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M3中戦車

えむすりーちゅうせんしゃ

第二次世界大戦期にアメリカ軍やイギリス軍などの連合国側で運用された中戦車。アメリカ軍の制式呼称は「Medium Tank, M3」。
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開発

第二次世界大戦中の1940年5月、西方電撃戦が勃発し西部戦線が本格的に形成されたころ、アメリカ陸軍は機甲戦力増強のためM2中戦車の増産を計画した。

しかし、この戦車の主武装である37mm砲は仮想敵たるドイツ軍機甲部隊のIII号戦車IV号戦車に対して火力不足と判断され、1940年8月により強力な75mm砲を搭載する新型中戦車の開発が開始されることとなった。


とはいえ、これまで開発してきた戦車の主武装が最大でも37mm砲だった兵器局にとって、75mm砲を搭載可能な砲塔をいきなり設計するのは無理があった。

そこで、大型砲塔が開発されるまでの繋ぎとなることが決定した新型中戦車は、車体前面右側に75mm砲、砲塔に37mm砲を搭載するという、同時期の戦車としては珍しい形態の車輌となった。

1941年3月に設計が完了、制式呼称として「M3中戦車」が与えられたこの戦車は、1941年8月から量産されることとなる。


運用・実戦と評価

北アフリカ戦線

レンドリースによりM3中戦車を入手したイギリス軍は、この車輌を北アフリカ戦線で運用した。

当時の英国製戦車のほとんどが使用不可だった対歩兵戦闘に適する榴弾を運用可能で、なおかつ信頼性や整備性にも優れたM3中戦車は、前線の将兵に高い評価を受けた。

また、アメリカ軍もこの戦線でM3中戦車を運用したが、後継のM4シャーマン実用化のために、運用期間はあまり長くなかった。


東部戦線

レンドリースによりM3中戦車を入手したソ連軍において本車輌は、シルエットが高く敵から発見されやすいこと、国産のT-34と比べて防御力に劣ることなどの欠点ゆえに「七人兄弟の棺桶」などと呼ばれ評判は良くなかった……というのは、ソ連が国産戦車の優位性を誇示するため、レンドリースされた戦車を貶めたために生まれたプロパガンダで、おそらくはデマ。

国産戦車が本車よりも強力だったのは事実ではあるが、少なくとも、戦局の逼迫と工業地帯の移設事業中で1輌でも多くの戦車を求めていた当時のソ連軍にとって、M3中戦車が不要だったなどということはないはず。

現場の戦車兵の評価ではやはり車高が高いことと主砲が限定旋回であり取り回しが悪いことは短所として挙げられているが、逆に車体が大きいことから国産戦車と比べて車内に余裕があり操作しやすい、車高が高く視界に優れる(このことから「火の見櫓」とも呼ばれていた)、夏季ならば車内にもタンクデサントを便乗させることが出来た、最大仰角の大きい副砲は市街戦でも有効などその大きい車体が長所としても挙げられている。

同時に供与されたM3スチュアートとの区別のため「M3s」という名称が与えられたほか、イギリス軍で用いられていた「リー」あるいは「グラント」という愛称も使われていた。現場ではもっぱら「グラント」と呼称されていた様子。

1943年以降はT-34の生産が軌道に乗り始めたこととM4中戦車が供与され始めたことから順次後方部隊に回されたが、1945年夏時点でもザバイカル軍管区に配備されていたとの記録が残されている。満洲侵攻にも投入されたという説もあるが真偽は不明。


余談

  • 主砲はあくまでも車体の75mm砲で、砲塔の37mm砲は副砲扱い。
  • グラント」と「リー」という2つの愛称があるが、イギリス向けの仕様で生産されたものを南北戦争時の北軍将軍ユリシーズ・S・グラントから、アメリカ陸軍向けの仕様のままでイギリス軍に配備されたものを南軍の将軍ロバート・E・リーからそれぞれ名前を取って命名された。これはあくまでもイギリス軍で制定された呼称だったが、アメリカ軍でも非公式愛称として用いられており、南部出身者はM4シャーマンよりも本車を愛用していたとか。

登場作品

北アフリカ戦線で孤立したM3中戦車「ルル・ベル」号の乗員たちが主人公。

「サハラ戦車隊」のオマージュで「ルル・ベル」と命名されたM3中戦車が登場。撮影に使用されたのはM4の改造車で車体前面の操縦手用視察窓の位置に差異がある。

  • ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火

ソ連軍に供与された車両が登場。撮影に使用されたのはBMPを改造した車両。

初代PS「コンバットチョロQ」にのみ登場。いずれも作戦1「国境線に進路を取れ」から登場する。

ゲームの仕様上副砲のみ使用可能で主砲はただの飾りである。

リー・グラント両車が登場するが、グラントはそこそこな耐久性を有するのに対し、リーのほうはなぜか一撃で撃破できる紙耐久と相当な格差がある。

PS2「新コンバットチョロQ」では操作可能なタンクとしては登場しないが最初の街リベージュダースにあるQ大使像としてグラントが登場している。

リーがアメリカ戦車として、グラントがイギリス戦車として登場。いずれも主砲のみ使用可能。

国府軍の主力戦車として登場。グラント仕様でサンドスカートがついているが、砲塔のみリーのものになっている。車体後部に代燃炉を装備している。

第1話では廃墟となった村落の前に放棄された残骸として登場。その後第9話で要塞都市に侵攻する革命軍戦車隊を迎撃するために出動するが、射程外から一方的に攻撃され全滅してしまった。

M3リーが大洗女子学園戦車道部のウサギさんチームによって運用されている。

引き続きウサギさんチームが運用。ウサギさんチームの面々が上記の「1941」らしき映画を見るシーンがあり、同作に登場したM4改造車の特徴も再現している。

テレビシリーズ、劇場版に引き続きウサギさんチームが運用。第4話では澤梓が隊長代行として大洗女子学園戦車道部を指揮した。


関連タグ

M3リー M3グラント 中戦車


ラム巡航戦車 - カナダ製の改良型。

M4シャーマン - 後継車両。75mm砲を砲塔に搭載する。

M7プリースト - M3中戦車の車体を流用。

B1bis - フランスの重戦車。砲塔に47mm砲、車体に75mm砲を搭載する。

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