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M60パットン
4
アメリカが開発した第二世代主力戦車。

概要

M46からスタートしたパットンシリーズ直系の最終型である、アメリカの第二世代主力戦車

アメリカ陸軍がソ連のT-54/55に脅威を感じ、M48パットンの機動力と火力を改良したものである。俗に「スーパーパットン」と呼ぶ場合もあるが、実は公式にはパットンの名は付けられておらず、さらにはパットンシリーズ扱いでも無いという。じゃあ「スーパーパットン」って何?となるが、実はこれ、非公式愛称の一つである。

開発は1956年に開始され、1959年に最初の型である「M60パットン」の量産が開始された。数々の改良が加えられてはいるものの基本的にはM48の発展形であり、基本的な構成もM48と同じである。総合的には車体前部を平面溶接構造(M48では鋳造)とし、転輪やフェンダーにアルミ合金製のものを採用する事で軽量化を図っているが、そのせいで現場の兵士では熱帯ジャングルなどの不整地走破性が劣ると見做されていた(このため、一部車両は車輪をM48用の鋼製転輪に換装している)。

最初からディーゼルエンジンを採用した初のアメリカ戦車でもあり、これによってガソリンエンジンと比べて燃費や被弾時の安全性が向上した。主砲も90mm砲から105mmライフル砲に換装し攻撃力を格段に向上させているが、砲塔自体は当初装甲厚が増したことなどを除けば、M48のものを引き継いだ亀甲型鋳造砲塔を採用した(M60のうち230両はM48を改装する形で生産されたため、これらはM48と同じ砲塔を採用している)。

一方、最初の改良型であるM60A1以降は全体的に細く絞った形状の新型砲塔(通称「ニードルノーズ」「ロングノーズ」)に変更されており、前面装甲も厚いものとなっている。

あくまでも、ソ連のT-55に対抗しうる本格的な次期主力戦車が登場するまでの「つなぎ」であり、短期間で引退する予定であったが、肝心のMBT-70KPz70)計画が頓挫したため長期に渡って使用された。

それでも、第四次中東戦争にてイスラエルが鹵獲したT-62を分析したアメリカ軍はM60の方が性能面でリードしていると評した。車高が低いせいで地形に隠れながらの砲撃ができないT-62と異なり、車高が高い分主砲の俯角を大きく取る事が可能で地形に隠れながらの砲撃で優位に立てるからである。

ただM48と同様、被弾すると油圧駆動システムが発火しやすいという問題があり、イスラエルでは現地愛称の「マガフ」が実はヘブライ語で「焼死体運搬車(Movil Gviyot Charukhot)」の略だとするジョークが生まれた。このため発火しにくい電動式に改修する国も多い。

各型の合計生産台数は約2万輌を数え、アメリカ軍のみならず西側諸国の標準的主力戦車となった。

発展・派生型

  • M60A1 - T-62に対抗するため砲塔を新型形状に変更したもの。合わせて車体各部の装甲増厚、射撃管制装置やサスペンション・操縦装置の改良が実施されている。
  • M60A2 - 試作型M60A1E2をもとに、1965年より量産開始。新設計の砲塔にM162 152mmガンランチャーを搭載し、対人用に榴弾、対戦車用にシレイラ・ミサイルを発射できるようにした。しかしミサイルの価格が高かった事と、整備性が悪かった事から生産は500輌余りに留まり、短期配備に終わった。その先進性と扱いの難しさから、付いたあだ名が「スターシップ」。
  • M60A3 - M60A1の発展型。射撃統制装置の改装により主砲の命中精度を高めた他、同軸機銃や暗視装置など細部が改良されている。
  • CM11 - 台湾中華民国)がM60A3のシャーシにM48A5の砲塔を搭載した装束型。
  • マガフ6 - M60系統をイスラエルが独自に改良したもの(ちなみにマガフ3・5はM48ベース)。基本的には全タイプともイスラエル国産の爆発反応装甲(ERA)「ブレイザー」を装備して防御力を向上させている他、後のタイプからは対歩兵用の60mm迫撃砲や機銃を追加搭載している。
  • マガフ7 - マガフ6のうち亀甲砲塔型に改修を行ったもの。「ブレイザー」ERAが戦車砲の徹甲弾からの防御力が低いこと、近年の成形炸薬弾の発達によりそれらからの防御力も低下していたことから、砲塔部と車体前面に複合装甲を追加装備した他、合わせてサイドスカートを装着している。
  • サブラ - マガフ7から発展した、イスラエルのM60A1/A3の近代化改修型。輸出向けに開発されたもので、主砲をメルカバ Mk.IIIと同じ120mm滑腔砲に換装し、砲塔には楔形の増加装甲を追加している。トルコが爆発反応装甲の装備やエンジン換装などを行った改良型をM60Tとして採用。
  • M60-2000 - ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社が提案した、強化したM60の車体にM1エイブラムスの砲塔を載せた代物。FCS等もエイブラムスと同等に強化される。

