「ただ、こうしてホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっては奇跡みたいなものなの。」
プロフィール
人物
かつてアビドス高等学校で生徒会長を務めていた人物で、ホシノの先輩。
当時副会長だったホシノと2人で、アビドス再建のために様々な活動をしていた。
包容力に溢れた非常に大らかかつお人好しな性分で、「幾ら利用されようと人助けを止めるべきじゃない」「どんな理不尽を受けようと争いに慣れるべきじゃない」と言い切る程な善性の持ち主。
一方、本人の頭や要領はお世辞にも良くなく、しょっちゅう失敗したり悪党に襲われては半べそをかき、その都度ホシノに助けられていた等、戦闘力も頭脳も混迷のアビドスを導くに足る能力があったとは言い難い人物でもあった。
生徒会長の肩書きも、彼女以外は学園を見限り立候補せずに彼女に職責を押し付けたが故に過ぎない。
この様な経緯から、ホシノは「とても頼りない人」とノノミに語っていた他、後に自分の口からユメのことを「無鉄砲で校内随一のバカ」だったと説明している。またカイザーPMC理事からも「全くもってバカ」と言われている。
過去にはかつて開催されていた「アビドス砂祭り」の昔のポスターを入手した際に、ホシノにそれをプレゼントして「もし何か奇跡が起きたら、またこの頃みたいに人がたっくさん集まって…」という願望を語るも、「(悪く言うなら)現実を無視した夢物語」を語ったことでホシノを怒らせ、目の前でポスターを破り捨てられたことも。
ただ現在のホシノは自分のことも「嫌な性格の新入生」だったと自虐したうえで、当時のアビドス生徒会を「おバカさんが二人集まっただけ」と振り返っている。
メインストーリーVol.1「対策委員会編」の時点では、彼女は何らかの理由でアビドスを去り、後は全てをホシノが引き受ける羽目になったと、先生やシロコ・セリカ・アヤネはノノミから説明されていた。
…しかし、実際には2年前に彼女は何らかの原因で死亡しており、砂漠に転がるその遺体の第一発見者がホシノだった。ホシノとノノミは他のメンバーに誤魔化していたが、ゲヘナの風紀委員会といった外部にも情報は流れており、先生も「エデン条約編」の中でヒナから偶然真相を聞くことになる。
本作で描写されている生徒の中では、現状唯一の死亡者・故人として逆に大きな存在感を残しているが、なぜ彼女が死ぬに至ったのかの仔細が分かる物証は終ぞ見つからず、ホシノやヒナといった当時の調査者は、同時期の大嵐に見舞われ遭難した事故死と診断している。
容姿
「対策委員会編」2章19話でホシノとのツーショット写真が顔から上が隠れた形で登場して以来、(写っている人物が本当にユメなのかも含め)約3年ほど情報がなかったが、2024/02/07実装の「対策委員会編」3章プロローグで正式に登場し全貌が確定した。
ホシノと対照的に高身長で胸が大きく、髪は膝ほどまであるロングヘアーで緑がかった薄い水色、服装はチェックのスカートに入れた白シャツ、タイを緩めシャツを少し開き、胸の下を通すハーネスベルトにタイを挟み込んでいることまで現在のホシノと同様。胸の左側には拳銃を格納するためのホルスターを付けている。
ヘイローは中央に太陽を象ったかのような形で、同じく太陽を象ったデザインのアビドスの校章と似ている。
また、右腕と脚に絆創膏が多数貼られているのも特徴。
武器
武器は2024年2月時点では詳細は不明だが、ホルスターには拳銃(銃種不明)が格納されている。
また現在のホシノが持つ折り畳み式の盾に似たアタッシュケースを持ち歩いている。
メインストーリーFinal.「あまねく奇跡の始発点編」4章と連動して行われる「PHT決戦」でのホシノがユメの遺体を発見したときと思われる回想で、現在のホシノが使用しているものと同じ「IRON HORUS」と書かれた盾が砂漠に落ちているシーンが描かれた。
TVアニメにおいてもオープニングにて、砂漠で空を舞うホシノの盾と、ユメらしき人物の影が描かれており、上記のホシノの回想場面と思われるカットがある。
このことや、過去のホシノは盾を所持していない事、ユメが類似した物を持っていたことから、ホシノの盾は元々ユメが使用していたものではないか?(=ホシノの盾はユメの形見ではなのでは?)との推測がある。
この盾には『オフィシャルアートワークス』では拳銃(銃種不明)が格納されているのが確認できるのだが、この拳銃もユメが使用していたものではないか?との声もある。
余談
カフェに置いておける家具にはアビドスの教室を再現したシリーズがあり、その中に各アビドス生に対応したモーションが見れる机が存在している。
この机は全部で7種類実装されているのだが、その中に誰にも対応していない空きになっている机が2つある。そのうち『アビドス教室の大きなバッグが置かれた机』がユメの机ではないかと推測されている。なお、その説明文には「どうしたことか持ち主は長い間席に戻ってきてないようだ。」と書かれている。
