概要
アニメ『ガールズ&パンツァー』に登場するプラウダ高校のカチューシャとノンナを主役としたスピンオフ漫画。単行本全5巻。
本編の約2年前から始まり、二人の出会いから翌年の全国大会優勝までの活躍が描かれる。作者は吉田創氏。
物語はカチューシャとノンナを中心に物語が進められ、二人の出会いから始まり、プラウダ高校の変革を目指す。
作中では人間関係の葛藤や苦悩が多く描写されており、その他に全国大会の不自然な規模や設備の縮小や戦車道関連団体の度を越した介入(裏口入学や選手の強制退部)等、ところどころに戦車道の衰退や腐敗の様子や要因が垣間見えており、本編よりもシビアでシリアスな面が多い。
反面、映画やゲームなどのパロディも多く、あちこちに小ネタが仕込まれている。
あらすじ
第62回戦車道全国高校生大会で黒森峰女学園の10連覇を阻止して優勝を果たしたプラウダ高校。
しかし、人命救助の隙を突いてフラッグ車を狙い撃ちしたことで、その優勝の正当性で賛否両論が挙がり、「汚れた王者」、「勝利の簒奪者」と罵られる始末。
だが、フラッグ車を撃った張本人・現隊長のカチューシャはそれらの批難に小揺るぎもしなかった。
小さな身体に秘めた不動の精神、その強さを支えるものとは一体なんなのか…。
登場人物
プラウダ高校
本作の舞台。
戦車道の強豪校であり、毎年優勝候補に挙がっている。
モスクワ大学に似た校舎やクレムリン宮殿に似た会議場などを有する。
本作の主人公。プラウダ高校に首席で入学する。
貪欲に勝利を追い求め、戦術・戦略両面に長けた策士。プラウダ高校が長きにわたって二番手に甘んじていることに憤っている。
子供っぽい見た目のせいでまともに相手にされないことが続いてきたため、確かな実力と実績を得て一人前扱いされるために努力してきた。そのため優れた戦術眼とノンナをしてついていきたいと思わせるカリスマ性を持つ。また、アメとムチを巧みに使い分けて1年生のメンバーをまとめ上げ、「シベリア送り(陽の当たらない教室で補習)」では自ら教壇に立つ。
絡んできた不良たちを1人で撃退する、ノンナ車と2両だけで上級生たちの本気の猛攻に勝利する、上級生ですら誰も見破れなかったアールグレイの策略を看破するといった活躍を見せており、本編とはまた違った魅力を放っている。なお、子供っぽいところもあるのは本編どおり。
もう一人の主人公。本編よりも髪が短い。当初カチューシャを学業成績がいいだけのガリ勉と見下していたが彼女の真の姿を見て心酔するようになる。
大人びた容姿ゆえに何度も身に余る重責を背負わされてきたため、中身を見た目に追いつかせるために努力してきた。その結果人間離れした身体能力と射撃能力を持っている。
カチューシャと寮で同室になったのを機につけ始めた日記が「カチューシャ日記」のようだ。またNKVD(N=ノンナと共に K=カチューシャの V=Victoryを実現する D=団)という私的調査組織を編成して情報収集を行なっている。
- エカチェリーナ/浦路玲邇(うらじ れに)
本作のプラウダ高校現隊長。「永久凍土のエカチェリーナ」の異名を持つ。采配は優れているものの柔軟性に欠けるフシがあり、交流試合ではカチューシャとノンナの連係プレーに敗れ、全国大会での聖グロリアーナとの試合ではアールグレイに翻弄されて敗北を喫した。
他のメンバーとは違い、本気で勝利を目指しており、聖グロに敗北した際は泣いて悔しがっていた。
- オルガ/荒草涙子(あらぐさ るいこ)
本作のプラウダ高校現副隊長。隊長車の砲手。エカチェリーナの理解者で彼女の努力を見てきた。
- ポリーナ/縁楠しえる(へりくす しえる)