配備と実戦

M60は採用後、アメリカ本国と欧州派遣部隊に配備されたが、激化するベトナム戦争には投入されなかった。M1エイブラムスの登場により主力戦車の地位を譲ったが、アメリカ海兵隊では使用が続けられ、1991年の湾岸戦争でも活躍した。

現在ではアメリカ軍のM60は全て退役している。

イスラエルでは第四次中東戦争以後の数々の紛争に投入され、アラブ諸国が導入したM60同士の交戦も起きた。

既に旧式化してはいるものの、元々車内容積にかなりの余裕があって拡張性が高いため、第四世代主力戦車の開発が進む中、現在でも現役の国は多く、一部は第三世代に相当するスペックに改造されており、まだまだ退役とはいかないだろう。

登場作品

カタールの米軍基地に駐留していた。

パキスタン軍の戦車として登場。

劇場版でマガフ6の模型が登場。

エースコンバット04」にエルジア軍の戦車としてマガフ7Cが登場。「エースコンバット3D」のオープニングにも登場している。

初代PS「コンバットチョロQ」とPS2「新コンバットチョロQ」に登場。

「コンバットチョロQ」では「M60 パットン」名義。作戦29「誓いの駆逐戦法」に登場。直前のステージに登場したM48パットンよりわずかにパワーアップしている。

「新コンバットチョロQ」ではM60A1とM60A2が登場。M60A1はエキスパートアリーナ「ユニットボンバー」で対戦し、勝利すると使用可能となる。M60A2は「空駆ける鋼鉄の翼」をクリアすると使用可能となる。

いずれも同軸機関銃タイプ「T」カテゴリーの武装を装備できる。

プロトン王国軍の兵士として登場するが、M60A1は「ニビリア海戦」の作戦成功後のムービーに先遣隊として登場するのみでステージには登場しない。M60A2は最終ステージ「Qシュタイン帝国」に登場する。

関連タグ

戦車 主力戦車 第二世代MBT

アメリカ軍 アメリカ陸軍

概要

M46からスタートしたパットンシリーズ直系の最終型である、アメリカの第二世代主力戦車

アメリカ陸軍がソ連のT-54/55に脅威を感じ、M48パットンの機動力と火力を改良したものである。俗に「スーパーパットン」と呼ぶ場合もあるが、実は公式にはパットンの名は付けられておらず、さらにはパットンシリーズ扱いでも無いという。じゃあ「スーパーパットン」って何?となるが、実はこれ、非公式愛称の一つである。

開発は1956年に開始され、1959年に最初の型である「M60パットン」の量産が開始された。数々の改良が加えられてはいるものの基本的にはM48の発展形であり、基本的な構成もM48と同じである。総合的には車体前部を平面溶接構造(M48では鋳造)とし、転輪やフェンダーにアルミ合金製のものを採用する事で軽量化を図っているが、そのせいで現場の兵士では熱帯ジャングルなどの不整地走破性が劣ると見做されていた(このため、一部車両は車輪をM48用の鋼製転輪に換装している)。

最初からディーゼルエンジンを採用した初のアメリカ戦車でもあり、これによってガソリンエンジンと比べて燃費や被弾時の安全性が向上した。主砲も90mm砲から105mmライフル砲に換装し攻撃力を格段に向上させているが、砲塔自体は当初装甲厚が増したことなどを除けば、M48のものを引き継いだ亀甲型鋳造砲塔を採用した(M60のうち230両はM48を改装する形で生産されたため、これらはM48と同じ砲塔を採用している)。

一方、最初の改良型であるM60A1以降は全体的に細く絞った形状の新型砲塔(通称「ニードルノーズ」「ロングノーズ」)に変更されており、前面装甲も厚いものとなっている。

あくまでも、ソ連のT-55に対抗しうる本格的な次期主力戦車が登場するまでの「つなぎ」であり、短期間で引退する予定であったが、肝心のMBT-70KPz70)計画が頓挫したため長期に渡って使用された。

それでも、第四次中東戦争にてイスラエルが鹵獲したT-62を分析したアメリカ軍はM60の方が性能面でリードしていると評した。車高が低いせいで地形に隠れながらの砲撃ができないT-62と異なり、車高が高い分主砲の俯角を大きく取る事が可能で地形に隠れながらの砲撃で優位に立てるからである。

