曖昧さ回避
- ローマ軍団の階級の一つ、「ケントゥリオ(百人隊長)」の英語読み。現代の小隊長にあたる。
- イギリス軍が開発した戦車。第二次世界大戦後の第一世代主力戦車。→本項で解説
- バンダイナムコゲームスが発売しているRPG「テイルズ オブ シンフォニア ラタトスクの騎士」に登場する存在。→ラタトスクの騎士
- 遊戯王OCGのテーマ。『1』『2』双方がモチーフ。→センチュリオン(遊戯王)
概要
センチュリオンとは、第二次世界大戦末期から戦後にかけて英国陸軍が開発した戦車である。開発時の呼称はA41。
前述の通り戦後第一世代主力戦車に分類され、「主力戦車」の概念を確立した戦車の一つでもある。
英国戦車は伝統的に歩兵の盾として前進するために重厚な装甲を備える歩兵戦車と、かつて騎兵が担った追撃戦を行うために機動力に優れる巡航戦車の二本立てで構成されていた。しかし、この組み合わせはWW2で根本的な問題を露呈した。
端的に言えば歩兵戦車は遅すぎ、巡航戦車は脆すぎ、そして両者ともに火力が足りなかったのである。それぞれの役割に特化しすぎたため、臨機応変な対応が求められる戦場では逆に使い勝手が悪くなってしまったのだ。
このため英国陸軍はこの問題を解決するべく、既存戦車を改修すると同時に新たな戦車の開発を開始した。
開発時のコンセプトは「重巡航戦車」。前線での機動戦に付いていける程度には足が速く、ドイツの88mm砲に耐えられる程度には装甲が厚く、そして重装甲のドイツ戦車を打ち倒せる17ポンド砲を備えた新時代の重騎兵である。
こうした事情で開発された本車は、技術的にはWW2までの英国戦車の集大成的な戦車となった。良くいえば枯れた技術による信頼性重視であり、悪くいうなら既存の技術の寄せ集めである(こうした傾向は英陸軍戦車の開発に多く見られ、2013年現在の主力戦車であるチャレンジャー2でも同様の開発手法が取り入れられている)。
技術的な冒険を控えたため本車(A41)の開発は順調に進んだが、試作車と後日Mk.2初号車と登録され直された車両を製造した段階で終戦を迎え、量産車が実戦配備されたのは1945年11月だった。
……間に合わなかったのだ。
登場当初はそれまでの戦車と比べ全体的な性能において高水準でバランスが取れた車両であり、英国戦車史においては最高の傑作とも呼べる戦車であった。
その後も主砲が20ポンド戦車砲や105mmライフル砲に換装されたり、装甲を強化されたりと改良が続けられ、最終型のMk.13まで発展することとなり、後継車両としてチーフテンが登場するまでの20年にわたって戦後イギリス陸軍の主力戦力としての役割を果たした。
初の実戦である朝鮮戦争で高い能力を証明し、同戦争で用いられた戦車の中で最高の評価を得た。後にオーストラリア軍がベトナムに持ち込んでいる。
派生型
FV4004コンウェイ
センチュリオンの車体にL11 120mm戦車砲を搭載した試作駆逐戦車。
センチュリオンの車体にL4 183mm戦車砲を搭載した試作駆逐戦車。
ショット
第二世代MBTの登場でセンチュリオンが旧式化したそのころ、センチュリオンを欲しがる国があった。イスラエルである。これに対し、イギリスや西欧のセンチュリオン配備国は旧式化したセンチュリオンを売却し、イスラエルの軍備が増強された。IDFではショットの名で使用された。
しかしいざ実戦で使用してみると、元々ヨーロッパでの運用を前提としていたため、ゴラン高原の気候に20ポンド戦車砲が合わず、ガソリンエンジンの引火率の高さから、乗員からは不評であった。
その後改修が行われ、主砲をL7ライフル砲に、エンジンをディーゼルエンジンに換装し、すでに導入済みだったM51スーパーシャーマンと共に戦果を挙げたため、センチュリオンの名声を上げた。
ちなみにその後は砲塔を撤去して装甲兵員輸送車として利用されている(詳細はナグマホンを参照)。
南アフリカ共和国が配備していたセンチュリオンを近代化改修した戦車。
かつて南アフリカは人種隔離政策(アパルトヘイト)をとっていたため、先進国から兵器の禁輸措置を受けていた。
そのため南アフリカは各地から中古のセンチュリオンを300台ほどかき集め、エンジンや主砲どころかサスペンションまで変更するという大掛かりな近代化改修を施したのである。
こうして完成したのが「オリファント」であった。
また南アフリカは、同じく兵器の禁輸措置を受けているイスラエルとは親しい関係であり、オリファントにもイスラエルが培った技術が導入されている。
余談
紅茶用の湯沸かし器(Boiling Vesselと呼ばれる)が標準装備となった初の戦車でもあり、以降の戦車と一部の戦闘車両には同様の装備が搭載されるようになった(もちろん現在のチャレンジャー2にも搭載)。
電気で湯を沸かすだけでなく、調理(といってもレトルトパックを温めたり、パンをトーストする程度だが)にも使える。
きっとパスタも茹でられるだろうが英国人は多分やらない。
ちなみに一見面白機能に見えるものの「降車する機会を減らせば兵士の損害が減るのではないか」という至極まっとうな理由から開発が要求された装備である(この装備が登場するまで前線の戦車兵は燃料缶で作ったコンロなど(当然車内では使えない)で湯を沸かして紅茶を淹れていたため、WW2においては機甲部隊の将兵が休憩中に攻撃を受けて死傷する事案が多く発生している)。
この装置は各車両の最年少が担当となるとの事。
登場作品
イギリス軍の戦車として登場。扱いは概ね邦画における自衛隊戦車と同じである。
デンマーク軍の戦車として登場。
作中でのラスボスこと島田愛里寿の乗車としてA41型が登場。終盤で大洗チームを単騎で蹴散らし、副官が駆るM26パーシングを従えて主人公西住みほが搭乗するIV号戦車、その姉西住まほのティーガーIとの決戦に臨む。
第4話である高校に転入した島田愛里寿の乗車として登場。同校の最後の切り札として運用される。
愛里寿以外の乗員は同校の生徒が代役を務めているらしく劇場版より若干動きが鈍い。
初代PS「コンバットチョロQ」とPS2「新コンバットチョロQ」に登場。
「コンバットチョロQ」では作戦32「逆襲、氷上の対決」に登場。総合的に性能の高い強力なタンク。
「新コンバットチョロQ」では「センチュリオンMk.3」として登場。同軸機関銃タイプ「T」カテゴリーの武装を装備できる。
敵・味方タンクとしては登場せず、バトルアリーナ「スモール」で交戦する。
イスラエル仕様のショットも当時西側メディアに付けられた通称「ベングリオン」として登場。
こちらはプロトン王国の同盟国ニビリア共和国の兵士として登場。「爆撃の閃光都市」と「越えろ!大防衛線」で参戦している。エキスパートアリーナ「フォールラウンド」で対戦し、勝利すると使用可能になる。
関連画像
前述の「ガールズ&パンツァー」関連の投稿も少なくない。