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戦車道

せんしゃどう

戦車道とは、アニメ『ガールズ&パンツァー』での戦車を用いた武道。
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概要編集

戦車道とは、TVアニメ「ガールズ&パンツァー」における古くからの乙女の嗜みとして、戦車を用いた武道のことである。

その成り立ちは、日本では『馬上なぎなた道』、欧州では『馬上槍試合』であるという説がある。

(※馬に引かせるチャリオットクワドリガが起源であったなど。その他の説もある)

礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸とされている。


……もっとも劇中では、降伏の条件に土下座を迫ったりネチネチ嫌味を言ったりルール上グレーな通信傍受を行うなど、どう考えても戦車道の理念に反している行動や言動を取る人間もちらほらと見られる。

結局のところ、劇中では、何のために戦車道を行い、何を思って戦車に乗っているのかは、人それぞれという塩梅になっている。


現実にも戦車を使用した競技が存在する(タンクロンと呼ばれるバイアスロンを戦車で行う競技)。ただしレギュレーションは大きく異なる。


なお、学校で行われる戦車道は部活ではなく授業での履修という形をとっているためか、高校戦車道の全国大会はインターハイとして扱われておらず、大会の開催時期も夏休み前とかなり早めになっている(もっとも、戦車を使う競技形態上、高体連からスポーツ武道と認定されるか非常に怪しいため、仮に部活で行われていたとしてもインターハイ開催は難しいと思われる)。


『最終章』では、世界大会やプロリーグに向けて戦車道に力を入れる一環として、戦車道連盟設立を記念して開催されていた冬季大会「無限軌道杯」が20年振りに復活した。


なぜ女性に人気なのか?編集

非力な女性であっても、戦車を用いれば強大な力を以て正々堂々と戦えるためで、女性騎兵隊に優先的に支給されたために広がったとされる。

この世界では、日本に戦車が輸入された当時、武士道精神を重んじる男性には「戦車は非力な者が操るもの」という流れが広まっていたため、戦車道は不人気だったという。現在ではその風潮も薄まり、戦車道に興味を持つ男性も多く存在している。その中にはサポーターや連盟のスタッフなどとして直接戦車道に関わる者もいるという。事実、戦車道連盟の理事長は壮年の男性であると劇場版で判明した。

そのためか「戦車道をやるとモテる」と信じる女子もいるが、実際のところどうなのか作中では明らかになっていない(人によっては「戦車に乗ると人々に注目される=男子に声を掛けられる」と思っているのかもしれない)。ただし少なくとも本編中において恋愛について言及されているこの二人はその件について前進しておらず、スピンオフ作品(もっとらぶらぶ作戦です、劇場版コミカライズなど)では戦車道関係者選手達が出会いのなさを嘆いており、特に劇場版コミカライズにおいてはアリサが相手を挑発して引きつける目的で「彼氏ができた」と嘯いてマウントをとった際はそれを真に受けた大学選抜チームの選手達が一同、「戦車道を嗜む者に男ができるなどありえない」と驚愕していた。

作中では西住しほが整備工の男性と早婚しているが、レオポンさんチームプラウダ戦記における描写を鑑みるに、整備すら基本的に女性が行っていることがうかがえるため、出会いがないのは必然と言える。というかそもそも作中に名前のついた男性キャラクターが4人しかいない(そのうちの一人は顔すら登場していない)上に全員が主人公たちとは年齢の乖離があるため、これが現状なのだろう……



基本ルール編集

タンカスロン、アルティメット戦車道等様々なルールが存在するが、公式な国際試合では以下で解説する欧州式が採用される事が多く、アニメ本編でもこのルールに準じて試合が行われている。


参加可能な戦車・装備編集

参加可能な戦車は第二次世界大戦が終結した1945年8月15日までに、戦線で活躍または設計が完了し試作されていた車輌と、それらに搭載される予定だった部材を使用した装備品のみ。


