戦車道は、人生の大切なすべての事がつまってるんだよ。
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取り戻せ――――
大洗女子学園、決断の時―――― 新たな試合(たたかい)が始まる!
概要
2013年4月28日、ディファ有明で開催されたイベント「ハートフル・タンク・カーニバル」内で、新作OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』とともに制作が発表された、『ガールズ&パンツァー』シリーズに連なる完全新作の劇場版。
当初は2014年の公開が予定されていたが、制作スケジュールの遅れにより2015年11月21日に公開日が変更された。80分ほどに予定されていた尺は、やりたいことを全部乗せした結果これでもかというほどに濃密な120分へと増量。水島努監督が「1コマも減らすところなんてない」と述べるとおり、初心者も上級者もまばたき禁止の傑作戦車映画に仕上がっている。
冒頭のエキシビションマッチで破壊の限りを尽くされる大洗町に、TVシリーズでも言及されていた知波単学園、継続高校の面々も登場。おなじみの聖グロリアーナ女学院やプラウダ高校からも新キャラクターが参戦し、さらには戦車道の名門である「西住流」に並ぶ「島田流」が壁として立ちはだかるなど、一度観ただけでは消化しきれない密度からリピーターも続出している。
また、スタッフこだわりの音響は劇場スペックで遺憾なく真価を発揮しており、全身に響き渡る砲火の轟音はもちろんのこと、4DX上映による「映画の体感」を経験した観客も多い。
2016年9月号の『コミックフラッパー』から伊能高史氏によるコミカライズ作品『ガールズ&パンツァー劇場版 Variante』の連載がスタートし、2022年9月号にて完結した。全8巻。
「Variante(フランス語で「異なる・変化する」という意味)」と銘打たれた通り、劇場版とは異なった角度から物語が描かれているのが特徴。
2016年11月にノベライズ版が刊行(上下巻)。劇場版で描かれなかったエキシビションマッチ開始までの流れや、「なぜ大洗の廃校が強行されたのか」といった劇場版で明かされなかった部分にもスポットがあてられている他、大洗の生徒会の世代交代にも触れており、刊行直前に情報が公開された『最終章』へのつながりを意識したと思われる描写も見られる。
その他、直接名前こそ出ないものの、『リボンの武者』のあの二人と思われる人物がセリフ(と戦車)付きで登場し、奉納戦車試合にも言及されるなど、スピンオフ作品との整合も図られている(ただし、残り一人の関係者が同行していない、『リボンの武者』では観戦していないエキシビションマッチを観戦している、と細部が異なるパラレル的な扱いとなっている)。
興行成績
全国77館で公開。同じ深夜アニメ発祥の映画作品としては約5ヶ月前に公開されて怪物的ヒットを飛ばした作品に比べると公開規模は小さいが、2015年11月21・22日の土日2日間で観客動員数8万4752人、興行収入1億2,843万8,980円となり、興行通信社調べの映画観客動員ランキングで初登場第2位を獲得するなど上々のスタートを切った。
さらに公開から22日目で5億円、47日目で8億円とじわじわ成績を伸ばし続け、93日目で12億円を突破。ファーストランの劇場では上映終了した映画館も多いものの、追加上映もスタートしたため全ての都道府県でガルパンがスクリーンにかかることとなった。
1月末の時点で上映が決定している劇場数は171。当初の倍以上である。さらに一部の劇場では3月末までの上映が決定。さらに映画を体感出来る「4DX」での上映が全国30の劇場で決定するなど、その勢いはとどまるところを知らない。
さらに全国的に劇場公開が継続して行われ、ついには公式ブログにて4月22日時点で累計興行収入が19億円を突破した事が告知された。
その後は4月最後の週末を以って全国の4DX上映は終了し、通常上映も爆音上映・ULTIRA上映等を実施する一部劇場を除いて次第に終了していくこととなった。あとは5月27日に発売を予定しているBlu-ray&DVDを購入して各々が自宅等の再生環境で楽しむことに......
待ったああぁぁーーーッ!!
......なると思われていた。しかしそんな矢先、5月13日にガールズ&パンツァー公式Twitterより、Blu-ray&DVD発売記念上映が行なわれることが発表された。しかもその規模は4DX劇場も含む全国153館の劇場。さらに4DXは泡や霧などの効果をパワーアップさせた「4DX 効果マシマシ版」になるという異例の大規模再上映である。
そして発売記念上映開始後の5月22日、ついに累計興行収入が20億円の大台を突破したことが公式ツイッターよりアナウンスされた。また、累計動員数120万人突破、公開27周目にして動員ランキング9位に返り咲くなどの様々な記録も同時に達成することとなった。
そして、公開から一年にもわたるロングランを経て上映が終了し、最終興行収入は約24億4千万円という深夜帯のアニメの劇場版では歴代2位の記録を樹立する。
そして注目すべきは、観客一人あたりの単価の高さである。
興行収入を観客動員数で割ると、一般的な映画では約1200~1300円、上記の怪物劇場版でも1400円程度だが、このガルパン劇場版に至っては封切当時の数字から計算してなんと1512円。今現在の数字でも1460円と、他作品と100円単位で違う。しばしば「客席の年齢層が高い」と言われる本作だが実は気のせいでも何でもないのである。
公開劇場数や想定客層のピンポイントさを鑑みても、これだけの興行記録と勢いの堅持ぶりは偉業の一言に尽きる。ひとえにガルパンという作品がファンに愛されている故であろう。
あらすじ
学校の存続を懸けた第63回戦車道全国高校生大会を優勝で終え、平穏な日常が戻ってきた大洗女子学園。
ある日、大洗町でエキシビションマッチが開催されることに。
大洗女子学園と知波単学園の混成チームと対戦するのは、聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校の混成チーム。
今やすっかり大洗町の人気者となった大洗女子学園戦車道チームに町民から熱い声援が送られた。
戦いを通じて友情が芽生えた選手たち。試合が終われば一緒に温泉に浸かり、お喋りに華が咲く。そんな時、生徒会長の角谷杏が「急用」で学園艦に呼び戻される。いぶかしがる大洗女子のメンバーたち。果たして「急用」とは……?
