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概要編集

トールキンによる『指輪物語』のラスボス

一つの指輪を作った張本人であり、エルフや人間、ドワーフなどと敵対する邪悪な勢力の総帥。

ご存知、2001年から公開された映画版3部作においては、既に肉体が消滅し、燃える瞳として表現されているが本来は、美しい肉体があった。

来歴編集

サウロンは、彼が邪悪な存在に堕落した後の呼び名であり、本名は不明ながら「マイロン」と推測されている。

その本名の意味するところは「誉れ高き者」「卓越者」だとされている。

元は、世界創造に加わったマイア(作品における精霊神族の一つ)の一柱で鍛冶と工芸の神アウレに仕えており、その力はマイアの中でも最も力あるものの1人に数えられる程だった。

(指輪物語では、神とは創造主エル・イルーヴァタールを指し、これはキリスト教のヤハウェに相当する。そしてこのエルの作った聖なる者たち(アイヌア)と呼ばれる下級神や天使に相当する聖霊種族が存在し、このアイヌアの一部が地球に降り立った。地球に降り立ったアイヌアの中でも特に強大な力を持つ15柱をヴァラ(複数形:ヴァラール)、それ以外をマイア(複数形:マイアール)と呼ぶ。)


肉体を持っていた時は人間よりも少し大きい程度の体躯だった(モルゴスは6~7m程度という考察がある)。


また魔法使いサルマンもアウレに仕えていたため、サウロンとサルマンが昔から上司と部下だった可能性もある。

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堕落編集

サウロンは、もともと鍛冶の神アウレに仕えていたが、ヴァラールの中でも飛びぬけて強力な能力を持っていたメルコールの力と思想に影響を受けてその配下に加わり、邪悪な存在へと堕落していった。


メルコール(のちの冥王モルゴス)は、神々の王マンウェより強く、全てのヴァラの特性を持ち、全てのヴァラールが結集しても相手にならないほどであった。

しかしトールキンの言を借りると「メルコールは、サウロンのように冷静で賢くない」ため、サウロンが主君に代わり様々な謀略を担当し、得意な工芸の技術で邪悪な怪物たちや武器を作り出した。

彼の働きによって次々にマイアたちは堕落し、オークトロール、バルログなどの邪悪な種族が作り出されて行った。


メルコールは、世界創造以前から独断専行が目立ち、創造主エルと対立していた。

他のヴァラールからも疑われていたが神々の王マンウェと兄弟関係にあったため許されて来た。

しかしエルフの作った宝玉に何としても手に入れたいと思ったメルコールは、エルフとヴァラールの仲を裂こうという策謀を巡らせる。

その結果、彼は神々の国から追放され、エルフからも敵視されたことで冥王モルゴスと呼ばれるようになった。


ところがサウロンは、すぐにモルゴスと合流せず、ヴァラールの情報を探り、多くのスパイを指揮して主君に協力した。

中つ国第一紀・第二紀編集

The dark lord Sauron by Kaprriss

サウロンが何時、主君モルゴスと合流したのかはハッキリしていないが、中つ国第一紀には地上においてモルゴスの副官となっていた。


しかし、モルゴスの力は使用する毎に減少するという致命的な弱点があった。(どれほど強大な力を持とうとも、所詮神の創造物でしか無いモルゴスが無限の力を持つ神を超える事は出来ないのも至極当然の話ではあるのだが。)

初めは神々の王マンウェの何万倍も強力だった力も、いたずらに破壊行為や妨害に費やしたことで徐々に衰え、再びマンウェと対峙した時にはモルゴスは全盛期と比べて遥かに弱体化してしまっていた。

