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概要編集


地中海東岸に位置し、かつてはパレスチナと呼ばれた地域の大部分を領土とする国家。

国名は旧約聖書にもあるこの地の旧名「イスラエル」に由来する。

ナチス・ドイツを始め、長きに渡り迫害されて来たユダヤ人の間で起こったシオニズム運動(イスラエルの地・パレスチナ地域に故郷を再建しようと考える運動)の高まりに端を発し、紆余曲折の末1948年に独立宣言。


パレスチナ編集

現代ではイスラエルのアラブ人居住区域を指す。イスラエルとは歴史的・宗教的に複雑な関係。東はヨルダンに接する「ヨルダン川西岸地区」と、西は地中海、南はエジプトに接する「ガザ地区」に分かれている。現在、イスラエルはパレスチナを敵国認定、攻撃を続けている。詳細は→「パレスチナ問題


首都編集

イスラエル政府はエルサレムを首都と宣言している。だが、国際的に認められたイスラエルの国境は第一次中東戦争の休戦協定で決まったグリーンラインと呼ばれるもの(一般的な地図に引かれている国境線)であり、エルサレムの東部はこの範囲に含まれない。エルサレムの東部には各宗教の聖地が集中する旧市街が含まれ、イスラエルはこの聖地がヨルダン領となって訪問の妨げとなっていることを憎悪していた。こうして第三次中東戦争の結果、東エルサレムはその先のヨルダン川西岸地区と共にイスラエルの不法占領地となる。


イスラエル側は「第二次大戦で東西に分断されていたエルサレムを統合統治して来た」と主張。ところが、パレスチナ側は「東側は元々自国領であり統治自体が国際法違反」と主張している。イスラエルとパレスチナ衝突、宗教問題などの難しい問題が重なり合っており、決着を見ない。


そこで国連は元より多くの国もエルサレムを首都と認めず、建国時の首都であったテルアビブを引き続き首都としている。そのため、クネセット(国会)や省庁(国防省を除く)はエルサレムにあるが、各国大使館はテルアビブに集中している。ところがアメリカトランプ政権時にエルサレムへ大使館を移してしまい、パレスチナ問題のさらなる紛糾が懸念されている。(ちなみに、オーストラリアも「西エルサレム」へ大使館を移転したが東エルサレムの帰属には触れてない)


歴史編集

古くからの聖地として編集

この地域には紀元前10世紀頃からエルサレムを聖地とするユダヤ教徒のユダ王国が存在し、旧約聖書にはさらに古い時代の王国があったという伝承もある。紀元前586年にユダ王国が新バビロニアに滅ぼされて以降は独立を失い、ユダヤ教徒は次第に各地に分散していった。


後に中東全域を制覇したイスラム教教団がエルサレムを第三の聖地と呼んだことから、再びこの地は注目を集める。もっとも教団が制度を整えて成立したイスラム帝国は、それなりに他宗教に寛容であった。エルサレムにはイスラム教徒だけでなく、ユダヤ教徒も、そしてイエスが昇天した地としてエルサレムを聖地とするキリスト教徒もまた、時に対立こそあれ共存していた。


イスラム社会の支配者は交替を繰り返し、最終的な支配者となったオスマン帝国が世界的な戦争である第一次世界大戦に参戦した事で、この地は近代の激動に飲み込まれていくことになる。イギリスがこの地域の重要性に着目したのである。


英国介入編集

オスマン帝国と交戦していた英国は、援軍として多くがオスマン帝国支配下にあったアラブ人を味方に引入れる。その代償として、アラビア半島からシリアに至る広い地域のアラブ人独立運動を支援することを約束する(フサイン=マクマホン協定)。一方で英国は主な敵国・ドイツと戦うのに十分な戦力を持つ中立国・米国を味方とするために、当時米国政治に強い影響力を発揮したユダヤ人社会にも協力を求めていた。その代償としてはパレスチナの地域へのユダヤ人居住地設立支援が約束された(バルフォア宣言)。なお、誤解されるがこの2つの約束で提示された双方の領土には重複がない


