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M4シャーマン

しゃーまんせんしゃ

第二次大戦時のアメリカ軍の主力戦車
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→ 詳細は「wikipedia:M4中戦車」を参照。

概要

第二次大戦時のアメリカ軍の主力戦車。
「シャーマン」はM4を供与されたイギリス軍における名称で、南北戦争時の北軍の将軍『ウィリアム・シャーマン』から。アメリカ軍においては使用されないが、現場の兵士の間ではそう呼ばれることもあった。

開発経緯

→ 詳細は「wikipedia:M4中戦車」を参照。

1939年、第二次世界大戦勃発。ヨーロッパでの戦訓から、当時アメリカ陸軍の主力だったM2中戦車が通用しないのは明らかであった。ドイツ戦車を撃破できる戦車砲の搭載が必要で、1941年、車体右側張り出し部に砲郭式の75mm砲を追加したM3中戦車が開発された。
M3をベースに全周旋回砲塔に75mm砲を装備したT6戦車が開発され、1941年10月にM4中戦車として制式採用された。自動車産業を中心に急速な生産体制の整備が行われ、1942年2月より量産が開始された。
アメリカの高い工業生産力により信頼性の高い兵器だったが、強力なドイツ戦車が相手では戦闘能力は劣り、特に初期においては車体弾薬箱の配置場所から炎上しやすく、ドイツ軍から『アメリカのストーブ』と揶揄されるほどだった。
しかし、より新型の戦車を配備する事による生産現場の混乱を嫌った上層部の判断により、終戦時まで主力戦車として使用され、ドイツ軍を数で圧倒した。
装甲および武装の強化、生産拠点による車体構造の違い(鋳造か溶接か)懸架装置の違い、搭載するエンジンの違いなどにより、そのバリエーションは多岐にわたる。

なお、イギリス軍ではそれぞれのバリエーションにI~Vのナンバーをつけ、武装別に名称の最後にアルファベットを与えていた。アルファベット無しは75mm砲、「A」は76mm砲、「B」は105mm榴弾砲、「C」は17ポンド砲を意味していた。
例:M4A1の76mm砲装備は「シャーマンIIA」。M4A4の17ポンド砲装備は「シャーマン・ファイアフライVC」。

バリエーション

→ 詳細は「wikipedia:M4中戦車」を参照。

主要生産車

M4(英軍:シャーマンI)
M4シャーマンの基本形だが、量産開始はM4A1より半年遅れの1942年7月である。M2、M3中戦車同様、航空機用の空冷星型9気筒エンジン(コンチネンタルR-975)を搭載。ここからドライブシャフトが車内を貫くため背の高いシルエットとなり、エンジンが異なる後の型も同じ車体を用いている。
初期型車体は、車体前面に圧延装甲が溶接され、操縦手および副操縦手兼機銃手席部が前面装甲より飛び出した形になっている。これは耐弾性に劣るため、生産後期には前面だけM4A1後期型に似た溶接部品に換えた、ハイブリッド(またはコンポジット)型に変更されている。車体側面の弾薬箱も、誘爆しにくい湿式となった。
新型砲塔に105mm榴弾砲を搭載したタイプや、旧式化した車体にロケットランチャーを装備した『カリオペ』などもある。

M4A1(英軍:シャーマンII)
最初の派生形。車体上部が鋳造ボディとなっている。M4と併行して生産されたが、これは生産工場毎の得意な方法が採用されたためで、鋳物を主に生産する工場では鋳造車体が選択された。
一体鋳造型車体のM4A1でも、後にハッチが大型化された後期型車体が作られている。M4A1はM4と同じエンジンを用いており、現場でも運用上両車の違いは意識されなかった。
M4A1(76mm)W
M4A1に、試作戦車T23の物をベースにした新型砲塔を搭載、より対戦車能力の高い76mm砲を装備したタイプで、全て後期型車体。末尾の「W」は湿式弾薬庫を表す。
初陣であるコブラ作戦で米軍が用いたが、その後補充される車両はM4A3に統一されるようになり、多くは英連邦各国の軍や自由ポーランド軍、自由フランス軍で用いられた。

M4A2(英軍:シャーマンIII)

М4А2 “Шерман”(1945)


