冷戦の盾・パットンファミリー
冷戦中の1940年代から1970年代にかけて連続的に開発された一連のアメリカ製戦車の総称で、その名は第二次世界大戦のジョージ・パットン将軍に由来する。
英語表記は「Patton Tank」。
全種合わせた総生産数は約36,000輌に達し、冷戦期のアメリカをはじめ、西側諸国と第三世界で広く普及。
現在も一部の国では運用が継続されている。
M46パットン
90mm砲搭載、最大装甲厚114mm、1949年制式化。
機動性が不足していたM26パーシングを原型に、エンジンやトランスミッションといった駆動系の改良を主軸に開発された。
しかし、機動性以外の性能向上は限定的で、後継のM47、M48が実用化するとそれらに置き換えられる形で退役した。
M47パットン
90mm砲搭載、最大装甲厚121mm、1951年制式化。
第一世代主力戦車に区分される。
性能不足のM46を原型に、ステレオ式測距儀を備える新型砲塔の搭載、装甲傾斜角度の増大といった改良が施された。
後継となるM48が早期に登場したためアメリカ陸軍ではすぐに型落ちとなったが、これを主因として積極的に対外輸出されることとなった。
ちなみに、あの有名俳優アーノルド・シュワルツェネッガーはかつてオーストリア連邦軍でM47の戦車兵を務めたという経歴を有し、現在は搭乗していた331号車を個人所有している。
M48パットン
90mm砲搭載、最大装甲厚152mm、1952年制式化。
第一世代主力戦車に区分される。
M47を原型に、新型砲塔の搭載や車体構造の設計変更といった改良が施されたほか、後期型のM48A5ではM60と同じ105mm砲が搭載された。
なお、イスラエルで運用されたM48はマガフと名付けられ、中東戦争の影響で大規模改造の対象となった。
M60パットン
105mm砲搭載、最大装甲厚152mm、1959年制式化。
第二世代主力戦車に区分される。
当初はM48と同じ砲塔に105mm砲を搭載したが、1960年代には新型砲塔搭載のM60A1、1970年代には高度な火器管制能力が付与されたM60A3へと更新されていった。
また、ミサイルの発射能力を有する152mmガンランチャー搭載型のM60A2も開発されたが、少数生産に終わった。
本来は長期の運用を想定していなかったが、西ドイツと共同で実施されていた次期主力戦車の開発計画が頓挫したため、アメリカ陸軍はM60に近代化改修を施しつつ1991年の湾岸戦争まで運用を継続した。
CM-11勇虎戦車 / M48H
1990年から運用が開始された、台湾において現用の独自仕様。
M60A3車体にM1エイブラムスのそれと同等の高性能な火器管制能力+105mm砲の改良型M48A3砲塔を搭載し、射撃精度は平均的な第三世代主力戦車に匹敵するものとなった。