以来、モルゴスは最前線で敵のヴァラールと戦うことは少なくなり身を隠すようになった。


サウロンは、オークたちを繁殖させ、常に大軍を維持して主君を補佐した。

しかし遂にモルゴスが敗れ、夜の扉の向こうの虚空へと追放された。


サウロン自身、神々の国アマンに連行され、裁きを受けることになった。

神々の威光のあまりに、一時は彼さえも本当に悔悛したとされるが、結局サウロンは脱走して身を隠し、再び軍勢を整えて主君の帰りを待った。


中つ国の第二紀に入ると、サウロンは戦争で荒れ果てた地上を復興することが自らの使命だと感じるようになった。

しかしモルゴスの下で歪んだ彼は、エルフや人間たちを支配するという欲望に駆られた。

モルゴスが虚空に追放された後、彼自身が邪悪な勢力の総帥となり、「(二代目)冥王と呼ばれるようになったのである。


サウロンはモルドールに本拠地を構えると中つ国最大の塔バラド=ドゥーアを建設。

一つの指輪力の指輪の作成に取り掛かった。


彼は、もともと工芸の神アウレの部下だったことからアウレの使者を騙り、地上を再興するためと言ってエルフたちを利用し、指輪を作ることに協力させた。

サウロンの指導のもと幾らかの失敗を繰り返したエルフたちが遂に19個の力の指輪を完成させると、サウロン自身は他の指輪の持ち主を支配できる一つの指輪を作り出し、これにより中つ国全土の支配を目前としていた。


ここで彼は致命的な失敗をする。

一つの指輪が完成するや、彼は計画の実行を待たずに「力の指輪の詩」を歌い上げ、それが力の指輪の制作者であるケレブリンボールに聞かれてしまうのである。


これによりサウロンの正体とその計画が露見、エルフたちは自分たちの指輪を隠してしまう。

やむなくサウロンは、軍勢を引き連れて力尽くで指輪を回収しようとするが失敗。

しかしこの時、9人の力の指輪を持った人間の王たちが堕落し、ナズグル(指輪の幽鬼)となって彼の配下に加わった。


軍勢を再び起こしたサウロンは、西の大国ヌーメノールを攻める。

しかし信じ難いほどの大艦隊が押し寄せ、サウロンの部下たちは恐れをなして逃げ出し、サウロン自身も捕虜となった。


ところがこれこそサウロンの計画の一部であった。

ヌーメノールは神々の国アマンに最も近い島にあったが、ヌーメノールの人々がアマンに近寄ることはヴァラールによって禁じられていた。

このためヌーメノール人は表向きエルフやヴァラールと友好に接しつつも、その内心では嫉妬していた。

サウロンは捕虜として見世物にされつつもヌーメノール王に接近し、王の嫉妬心を利用してアマンを攻撃するように差し向けた。


こうして強大なヌーメノール軍を自分のものにしたサウロンは、アマン攻撃を実行する。

ところが、彼の主君モルゴスと神々の王マンウェとが戦っている最中でさえ姿を見せなかった創造主エルが突如戦いに介入し、アマンに向かうヌーメノール軍を粉砕してアマンを地上から切り離した。

これと同時に世界規模の改変が加えられ、世界は初めて球体になった。

またヌーメノールは海底に沈められ、勝利を確信していたサウロンも海の藻屑となった。


マイアはヴァラールに劣るといえども聖霊であり、死ぬことはないため、サウロンは再び地上に舞い戻った。

しかし主君モルゴスが姿を変えられなくなったように彼も悍ましい姿になってしまった。


サウロンは、海底に沈んだヌーメノールから生き残った人々がいると知って、自分の敵となる前に今度こそ完全に抹殺しようと考えた。

(ヌーメノール人はエルフではなく人間だが、後の世の人間にはハイ・マンと呼ばれ、『指輪物語』の時代の人間から見て実質的に上位の種族だった)

地上のエルフと人間もサウロンに対抗するため、再び一致団結する。

これがいわゆる最後の同盟である。


この戦いは、サウロンの思っていた以上に彼の肉体が衰弱していたこと、彼がヌーメノールで囚われていた間にモルドールの弱体化が進んだことが原因により敗北した。

この時に人間の上級王イシルドゥアに力の源であった一つの指輪を奪われ、サウロンは力を失いどこかに逃げ去った。

指輪物語編集

冥王サウロン

中つ国第三紀。

サウロンにとって指輪を奪われたことは、致命的な出来事であった。

最後の同盟との戦いの後、サウロンは、いわゆる映画版3部作の物語に入るまで3000年かけてナズグルたちを操り、軍勢を整えた。


その間も『ホビットの冒険』では、「死人(しびと)占い師(ネクロマンサー)」として名前だけだが登場した。

また『シルマリルの物語』など様々な時代で登場している。

The Dark Vala


サウロンにとって不幸中の幸いだったのはその3000年の間に指輪が破壊されなかったことだった。

かつて指輪を拾ったゴクリ(ゴラム/スメアゴル)を捕え、拷問によってホビットのビルボ・バギンズが今は一つの指輪を持っていることを調べ上げると、彼はナズグルに指輪の奪還を命じてビルボのもとに派遣した。


