概要
第一紀、及びそれより前の時代に冥王として君臨していた、『シルマリルの物語』における邪悪な者たちの首魁。
そして『ホビットの冒険』や『指輪物語』にまでにおける闇の勢力の元となり、未だその影響を与え続けている“アルダの諸悪の根源”でもある。
- エル・イルーヴァタールは諸悪の根源なのか、という議論もある。
元々は唯一神エル・イルーヴァタールによって生み出されたヴァラールの1人で、本名はクウェンヤ語で「力にて立つ者」を意味する「メルコール」といい、神々ことヴァラール、ひいてはアイヌアの中でも最強の存在だった。アラタールのリーダーマンウェとは兄弟に関係にあったとされる。
- アラタールとは特に強大なヴァラールを指す(イスタリの一名の名前の候補とは別)。なお、「アルダに降り立った一部のアイヌア」がヴァラールやマイアールとして認識されており、厳密にはアイヌア自体は地球外にかなり存在している。
また、力と知識においても最も優れた資質を与えられており、他のヴァラールの資質をも幾らか合わせ併せ持っていたが、それ故に力に溺れ特別な存在と思い上がった彼は、エル・イルーヴァタールに束縛されない自身の世界を作りたいという願いもあり、エル・イルーヴァタールの主題に反逆して兄弟であるマンウェの王国(アルダ)を力ずくで奪い取ろうと数限りない損害をアルダに与えて回復不能な傷を負わせた為、その名を剝奪されてしまい、最早現在はヴァラールの一員としては数えられていない。
アイヌアとして酷寒と灼熱を生じさせたが、モルゴスがアルダに害を与える上で最も用いたのが“暗闇”であり、彼と同化された暗闇は全ての命ある物にとって夥しい恐怖の対象となり、それ故に何時しか冥王の称号で呼ばれるようになったといわれている。
- しかし、ヴァラールとモルゴスの戦いによって、雪等の「新たな美」が生まれたともされる。
なおマイアールの中には彼の力に畏怖して仕える者たちも現れており、アルダの内外と云わず多くのマイアールを堕落させるという事態を招いており、その中でも最も強大な者がサウロンで、それよりも小なもの達がバルログであったといわれている。
元々強大な力を持っていたが、アルダを奪い取る事に力を費やし、暗黒と同化した結果、アイヌアとしての力を摩耗して弱体化して行き、第一紀の宝玉戦争における最後にして最大の戦いである「怒りの戦い」で敗れ虚空へと放逐され、ヴァラールが王座にある限り二度とアルダに戻って来る事ができない状態にあるが、彼の投げ掛けた暗黒は未だにアルダを覆い、その意志と虚言は依然として僕たちを支配している。
そして世紀の終末に起きる最終戦争「ダゴール・ダゴラス」においてアルダに帰還。
最終的にトゥーリン・トゥランバールによって討たれ滅ぼされる運命にあるとされている。
容姿
最初に目に見える形で実体化した際は、心中に燃える悪意と鬱屈した気分の影響で、暗く恐ろしげな形をしていたとされる。
また他のヴァラールの誰よりも強大な力と威厳を見せてアルダに降り立つも、頭を雲の上に出し、氷を体に纏い、頭上に煙と火を王冠の様に戴くその容姿はさながら海を渡る山の様で、その目の光たるや熱を持って萎らせ、死の如き冷たさで刺し貫く炎の様であったといわれている。
弱体化した際は“ウトゥムノ”の制圧者として丈高く見るからに恐ろしげな暗黒の王の形を取っており、“ウトゥムノ”が出来て以降は一時期“アマン”に囚われていた時以外、この形態を取り続けていたとされ、エルフの上級王フィンゴルフィンとの一騎打ちの際は、黒い鎧で身を包み、頭には鉄の王冠を戴き、地下世界の対鉄槌グロンドと、紋章の無い黒一色の盾を装備していたという。
それ故にエルフ王の前でのモルゴスはまるで塔の様であったと表現されている。
ちなみに“アマン”で獲っていた姿についてはヴァラとしてもっともらしい姿をしていたらしいが、詳細については記述が無い為、謎に包まれている。
余談
ウンゴリアントとシルマリルの処遇で対立し喰われかかった際にはとんでもない悲鳴や絶叫を上げバルログに助けを求めたとされており、ここだけ見ればヘタレの様でもある(サウロンにもヘタレとも言える様な描写がある)。