カタログスペック
頭頂高 | 18m |
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本体重量 | 51.5t |
ジェネレーター出力 | 1,380kW |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
スラスター総推力 | 53,000kg |
センサー有効半径 | 5,900m |
概要
登場作品は機動戦士ガンダムの外伝であるOVA『機動戦士ガンダム第08MS小隊』。デザイナーは山根公利氏。
アプサラスⅡとの戦闘により大破した極東方面軍コジマ大隊第08MS小隊隊長シロー・アマダ少尉の陸戦型ガンダムを現地仕様に大規模改修した姿である。そのためワンオフの機体であり、武装にもシローの意向が強く反映されているシロー専用機となっている。
Ez8は「Extra-Zero-8」(08小隊特別機)の略。便宜上付与されたもので、RX-79[G]Ez-8という形式番号も地球連邦軍の制式なものではない。
劇中での初登場は全12話中の第9話と、かなり遅め。というか続く2話が実質的な最終章で、最終話は後日談であるため、Ez8はある意味最終決戦仕様とも言える。
機体解説
陸戦型ガンダムはそれ自体が品質検査に適合しなかった余剰パーツで建造された機体であったため、戦線での補修用パーツの供給は十分でなく、改修には陸戦型ジムのパーツや現地調達の各種ジャンクパーツ等が利用された。
本機はそのような現地改修機の一つであり、その際、破損部の補修だけでなく、陸戦型ガンダムの運用により浮上した問題点をフィードバックし固定武装の変更や機動性の改善も行われている。
特徴的なのはガンダムのシンボルとも言えるV型アンテナは対アプサラス戦で破損したため廃止し、ロッドアンテナを用いている点である。
ロッドアンテナを採用した理由として、密林での戦闘の際、V型アンテナの破損率が高かったためと言われている。
また吸気口や首関節部への被弾や密林での使用による異物の侵入を防ぐため、チンガードなどの増設が行われている。
胸部装甲板には撃破したザクⅡのシールド2枚を加工のうえで取り付けている。これにより耐弾性能がより高まっており、本編ではマゼラトップの至近距離からの砲撃に耐え、BDボックス特典アニメ『三次元との戦い』でもオリジナルの陸戦型ガンダムが耐えきれず転倒したマゼラ・トップ砲の直撃に耐えている。
ちなみに胸部に描かれた"81"の文字は、08小隊の1番機(隊長機)の意味。
膝アーマーは射撃の際地面に突き刺し機体を安定することができるものに変更されている。
改修により材質のグレードが低下している箇所もあるが、装甲形状の単純化により軽量化と耐弾性、整備性の向上が図られている。
他にもスラスター推力は若干ながら強化され、ジェネレーター出力もリミッターがかかっていたところを本来の出力に引き戻されている。
武装
陸戦型ガンダムの改修機ということもあり、脚部のビームサーベルや携行武装に変更は無いが、シールドには追加装甲が施され、耐弾性能が向上している。
内蔵火器は全面的に見直されている。
コクピット周辺の耐弾性の低下や射角が制限されるなどの理由で問題があった胸部のバルカン砲とマルチランチャーは廃止され、代わりに口径12.7mmの対歩兵用旋回式バルカン砲が設置された。水平角±60度、俯角20度、仰角60度の射角を持ち、併設されたセンサーによって照準を行う。
陸戦型ガンダムにはなかった頭部バルカン砲2門も追加された。口径は35mmであり、RX-78の60mmと比較し威力が低下している他、液体炸薬ではなく薬莢を用いる方式となっており、頭部に排莢口が設けられることとなった。
脚部のニースパイクも改良され、軽量化と耐弾性が向上した。
倍返し