ユダヤ人集結編集

こうして英国は大戦に勝利してアラビアからパレスチナ地域を植民地とし、いずれはアラブ人とユダヤ人それぞれが自立するための支援をすることとなった。また、アラブ人・ユダヤ人との代表者は、相互にアラブ国家(State)とユダヤ国民の家(National Hhome)を設立するために(暫定的とはされたが)協力を誓った(ファイサル・ワイツマン合意)。アラブ人独立は元より獲得した地域の多数派であったために比較的順調に進んでいた。しかし、パレスチナにおいてユダヤ人は多数派ではなかった(明確な統計がされていた訳ではないが、数万人に過ぎなかったとも)。このため、ファイサル・ワイツマン合意において中東各地からのパレスチナへのユダヤ人移住を促進することが定められ、1930年代には数十万人のユダヤ人がパレスチナに居住することとなった。さらにWW2によって東欧からのユダヤ人も合流することになる。第一次中東戦争後には、かつて100万人以上が居住していた中東各地におけるユダヤ人社会はほぼ消滅する。逆に彼らの流入も受けたイスラエルのユダヤ人口は急増、1970年代には200万人を越える。


アラブとの対立編集

しかし、パレスチナの地で多数派として居住していたアラブ人(パレスチナ人)はそもそも交渉に際して発言権がなかった。当時聖地メッカを支配していたヒジャーズ王・フサインや後のイラク王ファイサルといった英国やイスラエルと交渉したハーシム家は、確かにアラブ人社会では名門であった。だが、彼らがパレスチナ人の代表者と呼べるかはまた別問題。バルフォア宣言にはパレスチナに住むアラブ人の居住権を尊重することは謳われていたが完全な履行は出来ず、ようやく「故郷」に帰還(入植)したユダヤ人とパレスチナ人は度々衝突することとなる。そして、国家建設を進める周辺地域のアラブ人社会においても対ユダヤ人感情は次第に悪化して行く。


国家成立編集

1922年よりパレスチナは英国委任統治領であったが、この緊迫した情勢の中に1948年に英国が撤退。前年11月に国連のパレスチナ分割決議によりイスラエルとアラブ人領パレスチナの領域が確定している。決議ではパレスチナの56%がイスラエル、43%がアラブ人に与えられ、双方の宗教の聖地たるエルサレムは宗教的衝突を避けるため、国連領(国連が保有する領土)となった。これを受けて翌5月にイスラエルが独立を宣言。しかし決議成立を阻止できなかった周辺アラブ諸国は、独立を軍事力で阻止すべくイスラエルに攻め込んで第一次中東戦争が勃発する。戦闘の結果イスラエルが勝利し、分割決議でアラブ人領となった領域の多くを停戦交渉を通じて奪取した。こうして国家としてのイスラエルが成立、停戦協定で国際的に認められた国境が現代の地図で見るイスラエルの国境線(グリーンライン)である。


一方で周辺アラブ諸国はパレスチナ奪還の機会を窺うこととなる。西岸地区とガザはアラブ諸国の領土となり、ヨルダンは国連統治下エルサレムを占拠して自国領に組込んだ。その結果、懸念されていた通りエルサレムは宗教的衝突の舞台となり第二次中東戦争に繋がる。下記に挙げるようにイスラエルと周辺諸国との紛争はそれ以降も繰り返され、不法占領ではあるがイスラエルの領土はさらに広がっていく。戦略的領土的後退を強いられた周辺諸国の多くは、イスラエルとの軍事衝突を次第に避ける様になる。だが、パレスチナ人はなおも奪われた故郷を奪還すべく抵抗活動を継続、現在に至っている。


主な戦歴(括弧内の呼称はイスラエル側のもの)編集

  • 第一次中東戦争(独立戦争):1948 - 49年イスラエル勝利
  • 第二次中東戦争(シナイ作戦):1956 - 57年イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利
  • 第三次中東戦争(六日戦争):1967年イスラエル勝利
  • 第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争):1973年イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利
  • バビロン作戦:1981年イラクの原子炉破壊に成功
  • レバノン内戦介入(ガリラヤの平和作戦):1982年イスラエルの戦略的敗北
  • レバノン侵攻(第2次レバノン戦争):2006年イスラエル・ヒズボラ双方が勝利宣言・停戦
  • ガザ地区侵攻(キャスト・レッド作戦):2008 - 09年ガザ封鎖継続
  • ガザ地区侵攻(プロテクティブ・エッジ作戦):2014年停戦

