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J・R・R・トールキンの幻想文学『指輪物語』に登場する精霊の一族である。

数百年にも至る長い寿命を持ち、他種族から森林を守って生きている。

水だけで生きており、決して争わず、また種族間の諍いにも基本的に不干渉を貫く。

ただし、彼らの怒りを買って無事で済んだ種族はほぼいない。


概説

指輪物語』及び『シルマリルの物語』に登場する精霊。

いわゆる「木霊」の一種だが、その姿は樹木そのものであり、彼らの住む「エントの森」は推定50~100m前後の針葉樹の生い茂る大森林地帯であり、その一本一本がエントというから壮観である。  ブナ 楢などの姿の者らがいる。


巧の神アウレ(Aulë)が、イルーヴァタルの造るエルフの覚醒を待てず、ドワーフを作ってしまう。ソレを見て樹木が蹂躙される未来を嘆く、古代神(ヴァラ)の一柱で草木の女神・ヤヴァンナ(アウレの妻)の想いを聞き入れた創造神エル・イルーヴァタルがマンウェに言った結果、オルヴァル(Olvar 根をはる者)に精霊が入り“木を守る牧人”として彼らが生み出された。 従ってエントとブラールム(エント語で「理由もなく木を切る者」)の仲が悪いほか、ドワーフとの関係も悪い。


 一応身長は4mほど、樹木の姿をしているが指の数は種によってまちまちで、7本や3本の者がいる。茶色い肌で指が大きく開き、脚が短くずんぐりした栗のエント、まっすぐで灰色、多数の指とすらりとした足を持つトネリコのエント、見るからに背が高い樅のエント、など姿はさまざまである。


 呼称のモデルは“巨人”を指すアングロ・サクソン語。伝承における彼らは、人間より古い一族で、四つの海の彼方から放逐され、山や氷河など、人の手が届かないところに隠れ住むと言われる。身の丈は楢の木と同じほどで、最大の者は天をも被うと言われる。また、彼らは神々よりも年老い、手先が巧みでルーン文字を操り魔術を行うほどの英知を誇るものから、家畜に等しい者までいる。


 エントという呼称は、作中で、アングロ・サクソン語をモデルにした言語をあやつるローハン(の棲む騎士の国はエントの森ファンゴルンの近所)が使っている(エントの身長が大体4m位なので巨人ぽい)。作中でこの名詞は上意エルフ語(クウェンヤ語)の「オノドリム【Onodrim】(土地から与える者たち)」から派生したエニュド(Enyd)というシンダリン語(エルフの共通語)に由来すると設定されている。


一応、ウィリアム・シェイクスピアの悲劇、『マクベス』がネタ元と言われる。劇中での「バーナムの森が動かない限り」という予言と、その成就に、一応のインスパイアを受けたらしい(作者先生はお芝居が嫌いで、「が動いて敵に向かう」とうたわれるウェールズの旧い詩を読んでるので、どうもコレジャナイ感を持ってたらしい)


また、木の髭のキャラクターは、トールキンの友人で『ナルニア国物語』の作者のC・S・ルイスをモデルにしているとされる。


エントは、だんだんと動かなくなり通常の樹木となることがある。また、柳じじい(Old willow)と呼ばれる、自分の領地に来たものを子守歌で引き寄せ、眠らせ、殺す者がいる(英国の伝承に出て来る柳の精霊で「根を引きあげながらぶつぶつ言って旅人へ付きまとう」のがいるらしい)。このような、エントと樹木の中間にあたるものはフオルン(Huorn)と言われる。彼らは、エントの言葉のみを聞き、他の種族の言語を知ろうともしない。樹木時代のままの気性を持つので、心優しい者や、性根がねじ曲がった者もいる。彼らは通常、じっととどまり木の番をしているが、エントの指令を受けると薄闇に紛れて移動する。


エントの真の名は、「誕生から今までのすべての体験」を織り込んだものであるが、他種族に関して木の鬚ファンゴルン(treebeard fangorn)、木の皮肌フラドリヴ(skinbark Fladrif)、木の葉髪フィングラス(leaflock finglas)、せっかちブレガラド(Quickbeam bregalad)などの通称を使う。


性質

温厚だが頑固で厭世的、またきわめて鈍感で鈍重。

奮起することを好まず、出来る限り平穏かつ平静であることを好む。

他種族間の争いにも不干渉を貫き、同盟を請われても決してそれに諾とは返さない。(エントさん的に他種族の皆さんはあまりにも「せっかち」で付き合いきれんのである。辛うじてエルフとは仲が良い)

長い年月を生きるため聡明であるが、何かを得るために積極的に動こうとなしない。

 何かを決定する際「エントムート」と呼ばれる会議を開くが、これは短くても数日かかる。


しかしそれが“中つ国の存亡に関わる”となれば話は別で、一度動き出すと決して誰にも止められない

その強さはトロールをも凌ぎ、メリーピピンの説得に応じてサルマンのいるアイゼンガルドの砦を攻め入った際にはこれを圧倒的な力で破壊し、陥落させている。

対抗策は火を放つか、などで斬り倒すことぐらいしかないが、生半可な攻撃は一切通じず、実質一対一で彼らに勝つことはまず不可能である。サルマンもエントに攻め入られた時には、砦の仕掛けを起動させて焼き殺そうとしたがほとんど通じず、逆にエントたちの闘争心を煽ってしまう結果となった。


水だけを食料に何千年(寿命が一応あるらしい)と生きる。

そのためエントの棲み処は必ず水飲み場があり、その水や周辺の水脈から脚(≒根)で食事をおこなう。

また彼ら自身から醸される『エント水』には生物を成長させる力があり、土っぽいコクのある味がする。エントたちのもとでしばらく過ごしていたメリーとピピンは、この水を飲んだことによってホビット史上最高記録の身長を得ている。

頭を早く回転させたいときには逆立ちをして、頭に水が早く行き届くようにするという変わったクセを持つ者もいる。


現在いるエントは男ばかりである。

かつては“女のエント”(EntwifeとかEntmaidenなどと言われる)もいたが、草花の魅力に取りつかれた女エントたちは庭園を造ってそれらを育てていた。その当時は活動的であったエントが、たまに庭園へ行って子作りを行い、Enting(エントの子供)が生まれていた。


 後メルコールが北から勢力を拡大するにつれ、彼女らはファンゴルンの森を離れ、東の大河を渡って新たな地で庭園が造られる。6500年前、メルコールの封印後、その新地は豊かになり、そこで人間たちに果樹の栽培や畑の指導をおこなったため、彼女らは人間から崇拝される。


 エントワイフの庭はサウロンがヌメノール人と戦争していたころ滅び、「茶色の国」と言われていた。彼女らは後消失したものの生存しているらしいのだが、詳細が不明である。


後世への影響

木霊の一種として、ファンタジー作品にトレントという名前(TreeのEnt)で登場する。

ただトレントとエントでは知能などに差があることが多く、“単なる樹木の怪物”とされる場合が多い。

 「メルコールがエントをまねてトロルを作った」という原典を参照したミヒャエル・エンデはてしない物語』では、樹皮トロル(Borkentroll)と呼ばれるものが登場する。


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