モチーフ
ホルスの父で冥府を司るオシリス神が最有力と思われる。
神話にて、オシリスは当初その善政から民に慕われていたが、それを妬んだ兄弟のセトによって惨殺されてナイル川に投げ込まれてしまっている。
さらに、オシリスは元々農耕神であったと言われており、緑色の肌をしているのはその為だという説があるのだが、ユメの髪の色も緑っぽい色合いとなっている(彼女の際立って豊満な女体も「豊穣」を表現しているのではないかという考察がある)。
この他、後述の事情からオシリスは身体に包帯を巻いた姿で表現されており、ユメの手足に貼られている絆創膏はそれが元ネタであると考えられる。
ちなみにだが、オシリスを誅殺したセトは砂嵐の神という側面を持っており、砂嵐によって衰退したアビドスの状況と併せると中々興味深いものがある。
後にユメはヘイローが太陽を模っている事が判明したため、太陽神ラーがモチーフであるとする説も出ているが、生前のオシリスはファラオ(ファラオはラーの化身とされていた。そもそも『ファラオ』という単語は「ラーの代理者」を意味する)であったため、オシリスモチーフでも特に矛盾はない。
また、オシリスは後にイシスやホルス、ネフティスやアヌビスといった多くの神々の尽力によってミイラとして復活し、冥府の神となっているため、ユメもまた何らかの形で復活するのではないかと一部で囁かれている(ちなみに『アビドス』とはオシリスが復活した場所の名前である)。
一部では、上記の経緯から彼女の持っていた「たのしいバナナとり」の手帳は、魚に食べられてイシスがオシリスの遺体で唯一回収できなかった部位である男性器が元になっているのではないかと(半ばネタ的に)言われたりもしている。
まさかのグッズ化
ユメが生前愛用し、彼女の遺品の一つとして対策委員会編第3章内でのキーアイテムとして存在していた「たのしいバナナとり」の手帳だが、なんと3.5周年記念生放送にてグッズとして販売されることが発表された。しかもユメとホシノのツーショットつきというオマケつきで。
そのあまりにも人の心が無さすぎる商品化に現地では先生達の怒号や悲鳴の入り交じった叫び声が響き渡ることに……。
名前について
苗字の梔子は「クチナシ」の花から取られていると考えられているが、対策委員会編3章をプレイした先生からは「死人に口なし」とのダブルミーニングになっているのではないか、という縁起でもない推測も出ている。
ちなみに梔子の花言葉は「優雅」「喜び/幸せを運ぶ」「清潔」「私は幸せ」「胸に秘めた愛」。
描写について
遺品になってしまった上述の破られたポスターは、テープで修復された状態でホシノの部屋に飾られており、長らく「ホシノが直した」と思われていたが、アニメではユメが自分で直していたことを示唆する描写が描かれ、ネットでちょっとした話題になった。
また「本編の時間軸」を除けば、本作には他にも訃報描写は存在し、例としては仮死状態に陥ったセイアや別の可能性の話など。
関連タグ
そして・・・
以下ネタバレ注意!!!
テラー化したホシノを救うべく立ち上がった対策委員会の面々とプラナたちの助力により、シロコらはホシノの精神世界に干渉することに成功する。しかし各々言葉をかけるもホシノに真に届くことはなかった。そんな中、ホシノはなんと精神世界で例の手帳を見つける。それを拾った矢先のことであった。
「ホシノちゃん、元気にしてる?」
ホシノが顔をあげると、そこにいたのは梔子ユメであった。ホシノは泣き崩れ、今までの思いを吐露しユメに抱きつく。自分を責めるホシノをユメは「めっ」と咎め、「ホシノはいい先輩になっている」と励ます。
ホシノにとって、まさに夢にも見た出来事だったが、それは長くは続かなかった。
「後輩を守ってあげないと、ね。」
ホシノにユメはそう言うと、ユメは消えてしまった。
ホシノは残された手帳を抱えて泣き続けるも、ホシノはユメの言葉を胸に立ち上がり、後輩を守ることを決意。テラー化から脱し、対策委員会の面々に向かって放たれたセトの光線を、ユメの遺品でもある盾で防御。小鳥遊ホシノとして、セトの前に立ちふさがるのであった。
余談
この時のホシノの精神世界は、プラナが擬似的に再現した『ナラム・シンの玉座』の影響を受けており、曰く「次元や時間、実在の有無が確定せずに混ざり合う『混沌の領域』と類似した状況」が作り出されていた。
この事から、推測の域を出ないものの、そこにいたのは全てが幻や空想とは言い切れない、梔子ユメその人だったのかもしれない。
ユメの死の真実や手帳の行方といったユメ絡みの明かされていない謎、遺体の顛末や墓の所在などの描写、未回収の伏線などはまだ存在するものの、一連の出来事の当事者であるホシノが彼女の死について一区切りをつけたたため、今後更新されるシナリオにてこれらの情報が明かされるか否かは不透明になっている。