条件を満たせば戦車の改造は原則として自由。

劇中では戦車を変な色に塗ったり、外装を別の戦車のものにしたり、制限がない電気モーターにトンデモ改造を施した戦車が登場している。

また、車両のスペック範囲内でなら武装などを交換・強化することも可能。ただしレギュレーション範囲内で行うことを原則とし、違反と判断されるとペナルティを与えられる。

ガソリン(ディーゼル)エンジンは戦車のスペックにより制限されるが、前述の通りその他のエンジン(モーター)類は制限がない。ただし搭載されていない(することが出来ない)車両にそれらのエンジンを搭載することは不可とされる。

ただし現代の工作精度で作った部品を使えるため、大戦期のオリジナルよりスペックが若干高くなっており(特に大戦時基礎工業力の低かった日本製戦車が顕著)、整備などの信頼性も高くなっていることが制作スタッフから語られている。(劇場版ブルーレイのコメンタリーで「カタログスペック通りの性能が出る世界(要約)」とも語られていた)


このルールの例外として、後述の白旗判定装置を組み込むことと、競技者保護のため、乗員室を特殊カーボンでできた連盟公認の装甲材で覆うことが義務付けられている。


使用される砲弾・弾丸は連盟公認のもののみが使用可能。これは実弾扱いではあるものの、対人用センサーを施してある砲弾であり、これにより殺傷能力を無効化している。弾頭や装薬も連盟の厳しい検査によって配分が決められている(火薬の量を調整しているため、通常の砲弾より若干軽くなっている模様)。加工を施されると殺傷能力を持ってしまうため、競技者が手を加えることは禁じられている。




試合形式編集

主に相手チームの全ての車両を撃破または行動不能にすれば勝利となる殲滅戦と、指定された相手チームのフラッグ車を先に撃破した方が勝利のフラッグ戦が存在する。


全国大会では、戦力差を少しでも縮めるため全ての試合はフラッグ戦となっている(しかし、小説版ではその都度決められているようで、2回戦のアンツィオ戦では殲滅戦になっている)。

一方、予定されるプロリーグでは総車両数の関係により、殲滅戦が基本となっている。

なお殲滅戦には時間制限がないことが明かされており、劇場版の作戦会議では冬将軍が来るまで持久するという作戦案まで飛び出した。


このほかにも先に目標を奪取(占領)したチームを勝利者とする陣取り戦が存在する。


試合の開催地編集

試合の開催地は、公平を期すために連盟がルーレットで決めて各校に通達、その後72時間以内に開催地へ寄港して会場に登録申請するまでの間が各校の準備期間となり、この間に作戦や対策の立案、戦車の編成や整備・改造を済ませなければならない。

また、競技場に異議がある場合は、連盟からの通達から24時間以内に異議の文書を提出し、審議した後に異議が通れば開催地の変更が行われる。


参加車両数編集

公式戦の1回戦から準々決勝は参加車両数が10両まで認められており、準決勝は15両、決勝は20両まで認められている(最低参加車両数は5両)。

当然、車両数が多いチームが有利になるが、戦車単体のスペックと各チームの能力が反映されるケースがほとんどのため車両数=出場チーム全体の総戦力とはならない。

ちなみにプロリーグでは大規模となるため、30両まで認められるという。

出場する車両の登録は次の試合までに事前登録を行うのが原則であり、登録されていない車両の出場はレギュレーション違反となる。ただしスパイを欺くための偽装は認められている。


その他編集

車輌の上面・側面・底面には、連盟公認の判定装置が設置されている。判定装置の白旗が上がった場合は「行動不能」となる。


白旗は、有効な命中弾を受けるか、エンジンがオーバーヒートを起こしたとき、及び致命的な衝撃を受けた場合に上がる。この際、被弾の衝撃で車両が横転した場合などは基本的に上を向いている面の判定装置から白旗が上がるが、側面の白旗が上がっているケースも散見される(白旗は上下左右に取り付けられている模様)。

また、装甲への衝撃が軽い場合や、履帯の破損などについては判定が上がらず、修理して戦線復帰が可能である。戦車が何らかの理由で横転した場合は白旗判定になるかはその時の状態と戦車で異なる様で、アンツィオのCV33のような豆戦車は完全にひっくり返っても白旗は出ず、プラウダKV-2のような重戦車は横転してすぐに白旗があがっている。

