概要
綴りは“John Ronald Reuel Tolkien CBE(ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン)”。
- 1892年1月3日生 ~ 1973年9月2日没
小説家としての代表作は前述の『指輪物語』や『ホビットの冒険』など。尚、英語表記の名前の末尾に着く“CBE”とは、大英帝国勲章コマンダー勲爵士の略称(トールキンは第一次世界大戦へイギリス陸軍少尉としての従軍・実戦経験あり。ただし末端の下級の通信将校であった。これは指輪物語の盛況後にイギリス女王より叙勲されたもの)。『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイスと大学の同僚で親しい友人だった(後に疎遠になる)こともよく知られる。
世界中から届くファンレターに可能な限りマメに返信していたことでもよく知られ、ファンからの作品に関する質問にいちいち律儀に答えたりしている。これが功を奏した一件として、アメリカ合衆国で著作の海賊版が流通した際にそのことを手紙でファンに訴えた結果、不買運動が起こってその出版社の売り上げが下落、最終的に謝罪して発売を取りやめるという、インターネットも何もない時代にファン交流の人脈だけですごいことを起こしたりしている。
両親を早くに亡くし、苦学した経験や、奥さんのエディス夫人との大恋愛などが作品に反映されているとかいないとか。学者としても作家としても、仕事には完璧主義を貫いたため遅筆家で、生前の著作はあまり多くない(没後に大量の設定資料が残り、その一部を編纂したものが『シルマリルの物語』である)。いかにもイギリスの老学者らしくかなり偏屈なところもあるが、いかにもイギリスの紳士らしくかなりお茶目に羽目を外すこともある。
作品世界は綿密な設定を背景に持ち、『指輪物語』が架空言語の創作から始まったのは有名。古英語の叙事詩などからも、色々と影響を受けている。
イギリスではマイノリティであるカトリック教会の信徒であり、作家としての創作を神の創造の業に準ずるものとして「準創造」(……二次創作?)と名付けていた。
そんなこだわりの多いトールキンだったので、『ナルニア国物語』にキリストの化身(アスラン)・サンタクロース・魔女・妖精をごちゃ混ぜで出すルイスの創作態度をどう思っていたかは想像に難くない。ちなみに、ドラゴンが大好きだったようで、出版物にはほとんど必ず竜が登場する。
……そこまで完璧主義者でも、『ホビットの冒険』にお茶を、『指輪物語』にジャガイモを出してしまうあたり、この両者のイギリスへの馴染み具合が半端ではない事が分かるだろう。
通称は「教授」「束教授」「束」。なぜ束なのかは文庫本のカバー裏。
最後に余談だが、トールキンは岩波書店版の寺島竜一による文庫本の表紙や挿絵を非常に高く評価して気に入っており、日本出版社にその旨の手紙を書いたり、彼の書斎にはこれをポスター化した物が飾ってあったりした。
ちなみに、ひ孫であるロイド・トールキンは、ピーター・ジャクソンからの要望で実写映画の『王の帰還』にゲスト出演している(参照)。
主な作品
シルマリルの物語…遺稿を編纂したもの。
このほか、『農夫ジャイルズの冒険』『星をのんだかじや』『ニグルの木の葉』『子犬のローヴァーの冒険』などの短編あり。……というか、長編は前述の2つしかない。
関連イラスト
さすがに教授本人を描いたものは(たぶん)なく、著書を題材にした作品に「トールキン」タグが付いている。
関連タグ
J.R.R.トールキン / J・R・R・トールキン(フルネームタグ)