1948年に設立されたイスラエルの軍隊であり、今までに5度の大きな戦争を経験している。徴兵制があり全兵員の6割強が徴集兵である。女性も徴兵対象。巨大な人口資源を持つ周辺国に対応するため、軍隊に不向きとされてきた自閉症スペクトラム障害の患者も画像解析班として起用するなど人口資源のフル活用に余念がない。
英語ではIsrael Defense Forces、通称IDF。
もともとはユダヤ人を守る自衛組織ハガナーを母体としていたが、建国と戦闘の激化に伴い国軍化された(当時イスラエルの建国の条件は、国軍を持たないことであったため)。
独自兵器の開発もやっている。
侵略的か好戦的か
4度にわたる中東戦争やそれ以外での周辺国への攻撃、パレスチナ自治区でのパレスチナ人に対する過酷な抑圧からIDFはしばしば「侵略的」あるいは「好戦的」と評されるが、どちらも正鵠を得ているとはいいがたい。
イスラエルは四国ほどの面積に千葉県ほどの徴兵可能な人口資源(ユダヤ人及びドゥルーズ派、チェルケス人)しか持たない小国であり、首都エルサレムはパレスチナ自治区から11㎞、沿岸の大都市テルアビブはそこから70㎞、北部の中心都市ハイファは両都市から80~90㎞、イスラエルと敵対関係にあるレバノンは50㎞も離れていない。つまり、一度大規模な侵攻を許せばイスラエル人のあらゆる社会活動が壊滅的打撃を受けることを意味する。国防省及びモサドがエルサレムではなくテルアビブにあるのも、こういった事情がある。
このため、IDFは専守防衛ではなく敵の攻撃の動きを見出し、敵地を戦場とすることで領内への侵入を許さず、戦闘遂行能力を破壊することを基本的な方針としている。パレスチナ自治区という、イスラエルにとって極めて特殊な例外を除けば第三次中東戦争以降露骨な領土拡張戦争を行っていないことも、イスラエルに国外への領土的野心がない表れでもある。
陸軍
イスラエル軍の中心的存在の地上戦力。周りが敵だらけのイスラエルを守るため、国境付近を警備している。
独自兵器の開発の多くがこの陸軍支援目的で、メルカバやタボールもIMIの協力で製造されている。