国民編集

ユダヤ人国家」であるが、先住のアラブ人でもイスラエル国籍所有者は多い。また、イスラエルは建国後ヨーロッパ・アジア・アフリカ方面より多くのユダヤ人が移民して来たため、「ユダヤ人」と一口にいってもアシュケナジム系(ロシアや東欧地域出身)、スファラディム系(地中海地域出身)・ミズラヒム系(アジア・アフリカ出身)など多種多様であり、同じユダヤ人であってもコミュニティ間対立なども見られる。

特に、イスラエル国籍を持つアラブ人はユダヤ人とほぼ変わらない権利を有し、国会議員に選出された人もいる。しかし、アラブ人はあらゆる場面で差別されており、一部のアラブ人は不法入国者と見なされている。特にパレスチナ自治区に住むアラブ人の扱いは過酷で、イスラエルに入境する際はイスラエル人や外国人と比べて遥かに厳しい検査を受けねばならないなど、かつてナチスがユダヤ人を閉じ込めた「ゲットー」を彷彿とさせる強制隔離状態に置かれている。


国内の公共の場における主要な標識はヘブライ語アラビア語英語表記であることが多い。北部はアラブ人が多く住み、北部の中心都市ハイファでは日常的にアラビア語で書かれた新聞や張り紙を目にすることができ、アラビア語で会話しながら飲酒を楽しむアラブ人が多くいる。


軍事編集

イスラエルにおいては周辺アラブ諸国のほとんどが仮想敵国であり、しかも東西に狭い国土を有する。この地勢から戦争での敗北は国家の滅亡リスクに直結し、イスラエルにおける安全保障への危機感は極めて高い。こうしてイスラエルは国策において軍事の優先度が高く、自国の高い技術力を活用した国産兵器を多く開発している。秘密裏に核を保有しているという噂があり、ネタニヤフ首相がうっかり「イスラエルは核保有国である」と口を滑らせた辺り、真実であることが分かる。

数度に及ぶ戦争と勝利や独自兵器開発からミリタリーの印象が強いのか、Pixivではイスラエル関連タグは兵器・ミリタリーイラストがほとんどとなっている。


兵役編集

国民皆兵制度のため男女とも兵役の義務があり、男子は36ヶ月、女子は21~24ヶ月の期間、常備軍であるイスラエル国防軍にて兵役に就く。ただし徴兵はユダヤ教徒が対象でありアラブ系国民(ドゥルーズ派・チェルケス人を除く)は志願制となっており徴兵の対象となっていない。

このため国民の成人のほとんどが予備役となり、総動員発令時には60万弱の兵力に達することになる。さらに限られた人口資源をフル活用するため、軍事組織に不向きとされていた自閉スペクトラムの国民を画像解析部隊に組み込むなどしている。


防諜編集

イスラエル諜報特務庁(モサド)も知名度の高い諜報機関であり様々なフィクションのネタにもされている。ノンフィクションでの活動すらも伝説的であり、ナチスによるユダヤ人収容抹殺の計画立案者アドルフ・アイヒマンを15年かけて追い詰めてアルゼンチンで捕らえ、現地政府には無断で本国に連行し裁判・処刑した。

イスラエルにはモサドの他イスラエル総保安庁(シャバック)、イスラエル政治調査センター(ママッド)、イスラエル警察捜査諜報局、イスラエル参謀本部諜報局(アマーン)、イスラエル空軍諜報部がありそれぞれが協力する形で情報コミュニティを形成している。


経済・産業編集

国としては小さいが科学水準が非常に高い。特にIT技術のレベルは高くIBMマイクロソフトINTELを筆頭にイスラエルに海外拠点を置く企業も多いほか、医療技術の開発も盛んで海外企業と提携しているイスラエル企業も少なくない。大学・研究所の代表としてはテクニオン工科大学やヴァイツマン研究所が挙げられ、双方とも多くの科学者・技術者を輩出している。

