概要
キリスト教原理主義(キリスト教根本主義、Christian fundamentalism)とは聖書に書かれていることは一字一句偽りないと信じる(少なくとも当人達はそう主張している)キリスト教上の立場である。
過去には必ずしも否定的な意味ではなく、根本主義者を自認する人が自称することもあったのだが、現在この言葉が使われるのは、主にプロテスタント主流派(メインライン・プロテスタント)などから保守的福音派に対する批判的な意味合いであり、蔑称と受け止められる。
ローマ・カトリック教会にも現代キリスト教神学を拒否して伝統的な教理を支持するカトリック教徒がおり、これを原理主義者と呼ぶことがあるが、本項ではプロテスタントの原理主義について扱う。
立場
プロテスタントの中でも聖書の権威を重視する福音派の中で、さらに強硬な保守的立場をファンダメンタリズムと呼んでいる。
20世紀の社会のリベラル化に対する反動(バックラッシュ)として勃興した運動であり、同性愛や人工中絶や婚前交渉を否定。エキュメニカル運動(キリスト教派を問わず仲良くしましょうという運動、キリスト教以外の宗教との対話と和解を促進する運動の時にも使われる)を反対する。創造論を支持し、進化論を否定する。聖書の記述を根拠に地球平面説のようなキリスト教の教理と関係のない陰謀論を信じている(後述)こともしばしばある。
内容
wisdom(経験を通じて得た実践的な知恵)のみを重視し、intelligence(批判的・論理的な知識・知性)を軽視・蔑視することから、anti-intellectualism(反知性主義)と呼ばれている。
また学術的に聖書を研究している学者などからすれば「一字一句書かれてる通りの解釈をしてるどころか、とんだ俺俺解釈をやりまくっている」「聖書のどこにも書いてないような事を平気で主張している」ような事もある。例えば新約聖書にある「悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて」(マタイによる福音書)という記述を根拠に、世界は球状ではなく平面であると考えるといった具合である。
要は、信者が学術的な知識を身に付けてしまったら「我々は聖書の内容を一字一句偽りないと信じています」と言う看板が大嘘だとバレかねない代物だと思って概ね間違いない。