曖昧さ回避
- 実写映画化作品については『ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)』を参照。
- 本作タイトルのパロディ→結婚指輪物語
作品の概要
架空の世界である“中つ国(Middle-Earth)”とその周辺を舞台に、ホビット族のフロド・バギンズとその“旅の仲間”たちの冒険と、“一つの指輪”を巡る戦乱を描いたファンタジー小説。
ハイファンタジーやエピックファンタジー小説の始祖であり、いわゆる剣と魔法の世界ものは指輪物語の影響化にあるといっても過言ではなく、TRPGの元祖であるD&Dも影響を受けている。
と同時に「世界を脅かす悪の帝王を倒す為に強大な力を捨てに行く」という後世のファンタジーRPGにはあまり無いストーリーとなっている。
あらすじ
ホビット族のフロド・バギンズは、義父のビルボから簡素な金の指輪を譲られる。それはビルボがかつての冒険で手に入れた、はめると姿を見えなくすることができる魔法の指輪だった。しかしその指輪が、実は冥王サウロンの魔力の本質を秘めた“一つの指輪”であることが判明する。
“一つの指輪”を手にしたものは、指輪を手放す意志を奪われてしまい、それを使用すれば強大な魔力が得られる代わりに最終的に冥王の下僕か冥王そのものになってしまうという、恐ろしいものだった。そしてサウロンは失った力を取り戻すため、一つの指輪を狂おしく追い求めていた。
サウロンによる中つ国の支配を防ぐ方法はただ一つ、サウロンの本拠地モルドールの国の中心にある滅びの山の火口に一つの指輪を投じることだけだった。あまりにも望みの少ない“指輪を捨てる”任務のため指輪の担い手となったフロドと、彼を守るため、中つ国のそれぞれの種族を代表した九人の“旅の仲間”が結成された。偉大な魔法使いのガンダルフ、人間の王の血を引く野伏のアラゴルン、人間の英雄ボロミア、エルフのレゴラス、ドワーフのギムリ、ホビットからは忠実な庭師のサムに、友人で親戚のメリーとピピン。
かれらは旅路へと踏み出していった……。
主な登場人物
旅の仲間の一行
人物名 | 映画の演者/吹替 | 備考 |
---|---|---|
フロド・バギンズ | イライジャ・ウッド/浪川大輔 | ホビット。ビルボから一つの指輪を譲られる。主人公。 |
ガンダルフ | イアン・マッケラン/有川博 | 魔法使い。灰色の賢者。旅の仲間のリーダー的存在。 |
アラゴルン | ヴィゴ・モーテンセン/大塚芳忠 | 人間。野伏。別名馳夫。アルウェンとLOVE。 |
ボロミア | ショーン・ビーン/小山力也 | 人間。ゴンドールの大将。 |
レゴラス | オーランド・ブルーム/平川大輔 | エルフ。闇の森のエルフの国の王子。 |
ギムリ | ジョン・リス=デイヴィス/内海賢二 | ドワーフ。前作ホビットに出てきたグローインの息子。 |
サム(サムワイズ・ギャムジー) | ショーン・アスティン/谷田真吾 | ホビット。庭師。フロドの忠実な僕にして無二の親友。 |
メリー(メリアドク・ブランディバック) | ドミニク・モナハン/村治学 | ホビット。後にセオデン王の騎士となる。 |
ピピン(ペレグリン・トゥック) | ビリー・ボイド/飯泉征貴 | ホビット。後にデネソール公の衛士となる。 |
自由の民
人物名 | 映画の演者/吹替 | 備考 |
---|---|---|
ビルボ・バギンズ | イアン・ホルム/山野史人 | ホビット。フロドの親戚で養父。 |
エルロンド | ヒューゴ・ウィーヴィング/菅生隆之 | 半エルフ。裂け谷の主である賢者。 |
アルウェン | リヴ・タイラー/坪井木の実 | エルロンドの娘。アラゴルンとLOVE。 |