イスラエルの輸出額543億ドル(2013年)のうち医療関連(薬品・医療機器)36.4%(198億ドル)がトップ、次いでハイテク製品が20%(110億ドル)、天然資源が8.9%(48.4億ドル)、貴金属が8.1%(43.8億ドル)となっている。


また農業技術のレベルも高く、国土の60%が乾燥地帯であるにもかかわらず食料自給率は90%以上である。これは先述の通り農耕可能面積が少ない上に周辺諸国と常に緊張状態であることから食料生産が課題となり、その中で小さな面積・少ない降雨量でも大量の食料が生産できるよう技術開発が進んだためである。地中海気候のイスラエルの代表的農産物であるトマトの10aあたりの収穫量は日本では約6トンの一方でイスラエルは約50トンにも及ぶ。また2011年の農業総産出額を比較してみると日本の産出額約819億ドルに対しイスラエルは産出額48.8億ドルであり、農業従事者一人当たりの生産額を比較するとイスラエルのそれは日本の2倍以上である(イスラエルが7.4万ドル、日本は3.4万ドル)。

フルーツでは柑橘類の栽培が盛ん。オレンジタロッコスウィーティーが有名。


イスラエルの兵器輸出額は10.74億ドル(2014年)で世界第7位となっており、アメリカヨーロッパの他にも中南米や東南アジア、インドにも輸出している。


しかし一般的に裕福と思われているユダヤ人のイメージとは程遠く、OECD加盟国では最悪の貧困率(全国民の2割に当たる約170万人が貧困状態)、そのほとんどが日々の食事すらままならない状態が続いている。そのため、毎年多くのイスラエル人がアメリカやドイツへ移住する事態となっている。


宗教・文化編集

エルサレムがアブラハムの宗教共通の聖地とされているためか、ユダヤ教の他各地にイスラム教キリスト教の施設が存在する。

さらに、イスラム教系新宗教「バハーイー教」の聖地があり、これは新宗教に関連するものとしては現状唯一の世界遺産となっている。


世俗的な国家でもあり、中東では珍しく同性愛者に寛容な国、テルアビブではゲイパレードも行われる。これを「ピンク・ウォッシュ(悪印象をLGBT保護で洗い流す行為)に過ぎない」とする批判も根強い一方、「(宗教的に保守的な)パレスチナのゲイを保護しているのはイスラエルだ」という反論も当然存在する。本来企業や個人に用いられるピンク・ウォッシュという言葉が国単位で使用されるのはイスラエルが抱える問題ならではといえる。


建国の推移やパレスチナ人に対する振る舞い等によってユダヤ教的に正当でないとするユダヤ教徒も多数存在する。

例えばユダヤ教の宗派の一つ「超正統派」のグループ「ナートーレー=カルター」はメシアによって建国されたわけではない現代の国家としての「イスラエル」を正当なイスラエルと認めていない。

他にシオニズムをユダヤ教に反するものとするユダヤ教徒として、モントリオール大学教授ヤコヴ・ラブキンがいる。


超正統派ユダヤ教徒編集

ユダヤ教には様々な宗派があるが、超正統派ユダヤ教徒がイスラエル国民の1割ほど存在する。国内では少数派とはいえ無視できるほどの割合でもなく、その強烈な存在感のためユダヤ教のステレオタイプとなっている。

その特徴をいくつか記載する。

  • 男性は髭ともみ上げを伸ばし、黒服と帽子を身に纏う。女性は男性を誘惑しないため、定められたカツラを被るか、既婚女性は頭髪を布で隠すことが一般的。
  • 近代的な教育を受けたり、労働をすることには否定的。彼らにとっての仕事とは、律法に沿った生涯を全うし、その勉学に励むことにある。
  • 「産めよ増やせよ」の言葉を実現するため、極めて多産。平均出生率は7で、これはイスラエルの平均出生率の倍以上になる。
  • 過度な外部の情報や文明を入れることには消極的。携帯電話も、特別な設定がされたものを使用する。

その教義のため、多くの超正統派ユダヤ教徒は社会保障やカンパでどうにか生活している状況にある。加えて多産のためにイスラエルにおいて彼らの人口は急増し、政府や納税者の負担が増えていることに苦言を呈するイスラエル人も多く存在する。

