解説
War Thunderは、ハンガリーのGaijin Entertainment社が運営するオンラインゲーム。
戦間期から第二次世界大戦、現代までに世界各国で開発・運用された、実在する陸海空の兵器を題材とする。
2012年のサービス開始当初は空中戦が主題のゲームで、2014年には「最も多くの機体が登場するフライトシミュレーションゲーム」としてギネス世界記録に登録されている。(303機)
2023年時点では、空の軍用機に陸の装甲戦闘車両、海の軍艦も併せて2,000種以上の兵器が実装されているという。
特徴
Wargaming.net社の同じカテゴリのゲーム「ワールドオブ~」シリーズ(WoT、WoWP、WoWS)に比べ、よりリアルで現実の挙動に近いシミュレーター寄りの硬派なゲームとなっている。
実際、プレイヤーの操作する機体や車両、艦船にHP(ヒットポイント)という概念はないため、たった一度の被弾でも運悪く乗員が全滅したり弾薬が誘爆した場合は、即撃墜/撃破となってしまうシビアさが目立つ。
2024年現在では同系列カテゴリ・ジャンルのオンラインゲームとして最大のプレイヤー数を有しており、幅広い層から支持されている。
カジュアルなアーケードモード、リアル志向のリアリスティックモード、さらには本格的なシミュレーター体験を追求するシミュレーションモードなど、多様なゲームモードが用意されているため、初心者からベテランまでそれぞれに合ったプレイスタイルを選択できる点も大きな魅力となっている。
ストライクウィッチーズコラボ
2018年、日本でのサービスを担当するDMMによって第二次世界大戦期の空中戦を主題とするアニメシリーズストライクウィッチーズとのコラボが実施され、専用デカールや痛車ならぬ痛機が実装された。⇒コラボ公式
謎の少女&生物
2018年、ほぼ男&ミリタリー成分しかないむさ苦しいWar Thunder界のバナー広告に、一人の少女と一匹の珍獣が現れた。
詳細は不明だが、Gaijin Entertainment公認のバーナーである。
「Gaijin」という会社名からも察せられる通り、この会社は多少ばかり日本オタクな側面があり、それゆえに、日本向けバナーとしてわざわざ、この(萌え?)少女と珍獣のイラストを追加したのかもしれない…。
しかし、そのなんとも言えない表情、焦点のあってない目、気味の悪い動作、某チェブラーシカなのか猿なのか、よくわからない珍獣のインパクトはとてつもなく、一部ユーザーの間で大変盛り上がった。挙句の果てには「アヘ顔ダブルピース」という愛称(?)も付くほど。
※実際の動きを見たい方はこちら(ニコニコ動画)へ。
ツイッターやPixivでは彼女と珍獣を(マトモに)改変したイラストが投稿されている。
DMMで日本サービスが正式に開始され、War Thunderのバナーも一新されたが、今の所、彼女と珍獣は登場していない。
GaijinとDMMの戦略によると、日本ではWar Thunderを「萌え」を利用して宣伝していく案もあるようだが…彼女と珍獣の未来はどっちだ…!?
『Dakimakura』
2023年、ゲーム内デコレーションにアメリカ風とソ連風の美少女が描かれたDakimakuraが追加され、2024年には新たにドイツ風とフランス風も加えられた。
イラストはpixivにもアカウントを構えるカロ氏が担当している。
2024年後期にはDMMとの連携アカウント限定(事実上の日本限定)で、航空自衛隊御前崎分屯基地の公式キャラクターおまねこのDakimakuraが配布された。
Dakimakuraの入手リンク
Pixivにおける作品傾向
擬人化
航空機や戦車が擬人化されたイラストが投稿されている。左のイラストはドイツ軍の対空車両クーゲルブリッツ、右は「後ろ向きにしか撃てない」という英国面戦車・アーチャー。
スキン
War Thunderではゲームの特定フォルダにユーザーが編集したスキンデータを入れることで、オリジナルのスキンを表示することができる。
このスキンは他のプレイヤーには表示されないので、真面目なユーザースキンから「痛」スキンまで様々なスキンを楽しむことが可能で、コックピット内のスキンを張り替えることもできる。
公式交流サイトのユーザースキン置き場はこちらから。
余談
超長寿ゲーム
日本版サービス開始から8年、オープンベータ開始から12年も経つゲーム(2024年時点)。
オープンベータ期間も含めれば、日本語版提供元の企業が擁する長寿ブラウザゲームよりも長い。
軍事機密漏れの源泉
このゲームには、ユーザーがゲームについて話し合うことのできるフォーラムが作られている。
ここで、軍事・歴史関係の書籍や兵器の性能が記された公文書といったものを投稿することで、ゲーム内における性能の変更要請などを行うことができるのだが...
2021年7月に「チャレンジャー2の車長」を名乗る海外ユーザーが英国陸軍現役主力戦車であるチャレンジャー2の「現在でも機密である文書」を投稿。Gaijin社はその投稿を行ったユーザーを凍結し、英国に機密漏洩の恐れがあると連絡。結局、本当に機密文書だったようで、投稿は削除され、機密であったデータをもとにした性能変更が少なくともそのデータが公開されるまでは行えなくなってしまった。
この1回だけで済めばよかったのだが、二回目が10月に起きてしまった。今度はフランス陸軍現役主力戦車のルクレール。こちらについては詳細は不明だが、最初の事案と同じように処理されたものと思われる。
そして二度あることは何とやら、三回目が起きてしまった。今度は中国人民解放陸軍戦車に使われる砲弾の図面。しかもこちらは再投稿され、redditやTwitterでの拡散が広がってしまったという。
さすがに三回も発生すれば終わりだろうと思った諸君、惑星の住民を侮ってはいけない。
2023年1月、年明け早々に四度目が起きてしまった。
お次は世界各国で現用されているアメリカ製第4世代ジェット戦闘機F-16、これのフライトマニュアル(当然機密文書)が流出。
投稿したユーザーは、「自分が使っている戦闘機の性能が本当のものと全然違う。メーカーは正しいスペックをゲームに反映させるべき」という理屈を展開したそうな……。
WarThunderのプレイヤーは自国兵器に対する愛が強すぎるあまり、このような凶行に走ってしまうのかもしれない。我らが日本国は自衛隊装備の機密漏洩がないことを祈るばかり……。
このような経緯から、海外では「Gaijin EntertainmentsはCIAやKGBより諜報能力が高い」などとネタにされたりすることも。
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