ただM48と同様、被弾すると油圧駆動システムが発火しやすいという問題があり、イスラエルでは現地愛称の「マガフ」が実はヘブライ語で「焼死体運搬車(Movil Gviyot Charukhot)」の略だとするジョークが生まれた。このため発火しにくい電動式に改修する国も多い。

各型の合計生産台数は約2万輌を数え、アメリカ軍のみならず西側諸国の標準的主力戦車となった。

発展・派生型

  • M60A1 - T-62に対抗するため砲塔を新型形状に変更したもの。合わせて車体各部の装甲増厚、射撃管制装置やサスペンション・操縦装置の改良が実施されている。
  • M60A2 - 試作型M60A1E2をもとに、1965年より量産開始。新設計の砲塔にM162 152mmガンランチャーを搭載し、対人用に榴弾、対戦車用にシレイラ・ミサイルを発射できるようにした。しかしミサイルの価格が高かった事と、整備性が悪かった事から生産は500輌余りに留まり、短期配備に終わった。その先進性と扱いの難しさから、付いたあだ名が「スターシップ」。
  • M60A3 - M60A1の発展型。射撃統制装置の改装により主砲の命中精度を高めた他、同軸機銃や暗視装置など細部が改良されている。
  • CM11 - 台湾中華民国)がM60A3のシャーシにM48A5の砲塔を搭載した装束型。
  • マガフ6 - M60系統をイスラエルが独自に改良したもの(ちなみにマガフ3・5はM48ベース)。基本的には全タイプともイスラエル国産の爆発反応装甲(ERA)「ブレイザー」を装備して防御力を向上させている他、後のタイプからは対歩兵用の60mm迫撃砲や機銃を追加搭載している。
  • マガフ7 - マガフ6のうち亀甲砲塔型に改修を行ったもの。「ブレイザー」ERAが戦車砲の徹甲弾からの防御力が低いこと、近年の成形炸薬弾の発達によりそれらからの防御力も低下していたことから、砲塔部と車体前面に複合装甲を追加装備した他、合わせてサイドスカートを装着している。
  • サブラ - マガフ7から発展した、イスラエルのM60A1/A3の近代化改修型。輸出向けに開発されたもので、主砲をメルカバ Mk.IIIと同じ120mm滑腔砲に換装し、砲塔には楔形の増加装甲を追加している。トルコが爆発反応装甲の装備やエンジン換装などを行った改良型をM60Tとして採用。
  • M60-2000 - ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社が提案した、強化したM60の車体にM1エイブラムスの砲塔を載せた代物。FCS等もエイブラムスと同等に強化される。

配備と実戦

M60は採用後、アメリカ本国と欧州派遣部隊に配備されたが、激化するベトナム戦争には投入されなかった。M1エイブラムスの登場により主力戦車の地位を譲ったが、アメリカ海兵隊では使用が続けられ、1991年の湾岸戦争でも活躍した。

現在ではアメリカ軍のM60は全て退役している。

イスラエルでは第四次中東戦争以後の数々の紛争に投入され、アラブ諸国が導入したM60同士の交戦も起きた。

既に旧式化してはいるものの、元々車内容積にかなりの余裕があって拡張性が高いため、第四世代主力戦車の開発が進む中、現在でも現役の国は多く、一部は第三世代に相当するスペックに改造されており、まだまだ退役とはいかないだろう。

登場作品

カタールの米軍基地に駐留していた。

パキスタン軍の戦車として登場。

劇場版でマガフ6の模型が登場。

エースコンバット04」にエルジア軍の戦車としてマガフ7Cが登場。「エースコンバット3D」のオープニングにも登場している。

初代PS「コンバットチョロQ」とPS2「新コンバットチョロQ」に登場。

「コンバットチョロQ」では「M60 パットン」名義。作戦29「誓いの駆逐戦法」に登場。直前のステージに登場したM48パットンよりわずかにパワーアップしている。

「新コンバットチョロQ」ではM60A1とM60A2が登場。M60A1はエキスパートアリーナ「ユニットボンバー」で対戦し、勝利すると使用可能となる。M60A2は「空駆ける鋼鉄の翼」をクリアすると使用可能となる。

いずれも同軸機関銃タイプ「T」カテゴリーの武装を装備できる。

プロトン王国軍の兵士として登場するが、M60A1は「ニビリア海戦」の作戦成功後のムービーに先遣隊として登場するのみでステージには登場しない。M60A2は最終ステージ「Qシュタイン帝国」に登場する。

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