また、シナゴーグで密集して集会を行うことが多いためCOVID-19のパンデミック時には超正統派の居住地区で大規模クラスターが頻発する原因ともなった。


外交関係編集

中東情勢はイスラエルを中心として動いており、イスラエルから中東を紐解いていくと、複雑な世界情勢が見えてくる。


中東編集

ヨルダン川を隔て、国境ができている。1994年10月にイスラエルとの和平条約に署名し、同年11月に外交関係を樹立(イスラエルとの和平条約に署名したのは、アラブ諸国の中ではエジプトに次いで2ヶ国目)。最近でもイランがイスラエルに放ったミサイルをヨルダンが領内で撃墜する等、蜜月関係が目立つ。


かつてダビデ〜ソロモン王時代はレバノン杉などの貿易が盛んであった。しかし、今やテロリストの温床となっており、ヤーセル・アラファトがここへ潜伏した際、イスラエルは侵攻を開始。インティファーダが引き起こされた。


中東戦争で何度も対立、続くインティファーダでも因縁深い国である。他アラブ諸国に先駆けてイスラエルとの和平条約に署名する。それがアラブ連盟からの脱退を伴いアラブの盟主の地位喪失を伴うとも躊躇しなかった。現代も穏健派としてイスラエルと他アラブ諸国との仲介を担うことが多い。


イランはシオニスト政権イスラエルと呼称しており、国家承認していない。

国際大会で相手がイスラエルの場合は試合を放棄するという徹底ぶり。

更にイスラエルの入国スタンプがあると入国拒否されてしまう危険性もある。


極力内戦には関わらないようにしていたが、アサド政権の混乱に巻き込まれる形となっている。またシリアはイランとも関係が深いため、敵国認定。

シリアのレジスタンスはゴラン高原のシリア側を制圧し始め、イスラエルを脅かすテロリスト・ヒズボラ党との関連も警戒されている。2013年1月末、イスラエルはレバノンに向かっていたトラック車両をシリア領内にいる間に空爆するという事件が発生。イスラエル軍の基本理念は「対イスラエルに使われる武器は領土内に持ち込まれる前に、出来るだけ遠い場所で破壊する」というもの。イスラエルはシリアに「化学兵器を持込むなら決して躊躇しない」と釘を刺した。


中東ではイスラエルとは仲が良い部類に入るが、イスラム教に基づくポピュリズム路線をとるエルドアン政権以降は難しい関係が続いている。


公式の外交関係はないが、しばしば国交正常化交渉や、様々な経済・文化の限定的交流が続いている。


独立して以来、イスラエルと国交を樹立してこなかった。1973年にイスラエルとアラブ諸国の間で第四次中東戦争が起こった際には、UAEはアラブ産油国に対してアメリカおよびイスラエル支持国への全面的な石油輸出の禁止を呼びかるなど、強硬な姿勢を取った。

1990年代以降、両国は主に安全保障や治安分野に関して水面下で接触を重ねるようになり、2020年8月13日に国交正常化。これは歴史的合意として世界中に衝撃が走った。


UAEと同じく2020年に国交正常化に同意。


欧米編集

アメリカはイスラエルの建国以来、中東における重要な同盟国として国連決議でもイスラエルを擁護する傾向がある。

また、アメリカの主流派であるプロテスタント右派がイスラエルの建国に関与している為、イスラエルロビーの力が大きい。

事実、ジョージ・W・ブッシュイスラエルを使ってイラク戦争を実行させたという噂がある。

共和党にイスラエル支持者が多く、一般的に「アメリカのユダヤ系住民が強力な圧力団体になっている」とされるが、実際はユダヤ系よりもキリスト教保守の方が熱烈にイスラエルを支持している。


イスラエルとロシアの関係は、ソ連崩壊以降堅調でロシアとイスラエルの飛行機便が多く設定されており、またイスラエル国民の相当数がロシア及び旧ソ連圏出身者とその子孫である。

ただ、中東情勢では対立している面も存在しており、ロシアはシリアのアサド政権やイランを支援しているのに対し、イスラエルはサウジアラビアエジプトトルコ等を支援している状態である。

