概要
パイプオルガンとは、機械的に加圧した空気を鍵盤で選択したパイプに送ることで発音する楽器であり、分類としては鍵盤楽器であるが、管楽器の特性を持つ。
歴史
この種の楽器はかなり古くから存在する「笛を束ねた楽器(パンフルート)」に自動的に吹き込む機構を組み込み、鍵盤で制御をするものは、古代ローマには存在していたと推測される。
この頃は水力を利用してパイプに空気を送り込む方式であったが、これがふいご式になったのは紀元前1世紀のはじめごろであると推測される。
中世になるまでこの種の楽器はヨーロッパでは途切れるが、アラビアに残っていたと推測される。
13世紀にはこの楽器の大型のものは教会で用いられるようになる。小型のものは一般に用いられた。
ルネッサンス時代に音量調整の技能が発明され、バロック期には教会のオルガンの更なる大型化が行われた。
構造、欠点等
この楽器に使われるパイプ(このパイプは錫と鉛の合金で作られ、標準のパイプは8フィート、約2m40cmになる)は一本に付きひとつの音が割り当てられているため、鍵盤数に等しいパイプが必要となる。さらに大きい音を出すためにはパイプは大きく、低い音を出すためにはパイプは長くしなければならない。そのため、まともなこの種の楽器の設置には広い場所が必要であり、当然音階の広いものは持ち運びなど出来ない(可搬式の楽器も存在するが、出せる音は限られる)。
また、演奏によってはもう一人必要な場合もあり、例えば鍵盤で演奏する担当と音階を調整する操作を行う担当がいる場合もある。
また、加圧した空気を送り込む機構は主としてふいご(過去においては水力を用いた、ふいごでは当初人力、蒸気機関、電力などがある)を用いており、機械的に送り込まれるため、他の楽器よりも音の強弱をつけることは困難である。
しかし、この楽器は音階の広さ、および大きな音声を安定して出力することが可能であるという特長により、特に教会音楽で用いられている。
加えて、その大きさゆえに非常に目立つため、教会や大ホールなどに常設されているものには大なり小なり重厚かつ荘厳な装飾が施されていることが多く、非演奏時も芸術作品として公開しているところもある。
派生楽器
この楽器からはリードオルガン(すなわち発音機関をパイプではなくフリーリードに変更し、可搬性および価格面を大幅に補強したもの)の仲間が派生した。
この仲間にはハーモニウム、アコーディオン、ハーモニカなどである。
また、現代になって技術の発達により、電気や電子式で音を鳴らす電気オルガン、電子オルガンなどの仲間も派生している。