれてしまう。
そこで友軍(テリー・サンダースJr軍曹の乗った先行量産型ジム)を救助するために、輸送艇に積まれていた先行量産型ボールで出撃。
その時の戦場で、運命の女性アイナ・サハリンと出逢うことになる。
シローのウィンチワイヤーを駆使した捨て身の戦法により翻弄されたアイナの高機動型ザクはボール相手に思わぬ苦戦を強いられ、遂に双方相討ちに終わる。
ノーマルスーツで機体から間一髪脱出した二人は付近に漂っていたマゼラン級戦艦の残骸内部で激しい銃撃戦を繰り広げ、アイナは負傷し弾丸切れとなる。
投降はしない、殺せと言うアイナを強引に手当てし、諦めず何とか生き延びることだけを模索するシロー。
ノーマルスーツの酸素が残り少ない二人は敵味方を超えて協力し合い、艦内に残っていたミサイルをマゼラン級戦艦の残骸に撃ち込む。
その派手な爆発光によって双方の味方へ位置を知らせることに成功。
味方機が各々救助に駆けつける中で2人は別れ際に初めて互いの名前を名乗り合う。
同年10月8日、第08MS小隊の隊長に着任。
理想主義丸出しで青臭さの抜けない言動から、サンダース軍曹以外の第08小隊メンバーからは「アマちゃん」と陰口を叩かれながらも陸戦型ガンダムを中心とした戦力やゲリラとの共闘でジオン公国軍の橋頭堡を崩すなどの活躍を見せ、更にはジオン軍が密かに進めていたアプサラス計画を掴み、その試作機を撃破するなどの軍功を重ねた。
だが、それと同時に、アプサラス試作機のパイロットとなっていたアイナ・サハリンと戦場で再会してしまう。
戦闘の末、ヒマラヤの雪山でアイナと共に遭難したが、その際にシローはアイナに愛を告白し、彼女もまたそれを受け入れた。
2人は連邦・ジオンの立場を超えて助け合い、その後、それぞれの友軍に救助される。
しかし、生還を果たした彼を待っていたのは、スパイ容疑による連邦の審問会議であった。
その席で彼は戦争における考えの甘さを露呈する主張をし、その場の一同から嘲笑を浴びると共に謹慎処分を受けてしまう。
謹慎処分中、キキ・ロジータの村がジオンの敗残部隊に侵攻を受けたと知り、命令違反を犯して第08小隊に出動を指令、直ちに救援に向かう。
「ジオン兵もゲリラもどちらも助けたい」という理想を胸にシローは生身で奮戦し、ザクを行動不能に追い込むも、復讐の念に燃えて群がるゲリラたちを制止できず、リンチの恐怖に怯えて対人兵器で攻撃するジオン兵を自らの手で殺す苦い結果に終わった。
この前後に情報部の将校アリス・ミラーによる内務調査が入ったようだ。
謹慎待機を破った罪状に加えて、ジオンを憎む彼女の報告書が決め手となり、第08小隊は「生還率38%のラサ基地捜索という最前線勤務に就くか、銃殺刑か」の二択を迫られることとなってしまう。
同年12月、ラサに存在するジオン公国軍の秘密基地攻略戦の際にアプサラスⅢが出現。
小隊メンバーに「軍を抜ける」と言い残し、単機でアイナの救援に向かう。
戦闘中、兄ギニアスに撃たれ機体から落下するアイナを間一髪で救助するも利き腕を骨折する。
「アイナ…兄さんを殺す! これだけ痛めつけられると、もう手段を選べない!」
アイナ「さようなら…兄さん…!」
アイナと二人三脚でガンダムEz8を操縦し、狂気と妄執に囚われたギニアス・サハリンが駆るアプサラスⅢへ特攻。Ez8の右腕でアプサラスⅢのコックピットを潰すも、同時に放たれたメガ粒子砲を浴び、相討ちの形でもつれ合ったまま両機とも火口に落ちて爆発炎上した。
以後、公式の記録においてシロー・アマダ少尉は「消息不明」となった。
その後日談が描かれたエピローグ『ラスト・リゾート』では、左足の膝から下を失った松葉杖姿のシローと彼の子を身篭ったアイナが、山奥の小屋で平穏に暮らしている姿が描かれている。
また、あまり触れられてはいないが、トップ小隊との戦闘において近距離で撃たれたザクマシンガンを避ける、30m以上は高く飛んでいる3つの対人兵器の内、2つを遠距離射撃には向かない拳銃で撃ち落とす等、異常なまでに高い身体能力を持っている。
搭乗機
RB-79K 先行量産型ボール
RX-79[G] 陸戦型ガンダム
RX-79[G]Ez-8 ガンダムEz8
関連イラスト
関連項目
08小隊 アイナ・サハリン ギニアス・サハリン ノリス・パッカード