「さぁ⋯⋯攻略法が完成した。
始めようか、プレイヤー⋯⋯いや、先生よ⋯⋯ヒヒッ、ヒ。」
プロフィール
所属 | ゲマトリア |
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人物
ゲマトリアを追放され、牢屋のような場所に閉じ込められていた元メンバー。
黒塗りの面に、瞳が時計の文字盤となった幾つもの目と額にローマ数字で「18」と刻まれているのが特徴の、仮面じみた異形の不気味な顔をしている。一人称は「小生」。
詳細は不明だがかなり長い間閉じ込められていたらしく、先生の事はおろか今のキヴォトスが学園都市である事さえ知らなかった模様。等々、キヴォトスが今の形になる前から存在していたような言動が見られる。ゲマトリアのメンバーの中では比較的新参だというベアトリーチェとの面識の有無は不明。
彼の場合は「人間はいつか死ぬ、それは不変の真理」という前置きの元、"死と苦しみ"の真理を研究テーマにしている模様。
普段は暗く陰鬱な性格だが、同時に自己愛も極めて強く、自身の考え方や主義を咎めた相手にはブチ切れて襲い掛かる、情緒不安定な危険人物(本人も激しやすい自覚はある)。
他ゲマトリアのメンバーとも価値観レベルでウマが合わなかったようで、「奴らにゲマトリアを名乗る資格などない」と語るほど。崇高に至る為、結果として悪事となる行為を行っていた黒服等とは行動原理からして大きく異なり、特に精神状態に未成熟な面が目立つ。
また、良くも悪くも上流階級の住民然としてるが故に、行動はともあれ態度や口調、服装は気品のある現ゲマトリアメンバーと違い、服装も振る舞いもどこか浮浪者を思わせる等、根底(コンセプト)からして違う模様。
「混沌の領域」と呼称される次元や時間、実在の有無が確定しない特殊な空間に籠り、物体や人々の精神に干渉し意のままに歪める(具体的には対象にささやきかける様に干渉し、特定の感情や思想を肥大化させて暴走させる)能力を持つ。劇中ではその力で常に安全圏にいながらTRPGの盤面のように介入し物語の裏で暗躍する。
物事や世界をボードゲーム(より厳密に言うならTRPG)のように認識しており、世界の変化を「RULE BOOK(コデックス)」や「キャンペーン」といったボードゲーム(TRPG)関連の言葉で例えている。
「勝利」よりも「過程」を重視し、例え苦行や敗北を味わうことになったとしても、「過程」を経て「自分が何を経験し、気付きを得られるか」のみに意味があると主張している。
…だが実際の彼の言動は、逆に「過程」には一切目もくれず「勝利」という結果にのみ執着し、求めていた「死」が自分自身に迫るや逃げ出す等、自らの抱負を悉く無視しておりまるで説得力がない。総じて己を貫く信念も覚悟も根性もない"半端者"といえよう。
名前の元となったのはドストエフスキーの作品である「地下生活者の手記」からか。
額に刻まれている「18」は韓国の罵倒をするときのネットスラングかタロットカードの月の番号かのどちらかだと思われる。
なお、タロットの「月」は2頭の狼が月を見上げる構図の絵柄で、正位置が「不安、裏切り」、逆位置が「好転、払拭」などを意味するとされ、基本的に正位置がプラス、逆位置がマイナスとされる大アルカナにおいてそれが真逆になっているという特徴がある。
制約解除決戦のセトの憤怒の解説を担当する。
後述の一件が終わった後らしく、意気消沈した様子で細々と解説を行っている。
劇中
初出はメインストーリーVol.1『対策委員会編』3章で、本章における黒幕。
色彩の一件で壊滅状態になったゲマトリアに一石投じるため「匿名の行人」フランシスによって解放されたが、解釈違いの説教をされるや否や彼を絞め倒して単独行動を開始。興味を持った先生を「攻略」しようと奸計を巡らせる。
過去の清算を利用してアビドスの面々を困窮させると同時に、シャーレをいきなり爆破し先生の殺害を狙うという両極端な二面作戦でその脅威を見せつけた。
見落としていたシッテムの箱の存在により、丸一日寝込ませてアビドスへの合流を遅らせる程度に留まったが、直前にはアロナとプラナがガス管の配置が弄られてることを察知しており、何らかの干渉を感づかれた。
その後も先生とは会わないままゲームのプレイヤーとして対戦をしているように振る舞い、ホシノやスオウ、ネフティスやカイザーなど多くの関係者の心理を操作し誘導。
同章では色々と突飛で粗雑な展開が目立つのだが、それも彼が各人物を「使い捨ての駒」として、その場その場でいいように操っていた為。
そしてPart4では洗脳の出力を最大にし、ついに本懐を果たすことに成功する。
…しかし、地下に追放されていたが故に、先生の持つ切り札や別世界から来た死の神という確信的な情報を全く知らなかったことが発覚し、結果覆される筈のない趨勢を切り返される。
「チートだ!」と喚き、自分が話を聞かなかったフランシスに八つ当たりする醜態を晒すが、先生やプラナから「大人になりきれなかった青二才」とバッサリ切り捨てられ、全ての計画は水泡に帰した。
その後は地下牢に戻り負け惜しみを言っていたが、そこへシロコ*テラーが制裁に現れ、自分が求めていた"死の真理"に最も近い彼女を背にして、あっさり心が折れ怯え慄く。
向こうの温情で最後通牒に留まったが、むしろ外界に実在する「いつ訪れるかわからない死の恐怖」を植え付けられた結果となり、それに苛まれ続け、乗り越える甲斐性も無い彼は、二度と地下から出てくる事はなかった。
余談
上記の通り、本格的に活動を開始するや否や、舞台装置もびっくりな脳筋戦法で他のゲマトリア達との価値観の違いをユーザーにも納得させた。
同時に(自ら言い切る程)自分本位のルールから「(過程を楽しむゲームマスター気取りとして)反則だろ!」「とんだマンチキン」等、失望混じりの辛辣な評価も殺到。
加えて、彼の起こす被害の悉くが悲劇のエンドを想起させ関与を疑われる等、新参でありながらゲマトリア中最下位の株・評価を更新して出番は終わった。
なお、地下生活者を英訳した際の訳の一つとして「Basement dweller」がある。これは実は英語圏で「引きこもり」、もっと噛み砕いて言えば「子供部屋おじさん」を指すスラング。
プラナが言い放った言葉を見るに、どうやら(悪い意味での)後者が元ネタなのかもしれない。
まさに「月」の逆位置の如く、2頭の狼に見下される形となった。