概要
1976年4月から同年12月まで、NETテレビ系列局ほかにて放送されたロボットアニメ。全36話。
本作はタツノコプロ初のロボットアニメというだけでなく日本初の女性主人公のロボットアニメでもあり、「5人が乗って操縦するメカ」にもかかわらずリーダーが熱血漢やオッサンではなく美少女と言う珍しい作品である(ついでに言うなら、タツノコ作品自体女児向けの作品を除いて女性主人公は稀である)。
女子が率先して相手を仕切り引っ張っていく、というシチュエーションは時代を先取りしているといえ、その点でいえば早すぎた作品と言えなくない。
ちなみになんで紅一点がリーダーなのかというと、メンバーで最年長(それでも中3)という理由から。
タイトルの「ゴワッパー5」は「5人のわっぱ(童子、つまり子供)」と言う意味。奇顔島をアジトに使うゴワッパー5は、トランシーバーで仲間と連絡しつつ、スパークトッパー(コマ型武器)や、ゴワッパーガン(万能武器)等を使いこなし、地底魔人の謎を追う…といったスパイ要素が含まれているのも特徴。
彼らは「了解」を意味するコールで「ゴーダム!」と叫ぶ。
「ゴワッパー5出撃せよ!」「ゴーダム!」
姐さん気質の美少女、岬洋子が子供達と男共をぐいぐい引率して突っ走って、次第には科学者も軍人すらも姐さんが引率するようになった。
一見主役にも見える男津波豪は、本編中ではナンバー2っぽい性格。しかし戦闘隊長でもあるので結構目立つ。
そして、どう見ても戦力外としか思えない最年少男児河口のり助が時折、とても男らしく見えてしまう。
他の二人も博士ポジションと剛腕キャラ、とこの手のチームではお約束なキャラばかりである。
作品の評価
元々は朝日放送製作ホスト・日曜夜7時台前半に放送されていたのだが、裏番組に同じロボットアニメの『UFOロボグレンダイザー』(フジテレビ系列局、ただし一部系列局は放送日時差し替え、どころか他系列局に放映権を渡した系列局も存在)が控えていたこと、さらには『アップダウンクイズ』(毎日放送ホストTBS系列局ほか)の存在などもあって成績ははかばかしくなく、途中で放送日時が水曜夕方6時台前半に変更(しかも系列局によっては放送日時差し替えどころが放送継続を断念したテレビ局が存在)され、ホスト局もNETテレビに変更された。しかしこうした大鉈も空しく9ヶ月で終了を余儀なくされた。当初から合体ロボットと発表しているのになかなか合体しないのも足を引っ張ったといえるのかもしれない(しかも肝心の合体シーンの披露はホスト局交代後である)。
結果的に打ち切りになったものの、物語そのものはきちんと描き切っている。初めは動こうともしなかった連合軍の協力からネンドロイドの正体の解明、侵略の意思のない地底世界の住民の葛藤からの地底弾道ミサイルを用いての本拠地攻撃の敢行、そしてクライマックスのジゴクダーとの決着…と駆け足ながら地底帝国の崩壊劇を丁寧に描いていることは当時でも評価が高かった。
それに加え、ゲストキャラの容赦ない仕打ちや後味の悪い結末といった比較的重めの話もあるなど、当時放送していたロボットアニメでもかなりシビアな世界観の作品として現在でも語り継がれている。
地底魔人
本作では大胆に地球空洞説を採用している。地底世界に生息する不定形生物チテイバー(アメーバ状の生物)が土を固めて作られた人形に憑依した姿が地底軍団ドロンジャーの戦闘員ネンドロイドである。
つまりネンドロイドは生物ではなく、一種のバクテリアであった。倒されると崩れて砂となり、一切の証拠を残さなかったため、序盤は連合側も事件が起きても動くに動けない状態だった(それどころか信じない人もいたくらいである)。
この地底世界にはネンドロイド兵士に脅されつつ生息している人間(地底人)も存在した。元々この国は地底に迷い込んだ人類が建立したもので、今の地底はチテイバーの大本である地底魔人『ジゴクダー』が乗っ取り帝国化したものであった。
ジゴクダーがどこから来てこの地底世界を乗っ取ったのかは劇中では明らかにされなかったが、一説には隕石に付着したバクテリア状の物体が地底に落下、マグマを吸収・巨大化しその力で地底世界を支配した、と言われている。
終盤、チテイバーの正体を突き止めた連合軍が開発した抗体によってネンドロイドが次々と消滅、さらに本拠地を発見した連合軍によってネンドロイド製造工場が破壊されたため、ジゴクダーは自ら動かざるを得なくなった。
登場人物
ゴワッパー5
- 岬洋子(みさき ようこ)CV:二木てるみ
- 津波豪(つなみ ごう)CV:安原義人
- 亀山大吉(かめやま だいきち)CV:肝付兼太
- 小石川五右ヱ門(こいしかわ ごえもん)CV:小宮山清
- 河口のり助(かわぐち のりすけ)CV:千々松幸子
- 大洗博士 CV:家弓家正
地球空洞説を提唱し、ゴーダムを作り上げた科学者。既に故人であり、ゴーダム内部に残された自我から立体映像を通してゴワッパー5に指令する。
- 志摩仙太郎 CV:曽我部和行
ゴワッパー5と最初に知り合った大人の地質学者。一同の兄貴分で、ゴーダムの存在を上司や軍隊に紹介する役にも立っていく。
地底軍団ドロンジャー
- 皇帝ジゴクダー(こうていじごくだー)CV:渡部猛
ドロンジャーの首領。全身がマグマでできているためいかなる攻撃も受けつかない。正体は巨大チテイバーであった。
- マグダー将軍(まぐだーしょうぐん)CV:寺島幹夫
いわゆる大幹部。前期オープニングにも登場している。彼自身、チテイバーなのか地底人なのかははっきりしないまま退場した。
- 大将軍ドックガーン(だいしょうぐんどっくがーん)CV:加藤精三
粛清されたマグダーの後任、2代目幹部。チテイバーであるため、頭部を破壊されない限り不死身であった。
玩具
本作はタカラ玩具主導の企画でもある。先行していた鋼鉄ジーグに続くマグネロボ第2弾であり、玩具のマグネットジョイントは鋼鉄ジーグとの換装も可能であった。ただし東映製作ではないので、マグネロボシリーズとしては微妙な立場である。
タツノコプロは、マジンガーZのように人間が操縦する乗り物としてのスーパーロボットの流行を良く思っていなかったらしい。本作の主役ロボット・ゴーダムは主に大洗博士の意思で動き、どちらかと言えば動く「基地」や「要塞」、「母艦」として描写されている(本作以外でも、タツノコアニメでは「自我を持つ巨大ロボットが主人公の仲間になる」という展開が多い)。前半はそういった印象が強く、主に搭載マシンを活躍させるシーンが多かった。主役ロボであるはずのゴーダムが目立った活躍を行わなかった(ここぞというときに活躍するくらい)ことも打ち切りとなった原因の一つかもしれない。
余談
2022年に発売された『タツノコ60thアンソロジー』には江尻立真による『新訳ゴーダム〜ゴワッパー5〜』が収録された。
初期タイトルは『わんぱく戦隊アバレンジャー』だった。(ちなみに『黄金戦士ゴールドライタン』の初期タイトルもアバレンジャー。)