本作のプラウダ高校前衛部隊長。カチューシャほどではないが小柄で、気性はカチューシャに負けず劣らず荒っぽく、常に最前線で戦う。
同学年と勘違いしたゼムリャ達に絡まれたことで負傷し、交流試合で報復している。
- ナターリア/亀音文恵(かめね ふみえ)
プラウダ高校2年生(初登場時)。のちの隊長。
チームの和を重視し、戦車道を楽しくやろうとしているが、それは過去に自分たちが死に物狂いで特訓しても黒森峰に勝てなかった挫折と絶望に起因している。
後に小中学生向けの戦車道講座を担うことになる。
- ライサ/郷里 忍(ごうり しのぶ)
プラウダ高校2年生(初登場時)。のちの副隊長。
- ラウラ/折雉 優子(おるきじ ゆうこ)
プラウダ高校1年生(初登場時)。小隊長。カチューシャとノンナに次ぐNo.3。
- ファイーナ/ニ寺 宮華(にてら みやげ)
プラウダ高校1年生(初登場時)。砲手。ノンナに次ぐ狙撃能力の持ち主。
- ハンナ/江条 富美子(えじょう ふみこ)
プラウダ高校1年生(初登場時)。設備係。
プラウダ高校1年生(初登場時)。入学式直後にカチューシャに絡み、喧嘩になるが返り討ちに遭う。その後戦車道チームのメンバーになり、カチューシャ指揮下に入る。当初はカチューシャに反感を持っていたが次第に従順になる。実力はあまり高くなく、チーム内では落ちこぼれに分類されていたが、根性と運の良さでレギュラーを勝ち取る。名前の由来は順にロシア語で海(море)、陸(земля)、空(небо)。
後のKV-2の装填手。
中3の時に小中学生を対象としたプラウダの戦車道講座に出席している。
黒森峰女学園
ライバル校であり、決勝戦の相手としてページが割かれている。強豪として連覇が期待されている一方で氷室・鬼塚卒業と桐島退部後に優秀な生徒が殆ど退部して選手層が薄くなっていく不穏な状況下に置かれていることが描かれている。
本作の黒森峰女学園隊長。サングラスをかけている。鬼塚が暴走した時のブレーキ役。
本作の黒森峰女学園副隊長。大柄でガラの悪そうな見た目に反して高潔な人物で隊員からも慕われている。チームメンバーと接する際は将校帽を被り、ロングコートを羽織っている。毎朝マジックで顔に傷跡を描き入れている。
黒森峰女学園隊員。富永は眼鏡を掛けており、黒島はガングロ、花谷はオールバックが特徴。
3人とも氷室・鬼塚より1学年下で西住まほより1学年上。黒森峰の生徒とは思えないほど素行不良で陰湿な性格をしており、分が悪くなるとPTA(「支援者と戦車道の協会」の略。戦車道スポンサー企業の連絡会)主要メンバーである親の権力をちらつかせる。本来は黒森峰に入学できるほどの実力は持っていないが、親のコネで入学したとされている。
3年時には鎖犬隊(ドイツ軍野戦憲兵の「鎖につながれた犬」という蔑称から取られている)と名乗り、西住流宗家の娘であるみほに様付けにして露骨にこびへつらう一方で他の生徒に対してはより横暴に振舞っている。
だが、そんな彼女達も親によって自分が進みたい道を選べず戦車道を強いられるという被害者でもあった。
苗字のモチーフは旧日本陸軍富永恭次、旧日本海軍黒島亀人、旧日本陸軍花谷正(いずれも悪名高い旧日本軍の将官達)と思われる。
黒森峰女学園一年生。車長。
黒森峰女学園一年生。操縦手。
黒森峰女学園一年生。砲手。
黒森峰女学園二年生。車長。
現在の黒森峰でも有数の突破力を持つ実力者だが、頭に血が上りやすく暴走しやすい。
2年生のまとめ役として期待されていたメンバー。3年生の卒業直前になって突然戦車道を辞め、普通科に転属する。
「桐島、部活やめるってよ」