更に中国やイランと共にパレスチナ独立賛成派だが、アメリカやカナダとともに反対にまわることもある。


  • 欧州各国

特にドイツイギリスウクライナはその傾向が強く、イギリスはイスラエルの建国に関わっている。

更にドイツではホロコーストの反省からイスラエルの最大ロビーとして存在している。

尚、イスラエルがUEFAに加盟しているのはアジアリーグだとイランやシリアなどの一部の中東の国が試合を拒否する為、移籍している事が挙げられる。


アジア編集

イスラエルは例年、アメリカの情報に頼っていたが、ここ最近はアメリカの衰退に伴い中国にも接近している。事実、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーとして入っている。

その為、AIIBを介して中国政府の融資をもとにシオニスト入植地を建設している。

更にイスラエルは上海協力機構に申請しようとしており、中国との接近もより一層進んでいる。


イスラエルと韓国の関係は良好。

また、イスラエルと韓国はFTAを締結しようとしており、同時にAIIBの創設メンバー国の一員でもある。


北朝鮮はイスラエルの敵国であるイランを支援しており、そもそもイスラエルは北朝鮮を国家承認していない


パスポートに「Pasport ini sah digunakan untuk semua negara kecuali Israel(このパスポートはイスラエル国以外の全ての国で有効)」とまで書かれるほど険悪な関係にある。

ただし中東ではないためかイランほど入国審査は厳しくはなかったという報告もある。


日本との関係編集

政治・外交編集

一見あまり接点のない両国だが、1902年の日露戦争ではのちにイスラエル建国に大きく影響を与えるシオニストが日本軍の捕虜となったり、1918年のシベリア出兵でユダヤ陰謀論が日本に輸入されたり、1938年には文部省による留学生プロジェクトがあったりと、その歴史は古い。1948年にイスラエルが独立すると日本政府は1952年にそれを承認、1952年にイスラエル公使館、1955年にテルアビブに日本公使館が設立。(両公使館は1963年に大使館に昇格)


1972年には日本赤軍によるテルアビブ国際空港乱射事件が起き、日本政府が公式に謝罪・賠償を行っている。


日本政府はイスラエルやパレスチナ問題に深く介入しない中立的立場を取ってきたが、1973年のオイルショックによりその方針の変更を強いられることになり、1970年代からはイスラエル・パレスチナ双方に歩み寄る形での積極的中立路線へと入る。


現在もこの路線を継続しておりパレスチナへの支援を行うと同時にイスラエルとの経済提携を推進している。2014年5月にはネタニヤフ首相が来日し、2015年には安倍首相がイスラエルを訪問しているが、このときパレスチナも同時に訪問しており、パレスチナ自治政府大統領マフムード・アッバースと会談している。


2019年には、成田空港にエルアル航空による初の直通便が開通することが決定している。


外国に移住した日本人を探す番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」にて千原ジュニアが訪れており、当初は「テレビのイメージから危険な印象がありそう」と述べていたがその後は「すごいフレンドリーでみんな優しい笑顔でめちゃくちゃ好きや」と評していた。


芸術編集

イスラエルでも日本のアニメやマンガは人気で2009年からは日本のコミケに相当するCAMI(Convention of Anime and Manga in Israel)と呼ばれるアニメ・マンガイベントがほぼ毎年開催されている。ちなみに2009年の第一回CAMIではファンメイドのデスノートの演劇ややおいについての解説講座、ひきこもりについての心理学講座などが開かれた。


日本では2012年に国交樹立60周年を記念してイスラエル大使館がゆるキャラのデザインを募集し、翌年に公式ゆるキャラのシャロウムちゃんを発表した。


食文化編集

日本における山わさび(ホースラディッシュ)はイスラエルでは苦菜(マロール)の一種に該当する。


敬虔なユダヤ教徒は律法の食料規定(カシュルート。コーシャとも)に沿った食生活を送る。

飲酒は自由だが四つ足動物は蹄が割れ反芻するもの、魚介類はヒレと鱗があるもののみが認められ、肉類と乳製品を同時に摂取してはいけない。


中東諸国の食文化をベースに、世界中から帰還したユダヤ人によってイスラエルの料理は多種多様なバリエーションに富んでいる。特に最大の都市テルアビブでは、空前の寿司ブームが起きているといわれている。


