概要
背景
ドイツ軍の戦車に対抗するため強力な17ポンド戦車砲を搭載するチャレンジャー巡航戦車を開発中だった英軍だが、フルサイズの17ポンド砲を搭載した車両は車高が高く機動性に難があった。そこでビッカース社が自主的に開発を進めていたコンパクト版の17ポンド戦車砲を搭載する車両の開発を1943年から開始した。
開発
この搭載される17ポンド砲は砲弾頭は通常の17ポンド対戦車砲と同じであるが、コンパクトにまとめられた砲尾のため薬莢は3インチ高射砲弾のものを使用するようになっており、通常の17インチ戦車砲とは砲弾互換性が無く、17ポンド戦車砲や供与を受けたM4中戦車に搭載されている75mm/76mm戦車砲との混同を避けるため77mm戦車砲と呼ばれる事になった。この77mmHV(高初速)砲は、アメリカ式3インチ砲よりも優れた性能を発揮したとされているが、コメットでしか使われなかったため、はっきりとはわからない。
サスペンションはクロムウェル巡航戦車と同様のものであったが車体全体を溶接構造とされ、履帯の脱落を防ぐための上部転輪を追加している。
エンジンについてはクロムウェル巡航戦車から続いてミーティアエンジンを採用している。これは600馬力級の当時としては強力なエンジンであり、クロムウェルよりも車重が重くなりながらも機動力は大きな低下がなかったという。
砲塔は77mm砲の搭載によってチャレンジャー戦車より低く、横幅の広いものが採用されており、これは電動により旋回を行った。
量産と運用
量産型は1944年9月から引き渡しが開始されているが、実戦部隊の装備改編が遅れ、前線部隊への配備は12月になり、戦闘に参加したのはライン川渡河作戦からであったため、ほとんど対戦車戦闘を行う事もなかった。その中でも、ティーガーやパンターといった戦車等の交戦が記録されている。運用部隊からの評価は高かったとされる。
センチュリオン戦車が配備されると徐々に二線級の装備となり、1960年代までに第一線部隊で引退し、1970年ころでは予備軍からも引退していった。また、オランダ、ビルマ(後のミャンマー)、南アフリカ、レバノン、アイルランド、フィンランドでも使われた。これらの国でも大部分は1970年代には引退していったが、ミャンマーでは2007年頃まで現役だったとされ、2021年の軍事パレードで姿を見せている。
主な登場作品
イギリスの中戦車として登場。
イギリスの中戦車として登場。
- コンバットチョロQシリーズ
PS2「新コンバットチョロQ」のみ登場。
前述のように実際には大戦末期にドイツ軍と交戦した記録が残っているが、ゲーム中のタンク図鑑では「完成したら戦争が終わっていた遅刻戦車」と紹介されている。
ステージ中には登場せず、バトルアリーナ「ノーマル」で交戦し、勝利すると使用可能になる。
同軸機関銃タイプ「T」カテゴリーと車体機関銃タイプ「B」カテゴリーの武装を装備できる。