搭乗者が戦闘不能と判断した際にも任意で白旗を揚げることも可能。ただし戦車自体が行動不能になるまで戦うことが多いため、そのケースは稀といえる。

白旗が上がった車輌は、審判団が回収し、試合から離脱する。しかしそれまでは戦場に取り残されたままであり、車体を使った妨害が可能。搭乗員も離脱するが、撃破直後にその旨を報告することが可能。


なお、アニメ劇中での明言はなかったが、戦車道選択専攻ガイダンスによれば戦車の撃破・走行不能以外にも、戦車の搭乗員がすべて降車してしまった場合も試合放棄とみなされ失格となるとされている。

聖グロリアーナ戦で全員が戦車から逃げ出してしまったウサギさんチームがこれに該当すると思われる(が、アニメでは直後に彼女達のM3リーが被弾・白旗が上がっており、直接の失格要因がどちらになるかは明確に描写されていない(全員降車をもって即失格だとすれば本ルールによる失格、降車後一定の猶予時間があるとすれば被弾による撃破が失格要因と解釈できるためどちらとも言い切れない)。なお漫画版では撃破(というより逃亡の描写自体がない)、小説版では逃亡による失格とされている)。

また、プラウダ戦で大洗女子側が全員降車している件については吹雪による試合中断中のことなので適用外と思われる。

その他劇中での描写を観る限りだと、同じような破損具合で白旗の上がる基準にある程度幅があるように見受けられる。

もしかしたら、判定装置が白旗相当と判定した後に審判による目視で決定がなされているのかも知れない。



選手同士の意思疎通は無線で行われるが、携帯電話のメール程度なら違反対象にはならない(ただし電話での会話は違反対象)。

無線の傍受はルール違反ではないが、フェアプレイに反する行為という暗黙の了解があり、選手は傍受をあまり気にすることなく、原則として平文で通信を行う。

作中、この無線傍受を独断で行なった上、それを逆手に取られ敗因の一つを作った選手は、試合後に説教(?)を食らっている。


様々な流派編集

それなりに長い歴史を持つ戦車道において、様々な流派が存在する。

その中でも特に有名なのが、『西住流』『島田流』である。


西住流についてはこれが西住流…!!』を参照


島田流については島田千代を参照


乗り物の扱いについて編集

こういう世界観であるためか、本作では乗り物を運転・操縦することのハードルが現実世界よりもかなり低くなっている。

学園艦の操舵・運営を生徒が行っているのを始め、ヘリコプターやスーパーギャラクシーまで学生が操縦する。また、小学生レベルでも平然と車両を運転できる様子を見ても、ビークル類の運転に関しては現実世界より緩い規制となっていると推測される。


自動車免許については現実世界に準じるとされているが、戦車限定大特免許が存在する。現実にもカタピラ車限定大特免許が存在するが、それと違って普通自動車免許とは別に取ることができる。

学園艦上は公道扱いされず(学園艦全体をひとつの学園として扱う関係上、住宅街や商店街も含めた艦上の都市全体が「学園の敷地内=私道」として扱われるため)、無免許での運転も、四点式シートベルトの搭載も、速度制限のない道路を設定することもできる。

規制自体は学園艦ごとに決められているようで、学校によっては学園外でも車両を運転することが可能。


余談編集

決して「せんしゃみち」と読んではいけない。

なぜならまったく別物になってしまうからである。

「せんしゃみち」の代表的なものとしては東京都町田市にある旧陸軍が戦車のテストコースとして建設し、現在は緑道になっているものがある。

読み方を提示せずに「戦車道」と書けば、一般的な町田市民は緑道の方を指すので注意が必要である。

ちなみに、本作の挿入歌『それゆけ!乙女の戦車道!!』では「これがわたしのせんしゃみち」の歌詞が出てくる。ただし、最後の歌詞のみ「これがわたしたちのせんしゃどう」となっている。


関連タグ編集

ガールズ&パンツァー 戦車 武道

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