ガラドリエル | ケイト・ブランシェット/塩田朋子 | エルフ。ローリエンの奥方である賢者。 |
ケレボルン | マートン・チョーカシュ/家中宏 | エルフ。ガラドリエルの旦那。 |
ハルディア | クレイグ・パーカー/安井邦彦 | エルフ。ローリエンの案内を務める。 |
セオデン | バーナード・ヒル/佐々木勝彦 | 人間。ローハン国王。 |
エオメル | カール・アーバン/山寺宏一 | 人間。セオデンの甥で騎士長。 |
エオウィン | ミランダ・オットー/本田貴子 | 人間。エオメルの妹。 |
デネソール | ジョン・ノーブル/勝部演之 | 人間。ゴンドールの執政でボロミアの父。 |
ファラミア | デビッド・ウェナム/宮本充 | 人間。ゴンドールの大将。 |
モルドールの軍勢
人物名 | 映画の演者/吹替 | 備考 |
---|---|---|
冥王サウロン | サラ・ベイカー/佐藤淳 | ラスボス。 |
ナズグル | - | サウロンの下僕となった指輪の幽鬼。 |
サルマン | クリストファー・リー/家弓家正 | 魔法使い。白の賢者。サウロンと結託し敵側にまわる。真のラスボス。 |
グリマ(蛇の舌) | ブラッド・ドゥーリフ/金尾哲夫 | 人間。サルマンの手下となってセオデンを裏切る。 |
バルログ | - | 火と影の悪鬼。 |
ゴクリ | アンディ・サーキス/長島雄一 | 前の指輪所持者。映画版ではゴラム。 |
作品の成り立ち
元々、トールキンが自身の子供たちのために読み聞かせていた作品が出版社の目に留まり、ビルボを主人公とした児童文学作品『ホビットの冒険』として出版された。これが思いのほか好評を博したため、その続編として書かれ、大人向けの長編作品に仕上がったのが『指輪物語(The Lord of the Rings)』だった。
- シルマリルの物語にあたる、中つ国の神話体系がトールキンの出発点である。
作者トールキンは本職の小説家ではなかったが、幼少期よりさまざまな伝説への興味や、特に「人工言語」を作る楽しみから、オリジナルの複数のエルフ語(クウェンヤとシンダール語)の言語体系と、その言語の「歴史」となる神話の物語体系を育んでいた。『指輪物語』は執筆する内に、そうしたオリジナルの神話世界の設定に取り込まれ、その一部分となって完成した(実際に会話ができるほど言語として完成している)。
こうした事情のため、今日的な嗜好に照らすとやや冗長だったり、分かり難かったりする部分も多々あるが、しかしその背後に秘められた膨大で緻密な世界観や歴史、登場人物たちの心理、生活、風俗などは今日でも硬派なファンタジー作品としての位置にあり、出版当時は実に世界的な熱狂をもって迎えられた。
トールキンの作品がそれ以降のファンタジーに与えた影響は有形無形ともに無視しがたいものがあり、たとえば種族としてのエルフ、ドワーフ、ホビット、オーク、トロル、エント(トレント)、バルログなどはファンタジー作品の定番になっている。
ちなみに、上で述べたトールキンの元々の神話体系は整理しきれず、生前に発表されることはなかった(「終わらざりし物語」)が、父の遺言によって息子が整理して完成させて『シルマリルの物語』や遺稿集として日の目を見ることができた。
尚、あまり知られていないが、これらの作品群の舞台となっている“中つ国(Middle-Earth)”は、現在の我々が住んでいる地球の過去の姿(神話的な過去)という設定になっている。その年代も意外に新しく、おおよそ6000年~7000年前のヨーロッパ世界の話であるとトールキンは手紙などで明言している。
関連タグ
(作者):トールキン 「ホビットの冒険」:「指輪物語」の前日譚
(略称タグ):LOTR
(映画化作品タイトル)「ロード・オブ・ザ・リング」