西住流の後継者。1年生でありながら上級生相手に1対10の殲滅戦に勝利するほどの実力を誇り、2年時には逸見エリカ達中学戦車道の猛者揃いの下級生相手に1対10の練習試合で圧倒する実力の持ち主。
その優秀さゆえに桐島退部後に2年生ながら隊長を任されている。チームを取り巻く不穏な状況下ながら前向きに動いている一方で不器用さからかみほ以外とのコミュニケーションに齟齬をきたしていることが描かれている。
彼女の戦いぶりを見たカチューシャは、かつてないほどの恐怖心を抱き、まるで某冥王を前にするかのように恐れている。
1年生。列車ごっこのような練習を強いられていたり(操縦手役)、転輪が破損したティーガーの整備中足回りを複雑な設計にしたドイツ人にブチ切れたりとコミカルな場面が多い(ちなみにティーガーの転輪が破損したのも彼女がティーガーを操縦できることにはしゃいで無茶な操縦をして岩に乗り上げたからとのこと)。
1年生。
1年生。エリカやアヒャ子とチームを組んで練習している。砲手役。癇癪を起こすエリカをなだめる場面がある。
1年生。装填手役。悪い知らせを持ってくる。名前は作中では登場しないが、『最終章』で判明。
1年生。本編での主人公だが、口元以外顔が描かれていない。
カチューシャをして驚愕させた姉と互角に渡り合う実力を垣間見せている(しかし、本人は才能が無いと思い込んでおり、かなり過小評価している)。姉相手には明るい一面を見せており、仲良く会話している。同級生や下級生の顔と名前を全員覚えられていない姉と異なりチームメイト全員を覚えている。しかし同級生からは悪印象こそ抱かれていないものの「西住妹」と印象薄く扱われ、その一方で上級生であるはずの富永達鎖犬隊に一方的にこびへつらわれて周囲とうまく付き合うことができない異様な環境下にありながらもなんとか前向きに頑張っている。
聖グロリアーナ女学院
本作の聖グロリアーナ女学院現隊長代理。普段はお淑やかに振る舞っているが極めてエキセントリックな性格をしており、ダージリンをしょっちゅう振り回して困惑させている。それでも戦車道の実力は本物。ダージリンに柔軟性の重要さを少々手荒なやり方で説いている。
2年前の全国大会では、自身の乗るクロムウェルとクルセイダー部隊の機動力を活かしてプラウダチームを翻弄し、防戦一方に追い込んで聖グロチームを勝利に導いた。その後、自身の策を看破したカチューシャにティーセットを贈っている。翌年は正式に隊長となっている。
アールグレイの世話係として登場。髪型は三つ編みのおさげ。普段からアールグレイの奇行に振り回されており、困惑している。アールグレイを窘めようとするが盛大にスカートをめくられ、そのままアールグレイとスカートをめぐる攻防を繰り広げる。
プラウダチームとの試合ではチャーチルに搭乗し、狙いを外して動揺するアッサムを落ち着かせた。
アールグレイの世話係として登場。アールグレイの本性を目の当たりにしてショックを受けている。
プラウダチームとの試合ではチャーチルに搭乗。フラッグ車狙撃をカチューシャに阻まれ、動揺するがダージリンの励ましで冷静さを取り戻し、見事プラウダのフラッグ車を撃破する。
制グロリアーナ女学院二年生。車長。
聖グロの校風に反発するカウンター勢力の一員で、聖グロではありえないパンクファッションが特徴。歴代の隊長達からは煙たがられた存在だが、アールグレイが面白がってレギュラー入りさせた。
見掛けに反して戦車道に対し深い知識と広い視野を持つ。
ファニングスとは、紅茶の等級でティーバッグに使われる細かい茶葉のこと。
ボンプル高校
スピンオフ漫画『リボンの武者』よりゲスト出演。