空冷星形エンジン不足を想定し、GM社製の液冷ディーゼルエンジン2基を搭載したタイプ。出力に余裕があり、大戦中の各型中、最も高速。
アメリカ陸軍は使用燃料をガソリンに統一していたため使用されず、主に海兵隊や、またレンドリースによりイギリスやソ連に供給された。
75mm砲型と76mm砲型があり、車体には初期型と後期型があるが、湿式弾薬庫は採用されていない。
M4A2E8
下記のM4A3E8と同様に、水平バネ式懸架装置を搭載したモデル。

M4A3(英軍:シャーマンIV)
フォード社製液冷V型8気筒ガソリンエンジンを採用。同社生産による75mm砲塔型のみ初期型車体であったが、実戦配備されたものは殆どがデトロイト戦車工廠やグランド・ブランク戦車工廠製の後期型車体である。
M4A3(76)WやM4A3(105)も作られ、大戦後期の主力タイプとなった。
M4A3E2

M4A3E2(ジャンボ)


通称『ジャンボ』。M4A3(76)Wの装甲を強化し、敵陣突破時の先頭に立つ『重戦車任務』に使用されたタイプ。
装甲を厚くした76mm砲塔に榴弾威力で勝る75mm砲を搭載していたが、前線で76mm砲に換装され対戦車任務に使用されたものもある。パットン将軍率いる第3軍では、保有するすべてのシャーマン"ジャンボ"を76mm砲に換装することとし、同軸機関銃も50口径M2に変更する計画であった。
M4A3E8

戦後の軍神製造マシン


通称『イージーエイト』。アメリカ陸軍での最終型。
M4A3(76)Wの懸架装置を、それまでの垂直バネ式から水平バネ式に変更、履帯幅も大きくなった。このE8改造は、後に別の型でも行われている。
朝鮮戦争で活躍し、自衛隊にも配備されゴジラと戦った。
 ちなみに、E8型というのは、サスペンションが水平ばね式になっている型式で、イージーエイトという呼び方は第二次大戦後から使われたとされている。

M4A4(英軍:シャーマンV)
空冷星形エンジン不足を想定し、クライスラー社製の直列6気筒ガソリンエンジンを5基合体させた「A-57」を採用、デトロイト戦車工廠で生産された。
車体後部が延長されている。車体前面形状は初期型仕様のみ、ギアハウジングケースも3ピース型のみである。同工場でのM4A3の生産開始に伴い生産終了した。
主にイギリス軍に供与され、後述する『ファイアフライ』の最初のベースとなった型である。

派生型

M4A5
カナダ陸軍ラム巡航戦車にアメリカの軍需部が与えた型式番号。

M4A6
M4A4をディーゼルエンジンに換装したもの。少数が生産され、米国内で訓練用に用いられた。

M10GMC

M10戦車駆逐車


M4A2の車台を使い、3インチ対戦車砲を装備する駆逐戦車戦車駆逐車)。
供与先のイギリスではウルヴァリンのニックネームが付けられた。

M36ジャクソン

猛獣ハンター1945


既製のM10A1から、90mm砲を搭載した新型動力砲塔に載せ替えたもの。後にM4A3の車体に同じ砲塔を載せたM36B1、M10から砲塔を載せ替えたM36B2も作られた。
愛称の「ジャクソン」は南北戦争時の南軍の将軍、ストーンウォール・ジャクソンに由来する。

M32戦車回収車

M32戦車回収車


主砲を除去して回収用クレーンを装備した車輌。

シャーマン・ファイアフライ

Sherman filefly


イギリス陸軍が改造を加え、17ポンド対戦車砲を搭載したM4シャーマン
VI号戦車ティーガーⅠ)の正面装甲を1,500m以上の距離から貫通可能であり、ミヒャエル・ヴィットマンの乗るティーガーⅠを撃破したのはカナダ第4機甲師団のファイアフライであった。
ベース車両はM4A4が一番多く、次いでM4。
改造プランが提出された時、イギリス軍需省はチャレンジャー巡航戦車に入れ込んでいたこともあって握りつぶしてしまった。
陸軍が軍需省に無断で試作したところ、何の問題も無く完成し、軍需省が入れ込んだチャレンジャーは無様な出来になってしまったという英国面なエピソードを残している。
 アメリカ軍は17ポンド砲搭載シャーマンを調達しようとしたが、新車、既存のM4型からの改造車共に1945年5月の欧州戦線の終結までに全線に届くことはなかった。だが、イタリア戦線ではイギリス陸軍の予備車両を受領してシャーマン・ファイアフライ戦車を装備したアメリカ陸軍部隊が存在した。