グフ・カスタムとの戦闘において、頭部バルカン砲、胸部旋回式バルカン砲、100ミリマシンガンを乱射し、弾幕を展開した攻撃の通称。発動時にシローが「(ガトリングシールドで撃たれた事に対する)倍返しだああああっ!!」と絶叫していた為、この名前で呼ばれることが多い。
マシンガン以外は牽制や対人用の小口径実弾火器だったので敵機の撃墜は期待しておらず、あくまで敵の注意を護衛対象から逸らす威嚇目的の射撃だった。その為、あえてグフ・カスタムに狙いを定めず移動予測地点を薙ぎ払うように発射している。だが、この目論見は歴戦のノリス・パッカードに看破され、あえてその場に制止することで全弾回避されてしまった。
スーパーロボット大戦シリーズでは「全弾発射」、「強襲攻撃」などの呼称で必殺技扱いされている。また、弾幕が収束して敵に全弾命中し、大ダメージを与えるという形に改変されている事が多い。一方、ガンダムVSシリーズでは「倍返しだぁ!!」という武器名でサブ射撃扱いされている。こちらは低威力の牽制技という原作通りの性能で、敵の格闘迎撃に適している。また、バーストアタック「ビーム・サーベル連続攻撃」では演出の一部として含まれており、上空から降下しながら乱射する動作が再現されている。
余談
- 本機のパイロットであるシローを演じた檜山修之氏は、一番好きなMSにEz-8を挙げている。
- 「イージーエイト」の呼称は、アメリカ軍が第二次世界大戦末期に運用したM4シャーマン中戦車の型番の一つで、戦後に日本の自衛隊にも供与されたM4A3E8の愛称に由来する。
- 現地改修機なので量産される事はあり得ないのだが、近藤和久の『機動戦士ガンダム 名も無き戦場』では大量のEz8で構成された空挺団が登場している。ただし同作は『機動戦士ガンダムオンライン』のコミカライズなので、あくまでゲーム世界の出来事とも捉えられる。
関連動画
バリエーション
ガンダムEz8改
Ez8を宇宙戦用に改修した『Gジェネレーション ギャザービート』オリジナルのIF機体。
素体である陸戦型ガンダムはガンダムの余剰パーツを流用して作られた機体であり、Ez8は陸戦型ガンダムを現地でジムなどのパーツを流用して改修した機体である。
そしてEz8改はEz8を、更に宇宙用ジムや正規ガンダム(RX-78)のパーツを流用して性能そのままの状態で宇宙対応化した機体である。
そもそもギャザービートではEz8の出自が原作と違い、シロー機とは別の不調な陸戦型ガンダムがニナ・パープルトンが改修し、アルフ・カムラがシローに乗ってもらうのがいいと提案したことでシロー機になった経緯がある。戦場が宇宙に移ることで愛機が宇宙では戦えないと残念がったシローに対し、宇宙用に改造して愛機と宇宙でも戦えるようにしたのがそもそもの登場経緯(陸戦型ガンダム自体、改造さえすれば宇宙でも戦えるという前例はある)。
地味に武装が強化されており、180mmキャノンは200mmキャノンに口径アップしている。
地形適応は初代ギャザービートが「宇宙」、ギャザービート2以降は「汎用」。
ギャザービート2では設定が変わり、陸戦型ガンダムベースのEz8をグリプス戦役期の技術を導入して性能底上げした機体で、一年戦争時からのシロー機である。見た目は全く変わりないが、性能上はグリプス戦役期のMSにも引けを取らない。
ガンダムEz8ハイモビリティカスタム
Ez8改をあり合わせのパーツで高速戦闘用に改修した機体。
Ez8の分厚い装甲を取り外したり新たに新造した肉抜き穴装甲換装等で減らしての軽量化、可動式スラスター装備、バーニアの増設により、機動力が大きく増している。反面、機動力にのみ特化していることもあり、武装は貧弱、防御力も極めて低いという極端な性能となっている。スラスターの出所はなんとジャンクパーツ。どこぞのジャンク屋も驚きである。
ギャザービート2以降は「解体」でEz8改に戻せるので、状況に応じて使い分けてもいいかもしれない。ただし、どの作品でも軽量化しまくったせいなのか地形適応は「宇宙」なので、地上では出撃できないことに注意。
