概要
アクティブ防護システム(Active Protection System)とは、戦車などの戦闘車両に搭載される防御装置の一種である。略して「APS」。
その仕組みは自車に向けて飛来するロケット弾や対戦車ミサイルなどを命中前に迎撃することで無力化し、自車を防護するというもの。近年になって先進諸国の主力戦車などに搭載されつつある。種類としては、主としてソフトキル型とハードキル型の二種類に大別される。
主な種類
ソフトキル型
ソフトキル型は、対戦車ミサイルの誘導・照準システムを電子妨害や光学妨害などによって狂わせ、対戦車ミサイルの無力化を狙う。
簡潔に言ってしまえばジャミングである。
代表的なものとしてはロシアのミサイル警報装置の『TShU-1-7シュトーラ-1』があり、これは既存のミサイル警報装置同様に敵対戦車ミサイルの照準用レーザーの照射を検知するとスモークの自動散布といった対抗措置を行うが、独自の対抗措置としてミサイルのシーカー(検知機器)にパルスコードを含んだ強力な赤外線照射を浴びせ、赤外線による目くらましを行う。欠点としては赤外線照射はレーザー誘導以外には効果がなく、既存の対抗措置を含め予測照準線一致(PLOS)のような事前に入力した場所に向けて飛ぶだけの誘導方式や無誘導弾に対しては妨害の意味がなく、無力化できない点である。また、赤外線を照射するという方式から照射元に向けて飛んでいく赤外線版対レーダーミサイルや、単一波長の赤外線しか照射できないことから複数の波長の赤外線を用いて誘導するような対抗兵器の登場により無力化するのではないかといういたちごっこも予測されている。
- T-90戦車。砲身両脇の赤い目のような照射機が『TShU-1-7シュトーラ-1』の赤外線照射装置
ハードキル型
ハードキル型は、迎撃弾を発射することで飛来する対戦車ミサイルやロケット弾を文字通り撃墜することを狙う。
簡潔に言ってしまえば車両版CIWS。
代表的なものとしてはイスラエルの『トロフィー』、ロシアの『アリーナ(Аре́на)』などが挙げられ、これは車両に搭載したレーダーでミサイルやロケット弾の接近を探知すると、散弾状の迎撃弾を発射し、飛来する敵弾を命中直前に撃墜するものとなっている。
- メルカバMk.4戦車。改修で『トロフィー』APSが搭載されつつある。
余談
一般的にアクティブ防護システム(APS)は車両に搭載されるものを指すが、広義で言えば艦艇に搭載されるジャミング装置やCIWSなどもAPSである。
また軍用機用APSの開発も行われており、レーザー兵器やジャミング装置などによって飛来する対空ミサイルを無力化する計画がある。
関連動画
メーカー公式動画(いずれもハードキル型)
『トロフィー』
『アイアン・フィスト』
関連タグ
CoD:MWシリーズ:キャンペーンでは2では登場したストライカー装甲車、ハニーバジャーに搭載されて登場。マルチプレイでは歩兵が携行可能な装置としても登場する。設置すると一定範囲内でミサイルだけでなく、手榴弾、跳躍式地雷といった飛んでくるものを一定数迎撃可能。