ビルボ・バギンズは一つの指輪を姿を消す魔法の指輪程度に思っていたが、111歳の誕生日で異変を感じ、魔法使いガンダルフに相談した。ここで、最後の同盟とサウロンの戦いから3000年もの間行方不明だった一つの指輪が発見される。

指輪はフロド・バギンズに託され、滅びの山で消滅させることが決まった。

(滅びの山は、サウロンの本拠地モルドールにある火山で、指輪を作る時に利用され、また指輪を消滅させることができる唯一の場所。)


サウロンにとって敵のアラゴルンやガンダルフらが一つの指輪の破壊を試みていることは、想定外であった。

というのも指輪の誘惑に勝てる生き物は存在しないと考えられており、その例外のホビットも、ヴァラールやマイアールにとって関心を払う必要のない取るに足らない種族だったからである。

ゆえに指輪の影響を受けずに滅びの山まで運ぶことなど不可能と考えていた。


アラゴルンらがモルドールまで攻め寄せて来たときも、指輪を持っていることで慢心しているのだとサウロンは考え、この隙に指輪を取り返そうと考えていた。

しかしこれらは全て陽動であり、サウロンがアラゴルンの軍勢に気を取られている間に指輪は滅びの山に投じられた。

これによってサウロンの魔力は全て失われ、彼は主君モルゴスと同じように虚空に逃げ去ることになった。


より詳しくは、Wikipedia「サウロン」などを参照のこと。

余談編集

  • 巨大猫

初期稿では「猫の王子」ことTevildoという名であり、実際に巨大な黒猫に化け、モルゴスの力で巨大化した猫達を部下にしていた。

が、こちらではフアンに殺される事はなく、命を取られない代わりにフアンが提示した条件で部下の猫達にかけられた魔法を解いた。

当然、モルゴスは猫達が裏切った事に怒り狂う。

2017年に発売された小説では、Tevildo の設定が活かされて Thuというサウロンとは、別のネクロマンサーとなった。

  • 恐竜

創作物のキャラクターに因んだ恐竜古生物は多くいるが、サウロンに関しても2012年に、白亜紀モロッコに棲息した肉食恐竜に「サウロンの眼」を意味するサウロニオプスという名がつけられている。

  • 実力

一つの指輪をはめたサウロンは、末期のモルゴスよりも力が上らしい。

また指輪をバルログがはめた場合、末期のサウロンよりも強くなる可能性があるらしい(参照)。

さらにエレンディル(アラゴルンの先祖)とハイエルフのギル=ガラドの両者と戦い、相打ちになっている。

いずれにせよサウロンは、モルゴスの部下で最大の実力者である。

  • 姿

映画版3部作では、サーチライトのように塔の上で光る燃える瞳で表されるが、実際はあの黒い塔自体が仮のサウロンの身体である。

変身が出来た頃は、巨狼や吸血コウモリなどに化けることもあり、女吸血鬼スリングウェシルと巨狼の祖のドラウグルインとは共にモルゴスに仕えた仲でもある。

  • 悪魔

作中で悪魔を意味する言葉として「umaiar」があるが、これはモルゴス、サウロン、ウンゴリアント、そしてナズグルたちに当てはまるとされる。

なお、元の言語学的にはオークの方が冥王寄りであり、また、おそらくは巨狼の祖ドラウグルインの名前の由来となった「ドラウグル」も、オークと関係がある (参照)。

  • アラゴルンとの対決

映画版3部作では、アラゴルンと対決する計画があった。

しかしあくまで主役がフロドであるというコンセプト上の理由から却下された。

関連イラスト編集

元の美しい姿、肉体が一度滅びてからの恐ろしい姿、燃える目のようなイメージ(通称「御目様」)、そのどれかで描かれる。もちろん、親玉と一緒に描かれている作品もある。

Tolkien fan art / Sauron &Melkorthe king of the ringsサウロンの眼の中のサウロンMelkor & Sauron

外部リンク編集

関連タグ編集

指輪物語 ホビットの冒険 シルマリルの物語

冥王 一つの指輪 ナズグル モルゴス

堕天使 ネクロマンサー 副官 参謀 

非関連タグ編集

魔王…作中の「魔王」と呼ばれるのは、サウロンの部下であるアングマールの魔王。

バックベアード…御目様状態のそっくりさん。

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