ガンダムEz8ヘビーアームドカスタム
Ez8改をあり合わせのパーツで砲戦仕様に改修した機体。
サラミス級巡洋艦の主砲より流用した大きめのビームキャノンを左右の腰に装備しているため、高い火力を持つ。射撃のぶれを防ぐため脚にはボールのマニピュレーターを流用して砲身を支え、大出力を実現するため背面武装コンテナまでも改造してコンデンサーとして使っている。だがHMCと同じく極端な性能になっており、こちらは射撃以外の性能は低く、砲撃支援のみを想定した機体となっている。火力はあのシャア・アズナブルをも驚愕させるほど高い。このパーツもやっぱりどこからともなく調達してきた代物。
初代ギャザービートではサラミス砲は間接攻撃にしか使えないため使い勝手がいまひとつだったが、以降の作品では通常戦闘にも使えるよう改善された。
ゲームでは使用出来ないが、ビームサーベルを装備している。また、マシンガンを装備してMS戦に対応している。HMC同様、ギャザービート2以降は解体で一つ前の段階に戻せるので、パーツさえあればどちらの形態にも変更できる。地形適応は初期は「宇宙」だったが、後期の作品では「汎用」。HMCと違い地上でも出撃できるのが強み。
ガンダムEz-SR
アニメ『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場するガンダムEz8の改造ガンプラ。
近接戦のイントルーダー、砲撃戦のエリミネーター、索敵・電子戦のシャドウファントムの3種類の仕様が存在するというどこかで聞いたようなコンセプトとなっている。
詳しくは当該項目参照。
立体物
旧HG、MG1/100、HGUC、BB戦士、SDガンダムフルカラーシリーズにてラインナップ。
1/144は旧HG、HGUCどちらも陸戦型ガンダムとは別に完全新規で金型が起こされており、使われているポリキャップ(規格化された関節パーツ)も別。旧HGは(この時期のキットに共通する特徴ではあるが)設定画に基づき非常に素直に立体化されており、当時の模型誌では特にプロポーションの面で高い評価を得ていた。HGUCについては更に後発のリニューアル版陸戦型ガンダムにも構造が引き継がれておらず、陸戦型ガンダム系HGUCでは関節にABS樹脂やKPS樹脂の使用されていない唯一の構造となっている。
旧HGには、ビームライフル、シールド、ビームサーベル、パラシュートパックが同梱しており、劇中同様に装備可能。HGUCはビームサーベルの刀身がグリップと別パーツにクリアパーツとなり脚部への格納機構が再現できるようになり、加えて設定通りサイドスカートにも脱着できる弾倉の付いた100mmマシンガンが付属する。
HGUCの背部フォークは他のHGUC陸戦型ガンダムと規格を共有しており、コンテナを取り付けることも可能。ただ、パラシュートパックの肩部へ繋がるベルトの留め金が旧HGではプラスチックパーツな一方HGUCではシールとなっており、外す度に使い捨てる方式となっている。
また、旧HGに存在したコクピットハッチ開閉ギミックがオミットされている。
MG1/100には、ビームサーベル、100mmマシンガン、シールド、ロケットランチャー、コンテナユニットが同梱、ロケットランチャーは分解しコンテナユニットに収納することができる。陸戦型ガンダムや陸戦型ジムと規格が共通なので、陸戦型ガンダム付属の180mmキャノンや陸戦型ジム付属のミサイルランチャーを持たせたり、コンテナに格納することも可能。
BB戦士には、ビームサーベル、ビームライフル、シールド、ロケットランチャー、ミサイルランチャーが同梱しロケットランチャーとミサイルランチャーは劇中同様にコンテナユニットに収納可能。
関連項目
ガンダムEX:頭部の形状が本機に類似していることから関係性が指摘されている。