概要
第二次世界大戦中カナダはイギリス軍向けに委託生産を行っており、また新たにM3中戦車の生産が計画されていた。しかしM3はイギリスの戦車と規格が異なっていたのでそのままでは運用できない。
そこでカナダの企業がM3中戦車のシャーシ・コンポーネントを流用しつつ、全周旋回砲塔にイギリス軍標準主砲を装備、車体も鋳造製に変更した新型を開発することとなった。
1941年6月には最初の車輌が完成した。こうして巡航戦車ラムが誕生した。同年11月には本格的な生産が開始された。
アメリカ軍内ではM3カナディアンやM3A6などと呼称されていたが、最終的にはM4中戦車系列に含まれるM4A5という形式番号が付けられた。
しかしアメリカでM4系列が大量生産されイギリス軍やカナダ軍も同車を主力として配備したため、存在意義は薄れ1943年7月に1,949輌で生産は打ち切られ、実戦参加することは無く国内やイギリスで訓練用として用いられた。
改造車の砲兵観測車「ラム・OP/コマンド」、砲塔を撤去した兵員輸送車「ラム・カンガルー」、装甲回収車型「ラムARV」、火炎放射型「ラム・バジャー」は実戦で使用された。
また、車体を流用して25ポンド砲を搭載した自走砲「セクストン」も存在する。