第二世代との比較
装甲
技術進歩により驚異的な装甲貫徹力を発揮するAPFSDS弾(装弾筒付翼安定徹甲弾)が実用化したことで、装甲に関する状況は大きく変化した。
単純に装甲厚を増してこの砲弾に対抗する場合、従来の材質では最低でも300mm厚程度は必要であり、それに伴う車重の過大なまでの増加は機動力確保のためには許容できるものではなかった。
これを解決したのが新技術の「複合装甲」だった。
拘束セラミック、劣化ウラン、チタニウム合金、繊維強化プラスチック、合成ゴムなど性質の異なる材質を何層にも重ね合わせ、それぞれの特性を互いに補い合うこの装甲は、最新の高貫徹砲弾に対しても十分な防御力を発揮可能とされている。
しかし、多種多様な材質を利用して製造されるために、この装甲を曲面形に成形することは難しく、多くの第三世代MBTの装甲配置は角張ったものとなっている。
火砲
それまでの主流だったライフル砲(施条砲)は、砲身内の溝で砲弾に回転力を与えて弾道安定の効果を発揮させるというものだったが、この効果にはAPFSDS弾の砲口初速を低下させるという悪影響もあった。
このため、APFSDS弾の発射を前提に開発されたほとんどの第三世代MBTは砲身内に溝の無い滑腔砲を搭載する。
ただし、イギリス軍ではチャレンジャー2までのMBTでライフル砲の運用が続けられた。これは、同軍がライフル砲の弾道安定効果が発揮されやすい粘着榴弾を主に使用してきたため。(英国面とか言ってはいけない)
なお、チャレンジャー3からは滑腔砲が採用されている。
暗視装置
第二世代では肉眼で不可視の赤外線ライトで周囲を照らし、それを捉える赤外線カメラによって暗所でも視覚を確保する「アクティブ型」の暗視装置が主流だったが、これには敵が赤外線カメラを装備していた場合、照射位置を特定されることで敵に居場所を明かしてしまうという弱点があった。
そこで、第三世代からは照射した赤外線のみならず敵の発したほんの僅かな光や熱赤外線を受容し感知できる「パッシブ型」暗視装置が採用されるようになった。これにより、夜間の交戦可能距離は飛躍的に長大化した。
ただし、暗視装置自体は第二世代MBTも搭載可能であり、改修で第三世代MBTと同等の暗所における視界獲得能力を得ることができた。
エンジン
第二世代では、主に700~800馬力級のディーゼルエンジンが採用されていた。
第三世代では、複合装甲や長大化した砲により増加した重量でも十分な機動力を確保できるよう、1200~1500馬力級のエンジンが搭載されている。
また、エンジンの種類もディーゼルエンジンのほか、ガスタービンエンジンが採用されたものもある。
第四世代?
詳しくは→第四世代MBT
次世代たる第四世代MBTの基準は不明瞭だが、一般にここに分類されることが多い現行の主力戦車として、21世紀に入ってから実用化した日本の10式戦車とロシアのT-14アルマータが挙げられる。
前者は他の現行MBTよりも軽量小型ながら同等の火力と防御力、優秀な情報共有システムを備えるという点で、そして後者は砲塔の無人化や乗員保護のための特殊保護カプセルなど革新的な設計という点で他の車輌に優っており、それらが第四世代と捉えられた理由として考えられる。