概要
生前は劇団七曜会→青二プロダクションを経て、死去するまでは81プロデュースに所属していた。
声優としての活躍が目立つベテラン俳優で悪役に定評がある人物だが、晩年は品のいい老人やナレーターなど幅広く仕事をこなしていた。
台詞で読み違えることがなく、若本規夫からは『精密機械』と評されていた。堀内賢雄も「(台詞を)トチんないんですよね」と述懐している。
また、矢島正明は、共に歩んだ同世代の盟友の1人に家弓の名を挙げている。
長いキャリアの割に本人は若干自虐的だったようで、「とり・みきの吹替えの小部屋」でのインタビューでは「『いつまでやってるんだお前は』って言われそうな」と恥ずかしそうに苦笑していた。
2014年9月30日に逝去。享年80。かねてより療養中だったが、病名や死因は非公開とされた。
後任は声質の似ていた土師孝也らが受け継いだ。
人物
気品を感じさせる低音ボイスが特徴。
様々な役柄をこなしてきたが、特に「紳士的で冷酷な悪役」といった演技に定評がある。故に演じたキャラクターも、指揮官や参謀といったポジションの者が多い。
声優活動を始めたのは昭和31年(1956年)からで、所属していた劇団がNHKのラジオドラマの仕事を行っていたことがきっかけだったという。
アニメにおいては「鉄腕アトム」など、最初期の頃から日本アニメへの出演が見られる。
若手時代のアフレコ現場は滅茶苦茶だったといい、台詞と画面が合っていないというのは当たり前で、恐れ慄いて現場から逃亡する者が出たり、役者達が台詞を喋りきれず台本が1ページ余ったりする(これについては「これはすごく徳したような気がしましたけどね」と振り返っている)のが日常茶飯事の凄まじい有様だった。
本人曰く、当時のアフレコの3分の1近くは生放送だったため、『精密機械』と評された家弓も「しんどい仕事だな」と思いながら取り組んでいたという。ただし、生放送は時間が来ると必ず終わるため撮り直しがなく、「いくらトチっても謝れば済むでしょう。それが取り柄でしたね今考えると」と後に語っている。
(「とり・みきの吹替えの小部屋」より)
宮崎駿作品では「未来少年コナン」のレプカ、「風の谷のナウシカ」のクロトワという、対照的な悪役を演じている。後者については公開当時のパンフレットにて「演じていてとても楽しかった」とコメントしている。
シリアスな役で知られる一方、普段の役柄とのギャップを感じさせるようなコミカルな役も多く、「クレヨンしんちゃん」などのギャグアニメにもよく出演していた。
「ドラゴンボール」シリーズのパラガスは当初、復讐に燃える狡猾な策謀家だったが、後にヒーローショーで再び演じた際は完全にコメディリリーフと化していた。
高い演技力に加えて穏やかな人柄であるため、多くの後輩から慕われている。同業者によると、物静かで知的な性格だったとのこと。
「超音速へリ・エアーウルフ」で主人公を吹き替えた磯部勉は、実際に俳優が喋っているかのような自然な演技に「うまいなぁ。どうしたらそんなことができるんだろう?」と感嘆したという。参照
また、藤村歩は尊敬する声優として家弓の名を挙げており、彼女には芝居の大切さを教えていた。インタビューの中で「家弓さんはお芝居はもちろんなんですけど、探究心を忘れないことの大切さを教えていただきました。常に台本だけに目を向けるのではなく、日常生活の隅々までアンテナを張られていらっしゃる姿に憧れています!」と、その人柄について語っている。
ラジオCMで共に仕事をした経験のある速水奨によると、博識でビールが好物だったという。速水はSay U Playの企画「声優界いい人列伝」の中で家弓についてふれており、その後他のスタジオで会った際も親しく接してもらったことから「大好きな先輩でした」と称している。同動画の中で堀内賢雄も速水に同調して「素敵な方でしたね」と語っている。また、ある日赤坂見附駅で家弓に遭遇した際、堀内が呼び掛けた所「あっはっは賢雄か。今日は不吉だね」と返されたというエピソードも披露している。
主な出演
イラスト未確認
牧師@コープスブライド
ゲーム
スレイヤー@ギルティギア*6 | シャドウガイスト@ストリートファイターEXシリーズ | ウェルナー・フォン・ミュラー(画像右)@ロックマンDASH2 |
吹き替え
クリストファー・リー)/ロード・オブ・ザ・リング、ホビット *7、チャーリーとチョコレート工場
プロスパー(演:ピーター・フォンダ)/ピーター・フォンダのテンペスト
ビル(演:デヴィッド・キャラダイン)/キル・ビル
ナレーション
鋼の錬金術師FA
白い巨塔(1978年版)
とんねるずのハンマープライス
*1 後任は村治学(TVアニメ版第1シリーズの後日談として製作されたOVA『ルパンは今も燃えているか?』で担当)
*2 後任は郷田ほづみ(没後に制作された第776話以降)。家弓の生前も上田敏也が代役を担当(第512話のみ)。
*3 ライブラリ出演(第783話)⇒後任は土師孝也(劇場版第20作以降)
*4 後任は津田英三(ポケットモンスター(新無印)から担当)
*5 療養中のドラゴンボールヒーローズ以降は、宝亀克寿が担当。
*6 後任は土師孝也(GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-から担当)
*7 後任は大木民夫(没後に公開された『ホビット 決戦のゆくえ』での担当)。
*8 代役は長克己(没後に吹き替えが新規に制作された『X-MEN: フューチャー&パスト』の追加録音分での担当)