CV:家弓家正
概要
世界を裏から牛耳り、TERRAを財政面、技術面で支援するバーベム財団の総裁。登場人物の殆どからは「バーベム卿」と呼ばれている。
白髪に黒の紳士服、物腰静かな老人といった風体であるが、何代も前から外見が変わっていないため、1万年以上も生きていると噂されており、「メトセラ」や「ノスフェラトゥ」等の長寿伝説・不死者伝説に因んだコードネームを持つ。
その正体は、ラーゼフォンシステムの開発者であり、MU世界から人類がまだ知恵を身についてない何万年も前の現実世界にへと追放された生粋のムーリアン(同じ生粋のムーリアンである麻弥や久遠からは「ナーカルの兄弟」と呼ばれている)。自らの魂をクローンに移植することで生き永らえ、自らを「創造主」とまで誇称し、ラーゼフォンの覚醒、そしてラーゼフォンによる世界の調律にのみ興味があり、奏者候補を生み出すなど、長年に渡って準備を整えてきた。
物語後半で自分の肉体を捨て、ヘレナの肉体に魂を移植し、彼の計画が最終段階を迎え、ラーゼフォンシステムが世界を調律する瞬間を目の当たりにし歓喜するが、それが弐神譲二に引導を渡される結果を招き、調律の直前に射殺された。
TVシリーズではあくまで事態の原因の一端を担っただけのキャラだったが、映画版ではストーリーラインを整理するにあたって、嘗て調律に失敗してMU世界を破滅させたことに何の反省も無くまた自分勝手な調律を行わせようとし、綾人の父(原作の亘理士郎に相当するキャラクター)が惨殺された事件の首謀者であるなど、「諸悪の根源」として物語上の役割を集約されている。
「失われた故郷であるMU世界への調律」を望んでいて(人間の父親と生粋のムーリアンの母親との間に産まれ、ムーリアンの覚醒が近付いた神名綾人の誰にも抗えぬ血の宿命と決め付けている)、終盤に綾人が真の覚醒を果たしラーゼフォンと一体化したのと同時期にヘレナの肉体に魂を移植し、用済みとなった自分の肉体を「新世界へのイニシエーション」と称して射殺し、彼の計画が最終段階を迎えるが、己の意に反する予想外の調律に動揺した所を功刀仁によって断罪され、射殺された。
PS2のゲーム『ラーゼフォン 蒼穹幻想曲』のある一定の条件を満たすことで分岐する「バーベム傾向編」では、綾人達に真っ向から「調律」を否定されてヘレナにも裏切られ、計画を悉く潰された挙句、最後は自らが造ったヴァーミリオンのベースとなったドーレムの群体であるパイプオルガンがモチーフのデザインの最強・最大のドーレム『ゲネラルパウゼ』を駆りラスボスとして登場し、綾人達を力尽くで従わせようとするが、撃破されてドーレム達にも見限られ、「素晴らしい結末じゃないか!!」と叫びながらドーレム達の分離に伴うゲネラルパウゼの崩壊に巻き込まれるという自らが創り上げたものに滅ぼされる業とも言うべき壮絶な最期を遂げた。
関連タグ
- オズの魔法使い:原作版で一色がバーベム卿の肉体を射殺したシーンと『蒼穹幻想曲』の「バーベム傾向編」のゲネラルパウゼ戦勝利後のイベントムービーに本作の絵本が登場し、「バーベム卿という存在。或いは、彼がなりたかったもの」への暗喩意図が示唆されている。
- マモー:表では世界を裏から牛耳る財団の総裁である謎の大富豪だが、その正体はクローン技術を用いて一万年以上も生き永らえてきた並みの人間ではかないっこねえ人間の皮を被った神の名を語った一つの世界が終焉を迎える程度の野望を抱いた薄汚い化け物繋がり。
- タナトス(聖剣伝説2):他者の肉体に自らの魂を移植する事で古の時代より生き永らえてきた諸悪の根源繋がり。
- ムラクモ、アドラー:保険を兼ねた大量のクローンを従えている事と他者の肉体に魂を移植する秘法等、共通点が多い。特に後者は本名がエルンスト・フォン・アドラー、性格は野心家と非常に似ている。
- 木原マサキ:保険を兼ねたクローンに魂を移植する事で復活した諸悪の根源繋がり。映画版でのバーベム卿のキャラクター像は彼に前述のマモーとタナトスを掛け合わせたようなものと言えよう。因みに、中の人は一色真を演じている。
- オズピン教授:本質は魂そのもの(正確には無数の人間の魂の集合体)であり、他者の肉体に魂を移植する秘法によってこの世に魂を留める形で生き永らえてきたという共通点があり、上述の「オズの魔法使い」の登場人物がモチーフとされている。