経済編集

先述の通りイスラエルではハイテク・医療技術開発が盛んであり、同国と提携している日本企業も少なくない。

イスラエルの対日輸出額は14.1億ドル(2013年)でそのうちの半分以上、8.1億ドルが機械類、次いで医療関連が3.8億ドル(27%)がある。日本からの輸入額は10.7億ドルで自動車などの輸送機器の4.8億ドル(45%)が最大。イスラエルの自動車市場シェアも47%(2014年)が日本製となっており、エルサレムでも多くの日本車を見ることが出来る。


治安編集

イスラエルは自国民の安全を守るということに関しては非常に積極的で、膨大なコストと人員を費やしている。パレスチナとの間に設けた分離壁や空港のセキュリティのみならず、鉄道駅やバスターミナル、ショッピングモールでは荷物検査と金属探知機による身体検査が行われ、観光地を中心に重武装した兵士が常に警備をしている。

このため、国内の公共交通機関を利用するとほぼ必ず機関銃を携行した兵士と同乗するような状況になっている。

このような過剰とも言えるセキュリティ対策のため、いびつながら外国人が持つイメージよりもイスラエルは遥かに安全な国である。2009年以降はイスラエル国内において自爆テロは1件も起きていない反面、このセキュリティ関連費用により物価は非常に高い。


しかし、軍事国家ゆえに本当の意味で平和とはいいがたい社会であり、イギリスのエコノミスト紙が発表している「世界平和度指数」では、北朝鮮とほぼ肩を並べるほどに低い順位となっている。イスラエルにとって危険と判断されれば、未成年者への拷問も許可されるほどである。


渡航編集

多くの外国人が出入国のために使うベングリオン空港は、その歴史的経緯から非常にセキュリティが厳しいことで知られる。

利用者は旅の目的、日程はもちろんのこと滞在先、イスラエルにいる知人の有無、航空券の購入元、所持品についての事細かな質問からパッキングをした時間や場所について聞かれることも珍しくない。家族や友人同伴の場合は、話の整合性を取るために全く同じ質問を行う。このため他の空港よりも早めの時間に到着することが推奨されている。

さらに、パスポートにイランシリアリビアなど中東諸国のスタンプがあると、入国審査はより厳しくなる傾向にあり入国拒否されることがある(ヨルダントルコは例外)。そのため、別紙にイスラエルの入国スタンプを捺印する必要があったが、近年ではスタンプは廃止して出入国時にカードを発行するようになっている。


エルアル航空では海外の就航都市でもチェックインカウンターや搭乗口で事細かな質問をし、荷物を減圧装置に入れる、機内には常に銃を携帯した私服警備員が乗り合わせており、使用機材もミサイル攻撃やハイジャックを可能な限り防ぐための特別設計となっている。


ただしパレスチナ情勢の影響で日本の外務省は渡航中止を勧告。


イスラエル国籍の著名人編集


関連キャラクター編集

ユダヤ教や現地で発祥した幻獣と関連したキャラクターが多い。


ダビデ(Fate)ソロモン(Fate)サロメ(Fate)


ジェリコ(ドールズフロントライン)

MicroUzi(ドールズフロントライン)

TAR-21(ドールズフロントライン)

ガリル(ドールズフロントライン)

SM-1(ドールズフロントライン)

ネゲヴ(ドールズフロントライン)


ファイナルファンタジーシリーズ等で有名なバハムートもこの国で発祥した幻獣(厳密にいえば旧約聖書


関連動画編集


ダヴィンチアカデミー


関連タグ編集

中東 イスラエル ユダヤ人 パレスチナ

IDF(イスラエル国防軍) モサド

パレスチナ問題 シオニズム

政治体制・思想:極右 軍国主義 ファシズム テロリズム アパルトヘイト 差別 帝国主義 ネオコン キリスト教原理主義 イスラモフォビア カルト

大日本帝国 大英帝国:比較されうる過去の国


空港編集


外部リンク編集


参考資料編集

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