概要
西の方に存在するものを指す。単に西側と言うと東西冷戦における西側諸国(いわゆる第一世界)を指すことが多い。第二次世界大戦後の冷戦の深刻化の中で、ソ連と同盟した諸国が欧州の東側、東欧に位置していたことに対し、これに対抗した欧州の「西側」の諸国というのが原義。実際には西欧に限らず北欧や南欧の諸国も含めて東側に対抗する同盟関係にあった。また西側の盟主は西欧諸国というよりむしろその西欧を支援して勢力圏を形成していたアメリカ合衆国である。このため、大西洋の向こうの米国とその同盟諸国も含めて西側と呼んだ。
広義では共産主義諸国の東側に対抗した資本主義諸国全般を西側とも呼ぶ。米国やカナダに加えて日本や韓国、台湾(中華民国)、オーストラリアなどが含まれる。ただし、インドをはじめいわゆる第三世界として東側とも西側とも中立的な立場を取った資本主義国もあった。
西側全体の意思決定の仕組みとしては西欧と米国などの軍事同盟にあたるNATOが一番有力であったが、他に先進国首脳会議も西側としての意思決定の一つになっていた。
ソ連崩壊によって冷戦が終結して以降はもっぱら歴史的用語となっていた。しかし、米中冷戦という新冷戦のはじまり、特に2022年のロシアによるウクライナ侵攻にともないこれらの軍事圧力に対抗する旧冷戦期西側諸国をまとめて、「西側」と表現する事が増えてきている。この意味での「西側」には、NATO新加盟国を中心にウクライナ・ポーランド・バルト三国なども含まれている。
関連タグ
ウエスタン:「西側」を意味する英単語「Western」を意味するが、西部劇という意味合いで使われることが多い。