大洗女子学園、決断の時― 新たな試合(たたかい)が始まる!
(公式ホームページより引用)
登場人物
主に劇場版で大きくクローズアップされた新キャラを記載。
継続高校
校名はフィンランドで起きた継続戦争に由来し、寒冷地や湖沼地帯での戦いを得意とする。OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』では、みほが黒森峰時代に練習試合で苦戦した相手としてその名前を挙げていた。正式に登場したのはこの劇場版からだが、ストーリー上で抜群の存在感を放つことになる。
継続高校の隊長でBT-42の車長兼砲手。フィンランドの民族楽器カンテレを爪弾き、戦車道への愛と情熱をさらりと語る。クールで飄々としており、微笑を湛えながら話す内容は哲学的。
継続高校の生徒でBT-42の装填手兼旋回手。ミカのひねくれた物言いにいつも頭をひねっている。ミッコの操縦で暴れ回る車輌の中で砲弾を扱うパワフルな生徒。
継続高校の生徒でBT-42の操縦手。車輌への造詣と卓越した操縦技術で対戦相手を翻弄する。ミカが奏でる『サッキヤルヴェン・ポルッカ』にもノリノリ。
知波単学園
校名は、主力として運用する九七式中戦車チハ(の愛称「チハたん」)に由来する。敢闘精神に溢れるものの、それが仇となって無謀な突撃戦法が伝統となっている。メンバーの多くは短気。『劇場版』では絹代以外みんな名字だけだったが、『最終章』で本名が判明。
全国大会後に新しく就任した知波単学園隊長。礼儀正しく義理固いが、最後まで人の話を聞かないという欠点がある。突撃しては壊滅を繰り返す荒々しい校風に思うところはある様子。が、結局チームの雰囲気に流されて突撃することが多い。
他とは違い九五式軽戦車に搭乗している1年生戦車長。大洗のアヒルさんチームとの共闘経験を経て、先輩にも物申すように。
それぞれチハに搭乗している隊員達。どんな状況でもとりあえず突撃する。
聖グロリアーナ女学院
聖グロリアーナ女学院の生徒で、クルセイダーMk.IIIの戦車長。猪突猛進な性格で、機動力を活かしてクルセイダー部隊を率いる。一応、お嬢様言葉で喋るものの、お淑やかさはいまひとつ。
作中では名前しか出ていなかったクルセイダー戦車長のクランベリーとバニラは、後に『最終章』でビジュアルが判明する。
プラウダ高校
プラウダ高校の生徒で、T-34/85の戦車長。ノンナとはロシア語で会話することが多く、カチューシャには「日本語で話せ」と叱られている。しかし、実は日本語も堪能。
大学選抜チーム
本作における大洗女子のライバル陣営。年少の隊長に率いられ、社会人チームをも破る強豪。
主力戦車は、第二次世界大戦終期から末期に試作型が完成、運用された英米車両が中心。
大学選抜チームの大隊長。A41センチュリオンの戦車長。島田流戦車道の後継者であり、大学に飛び級で入学した天才少女。
みほ同様、状況に応じた変幻自在の戦術を駆使し、常に冷静沈着で判断力に優れた指揮官である反面、生来の内気さと人見知りゆえ、プライベートにおける対人コミュニケーションは不得手。
大学選抜チームの副官の三人。それぞれがM26パーシングに搭乗し、高いチームワークを有している。愛里寿の実力に確固たる信頼を寄せる忠実な中隊長たち。
その他
世界中に道場を持つ島田流戦車道の家元で愛里寿の実母。
日本戦車道連盟の理事長。
スタッフ
監督:水島努
脚本:吉田玲子
考証・スーパーバイザー:鈴木貴昭
キャラクター原案:島田フミカネ
キャラクターデザイン・総作画監督:杉本功
キャラクター原案協力:野上武志
ミリタリーワークス:伊藤岳史
プロップデザイン:竹上貴雄 小倉典子 牧内ももこ 鈴木勘太
モデリング原案:原田敬至 Arkpilot
3D監督:柳野啓一郎
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭生
音楽:浜口史郎
3DCGI:グラフィニカ
アニメーション制作:アクタス
主題歌
『piece of youth』
作詞:ChouCho / 作曲・編曲:酒井陽一 / 歌:ChouCho
イメージソング
『GloryStory』
作詞:ChouCho / 作曲:田村ジュン / 編曲:酒井陽一 / 歌:ChouCho
挿入歌
『おいらはボコだぜ!』
作詞:吉田玲子 / 作曲:水島努 / 編曲:澤口和彦 / 歌:藤村歩
その他
- TVシリーズを全話視聴したことでガルパンの大ファンになったと語るプロレスラーの蝶野正洋は、それがきっかけで劇場版の応援大使を務めている。
- 本作を見終えた観客は感想を求められると「ガルパンはいいぞ」としか言わなくなる事例が多発している。
- その魅力は幼女をも虜にした。