戦後の派生型

M4A1E6
M4A1の75mm砲搭に76.2mm砲を搭載したタイプ。

Oddball's Sherman



M4A3E6
M4A3の75mm砲搭に76.2mm砲を搭載したタイプ。
映画『戦略大作戦』では、オッドボール軍曹の車両であった。


M4A3 HVSS POA-CWS-H5
105mm砲装備型をベースにした火炎放射戦車。
従来の火炎放射型は主砲を火炎放射器に換装していたため敵兵の肉薄攻撃を受けやすく、主砲を残したまま同軸に火炎放射器を装備した。
朝鮮戦争において海兵隊が使用した。

M1『スーパーシャーマン』
フランスからイスラエルに売却された中古のM4A1(76)Wで、サスペンションが換装されE8化されたものが混在した。
75mm砲搭載のM4A2やM4A4に比べ、対戦車戦闘能力が向上したことから「スーパーシャーマン」と呼ばれるようになった。M1の形式番号は搭載する76mm砲M1から付けられたもので、それまでの75mm砲型は75mm砲M3から、シャーマンM3と呼ばれるようになった。
田宮模型プラモデル『スーパーシャーマン』はサスペンション換装前のタイプである

M50『スーパーシャーマン』

M50スーパーシャーマン


イスラエル軍がM4A4の75mm砲を、フランス製の61口径75mmライフル砲(CN-75-50)に換装したもの。
ドラゴンモデルズのプラモデル『スーパーシャーマン』はこのタイプである。

M51『スーパーシャーマン』

荷物整理


M1の76mm砲をフランス製の44口径105mmライフル砲(CN105 F1短砲身型)に換装し、これに合わせて砲塔後部の延長などの改造を加えたもの。これにより1960年代初頭の一線級戦車に匹敵する攻撃力を持つことになった。
プラモデル商品名などに見られる『アイ(Israel)シャーマン』は、他の『スーパーシャーマン』と区別するため西側メディアがつけた名称。田宮模型、ドラゴンモデルズ、アカデミー科学から1/35スケールでプラモデル化されている。

M60
M50/M51の主砲をIMI製の60mm高初速砲(HVMS60)に換装したもので、1984年にチリに輸出された。

M4の限界

→ 詳細は「wikipedia:M4中戦車」を参照。

シャーマン戦車


イタリア戦線に於けるティーガーⅠとの交戦で、M4は装甲火力共対抗できないことが判明した。
前線司令官ジェイコブ・デヴァーズ中将はティーガーⅠに対抗できるT26E1重戦車(のちのM26パーシング」)の量産を求めたが、陸軍地上軍管理本部(AGF)のレスリー・マクネア中将は「複数種類の戦車を配備することによる補給・整備の混乱」「ごく少数のティーガー、パンターに対抗するため重戦車を投入する非効率性」を理由に反対し、ジョージ・パットン中将も「75mm砲型のM4は十分な性能を持っており、新型戦車は不要」と、AGFの主張を補強した。
これらの問題が改善されるきっかけとなったのは、バルジの戦いで発生したM4の大損害が、新聞で大きく報道されたことであった。兵器局はT26E1を試験的に配備することを提案し、AGFの反対は押し切られたが、既に1945年1月で、ほとんど戦局に影響を与えることの無い時期であった。

イスラエルによるスーパーシャーマン・シリーズは第三次中東戦争(1967年)でもショットマガフなどの新鋭戦車と遜色ない活躍を見せたが、火力強化は限界に達し、装甲の増加も望めなかった。アラブ諸国側の戦車が強化されたこともあり、最前線より姿を消していった。

対日戦争

→ 詳細は「wikipedia:M4中戦車」を参照。

日本戦車に対しては性能的に圧倒していたM4だが、フィリピン戦では、線路の盛り土を乗り越た所を待ち伏せる方法で日本軍戦車による肉薄攻撃が行われた他、末期には爆薬を装着した九七式中戦車八九式中戦車による特攻があった。
開けた場所が少ない島嶼での戦いでは対戦車砲に待ち伏せされ、沖縄戦では一式四七粍速射砲機動九〇式野砲により147輌のM4が失われた。
 また、赤軍にレンドリースされたM4A2は、満州方面の「8月の嵐」作戦に投入され、弱体化した日本の満州軍と交戦したと伝わる。

外部リンク

wikipedia:M4中戦車

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