1年前の全国大会で、プラウダに追い詰められて諦めムードが漂う中で徹底抗戦を主張し、チームメイトを鼓舞するが…。
1年前の全国大会時の隊長。名前は作者・吉田創のTwitterから判明している(現在はリンク切れ)。
知波単学園
1年前の全国大会時の隊長として登場しているが、実はそれ以前にそうと匂わせるイメージキャラとして登場している。
青師団高校
1年前の全国大会時の隊長。
魔性の女と一目されるほどの妖艶な美女だが、実際は男性と話すこともできないほどの奥手な性格。しかし、周りからの要求に応えるべくこなれた女の振りをしている。
ロシア軍
カチューシャが呼んだロシア軍戦車兵の1人。階級は少将。
大柄で顔に傷跡がある。図上演習でカチューシャの相手をしていたほか、射撃訓練の監督もしていた。カチューシャの将器を見抜いている。
(所属する第9独立戦車旅団は架空の部隊であるが、同様に独立戦車旅団の旅団長は少将である)
カチューシャが呼んだロシア軍戦車兵の1人。階級は大尉。
軍服の上にコートを羽織っている。トレーニング中に弱音を吐くメンバーを拳銃(本人曰くモデルガン(銃口から発火モデルガンに特有の補強材が見える))で脅しつけてトレーニングに戻らせた。
(現実の国連海洋法条約が適用される場合、公海上にあろうと領水内にあろうと旗国主義に則り、旗国の法律が有効。旗国や学校の創立者が不明であるため、違法行為であるかどうかは不明であるが、そもそもパラレルワールドの世界観であるため、別の法体系が存在する可能性もある)
名前、容姿、言動のモデルは恐らく、というか間違いなくソ連軍在籍時代のこの人。
カチューシャが呼んだロシア軍戦車兵の1人。階級は中尉。
口数が少なく影が薄いが意外に優しく気遣いが出来る。ソフィアのモデルガンの仕込みは彼女の仕業と思われる。
カチューシャが呼んだロシア軍戦車兵の1人。階級は曹長。
装填手のメンバーの訓練を担当し、砲弾を抱えて歌いながらランニングという過酷なトレーニングを課した。
普段はニコニコしており、言葉遣いも丁寧でフレンドリーだが訓練になると某軍曹の如く豹変する。
戦災孤児出身であり、重度の日本オタクである。
インド系2世のロシア人。アルヴィナと同期。階級は軍曹。
ヴェーダ数学の達人で人間計算機と呼ばれている。新兵器の開発にも携わっている技術者でもある。アルヴィナの影響で日本のサブカルチャーに染まりつつある。
前述のロシア軍人達に混じって登場。日本の戦車道をまがい物と評し、自分を満たしてくれるものを求めながら帰国する。
ヴィクトーリアと面識がある。
その他
数コマのみ登場。聖グロvsプラウダの試合実況でクロムウェルを駆るアールグレイを見て憧れを抱く。
娘達の台詞にのみ登場。幼少時のみほの破天荒ぶりに頭を悩ませていたという一面が語られている。爬虫類や両生類が苦手。
日本戦車道連盟審判員。
あまりに度を超えた予算と人員の削減で大会の安全性が危ぶまれる現状を児玉に訴え、さらに削減したはずの予算の行方が分からないという闇にも触れ、児玉に高校戦車道を糾すことを呼び掛ける。
後の理事長。カチューシャやまほ二年時は副理事長であり、七三分けのスーツ姿(ただし髪はカツラ)。恩ある上役やPTAと部下たちの板挟みにあっている中間管理職の悲哀が描かれている。
日本戦車道連盟審判員。
余談
『プラウダ戦記』連載終了後、吉田創氏は新たに『ガルパンデモニウム』という本作とは真逆のギャグ漫画なスピンオフ作品を連載したが、諸事情でわずか4話で打ち切りとなった。
関連タグ
ガールズ&パンツァー カチューシャ(GuP) ノンナ プラウダ高校 スピンオフ