解説
1970年代に実用化、現在も各国で運用されている戦車・装甲戦闘車輌向けの追加装甲。ERA(Explosive Reactive Armor)としても知られている。
その原理は、被弾時に爆発することで着弾した砲弾・ミサイルの姿勢を崩し、威力を相殺するというもの。
着弾角が大きいほど命中弾へ与えられる爆発の影響が大きくなるため、通常は斜めに配置されており、一見垂直に見えるものも内部の本体が傾けて保持されている。
なお、爆発により生じる破片・圧力が被弾箇所の周囲に二次被害を及ぼすため、味方歩兵との協働が想定される場合には装備が見送られることが多い。(例: 90式戦車、10式戦車)
利点
- 車輌に外装するだけで効果を発揮する。
- 車輌の新旧を問わず防御力を強化可能。(許容荷重の問題はあるが)
- 体積が小さく、嵩張らないため車輌の取り回しに影響しない。
- 複合装甲と比べて要求される技術力が低い。
- 複合装甲より軽量。
- 前線でも容易に着脱可能。
欠点
- 被弾時の爆発で車輌の周囲を加害するため、随伴歩兵が居れば死傷は免れない。
- 熱や衝撃、その他不具合で勝手に誘爆してしまう危険性がある。
- 車輌本体にも爆発の負荷がかかるため、装備車輌にはある程度の防御力が必要。
- 被弾に反応できるのは数回のみで、それ以降は何ら効果を発揮しない。
- 爆発物であり危険なため、平時の保管が面倒。
代表的な爆発反応装甲
- コンタークト5 (Контакт-5)
ソ連で1985年に実用化された、APFSDSに対応する初のERA。それまでのERAはHEAT弾頭に対してのみ有効だった。
T-55からT-90に至るまでのほとんどの東側主力戦車の事実上の標準装備となり、現在も旧東側諸国を中心に広く普及している。
- TUSK II
M1エイブラムスの強化パッケージ。
「Tank Urban Survival Kit II」(戦車市街戦生存キットII)の略で、機関銃席の大型防盾や遠隔操作化などを含む大規模な改修型だが、通常型との差異を際立たせるのが側面に取り付けられた瓦のように湾曲したERA。
非正規戦向けの仕様のため、このERAはRPG-7などの歩兵携行型対戦車火器への対抗策と考えられる。
フィクションにおける登場例
第5形態にて胸部保護の為に増設されたが、実際の描写は接合部が爆発して分解排除される追加装甲という扱いであった。
劇場版2作目で装備。防弾チョッキ状のジャケットにチューブ状の爆薬を内蔵しているため、現実のERA搭載車輌とは異なり箱が並んだような外見ではない。
敵を吹っ飛ばす目的で機体や盾に貼り付けられている。
関連タグ
リアクティブアーマー:「反応装甲」の英語。「非爆発性反応装甲」というものもあるので、厳密には「リアクティブアーマー=爆発反応装甲」ではないのだが、あまり区別されない傾向にある。