※第一紀に奮闘したゴンドリンのエルフとは別人。
概要
『レゴラス』、あるいは「緑葉のレゴラス(Legolas the green leaf)」とは、イギリスの作家J.R.R.トールキンのファンタジー小説「指輪物語」およびその映画化作品「ロード・オブ・ザ・リング」の登場人物であるエルフ。
闇の森のエルフ王の息子。旅の仲間の一員であり、原作ではうざやか担当、映画では無双っぷりで知られる。弓の腕も良いが映画では無双すぎて…
映画版の俳優はオーランド・ブルーム。吹き替えは平川大輔が担当した。
原作での活躍
裂け谷で開かれたエルロンドの会議に、父の治める闇の森のエルフ王国の代表として出席。とある大失態の報告&謝罪のための出席という、なかなかに冴えない役回りでの登場だったが、旅の仲間に加わってからはその屈託のないうざやかっぷりで要所に迷言、迷行動を残した。
レゴラスのKY、ピピンのうっかり、サムの「とっつぁん語録」は、暗く沈みがちな物語における三大清涼剤である。
ドワーフのギムリとは、種族としても、かつての父親同士の悶着からも、当初はそりが合わない様子だった。
が、いつの間にやらエルフとドワーフには珍しい無二の親友となり、一緒に戦場での得点数を競い合ったり、ミナス・ティリスを視察したりするまでになる。
迷言
- 「ではご機嫌よう!太陽を見つけに行ってきますからね!」
- 「ドワーフの強情っぱり!」
- 「わたしの想像では、ホビットたちは腕を翼に変えて、歌いながら木々の中に飛び去ってしまった」
- 「これは古い森だ。それはそれは古いので、わたしなんか、君のような子供たちと旅に出てから感じたこともないほど、子供っぽくなったような感じがするくらいさ」
※詳しくは不明だが、レゴラスは最後の同盟の戦い以降に生まれたとしてもこの時点で3000歳は越している。ヘタしたら太陽の第一記の生まれなので6000を超える超シニアである。映画版では、「五軍の合戦」の時点で1900歳程度とされている。
- 「目があるッ!」
そんなレゴラスも、海辺の音を聞いてからは、海の彼方にあるエルフの故国に焦がれるようになる。
それまでの屈託なげな様子とは違った、どこか現世から離れてしまったような雰囲気には、ギムリでなくとも淋しさを感じずにはいられないに違いない。
余談だが作者のトールキンからは「ろくに活躍しないよね(大意)」などと言われてしまっている。モリヤの坑道にて、ダンジョンのボスがドゥリンの禍だと知って大いに取り乱し、武器を思わず落としてしまったのは他ならぬレゴラス&ギムリである(それだけ、バルログの恐ろしさが、二つの特に長寿な種族に伝わっているという事であるが)。
だが映画版では……
映画での活躍
尺その他の都合上、諸般の人物描写はかなりオミットされているが、その代わりに(?)戦闘シーンでの活躍が何割増しかわからないほど大幅増量されており、映画を観た人には
レゴラス=エルフ無双
との印象を拭いがたいものにした。
- 遠距離では弓矢の高速発射、多段発射、百発百中※
- 近距離ではナイフで立ち回り、まさかの矢を手に持って直接ぶっ刺し
- 盾に乗って階段を滑り降りつつ敵を連続射殺&乗っていた盾を蹴り出して敵を貫く
- 巨大な戦象を単騎で撃破
- 酒豪
など毎回衝撃的な活躍を見せた。もちろん無傷である。
彼があまりに強すぎたせいで、違う意味での被害者も出てしまった。
※第三部のディレクターズカット版では、ギムリのいたずらで狙いを外した場面がある。
もっとも、上記のように数多くの華々しい見せ場が用意されてはいたが、それが指輪戦争
全体の戦局にどれだけの影響を与えたかと言えば、それほどでもない。
盾で階段を滑っても、巨像を一人で倒しても、それで形勢が逆転したような描写は無い。
一連の戦争における貢献度は、人間の男には殺せないと言われた魔王を倒した
エオウィンの方がずっと高いとも言えるのである。
その点ではある意味、活躍の度合いは原作と大して変わらないとも言える。
そんな中でもギムリとの友情はしっかり描かれた。
ちなみに映画第三部のエンディングを飾る名曲「Into the West」の歌詞は、上述の原作中における、浮世離れしてしまったレゴラスが海の彼方を想って歌った詩が元になっている。
「ホビットの冒険」でも、
- 剣でも弓でもオークを圧倒
- 剣から弓に素早く持ち替え目の前から弓矢発射
- 小走りしつつ一瞥しただけで対岸のオークを射抜く
- 激流に流される樽の中に入ったドワーフの頭を足場にしながら当然のごとく百発百中
- オークをクッションに着地&スライディングさせて頭から岩にぶつけさりげなく殺処分
- オーク鬼?であるボルグ&取り巻きとガチのパワー対決&ぶん殴り(鼻血が出たことにぶちギレていたので、今まで流血すらしたことがないのかもしれない)
- 吸血こうもりまたは吸血鬼の末裔をリフトにする
- かなり大型のトロールの首に矢を刺して乗り物にする
などと、変わらぬ無双ぶりを魅せつけた。
そもそも彼は原作には登場しないが。
後世への影響
- エルフ=尖った耳、細身、森や田舎に住んでて弓を使うことが多い
とのイメージの原型である。(樹上住居については、同作品のレゴラスとは別のエルフ民族がモデル)
トールキンの作品におけるエルフは、誰も耳が尖っておらず、ことさらに弓矢にだけ秀でていたり田舎や森に住んでいたりはしない(むしろ能力的には人間の完全上位互換、万能チート&半神で、多分ガチマッチョ、洞窟住まいや開けた土地も少なくない)のだが、旅の仲間として物語を通じて登場するレゴラス個人にこのような特徴があったことから、後のエルフ一般のイメージ形成につながったのだと思われる。
というか、たとえばガンダルフにしろ、バルログやスマウグ、ワーグ、オークにしろ、後年のありとあらゆる作品群に影響を与えてきたのが「文学の神」と呼ばれるトールキンの世界観なのである。大事なことなので二回言うが、ありとあらゆる事象が、である。