概要
正式名称はStridsvagn 103。
100mm級の主砲を備えた3番目のスウェーデン戦車だった事に由来する。
中立国スウェーデンでは、ソ連を迎撃する事を前提に戦車開発をしていた。
1950年代中頃、それまで用いられていた英国のセンチュリオン(Stridsvagn 81)を更新するべく、新型戦車Stridsvagn S(のちにStridsvagn 103)の開発を開始した。
その特徴は、
・油気圧サスペンションを用いた姿勢制御
・車体に完全固定された自動装填装置付き主砲
・低車高を徹底するための無砲塔
・車体全体に導入された鋭角の傾斜装甲
である。
一見すると駆逐戦車や突撃砲と勘違いしそうになるが、れっきとした主力戦車である。
主砲は自動装填装置付き62口径105 mm L74戦車砲。
センチュリオンのロイヤルオードナンス105 mm L7戦車砲を独自改良した主砲であり、51口径から62口径に延長されている。
総弾数は50発であり、弾種はAPDS、APFSDS、HEなど。
自動装填装置が故障した場合、無線手席付近に搭載されている即応弾5発で対処する。
総合的に、仮想敵であるソ連のT-62を十分撃破しうる性能である。
エンジンはディーゼルエンジンとガスタービンの併用式。
通常はディーゼルエンジンのみを使い、発進時や路外走行等、大出力が必要なときのみガスタービンを併用する。
なお、設計段階からエンジンを巨大な空間装甲として扱い、搭乗員への被害を食い止める配慮が為されている。
最高速度は前進・後進ともに50km/hであり、出力重量比はおよそ18hp。
搭乗員は車長・操縦手・無線手の3名。
特性上、操縦手が砲手を兼任しており、無線手は後進時の操縦手(緊急時の装填手)を兼任している。
車長も砲手・操縦手の動作が可能であり、緊急時は一人だけでも戦闘できる戦車である。
姿勢制御用の油気圧サスペンションだが、この戦車以外に装備しているのは、日本の74式、90式、10式、韓国のK1、K2のみである。
このような思い切った設計にすれば、当然側面への射撃どころか走行しながらの射撃も不可能になるが、前述の通りスウェーデンは防衛重視の戦闘を想定していたためほとんど問題にならないとされていた。
しかし、実際に使ってみるとやはり通常の砲塔付き戦車の方が使い勝手がいい事がわかり、後継として配備されたレオパルト2(Stridsvagn 121およびStridsvagn 122)に後を譲って退役した。
バリエーション
- Strv S1/S2
最初期の試作車両。
- Strv 103-0
- Strv 103A
- Strv 103B
エンジンの換装に加え、排土板・防水スクリーンの追加。
対HEAT用防護柵がオプション装備として追加。
- Strv 103C
A型・B型の双方から改修のみで新規生産は無し。
- Strv 103D
爆発反応装甲を有する試作車両も存在した。
余談
ちなみにバトルフィールド4のfinal standで登場するHT-95はこれが元である。(というかstrv.103にホバーエンジン4つだけ付けた感じ)もちろん砲塔は回転しないが本体が回転する。